2024.01.23
【基本】感激の美味しさ♡「アイスボックスクッキー」プロのレシピ。チョコとナッツ2種
失敗が少なく一度に枚数が多く作れて、プレゼントにも最適な手作りのお菓子といえば、冷やし固めた生地を切り分けて作る「アイスボックスクッキー」が人気です。でもいざ作ってみると、「かたくて食感が悪かった」「バターの風味が感じられず、味もイマイチ…」など、簡単だけど思っていたような美味しさにならない、という悩みの声もよく聞きます。
「作り方がシンプルだからこそ、生地の混ぜ方などで味や食感に違いが出ます。クッキー作りの基本を押さえて作ったクッキーは、サクッと口溶けがよく、素材の風味が感じられますよ」
そう教えてくれたのは、お菓子教室<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>を主宰し、日本橋三越本店フランス展などの催事で販売するクッキー缶が大人気の西山朗子さん!
「チョコレートの原料カカオを粉末にした、ココアの苦みが効いた大人好みの『ディアマン・ショコラ』と、ナッツがたっぷり入った『ミックスナッツクッキー』の2種類をお教えしますね」
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「アイスボックスクッキー」をサクサクに仕上げる3つの基本ポイント!
「アイスボックスクッキーの美味しさは、なによりもサクサクとした食感にあります。生地の混ぜ方、温度管理、材料選び、それぞれに基本のポイントがあるので押さえていきましょう」
【基本ポイント①】クッキー生地は練るとかたくなる! さっくり混ぜて、触りすぎないように
小麦粉にバターや牛乳、卵といった水分が加わると、練ることで小麦粉に含まれる2種類のタンパク質が結びつき、「グルテン」という成分が生まれます。このグルテンが粘りと弾力の基となり、グルテンが多いほどガチガチとしたかたいクッキーになってしまいます。
つまりアイスボックスクッキー生地は「練らない」ように混ぜること! やわらかくしたバターに小麦粉を混ぜるときは、ゴムベラで生地の上下を入れ替えながら、切るようにさっくりと混ぜましょう。
【基本ポイント②】クッキー生地は冷たい状態で保ち、グルテンをおさえてサクサク食感に!
グルテンは温度が高くなることでも増えてしまいます。生地を冷やしかためて作るアイスボックスクッキーはその心配が少ないように思えますが、溶けやすいバターを多く含んでいます。
そこで室温でバターを戻すときは、やわらかく戻し過ぎないこと。また、クッキー生地ができたらすぐに棒状に形成せず、いったん冷蔵庫に入れて冷やし、グルテンを休ませましょう。
【基本ポイント③】砂糖の種類でも食感は変わる! グラニュー糖はザックリ、粉糖はホロホロに
実は使用する砂糖の種類によっても、食感に違いが出ます。グラニュー糖を使うと、ザクザクッとした食感に。グラニュー糖よりも粒子が細かい粉砂糖を使うと、ホロホロッとした食感になります。
今回はグラニュー糖と粉砂糖の2種類をほぼ半分ずつ使ったレシピでご紹介しますが、お好みでどちらか1種類の砂糖だけに変えてもいいですし、2種類の砂糖の割合を変えてアレンジするのもおすすめです。
では、アイスボックスクッキーの基本ポイントがわかったところで、ディアマン・ショコラの作り方から教えていただきましょう。
ココアの苦さが大人好み♡ アイスボックスクッキー「ディアマン・ショコラ」の作り方
<材料>(約40枚分)
- 薄力粉…200g
- ココアパウダー(無糖)…20g
- バター(食塩不使用、約1.5㎝角)…150g
- 粉砂糖…40g(※)
- グラニュー糖…35g(※)
- 牛乳…大さじ1
- 【仕上げ用】
・グラニュー糖…適量
※砂糖は好みのもので代用したり、割合を変更したりしてもよい。解説はこちら>>
<下準備>
