2023.10.10
【プロ直伝】しっとり軽やか、バナナパウンドケーキの作り方。風味&コクがアップする裏技に注目!
素朴でやさしい味わいのバナナケーキ。パウンド型に入れたら焼きっぱなしで手軽に作れるパウンドケーキなら、好きな厚さにカットして楽しめて、1個ずつラッピングすればギフトにもぴったりなので、お菓子作り初心者にも人気のメニューです。
そこで今回は、基本のバナナパウンドケーキの作り方を紹介します。教えてくれるのは、WEB FOODIEでもフロランタンやガトーショコラなど、さまざまなスイーツレシピを紹介していただいている料理研究家の小島喜和さんです。
「今回は初心者でも作りやすいよう、一番ベーシックなバナナパウンドケーキの作り方を紹介します。バナナ1本、卵1個でちょうどパウンドケーキが1本でき上がる、材料使いきりのレシピです。好みでくるみなどのナッツやラムレーズン、ナツメグなどのスパイスを加えてもおいしいです。ぜひ、慣れてきたら自分なりのアレンジを楽しんでみてください」
記事の最後には、プレゼントにぴったりなラッピング例も紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください!
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まずは、バナナパウンドケーキの作り方のポイントから見ていきましょう。
【バナナパウンドケーキのポイント】味に差が出る、発酵バターとヨーグルト使いがプロの技!
① 発酵バターとヨーグルトを使うことで風味&コクがアップ!
今回小島さんに教えていただくレシピは、発酵バターとヨーグルトの2つの発酵食品を使います。バターはない場合は普通のバターでも構いませんが、発酵バター使うと、特有の風味が加わり、コクがアップします。ヨーグルトも同様の働きがあり、ケーキが奥深い味わいに。ヨーグルトの代わりにサワークリームを使うのもおすすめです。
② 卵は卵黄と卵白に分けるのがおすすめ。メレンゲの力で軽やかな仕上がりに!
パウンドケーキというと、卵は全卵を溶いて使うレシピが多いですが、小島さんのおすすめはあらかじめ卵黄と卵白に分けて、別々に生地に加える方法。
特に卵白はメレンゲにしてから加えることで、生地をふっくら仕上げることができます。ケーキをふくらませるのはベーキングパウダーの力を使いますが、卵白をメレンゲにすることで、ベーキングパウダーの使用量が少なくて済むというメリットも。
分けるのは面倒…と思うかもしれませんが、ベーキングパウダーを多く使うより、軽やかな生地に仕上がるプロの技です!
③ 作り方の順番は必ず守って。バナナをつぶす&卵白を泡立てるのは最後に!
お菓子作りの作り方の順番(工程)には必ず意味があります。そのため、順序を守ることがとても重要。特にバナナをつぶすタイミングと卵白を泡立てるタイミングには注意を。バナナは時間がたつと変色しやすいので、生地に加える直前につぶすこと。メレンゲも時間がたつと泡がしぼんだり、離水してしまったりするので、焼く直前に泡立てるようにしましょう。
発酵食品にそんなパワーがあるなんて、知りませんでした。確かに発酵バターで作ったケーキなんて、おいしそう…! お菓子作りは順番が大事なのですね。勉強になります。
それでは実際にレシピを見ていきましょう。
しっとり風味豊か! バナナパウンドケーキのレシピ
<材料>(18×8×高さ5.5cmのパウンド型1台分)
- 完熟バナナ…1本 ※シュガースポット(黒い斑点)が出ているものがおすすめ
- レモンの絞り汁…小さじ2
- 発酵バター(食塩不使用)…80g ※ない場合は普通のバターでも可
- 塩…ひとつまみ
- ブラウンシュガー…80g ※写真はカソナード。グラニュー糖、上白糖、きび砂糖など好みのもので代用可
- プレーンヨーグルト(無糖)…20g
- 卵(Lサイズ)…1個(正味約60g)
