
2024.12.13
【簡単】人気の柚子レシピ3品(ジャム、柚子大根、柚子味噌)で香りを丸ごとたっぷり堪能!
日本の冬の食卓に欠かせない「柚子(ゆず)」。同じ柑橘類のオレンジやみかんなどと違い、そのまま食べるには酸味が強すぎますが、うっとりするような独特の芳香は、料理にほんの少し散らすだけでワンランク上の味になります。さらに柚子の皮や果汁、ワタ、果肉まで丸ごと活かせば、さらに楽しみ方が広がる優れものです。
そこで今回は、生まれも育ちも柚子の名産地である高知県土佐出身の料理研究家、小島喜和さんに、柚子を使った人気のおすすめレシピを教えてもらいました。「柚子ジャム」「柚子大根」「柚子味噌」の3品と、おまけレシピとして、高知県土佐で昔から食べられている「土佐風じゃこ入り柚子味噌」です。まったく違ったアプローチで柚子を味わい尽くしましょう!
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「柚子」とはアクが少なく、加工が簡単な日本のフルーツ。皮、果肉、果汁まで余すことなく使える!
「私の出身地の高知県は日本有数の柚子の名産地なので、柚子はとても身近な存在です。柚子の果汁は、今でも一年中冷蔵庫に常備していて、食卓に欠かせません。
柚子はそのまま食べるには酸っぱすぎるのですが、加工するにはとっても扱いやすいんです。柚子ジャムにする際は果汁を絞った後に皮も使いますが、不要となる中に残った房(じょうのう)をスプーンで簡単にくり抜くことができます。皮は苦みやアクが少ないので、ほかの柑橘類のようにアク抜きのためにゆでこぼす(一度ゆでたあとに湯を捨てる)必要はありません。
今回ご紹介する柚子ジャムと柚子味噌は、短い加熱時間で作れます。柚子大根も切って漬けるだけで簡単。この冬は柚子の皮も果肉も果汁も余すことなく使って、楽しんでいただけるとうれしいです」
それではお待たせしました、柚子を使った人気レシピをご紹介していきましょう!
【人気おすすめレシピ①】 爽やかな「柚子ジャム」。柚子茶としても楽しめる!
柚子の皮と絞り汁を使った柚子ジャム。マーマレードのような味わいですが、柚子独特の風味は唯一無二。通常マーマレードを作る際は、苦みやアクを取り除くために、皮を何度かゆでこぼす必要がありますが、柚子は不要。驚くほどお手軽に作れます!
<材料>(作りやすい分量)
- 柚子…4個(約600g)
- 砂糖…柚子の皮の重量に対して1.2倍の重量 ※写真は洗双糖。グラニュー糖、上白糖など好みのもので代用可
「洗双糖とは精製度が低くコクが豊かな、さとうきびを原材料とした砂糖のこと。鮮やかな黄色に仕上げたい場合は、グラニュー糖がおすすめです」
<作り方>
1. 柚子は果汁を絞り、皮はワタを少し取り除いてからせん切りにする
柚子は横半分に切り、果汁を絞る。ザルで濾して種を取り除く。
スプーンで房(じょうのう)と種をくり抜いて除く。
「柚子は他の柑橘類と比べて皮がやわらかいので、果汁は充分に絞りきれます。さらに果汁を絞ろうとして除いた房を手でギュッと絞っても、ヌルヌルとした状態になるのでやめておきましょう」
皮は半分に切り、包丁でワタを薄く削ぎ(上写真)、せん切りにする(下写真)。柚子の皮のせん切りを計量し、その1.2倍の砂糖を計量する(例:柚子の皮のせん切り100gの場合、砂糖120g)。
「柚子の果皮についてくる白いワタの部分には、ペクチンと呼ばれる凝固作用のある成分が多く含まれていて、砂糖とともに加熱するとトロミがつきます。ワタの部分には苦みがないので、ワタを少し残すように削ぎましょう」
2. 鍋に柚子の皮のせん切り、果汁、砂糖を加え、全体に透明感が出るまで煮る
鍋に柚子の皮のせん切り、果汁、砂糖を入れ、火にかける。煮立ってきたらフツフツと沸くくらいの火加減を保ち、木ベラやゴムベラで混ぜながら加熱する。
写真のように全体に透明感が出て、少し煮詰まってトロミが出てきたら火を止める。