・バターは室温に戻しておく
「まずはバターを室温で適度なやわらかさに戻します。バターを親指と人差し指で軽くつまんでみて、中まで抵抗なくつぶれるけど、指にはベタっとくっつかない状態が理想。夏場は室温が高いので、芯が少し残るくらいでOK。やわらかすぎるバターを使うと、バター本来の風味とサクッとした食感が損なわれてしまうので、バターの扱いには注意しましょう」
・薄力粉とココアを合わせ、ザルでふるっておく
クッキングシートを大きめに広げ、その上でザルに薄力粉とココアを入れてふるう。
「生地にココアが均一に混ざるよう、あらかじめ薄力粉と合わせてふるっておきます。今回はクッキングシートの上でふるいましたが、ボウルの上でも構いません」
<作り方>
1. 生地を作る。ボウルに室温に戻したバターを入れ、手でつぶしてほぐす。粉砂糖、グラニュー糖、牛乳を順に加え、そのつど泡立て器ですり混ぜる
ボウルに室温に戻したバターを入れ、こぶしを押しあててバターの形がなくなるまでほぐす。
「バターは多少かたくても、力をかけて押せばやわらかくなります。まだかたいかな? と思って電子レンジにかけて無理矢理やわらかくするのは、アイスボックスクッキー作りの場合はやめましょう。ビニール手袋をはめておくと手が汚れず、作業がスムーズにできるのでおすすめです」
バターがほぐれたら、粉砂糖、グラニュー糖を順に加え、そのつど全体がなじむまで泡立て器ですり混ぜる。
「グラニュー糖よりも、粉砂糖の方がバターになじみやすいので先に加えます。アイスボックスクッキーは、スポンジ生地作りのように空気を含ませる必要はありません。泡立て器をボウルの底に押し当てながらグルグルと動かしてすり混ぜてください」
牛乳を1/3量ずつ加え、そのつど泡立て器ですり混ぜる。
「牛乳を一度に加えると分離しやすいので、3回に分けます。3回目を加えて全体が混ざったらOKです」
2. ふるっておいた粉類を加え、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせる。2等分してラップに包み、冷蔵庫で2時間ほど冷やす
ふるっておいた粉類を一度に加える。生地をゴムベラで底からすくい上げ(上写真)、ゴムベラを返して生地を落とす。ボウルを45度程度回しながら(中写真)、この動作をくり返す。ある程度混ざってきたら、ゴムベラで生地を切り混ぜる動作(下写真)も交えながら、生地全体を混ぜ合わせる。
「ゴムベラを動かす向きと反対向きにボウルを回転させながら、生地の上下を入れ替えるようにリズミカルに混ぜましょう。これで本当に混ざるの? と思うかもしれませんが、粉とバターの油分が徐々になじみ、一体化してくるので大丈夫。基本ポイントで解説しましたが、ギューッと押して練るように混ぜると、食感がかたくなるので気をつけましょう」
写真のように生地に粉気がほぼなくなったら、ひとまとめにしてから2等分にする。
平らな四角形になるようラップで包み、冷蔵庫に入れ、2時間ほど冷やす。
「生地は棒状に形成してからカットしますが、このままではやわらか過ぎて扱いにくいうえに、生地を触って温度が上がるとグルテンが出やすくなり、食感がかたくなってしまいます。いったん冷蔵庫で冷やし、落ち着かせましょう」
3. 生地を丸い棒状にのばす。ラップで包み、冷蔵庫に入れて2時間ほど冷蔵、または冷凍庫に入れて冷凍する
冷やした生地を台に取り出し、手の平を押し当てて、全体を軽く揉みほぐす。
「冷蔵庫から出したての生地はかたいので、軽く押して扱いやすくします」
長方形に整え直してから、横長になるよう包丁で2等分する(上写真)。切った生地を重ね合わせる(下写真)。
長さ約40cmに切ったラップの上に移す。上下の生地の境目をつまむようにして張り合わせながら、20cmほどの棒状に手早くまとめる。
手の平で生地を転がし、長さ24cm程度の丸い棒状にしてからラップでぴっちりと包む。
