2024.10.18
生栗と砂糖だけ! マロンクリームのレシピ。モンブラン風の食べ方も紹介
ほっくりとして自然な甘みが魅力の生栗。秋にしか出合えない生栗を使って、何かお菓子は作れないかな?と思いつつも、生栗から作るとなると手間がかかりそうで…。
「栗をペースト状に甘く煮た『マロンクリーム』なら簡単ですよ。栗を煮るまえに浸水させておく時間はかかりますが、面倒な皮むきが不要なので、手間は少ないです。栗そのものの味わいを堪能できますし、ジャムのようにパンに塗る以外にも、いろいろな食べ方が楽しめます」
そう教えてくれたのは、お菓子教室<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>を主宰する西山朗子さん。作りやすく、食べ方のバリエーションが豊富だなんて良いことづくめですね!
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作り方を紹介してもらう前に、そもそも「マロンクリームと似ている、マロンピューレとマロンペーストって何が違うの?」と疑問に思う人が多いので、解説してもらいました。
市販のマロンのペースト、クリーム、ピューレの違いとは?
マロンクリームは市販もされていて、似たような商品にマロンピューレとマロンペーストを見かけますよね。この3つについて「かたさ、甘さ、用途」の違いなどをまとめました。
●マロンピューレ…水分少なめ(かたい)/甘みなし/加工して食べる
蒸した栗を裏ごし、ピューレ状にしたもの。栗以外の材料は使われていないので、砂糖を多く含んだマロンペーストのような粘度はなく、ポタージュなどの料理に加工して使える。
●マロンペースト…水分少なめ(かたい)/甘みあり/加工して食べる
皮をむいて裏ごしした栗とマロングラッセをペースト状にし、砂糖やバニラを加えて煮詰めたもの。単体では使わず、バターや生クリームなどでのばしてモンブランにしたり、パウンド生地やムース液に混ぜ込んだり、加工して使う。
●マロンクリーム…水分多め(やわらかい)/甘みあり/そのまま食べられる
皮をむいて裏ごしした栗とマロングラッセをペースト状にし、砂糖やバニラを加え、なめらかなクリーム状に煮たもの。マロンペーストよりも水分量が多くやわらかく仕上げるので、そのまま食べることができ、ジャムのようにパンやパンケーキ塗っても美味しい。
用途によって使い分けることが大事ですね! 違いがわかったところで、手作りマロンクリームの作り方のポイントからチェックしていきましょう。
栗の素朴な味わいを堪能できる「マロンクリーム」3つのポイント 。材料の割合を覚えれば簡単!
【ポイント①】栗は丸ごとゆでてスプーンで中身をくり抜く。時間はかかるが面倒な皮むきの手間は不要!
栗をゆでるときは皮つきのまま丸ごと1時間ほどゆで、半分に切ってスプーンで中身を取り出せばOK。面倒な鬼皮と渋皮をむく作業は不要なのでとっても手軽です。また、渋皮をむいてからゆでるよりも栗の風味がしっかりと残ります。
ただし栗をゆでる前に一晩ほど浸水させる必要があるので、作る前の晩から浸水させておくとよいでしょう。
【ポイント②】砂糖と水は2回に分けて加え、栗にムラなく含ませる。途中でペースト状にし、なめらかな仕上がりに
マロンクリームの大まかな作り方は、栗をゆでてつぶし、砂糖と水を加えて煮るという手順ですが、今回ご紹介するレシピでは、煮る手順に少し手間をかけるのがポイントです。
砂糖と水は一度に加えません。まずは水と砂糖の各半量だけを加えて煮て、いったんフードプロセッサーでペースト状にしてから、残りの砂糖と水を加え、再度煮て仕上げます。
栗は品種や鮮度によって水分含有量に個体差があり、砂糖と水を一度に加えると、栗がシロップ(砂糖+水)を吸いきらず、味と食感にムラが出てしまいます。途中でペースト状にする理由は、シロップの吸いがよくなり、なめらかな口当たりになるからです。
かためのマロンペーストを作ってから、さらに砂糖と水を加えて、やわらかくなめらかなマロンクリームに仕上げるイメージです。
【ポイント③】栗:水:砂糖の割合は2:2:1。乳製品を加えないから、アレンジしやすく保存性も高い!