「まだ水分が多く、普通のジャムの仕上がりよりもサラサラした状態ですが、ペクチンが多く含まれているので冷めると一気にかたくなります。このくらいの濃度で火を止めるようにしまょう。あくまで目安ですが、5分ほどでトロミが出てきます」
【柚子ジャムの保存方法・賞味期限】
冷めたら清潔な保存容器に入れるか、長期保存する場合は熱いうちに瓶詰め(密栓)にする。賞味期限は冷蔵で1か月程度。瓶詰にした場合も冷蔵庫で保存し、未開封で2か月ほど保存可能。開封したら2週間以内を目安に食べきる。
【柚子ジャムの楽しみ方①】トーストやヨーグルトに合わせる
マーマレードと同じように、トーストや、ヨーグルトに合わせていただきます。ポークソテーなどを調理する際は、最後にタレに加えて煮詰めるのもおすすめ。
【柚子ジャムの楽しみ方②】韓国風「柚子茶」や炭酸割りに
お湯で割って柚子茶として楽しむこともできます。しょうがを煮出したしょうが湯で割れば、体がよりぽかぽかと温まります。冷えた炭酸水で割れば、爽やかなドリンクに!
【人気おすすめレシピ②】大根のお漬物「柚子大根」。パリッとみずみずしい!
柚子で風味づけしたみずみずしい大根の浅漬けは、パリパリと小気味よい食感が後を引く美味しさ。大根の下漬けは不要で、密閉袋で気軽に漬けられます。漬けて2日目くらいが食べごろ。
<材料>(4人分)
- 大根…1/2本(約430g)
- 塩…大根の正味(皮をむいた状態)の重量に対して2%~3%
- 柚子…1/2個(横半分に切ったもの)
- 昆布…2g
- 赤唐辛子(乾燥)…1/4~1/2本
- 好みで砂糖、またははちみつ…小さじ2~3 ※加えるとまろやかな味わいになる
<作り方>
1. 柚子を皮と果肉に分け、それぞれ切り分ける
柚子は皮と果肉に分ける。皮は黄色い部分を包丁で削いで(上写真)、せん切りにする。果肉は種を取り除き、5㎜厚さのイチョウ切りにする(下写真)。
「果肉は食べるためではなく、爽やかな酸味を加えるために小さく切って使います。柚子の皮についた白いワタには苦みがないので、多少残っても大丈夫です」
2. 大根を拍子木切りにする
大根はピーラーで皮を薄めにむき、4~5㎝長さに切ってから1.2~1.5㎝角の拍子木切りにする。大根を計量し、その2~3%の塩を計量する(例:大根380gの場合、塩7.6~11.4g)。
「大根は皮の近くのかたい部分でも、お漬物にすれば美味しくいただけるので、ピーラーで薄くむきましょう。大根の部位は上部と中央部は甘く、下部にいくほど辛いです。お好きな部位を使って構いませんし、太さもお好みでどうぞ」
3. 密閉袋に大根、柚子、塩を入れ、昆布と赤唐辛子を切りながら加える
チャック付き密閉袋に2の大根と塩を入れ、1の柚子の皮と果肉を加える。昆布をキッチンバサミで5mm幅に切りながら加え(写真)、同様に種を除いた赤唐辛子も小口切りにして加える。
※砂糖、またははちみつを加える場合の手順は後述
4. 密閉袋をもんでから、重しをする
密閉袋をしっかりともみ、空気を抜いて袋の口を閉じる。
バットに入れて平らにし、ひと回り小さいバットをのせる。さらに2kg程度の重しをして冷蔵庫に入れる(冬場は涼しい場所においてもよい)。ときどき袋の上下を返し、ひと晩ほど漬けたら完成。途中で味見をして、塩気が強いようならその段階で漬け汁を捨て、少し甘めの味つけや、まろやかな味わいが好みであれば、漬け汁を捨てた後に砂糖、または、はちみつを加えてもよい。
器に大根を盛り付け、好みで柚子の皮のせん切り(分量外)を添える(柚子の果肉は食べないので、盛り付けなくてもよい)。
「重しは水を入れたボウルやペットボトル、袋に入れた砂糖や塩などで代用できます。漬けてから2日目が、全体に味がなじんで食べごろです」
【柚子大根の保存方法・賞味期限】
保存方法は密閉袋に入れて空気を抜くか、保存容器に入れて表面にぴったりとラップをかけてふたをする。賞味期限は冷蔵で1週間程度。
【人気おすすめレシピ③】白味噌仕立ての「柚子味噌」。ふろふき大根や田楽に!
