2021.02.01
自宅で1人で楽しむ英国式アフタヌーンティー。ミルクティー&フードレシピ、食器選びをプロが解説!
3段のケーキスタンドにのったきらびやかなスイーツを囲み、おいしい紅茶を飲みながらおしゃべりを楽しむ英国式アフタヌーンティーは、日本でも女子会のテッパンとして人気です。ただし、ホテルや専門店で楽しむイメージがあるので、おうちで本格的なアフタヌーンティーを再現するのは、なんだかハードルが高くて無理そうに思えます…。
「そんなことはありません、実は、マグカップがあれば、ご自宅でおひとりでも英国式アフタヌーンティーが気軽に楽しめるんですよ!」。そう語るのは、三越伊勢丹ライフデザイン(リビング)で商品開発担当をしている寺町倫子さん。イギリス在住経験があり、テーブルコーディネーターや国際マナーの資格を持っている達人です。
そこで今回、寺町さんから、英国式アフタヌーンティーをひとりでも楽しめるポイントを教えてもらいました。食器選び、紅茶の淹れ方、紅茶と楽しむフードの簡単レシピ、コーディネートアイディアなど、盛りだくさんでご紹介します。「おうちでもっと気軽にティータイムを楽しみたい」という人は、最後までお見逃しなく!
【基本編】そもそも英国式アフタヌーンティーとは?
英国式アフタヌーンティーとは、イギリスの上流階級の人たちが集い、紅茶を飲みながら会話を楽しむお茶会から始まりました。
アフタヌーンティーの慣習を始めたのは、19世紀の王侯貴族のひとり、7代目ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアといわれています。元は使用人がサンドイッチなどの軽食に焼き立てのスコーン、最後にペストリーなどの甘いお菓子をコース料理のように順番にテーブルに運んでいましたが、その文化がレストランやホテルで広まった際にメニューを3段のケーキスタンドにまとめて、テーブルの上で楽しむスタイルが生まれたといわれています。
アフタヌーンティーはかつて上流階級の社交の場でもありましたが、今ではホテルやティールームだけでなく、家庭や職場、カフェと、あらゆる場所で気軽に楽しむことができます。
現在の英国の一般家庭ではもっとお気軽なスタイル。ひとりでカジュアルに楽しんでも!
日本で「英国式アフタヌーンティー」というと、ホテルなどで楽しむ豪華な3段のケーキスタンドをイメージする人も多いですが、実は現在ではイギリスの一般家庭では3段のケーキスタンドではなく、プレートを使うことがほとんど。
「現在のイギリス人のアフタヌーンティーは、マグカップに紅茶を淹れて、プレートにビスケットを添えるだけなど、カジュアルにティータイムを楽しんでいます。紅茶もティーバックが一般的。ひとりでも気軽にお楽しみいただきたいです」
「ただ、おいしくいただくためにティーバックを使っても、必ず蒸らすなど、おいしく淹れるポイントを押さえることが大切。紅茶の茶葉も『わが家では代々このブランド』というものが各家庭にあることも多く、暮らしに根付いた『紅茶の文化』に伝統を感じることができます」
なるほど、そのくらいカジュアルなら、おうちでのひとりアフタヌーンティーも現実味が出てきました! 寺町さん曰く、ひとりで気軽にアフタヌーンティーを楽しむためには、以下の押さえておきたい3つのポイントがあるそうです。
ひとりで楽しむ英国式アフタヌーンティーのポイント
① ティーポットがなくても大丈夫。マグカップでも蓋や小皿で代用できる!
おうちでカジュアルに楽しむなら、紅茶はティーポットの代わりに、ティーバックをマグカップに直接淹れてもOK! 蒸らすために蓋つきのカップがあるといいですが、ない場合には小皿で代用できます。
② ティーフーズを準備すれば、もっと楽しくなる!
スコーンやビスケットなど紅茶と楽しむための「ティーフーズ」を用意すると、より気分が盛り上がります。たくさん品数を用意する必要はなく、ビスケットと紅茶だけでも十分です。
③ 3段のケーキスタンドはなくてもOK。盛るものだけ知っておいて!