「ちょっとしたコツですが、生地を転がすときは、前後に行ったり来たりせず、手前から奥に向かって一方向に転がすときれいな丸になりますよ」
ラップの両端をひねり上げるようにしてかたく絞る(生地の長さが24cmから22cm程度に縮む)。ラップの両端を内側に折りたたむ。残りの生地も同様にする。クッキーをその日のうちに焼く場合は冷蔵庫に入れて2時間程度冷やし、翌日以降に焼く場合は冷凍庫に入れて保存する。
「生地1本分でクッキーが約20枚焼けるので、1本は冷蔵して当日に焼き、残りは冷凍して後日焼くこともできます。冷凍した生地は1か月ほど保存が可能です。
ちなみに、<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>で市販品として販売するディアマン・ショコラを作る場合は、形をきっちり同じサイズにしたいので、生地を棒状にしてから切る作業をせず、生地を1㎝厚さにのばして丸型で抜いて焼いています」
4. 生地に包丁で1㎝間隔の切り目を入れ、切り目に沿って転がしながら切り分ける。同様にして生地を全て切り分ける
4の生地を、包丁で切りやすいかたさになるまで室温におく(冷蔵の場合は15~20分)。ラップを外し、両端を1㎝程度切り落としたら、端から切り目を1㎝間隔で5~6か所入れる。1/3ほど回転させ、ふたたび1㎝間隔の切り目を5~6か所入れ、同様に1/3ほど回転させて切り目を入れる。
「切り目に沿って生地を切っても、意外と同じ厚さにはならないもの。一度に全部切らず、まずは5~6㎝分だけ切り目を入れて切り分けましょう。また、生地を回しながら切るときれいに切れるので、ぐるりと3か所ずつ切り目を入れます。包丁は刃の薄いものを使うのがおすすめ」
生地をゆっくり回しながら、切り目に沿って生地を切り分ける。切り目を入れた分を切り終えたら、同様に残りの生地を切り分ける。
5. 側面と片面のみにグラニュー糖をまぶしつけ、天板に並べ、170℃に予熱したオーブンで25分ほど焼く
バットにグラニュー糖を入れる。4の生地を5~6枚重ね合わせ、グラニュー糖の中で転がし、側面全体にグラニュー糖をまぶしつける。
片面にもグラニュー糖を押し当ててまぶしつけ、グラニュー糖がついていない面を下にして、クッキングシートを敷いた天板に2㎝間隔で並べていく。
「表面の砂糖はつけなくてもOKですが、つけた方が私は美味しく感じます。切り口がきれいに切れなかった生地も、砂糖をつけてしまえば分かりません。底面にも砂糖をつけると焦げてしまうので、つけないように」
生地を全て天板に並べ終えたら、170℃に予熱したオーブンに入れ、25分ほど焼いて取り出す。オーブンによって左右や手前と奥で焼きムラが出る場合、途中で天板の向きを入れ替えるとよい。そのまま冷まし、粗熱がとれたら湿気ないよう、乾燥剤を入れた保存容器や袋に入れる。
「私はクッキングシートの代わりに、『シルパン』というオーブンシートを使っています。グラスファイバーをメッシュ状に織ったもので、クッキーを焼くと生地の余分な油脂や水分が抜けるので、よりサクッとした食感に焼けますし、生地が浮かず、均一に熱を通すことができます。シリコンコーティングが施されているので、生地がくっつかず、洗ってくり返し使えるので、クッキーをよく焼くなら1枚あると便利ですよ。似たもので『シルパット』というシートもありますが、シルパンより水分が抜けにくいです」
以上がチョコ味のディアマン・ショコラの作り方でした。次はプレーンな生地にナッツを加えた、四角形のアイスボックスクッキーをご紹介するので、ぜひ挑戦してみてください。
【アレンジ】プレーンな生地の「ミックスナッツクッキー」の作り方
下準備・作り方の流れはディアマン・ショコラと同じです。何種類ものナッツをたっぷり入れれば、リッチな味わいと香ばしい風味が楽しめます。