今回ご紹介するマロンクリームの主材料は、生栗、砂糖、水だけ。材料の割合は、ゆでてくり抜いた栗と水は同量、砂糖はその半量、つまり「2:2:1」と覚えておくと気軽に作れます。
牛乳や生クリームなどの乳製品を加えるレシピもありますが、加えない方が栗本来の風味が際立つのでおすすめです。好みでホイップクリームやアイスクリームを添えて楽しむなど、食べ方のアレンジが広がります。さらに傷みやすい乳製品が入らないと保存性が高くなり、瓶に詰めて密栓すれば長期保存も可能です。
そのまま食べておいしい♡ 基本の「マロンクリーム」の作り方
<材料>(作りやすい分量)
- 栗(生)…500g(正味=ゆでてくり抜いた中身360g)
- 水…360g(ゆでてくり抜いた栗の中身と同量)
- グラニュー糖…180g(ゆでた栗の中身の重量の50%)
- 好みでバニラビーンズ…1本(6㎝)
※上記の栗、水、グラニュー糖の分量は、今回使った栗の重量を計量し算出した参考値です。栗は個体差があるため、必ず「ゆでてくり抜いた栗の中身」の分量を計量し、レシピに従って水、グラニュー糖の分量を算出してください
<下準備>
・栗はひと晩水に浸しておく
栗はボウルに入れ、かぶるくらいの水を注いでひと晩浸す。
「水に浸すとアクが抜け、皮がやわらかくなって中身が取り出しやすくなります。浮いてくる栗は虫に食われていたり、中身がしぼんでいたりするので取り除きましょう。栗を購入してすぐに使わない場合は、買ったその日にこの作業をしてから水分をしっかり拭き取り、冷凍保存しておくといいでしょう。使うときには再度水に浸してから使いましょう」
<作り方>
1. 鍋に栗、かぶるくらいの水、塩(分量外)を入れて強火にかけ、沸騰したら火を弱めて1時間ほどゆでる。火を止め、そのまま冷ます
栗をザルに上げて鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぐ。栗500gの場合、塩2.5g(栗の重量の0.5%の塩、分量外)を加え、強火にかける。沸騰したらフツフツと沸くくらいの火加減に弱め、1時間ほどゆでる。途中、栗が湯から顔をのぞかせるようなら湯を適宜足す。
「塩を加えるとさらにアクが抜け、塩味が少しつくことで栗の甘みが引き立ちます」
ゆで終わったら火を止め、そのまま粗熱がとれるまでおいてく。
「自然に冷ますと栗がしっとりします」
2. 栗を半分に切り、スプーンで中身をくり抜く。重さを量り、水とグラニュー糖を計量する
1の栗をザルに上げ、皮ごと縦半分に切る。小さめのティースプーンで中身をくり抜き、ボウルに入れる。重量を計量し、水はその同量、グラニュー糖はその半量を計量する。
「もったいないからと栗の中身をくり抜き過ぎると、焦げ茶色の渋皮まで含んでしまいます。黄色い身だけをくり抜きましょう。水とグラニュー糖は2回に分けて加えるため、計量するこのタイミングで1回分ずつ(半量)に分けておくといいですよ」
3. 栗はすりこ木などでつぶし、グラニュー糖の半量を混ぜ合わせ、ラップでぴったりと覆う。しっとりするまで30分ほどおき、鍋に移す
2の栗はすりこ木やマッシャー、スプーンなどでつぶす。渋皮が入っていたら取り除く。
「あとで煮てからフードプロセッサーにかけるので、この段階では大きなかたまりがなくなればOKです。すりこ木を使う場合は、ラップを巻きつけておくと汚れません」
計量したグラニュー糖の半量を加え、スプーンで混ぜ合わせる。
「この段階でも渋皮が混じっていたら取り除きましょう(上写真)」
ラップをピッチリと密着させ、全体がしっとりするまでそのまま30分ほどおく(上写真)。
「砂糖によって栗の水分が引き出され、しっとりとした状態になります(下写真)」
4. 鍋に栗、バニラビーンズ、水を入れて火にかけ、沸騰したら3分ほど煮る。熱いうちにフードプロセッサーにかけ「マロンペースト」にする
バニラビーンズは縦に切り目を入れ、さやを開く。包丁の背でしごいて種を取り出す。
「種を取り出した後のさやには、まだまだバニラの甘い香りが残っています。捨てずに冷蔵または冷凍保存しておけば、ジャムやカスタードクリーム、プリンなどを作るときに使うといいでしょう」
深さのある鍋に3の栗、バニラビーンズ、計量した水の半量を加える。
弱めの中火にかけ、ゴムベラで絶えず全体を混ぜながら加熱する。
「濃度が高いので、煮立ってくるとボコボコと沸き立って跳ねやすいです。加熱の際は火傷をしないよう、軍手やゴム手袋をはめて作業してください」
沸騰したら、さらに3分ほど加熱し、火を止める。
「このときも、ゴムベラで絶えず全体を混ぜながら、作業しましょう」
温かいうちにフードプロセッサーまたはミキサーに移し、なめらかなペースト状になるまで攪拌する。
「この状態が、かたさがあるマロンペーストです」
マロンペーストは冷凍保存ができます!