3段のケーキスタンドに盛り付ける基本は下記の通り。
- 上段:ケーキやチョコレートなどのスイーツ
- 中段:スコーン(別皿で提供する場合も)
- 下段:サンドイッチ
この基本をふまえておいて、カジュアルに楽しむときは「塩気のある軽食」と「甘いもの(スイーツ)」をワンプレートに盛りつければよいと考えて楽しみましょう。
では、アフタヌーンティーを、ひとりでカジュアルに楽しむポイントがわかったところで、さらに寺町さんに実際に楽しむときの具体的な方法を、アドバイスしてもらいましょう! 「①紅茶の淹れ方」と「②ティーフーズ」の実践編をレシピ付きでご紹介します。
【実践編①】ティーポットがなくてもOK。普通のカップで楽しめる「紅茶の淹れ方」
「今回はティーバックを使いますが、湯を注いだあと蓋をして蒸らことが大切。カップが温まり冷めにくく、おいしくいただけます。おすすめは蓋つきのマグカップ(写真①)やカップ&ソーサー(写真②)。どちらもなければ普通のマグカップ(写真③)でも問題なし! カップに蓋ができるサイズの小皿を用意すれば、おいしい紅茶が淹れられます」
続いて、英国式アフタヌーンティーの定番だという「ミルクティー」をカジュアルに淹れる方法を教えてもらいましょう。
【紅茶レシピ】マグカップで楽しむミルクティーは、濃いめに淹れる!
下記の3つのコツを守れば。マグカップでもおいしく淹れられます。
- 濃厚なコクのあるアッサムティーがおすすめ
- ティーバックはぜいたくに2袋使う
- 蓋をして蒸らす
【作り方】
沸騰したお湯をたっぷりと注ぎ、カップの蓋やソーサーで蓋をして、1分半ほど蒸らします。短時間でティーバックを引き上げることで雑味が出ず、香り高くコクのある味わいになります。
「今回は英国王室御用達の<ダーヴィルス・オブ・ウィンザー>のロイヤルティ・アッサムを使用しました」
ティーバックを取り除いたら、ご自分のお好みの量のミルクを注いで完成!
「すでにカップが温まっているので、牛乳は冷たいまま注いでも問題ありませんが、温めてから加えると一層おいしく召し上がれます」
ティーバックを2個使い、おいしい紅茶液を作るポイントを守るだけで、確かに驚くほど深みとコクのあるおいしいミルクティーに! ぜひお試しください。
【実践編②】「ティーフーズ」レシピ2品。甘いもの&塩気のもの2種類あればOK
先ほどご紹介しましたが、3段ケーキスタンドにのせるフードとは、上段にケーキやチョコレートなどのスイーツ、中段にスコーン、下段にサンドイッチを盛ります。でもカジュアルに楽しむなら、サンドイッチのように「塩気のある軽食」と「甘いもの(スイーツ)」の2種類があればOK。ティーフードをひとつのプレートに凝縮して再現するようなイメージです。
「イギリスでも一般家庭では3段ケーキスタンドを使用することはあまりなく、カジュアルな軽食やビスケット、ホームメイドのケーキと紅茶といったスタイルが多いです」
ちなみに写真のプレート左奥に盛っているのは「ファッジ」という、イギリスでは定番の甘いお菓子。濃厚な甘さと口どけが紅茶にとてもよく合う、寺町さんおすすめのスイーツです。
「フードは頑張ってたくさん用意する必要はなく、ファッジのような市販品を購入してもいいでしょう。手軽に作れるティーフードのレシピを2つご紹介するので、ぜひ作ってみてください」
ティーフードは簡単に手作りしてもいいんですね! 寺町さんが英国式アフタヌーンティーをイメージして、簡単に作れるように考案したレシピをご紹介します。
【フードレシピ①】キャラメライズオニオンとチーズのクランペット風
【作り方】
食パンやイングリッシュマフィンを丸くくり抜いて、溶けるチーズをのせます。さらにキャラメリゼした玉ねぎとガーリックのチャツネ(市販品)をこんもりと盛ったら、チーズがとろけるまでトースターで温めれば完成!