「きれいな四角形にするには一見難しそうですが、実は丸く成形するより簡単です。生地を真上から勢いよく落とせば、衝撃で生地は平らになります。これを四辺分行えば、自然ときれいな四角形になるんです。開封済みのナッツを使う場合は、開封したてのものだけを、オーブンで軽くローストしてから使いましょう。ナッツは酸化して風味が飛びやすいので、早めに使いきるのがおすすめです」
<材料>(約48枚分)
- 薄力粉…210g
- バター(食塩不使用、約1.5㎝角)…150g
- 粉砂糖…40g(※)
- グラニュー糖…35g(※)
- 卵黄…1個分
- 【ナッツ類】 クルミなど、好みのものを合わせて120gでもOK
・ヘーゼルナッツ(無塩、ロースト)…50g
・アーモンド(無塩、ロースト)…50g
・ピスタチオ(無塩、ロースト)…20g
※砂糖は好みのもので代用したり、割合を変更したりしてもよい。解説はこちら>>
<下準備・作り方>
下準備・作り方はディアマン・ショコラと同じ。異なる作業を解説していきます。
1. 薄力粉はふるっておく。作り方1の牛乳は卵黄に変える。作り方2で薄力粉を1/2量加えて混ぜ、次にナッツ類を加えて混ぜ、最後に残りの薄力粉を加えて混ぜる。
2. 作り方3で、生地を長さ26cmの四角形に整え(下写真)、ラップで包む。
ラップの両端は絞らず、生地が平らになるよう内側に軽く折りたたむ。生地の両端を持って真上に持ち上げ、手を離して勢いよく落とす(下写真)。90度ずつ回転させて残りの3辺も同様にし、長さ24cm程度の角の立った四角形に整え、冷蔵(冷凍)する。
3. 作り方4では、生地の両端は切り落とさず、4辺に1㎝間隔の切り目を入れ、同様に5~6㎝分ずつ切り分ける(仕上げにグラニュー糖はまぶさない)。180℃に予熱したオーブンで20~22分焼く。
【実食】「アイスボックスクッキー」サクッと口溶けがよく風味豊か! ラッピングしてプレゼントにも最適
まずはディアマン・ショコラから。噛むほどにココアの苦み、芳醇な香りが口に広がり、仕上げにまぶした砂糖の甘さとのバランスが絶妙です。厚みがあるけれど、サクッとして口溶けがよく、味わいも軽やか。ミックスナッツクッキーは、ナッツのカリッとした食感、香ばしさがたまりません! 食べ応えもあって、男性にも喜ばれそう。
「焼き菓子一般的にいえることですが、オーブンはメーカーや機種によってクセがあるため、今回のレシピと同じ温度と焼き時間で作っても、写真と同じ焼き具合にならないことがあります。今回のレシピでは、生地を2本に分けているので、まずは1本分だけ試作として焼いてみて試食し、もう1本を焼くときに温度や焼き時間を調整するのもいいでしょう」
生地を冷凍して常備しておけるので、焼きたての美味しいクッキーがいつでも食べられると思うと幸せな気分です! みなさんも、ぜひ作ってみてください。
▼まだある! バレンタインの関連レシピもチェック!
【まとめ】手作りバレンタインの人気スイーツレシピ集。ガトーショコラ、ブラウニー、チョコ選びの解説も>>
西山朗子さん
お菓子研究家。東京・二子玉川で「Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)お菓子教室」を主宰。生徒からは「あっこちゃん先生」と呼ばれ親しまれている。
パリ「ベルエ・コンセイユ」でお菓子作りを学び、「ピエール・エルメ」でスタジエを務める。日本橋三越のフランス展や三越伊勢丹オンラインストアにて、フランス地方菓子の販売(不定期)も行っている。
著者『世界一かんたんな手作りお菓子』(主婦の友社)、『生地を冷凍しておける かんたん焼き菓子レシピ』(マイナビ)、『フランスの季節を楽しむお菓子作り』(エイ出版社)など。
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