塩味の少ない白味噌を使った柚子味噌は、こっくりとまろやかな味わい。柚子は香りの素となる皮だけでなく、果汁も加えると味に深みが出ます。さっと煮るだけなので、あっという間に作れるのもうれしいポイント。
<材料>(作りやすい分量)
- 白味噌…150g
- 砂糖…大さじ2~3 ※写真は洗双糖
- みりん…大さじ2
- 柚子の絞り汁…1個分
- 柚子の皮(すりおろし)…1個分
<作り方>
1. 小鍋に白味噌、砂糖、みりんを入れて弱火にかける
小鍋に白味噌、砂糖、みりんを入れて弱火にかけ、木ベラで混ぜながら加熱する。
「砂糖の量は、お使いになる白味噌の甘さによって調整してください。火加減は白味噌の風味が飛ばないよう、常に弱火です」
2. 砂糖が溶けて全体がゆるくなってきたら、柚子の絞り汁と皮を加え、1分ほど加熱する
砂糖が溶けて全体がゆるくなってきたら、柚子の絞り汁と皮を加える(上写真)。さらに混ぜながら1分ほど加熱(下写真)したら、火から下ろしてそのまま冷ます。
「煮詰めるのではなく、全体がなじむくらい加熱するだけでOKです。ただし加熱中は焦げやすいので、必ず混ぜ続けましょう」
【柚子味噌の保存方法・賞味期限】
保存方法は完全に冷ましてから清潔な保存容器に移し、ふたをする。賞味期限は冷蔵で3日程度。
「定番のふろふき大根や、こんにゃくなどの田楽にして楽しむほか、生野菜につけたり、いちじくなどの果物につけたりしていただくのもおすすめです」
【おまけレシピ】お酒にもごはんにも合う!「土佐風じゃこ入り柚子味噌」の作り方
「土佐では一般的にちりめんじゃこがよく獲れ、食卓には欠かせません。そのちりめんじゃこのなかでも、この柚子味噌は『かちり』と呼ぶ種類を選んで作ります。かちりと柚子、土佐の2つの特産品を使った一品であり、お酒のアテにもごはんのおともにも最適です。柚子の皮はたっぷりと使うために、一度ゆでこぼしてアクを抜きます。
<材料>(作りやすい分量)
- みそ(信州みそ、田舎みそなど)…100g
- 砂糖…大さじ2
- みりん…大さじ2
- ちりめんじゃこ(かちり)…20g
- 柚子の皮…1/2個分
<作り方>
- 柚子の皮はせん切りにし、さっとゆでてザルに上げる。
- 小鍋にみそ、砂糖を入れて混ぜ合わせ、弱めの中火にかける。砂糖が溶けたらみりんを加え、さっと煮たらちりめんじゃこ、柚子の皮を加える。全体がなじんだら完成。
【まとめ】柚子は余すことなく楽しめる!
いかがでしたか? 「柚子ジャム」は柚子茶としても楽しめて、寒い日にいただくと体がぽかぽか温まるだけでなく、その香りに癒されます。「柚子大根」は鍋料理の箸休めなどにぴったりの、さっぱり感と爽やかさ。そして「柚子味噌」はこれだけでいただきたくなるほど美味しく、「土佐風じゃこ入り柚子味噌」は、ぜひ炊き立てのごはんとともに味わっていただきたい逸品です。
今回ご紹介したレシピで、柚子を余すことなくご活用ください!
▼ほかにもある!
余らせがちな「柚子」新発見レシピ。冷凍とドライ保存で丸ごと使い切る!>>
小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、料理教室、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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