マロンペーストの状態で冷凍しておくと、パウンドケーキの生地に混ぜ込んだり、モンブランクリームにしたり、マロンクリームにしたりとアレンジの幅が広がります。
<冷凍保存の方法>
マロンペーストはバットに移し、乾燥しないようラップをピッチリと密着させ、そのまま常温に置いて完全に冷ます(上写真)。冷めたらバットから取り出して全体をラップで包み、保存用密閉袋に入れてから冷凍庫で保存。1か月ほど保存が可能。使用する際は冷蔵庫に移し、自然解凍する。
5. マロンクリームを仕上げる。マロンペーストを鍋に戻し、残りの砂糖と水を順に加えて中火にかける。沸騰したら弱めの中火にし、3分ほど加熱して火を止める
4の鍋にマロンペーストを戻し、残りのグラニュー糖を加えてゴムベラで混ぜ合わせる。
残りの水を加え、ゴムベラで混ぜ合わせる。
弱めの中火にかけ、絶えず全体を混ぜながら加熱する。沸騰したら、さらに3分ほど加熱し、火を止める。
マロンクリームの完成。
「写真のように、火を止めた直後はゴムベラですくうと、ようやく雫が垂れるくらいの濃度ですが、冷めるとかたくなるので、このくらいを完成の目安にしてください」
【実食】「マロンクリーム」生栗ならではの風味とほっくり感。栗のシーズンに何度も作りたい!
焼きたてのトーストに、トロリとしたマロンクリームとバターを塗っていただきます。一度フードプロセッサーにかけてペースト状にしていますが、ところどころ栗の粒が残っていて、ほっくりとした食感がたまりません。
市販のマロンクリームにはない、生の栗から作ったこその食感や自然な甘み。シンプルな材料と作り方でこの美味しさが味わえるなら、栗の出回っている時期に何度も作りたい! みなさんもまずは一度、お試しください。
【マロンクリームの保存方法】すぐに食べるなら冷蔵、長期保存するなら瓶詰に!
マロンクリームは清潔な保存容器に入れ、空気に触れないようラップでぴっちりと覆い、冷蔵で2週間ほど保存が可能。ジャムと同じように瓶詰にして密栓すれば、長期保存も可能です。
<瓶詰による保存方法>
- 耐熱性の瓶とふたを煮沸消毒し、マロンクリームが熱いうちに瓶の口を汚さないようぎりぎりまで詰めてふたをする(口が汚れたらアルコールで拭き取る)。
- すぐさま逆さにおき、完全に冷めたら元に戻す。
- 冷蔵庫で保存し、未開封で半年ほど保存可能。開封したら1週間以内に食べきる。
【マロンクリームの食べ方】バターや生クリームなど、乳製品と合わせてコク増しするのがおすすめ!
ジャムのようにそのまま食べて楽しめるマロンクリーム。パンに塗る以外にもさまざまな食べ方ができます。西山さんにおすすめを紹介してもらいました!
【食べ方①】パンケーキ(ホットケーキ)にかける
メープルシロップやはちみつの代わりに、パンケーキにかけて。
「ホイップクリームも一緒だと、乳製品のコクが加わってより美味しいです。ホイップクリームは砂糖を入れないか、ほんの少し入れるくらいの方がマロンクリームの甘みが引き立っておすすめです」
【食べ方②】チーズに添える
ジャムやはちみつのように、好きなチーズに添える。
「私のおすすめのチーズはセミハード系。その中でも、栗に似た甘みとほっくりとした食感がすると言われるコンテチーズとの相性は抜群です」
【食べ方③】モンブラン風のミニパフェにする
生クリームやバニラアイスとともにグラスに盛れば、モンブラン風のミニパフェに。
「マロンクリームにはカシスジャム、ブルーベリージャムなど、紫色のジャムが合います。今回はその中でも一番合うカシスジャムと、バニラアイス、グラニュー糖を少し加えて八分立てにした生クリームと組み合わせました。パイクッキーやマロングラッセ、甘栗などを飾るとより華やかです」
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西山朗子さん
お菓子研究家。東京・二子玉川で「Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)お菓子教室」を主宰。生徒からは「あっこちゃん先生」と呼ばれ親しまれている。
パリ「ベルエ・コンセイユ」でお菓子作りを学び、「ピエール・エルメ」でスタジエを務める。日本橋三越のフランス展や三越伊勢丹オンラインストアにて、フランス地方菓子の販売(不定期)も行っている。
著者『世界一かんたんな手作りお菓子』(主婦の友社)、『生地を冷凍しておける かんたん焼き菓子レシピ』(マイナビ)、『フランスの季節を楽しむお菓子作り』(エイ出版社)など。
@akiko_citron※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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