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2024.03.13

【プロが解説】基本カクテル「ジントニック」の作り方。温度と泡がカギだった!

ジントニックのイメージ

ジンを使った定番カクテルといえば、「ジントニック」が思い浮かびますよね。材料はドライジン、トニックウォーター、ライムの3つだけと極めてシンプル。それゆえに、材料選び、作り方の違いで味に差が出るので、「バーテンダーにとっての名刺代わり」とも言われています。

今回は、そんな奥深いジントニックの基本レシピを、伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴの洋酒担当バイヤー澁木 健さんに教わりながら、カクテル初心者のWEB FOODIE編集長が実際に作ってみました。

「ジントニックは、甘み、苦み、柑橘の香りのバランスが絶妙で、飽きのこない味わいなので、気楽にカクテルを楽しみたいときにぴったりの一杯です」

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ジンとはどんなお酒? ジンを楽しむ3つのカクテルの違いとは?

ジントニックを作るまえに、まずは味のベースとなるお酒ジンについて、澁木さんに教えてもらいましょう!

●ジントニックのベースとなる「ジン」とは、どんなお酒? アルコール度数は?

「簡単に言えば、ジュニパーベリーというヒノキ科の針葉樹の実(正確には球果)を使った蒸溜酒(スピリッツ)です。ジン特有のウッディーな香りはこのジュニパーベリーが由来。さらにボタニカル(ハーブやフルーツ、スパイス)を加えることで、個性的な香りが生まれます。アルコール度数は一般的に40%くらい。ちなみにジントニックにするとアルコール度数は7~14%ほどになります」

何だか香水と似ていますね!

●ベースとなるお酒には何が使われている?

「農作物由来のアルコールを使用することが前提になります。よく使用されるのは、小麦、とうもろこし、お米などを原料としたグレーンスピリッツ。他にもぶどうのような果実や、じゃがいもなども原料に使用されます。ビールや日本酒などを蒸溜したものを、ベーススピリッツとして使用するところもあります。実はジンというお酒はジュニパーベリーを使うという決まりはありますが、様々な原料からベーススピリッツを作り、使用することができるんです。

つまり自由度が高いお酒なので、どんなベーススピリッツを使うか、どんなボタニカルを加えるかなど、作り手のこだわりを反映させた唯一無二のジンを作れるというわけです。そんな背景もあってか、クラフトジンと呼ばれる小規模生産の個性派ジンが世界的にブームになっています」

ジンのベースにビールや日本酒を使ってもいいとは、知りませんでした!

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●ジンを味わう定番カクテルには、どんなものがある?

「次の3つの飲み方(カクテル)を覚えておくとよいですよ。ジンをどんなもの(割り材)で割るか、どんな配合で割って飲むかで味わいに違いが出てきます」

【辛口】炭酸水(ソーダ)で割る「ジンソーダ」
甘みのない炭酸水(ソーダ)でドライジンを割ったカクテル。ジンそのままの香りと味わいを楽しめる。ライムを加えると「ジンリッキー」というカクテルに。ジンと炭酸水の割合は1:3~1:4が一般的。

【甘みあり】トニックウォーターで割る「ジントニック」
トニックウォーター(炭酸水に糖分、ハーブや柑橘類の果皮のエキスを加えた炭酸飲料のこと)で、ドライジンを割り、カットしたライム、またはライムジュースを加えたカクテル。ジンとトニックウォーターの割合は1:3~1:4が一般的。

【甘さ弱め】トニックウォーターと炭酸水で割る「ジンソニック」
ドライジンをトニックウォーターと炭酸水(1:1の割合)で割ったカクテル。甘みのない炭酸水を加えることで、ジントニックよりも甘さが抑えられる。カットしたライム、またはライムジュースを加えたものが一般的。

「ジンそのままの香り、味わいを楽しみたい場合は、『ジンソーダ』がおすすめです。ただし、ドライジンも炭酸水も甘さがなくすっきりとした味わいなので、結構辛口に感じる人もいるかと思います。その点、『ジントニック』はトニックウォーターで割ることで、甘み、ほろ苦さ、柑橘などの香りを加えることができるので、飲みやすい味わいです。ジントニックより、もう少しだけ甘みを抑えたい場合は、トニックウォーターと炭酸水の2つで割った『ジンソニック』にするといいでしょう」

割り材を変えるだけでも、ジンの楽しみ方がぐっと広がるのですね!