【アドバイス】
クランペットとは、もちもちした食感のイギリスのパンケーキ。日本ではあまり見かけませんが、寺町さんによると、丸くくり抜いた食パンやイングリッシュマフィンで代用しても楽しめるとか。
「私がイギリスに住んでいた頃に、イギリス人のマダムから教えていただいたカジュアルなティーフーズのレシピ。サンドイッチの代わりに簡単に作れて、軽食としてもおすすめです。イギリスではキャラメライズオニオンのチャツネは色々な食料品店でも買え、お肉の付け合わせなどにも重宝します」
チャツネのほんのりした甘さとチーズの塩気が相性抜群! 絶妙のコンビネーションで紅茶にもよく合います。
三越伊勢丹オンラインストアで「<ミセス ブリッジス>キャラメライズオニオン&ガーリックチャツネ」を見る>>
※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階
【フードレシピ②】クロテッドクリーム&いちごのショートブレッド
【作り方】
ショートブレッド(写真)、またはスコーンにクロテッドクリームをたっぷりのせて、いちごを飾るだけ。
【アドバイス】
アフタヌーンティーに欠かせないのが、スコーンとクロテッドクリーム。本場では自家製スコーンを焼くことも多いですが、スコーンの代わりに、ショートブレッドで楽しむのもおすすめです。
「イギリスでは立食パーティーでもフィンガーフードとしてよく目にするメニュー。いちごのさわやかな甘みに、コクのあるクリームがよく合います」
用意する食事やスイーツについてひととおり学んだところで、次はひとりアフタヌーンティーにおすすめのおひとりさま用のテーブルウェアのコーディネート例について、寺町さんから教えていただきます!
【コーディネート①】ひとりで楽しめるミニサイズのスタンドをプラスして、とびっきりスイートに
まずひとつ目は、プレートの上にのったひとり分用の3段ケーキスタンドが目をひくコーディネート。これぞアフタヌーンティー! というロマンチックなかわいさに、思わず胸が高鳴ります。
「本格的なテーブルコーディネートは大変ですが、ランチョンマットを使えば、その小さなスペースに自分の好きな世界観を表現でき、お手軽に楽しめます」と寺町さん。
ピンクで統一されたガーリーなコーディネートは、SNS受けも良さそう!
「写真のケーキスタンドの手前に添えた、ティーカップの形をした小さくてかわいいフィギュリンは、アフタヌーンティーでも人気のあるモチーフです。フィギュリンはお茶会でも会話のきっかけを提供してくれるもの。クリスマスならツリー、イースターならイースターエッグなど、季節やコーディネートのテーマに合わせるといいですよ」
【コーディネート②】春の季節を感じるストロベリーで気分を上げる
2つ目のコーディネートは、なんとも春らしい「いちご」尽くし!
「ストロベリーアフタヌーンティーはイギリスでも人気のアフタヌーンティーです。ファブリックのカラーからプレート、メニューまでいちごをテーマにしてみました。イギリスではティータイムにはフレッシュフルーツをスイーツとともに楽しむことも多く、旬のフルーツは、香りや味わいも豊かでおすすめです」
おひとり様のアフタヌーンティーも、テーマを決めるとコーディネートがさらに楽しくなる!
いかがでしたか? 一見、敷居が高そうなアフタヌーンティーも、ポイントを押さえれば気軽なティータイムとして、ひとりでも楽しめます。自分のためにお菓子を用意し、丁寧にお茶を淹れる時間は、心身ともに安らげるひととき。おうち時間が長い今だからこそ、日頃頑張っている自分にごほうびの時間として、ティータイムを楽しんではいかがでしょうか。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階、本館5階、三越伊勢丹オンラインストアにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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