ジントニックを美味しく作る3つのポイント

それでは、ジントニックの作り方のポイントを押さえていきましょう。

「ジントニックは材料も作り方もシンプルだからこそ、次の3つのポイントを守ると、仕上がりにグッと差がついてお店の味に近づけますよ」

【ポイント①】トニックウォーターとグラスはよく冷やしておく! 氷が溶けて薄まらず、キリっとした風味が際立つ

「ジントニックのキリっとした味わいや風味、炭酸ガスの刺激は、冷たいほど際立ちます。氷が溶けるとせっかくの味わいも薄まってしまうので、トニックウォーターだけでなく、グラスも冷蔵庫に入れて冷やすのがベター。ただし、匂いの強い食材の近くにグラスを置くと、匂い移りするので注意してください。グラスを冷やす時間がない場合は、レシピのところで対応方法をご紹介します」

【ポイント②】トニックウォーターは氷をよけて注ぎ、混ぜ過ぎない! 炭酸ガスが抜けるのを防げば、美味しさ長持ち

「トニックウォーターは炭酸ガスが弱まると、気の抜けた味になってしまいます。トニックウォーターをグラスに注ぐときは、氷めがけて注ぐと衝撃で炭酸ガスが抜けてしまうので、氷に直接当たらないよう、グラスの縁から静かに注いでください。その後にバースプーン(マドラー)で混ぜるときも、軽くひと回しする程度にとどめておきましょう」

【ポイント③】これぞジントニックの醍醐味! 3つの材料にこだわれば、味のバリエーションは無数に広がる

「ジントニックの材料である(ドライ)ジン、トニックウォーター、ライムそれぞれにこだわれば、味のバリエーションは無数です。記事の最後に、私のおすすめのジンやトニックウォーターのこと、ライムの香らせ方についてご紹介するのでチェックしてみてください。詳しくはこちら>>

キリッと爽やか!「ジントニック」の作り方。割合はジン:トニックウォーター=1:3~1:4

それでは澁木さんに教わりながら、WEB FOODIE編集長にジントニックを作ってもらいましょう!

ジントニックの材料

<材料>(容量300mlのグラス1杯分)

<下準備>

・トニックウォーターとグラスは冷蔵庫に入れて冷やしておく

【冷やす時間がない場合】グラスの冷やし方

氷を回すイメージ

「グラスに氷をいっぱいになるまで入れ、バースプーン(マドラー)を底の氷の下に差し込んでクルクルと氷を回します」

水を捨てるイメージ

「グラスが薄っすら曇ったら、グラスがしっかり冷えた合図。氷をバースプーンで押さえながら、グラスを傾けて溶けた氷の水を捨ててください」

<作り方>

1. 冷やしたグラスに氷を入れ、ジンを注ぐ

グラスに氷を入れるイメージ

グラスにジンを注ぐイメージ

よく冷やしたグラスに、大きめの氷をグラスいっぱいに入れ、ジンを注ぐ。

「氷はケチらずに、なるべく大きなものをグラスいっぱいに入れてください。グラスを触るときは、手の熱が氷に伝わって溶けないよう、グラスの下の方を持つことを意識しましょう。ジンとトニックウォーターの割合は1:3~1:4が一般的です」

2. 氷をよけてトニックウォーターを静かに注ぐ

グラスにトニックウォーターを注ぐイメージ

よく冷やしたトニックウォーターを、氷に直接当たらないよう、グラスの縁から8分目まで静かに注ぐ。

「トニックウォーターが氷に直接当たると、衝撃で炭酸が抜けてしまいます。できるだけ丁寧に注いでください」

3. 混ぜすぎないよう、バースプーンで軽くステア(攪拌)する

バースプーンで氷を持ち上げるイメージ

バースプーンをグラスの底まで差し込み、氷ごと静かに半回転~1回転させる。

「そんな少しだけで、ちゃんと混ざるの? と心配になるかもしれませんが、トニックウォーターを注いだときに、ジンとトニックウォーターはほぼ混ざり合った状態になっています。ですから、あとは炭酸ガスが抜けないよう、できるだけ静かにステアすれば充分です」

【この混ぜ方でもOK】底の氷を下からそっと持ち上げるだけ

バースプーンで氷を持ち上げるイメージ

グラスの底にある氷をバースプーンで下から軽く持ち上げる(①)。氷をグラスの下にそっと沈め、バースプーンをグラスから出す(②)。

4. ライムを入れる、もしくは飾る

ジントニックのイメージ

グラスにライムを入れて完成。

「ライムに切り目を入れ、グラスに引っ掛けるようにして飾るだけでもいいですし、絞ってからグラスの中に入れていただいても構いません。お好みでどうぞ。このほかにもライムの使い方があるので、記事の最後でご紹介します。詳しくはこちら>>

また、ジントニックの味が甘いと感じる時は、炭酸水(ソーダ)を少し加えるといいでしょう。そのときは、トニックウォーターを注いだ後に、炭酸水を少量足すと、味わいの調整がしやすいです。炭酸水とトニックウォーターを1:1の割合にすることで『ジンソニック』というカクテルになります」

【実飲】初めて作った「ジントニック」、WEB FOODIE編集長の感想はいかに?

WEB FOODIE編集長、「初めて自分で作った…!」というジントニックのお味はいかがですか?

「冷え冷えですごく美味しいです! 炭酸ガスをしっかりと感じますが、弾ける泡とともにジンのボタニカルの香りも立ち昇って、ロックで飲むよりもよっぽどアロマティックに感じられます」

作ってみた感想は?

「グラスの下の方を持つのに慣れず、もたついてしまいました…。もたつくとそれだけ時間が経って炭酸ガスも抜けいくので、準備をしっかり整えて、手際よくスピーディーに作ることが大事だなと痛感しましたね。初めてのことで、緊張して指がつりそうになりました(笑)」

ジントニックの出来上がりイメージ

実際に澁木さんにお手本を見せてもらったのですが、その素早さに撮影スタッフ一同、「お~!」と感嘆の声が。練習を積んで、その領域に近づきたいものです。

みなさんもぜひ、おうちでジントニックを楽しんでください!

澁木バイヤー提案! ジントニックをより楽しむ3つのこだわりポイント

もっとジントニックにこだわりたい人のために、ジン、トニックウォーター、ライムについて、澁木さんから提案してもらいました。こだわるほどに楽しみも広がり、自分だけのジントニックが見つかります!

【ジントニック提案1】ジンの種類にこだわる

「ジントニックはシンプルがゆえに、原材料の個性が味わいに反映されやすいので、自分好みのジンを見つけてみるのも楽しいもの。

ジントニックが生まれた歴史のなかでイギリスが深く関わっているため、ジントニックにはロンドンドライジンが使われることが多いのですが、近年のクラフトジンブームによって、世界各国でその土地のボタニカルを香りづけに使用した、個性豊かなジンが次々と生まれています。今回は数あるジンから、私のおすすめ3種をご紹介します」

ジンのイメージ

写真左から、<五島つばき蒸溜所>ゴトジン(500ml/ギフトボックス入り) 6,050円、<サイレントプール蒸溜所>サイレントプール ジン(700ml) 6,380円(※2024年4月1日(月)より価格が変更します)、<ブラックフォレスト蒸溜所>モンキー 47 ドライ ジン(500ml) 6,930円(すべて税込) ※販売期間:すべて基本的に通年商品ですが、欠品することがございます。予めご了承ください

●おすすめジン① <五島つばき蒸溜所>ゴトジン(写真左)

2022年に長崎の五島列島・福江島に設立された<五島つばき蒸溜所>。なんとウイスキーのブレンダーが手掛けているが、このゴトジン。

使用している17種類のボタニカルごとに、独自に蒸溜。素材によって、実の割り方、漬け込むアルコール度数、カッティングポイントなども追求。そうして作られた20を超える原酒を、静岡の富士御殿場蒸溜所で33年間数多くのウイスキーを作ってきたブレンダーの鬼頭氏が、芸術的な感性でブレンドしています。

キーボタニカルには、島に咲く椿の実を使用。やわらかな口当たり、凝縮感のある優しい香り、様々なボタニカルが調和したユニーク&ハーモニーな味わい。椿の花でアロマを包むことを表現した、ツボミのようなボトルも特徴的です。

※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴ

●おすすめジン② <サイレントプール蒸溜所>サイレントプール ジン(写真中央)

ロンドンの南西、サリー州アルバリーエステートに位置するサイレントプール湖の畔に2014年創業。

こちらのジンには小麦由来のベーススピリッツ、24種類のボタニカル、そして石灰層で濾過され青く澄んだ湧き水を満々と湛えるサイレントプール湖の水を使用しています。ヴェイパーインフュージョン(蒸溜器で熱せられた蒸気の通り道にボタニカルを設置し、風味を抽出する方法)による華やかでロマンティックなアロマと、浸漬によって生み出されるコクのある味わいは、まるで香水のようです。

香りはジュニパーベリーを基調にラベンダー、カモミールが層をなして豊かに広がり、口に含むとライムやオレンジ、こぶみかんの葉のフレッシュさに、蜂蜜がほんのりと寄り添います。

※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴ

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●おすすめジン③ <ブラックフォレスト蒸溜所>モンキー 47 ドライ ジン(写真右)

ドイツ南西部にある山岳地帯ブラックフォレストの豊かな自然のなか、2008年に開設された蒸溜所で生まれた、世界有数の蒸溜技術を擁するジンブランド。

このジンは、47種類のボタニカルが使われた芳醇な香りと味わいが特徴です。ジュニパーベリーのクリアで澄んだ独特の香り、爽やかできりっとしたシトラスの香り、甘く、フローラルなアロマ、かすかに香るピリッとした胡椒のようなスパイス、わずかに感じるクランベリーのビターな香り、そして深くバランスのとれた複雑さが調和し、非常に個性豊かな味わいを生み出しています。

※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴ

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【ジントニック提案2】割り材にこだわる

「バーテンダーはトニックウォーターのブランドにこだわっている方が多く、トニックウォーターを使い比べてみると、その仕上がりの違いに驚くことでしょう」

トニックウォーターのイメージ

写真左から、<フィーバーツリー>プレミアム トニックウォーター 249円(税込)、<フィーバーツリー>エルダーフラワー トニックウォーター 249円(税込) ※販売期間:基本的に通年商品ですが、欠品することがございます。予めご了承ください

「これだけで飲んでも美味しいのが、<フィーバーツリー>のトニックウォーター! これを使っているバーテンダーをよく見かけます。

フレーバーは何種類かあり、プレミアム トニックウォーターは、コンゴ民主共和国のキナ由来の優しい苦味と、メキシコのビターオレンジによる繊細で爽やかな香りが特徴。エルダーフラワー トニックウォーターは手摘みで採取した英国産のエルダーフラワーから抽出したエッセンシャルオイルをブレンド。フルーティーかつ爽やかな味わいが特徴で、特に華やかなジンとの相性が抜群です」

※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴ

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【ジントニック提案3】仕上げのライムの香らせ方、柑橘の種類にこだわる

ライムの皮をしぼるイメージ

「ライムは最後に飾りとしてのせることが多いですが、ライムの使い方にもこだわってみるのも面白いです。いろいろな方法があるので、いくつかご紹介すると、

①最後にカットライムを入れる(または飾る)方法(今回のレシピ)
②最後に実から削いだライムの皮だけ(ライムの果汁は使わない)をグラスの上でひねり、香りをまとわせる方法(写真)
③最初にグラスにライム果汁を絞り入れ、そのままライムもグラスに落としてから氷を入れて作る方法

などがあります。

また、使用するジンとの相性にもよりますが、ライムの代わりに、レモンやかぼす、すだち、柚子など、好みの柑橘類をいろいろ使ってみるのも楽しいですよ」

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取材協力/バイヤー・スタイリスト 澁木 健さん

澁木健さんのお顔

伊勢丹新宿店グランドカーヴのワイン・洋酒担当。豊富な知識だけでなく、「ジンは緑茶で割って食中酒として飲むのもおいしいですよ」と、お酒を気軽に楽しむ提案もしてくれる頼もしい存在。イギリスに留学経験があり、「ジントニックを飲むと、棚にロンドンドライジンの定番『タンカレー』や『ボンベイサファイア』が並んだ、イギリスのパブやバーの賑わいのある雰囲気を思い出します」

撮影:難波雄史
文:香取里枝

※未成年の飲酒は、法律で禁止されています。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店 本館地下1階 グランドカーヴ、三越伊勢丹オンラインストアにてお取り扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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