- グラニュー糖…5g
- ラム酒…小さじ2 ※好みの洋酒で代用可
- 薄力粉…120g
- ベーキングパウダー…3g
<下準備>
・卵、バターは室温に戻す
・オーブンは180〜190℃に予熱する
・薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるう
「バターはきちんと室温に戻してから使用しましょう。上の写真のように薄く切って重ならないように並べておくと、比較的早く戻ります。室温に戻っていない場合は、電子レンジ(200W)で20秒ずつ、様子を見ながら加熱しても。ただし500Wや600Wで加熱すると、バターが溶けてしまうこともあるのでNGです。
砂糖は今回、精製されていないサトウキビから作られるフランス産のカソナードを使用しました。コクが出るので個人的にはブラウンシュガーがおすすめですが、好みのもので問題ありません」
<作り方>
1. 型の準備をする
クッキングシートを型よりも2〜3cm長くなるように切り、型に沿わせて折り目をつけ、上写真で赤線で印をつけた4か所にはさみで切り込みを入れる。型にクッキングシートを敷く。
「生地がふくらむので、型よりも長めにクッキングシートを用意するといいでしょう」
2. バターを混ぜ、塩、ブラウンシュガーを加える
ボウルに室温に戻したバターを入れ、泡立て器でふんわりやわらかくなるまで混ぜたら塩、ブラウンシュガーを加え、白っぽくなるまですり混ぜる。
「塩は生地に少し加えることで、甘みが引き立ちます。バターと砂糖はしっかりすり混ぜましょう。生地に空気を含ませるようにしっかり混ぜることで、口当たりがふわふわに仕上がります。砂糖のザラザラ感は完全にはなくならないですが、混ぜ始めよりも白っぽくふわっとした状態になれば大丈夫です」
3. 卵黄を加えて混ぜる
卵は卵黄と卵白に分ける。2に卵黄を加え、均一になるまで混ぜる。
4. ヨーグルトを加えて混ぜる
ヨーグルトを加え、均一になるまで混ぜる。
「バターにヨーグルトを加えるとき、分離しないか心配になるかもしれませんが、この量なら分離する可能性は低いので、一度に加えてしまって大丈夫です」
5. バナナをつぶし、レモンの絞り汁をかける
「バナナはなるべく完熟しているものを使ってください。シュガースポット(黒い斑点)が出るくらい熟しているものがおすすめです」
バナナは皮をむいて適当な大きさに割って容器に入れ、フォークの背で粗くつぶす。レモンの絞り汁を加え、なめらかになるまでさらにつぶす。
「バナナのつぶし具合は、好みで問題ありません。レモンの絞り汁はバナナの変色を防ぐ役割があります」
6. 生地につぶしたバナナを加える
4の生地に5のバナナを加え、均一になるまで混ぜる。
7. ラム酒を加えて混ぜる
ラム酒を加えて軽く混ぜる。
「ラム酒は風味づけです。代わりに好みの洋酒やナツメグなどのスパイスを加えてもいいでしょう。ラム酒を加えると、生地が分離しているように見えますが、粉類を加えたらなめらかになるので、特に問題ありません」
8. 卵白を泡立てる
ボウルに卵白を入れ、泡立て器で白っぽくなるまで泡立てる。グラニュー糖を加え、角が立つまでしっかり泡立てる。
「卵白1個分なので、泡立て器でもそれほど時間がかからず泡立てることができますが、ハンドミキサーを使っても大丈夫です」
9. 生地に粉類を加える
7の生地に合わせてふるっておいた薄力粉、ベーキングパウダーを加え、ゴムべらでさっくり混ぜる。
「粉っぽさがなくなってツヤが出てくるまでやさしく混ぜましょう」
10. メレンゲを加えて混ぜる
8のメレンゲを加え、全体が均一になるまでやさしく混ぜる。
「メレンゲは数回に分けて加えることが多いですが、今回は量が少ないので、1度に加えてOKです。泡をつぶさないようやさしく混ぜましょう」
11. 型に入れ、表面を平らにならす
1で用意した型に生地を入れ、ゴムべらを使って表面をそっと平らにならす。
「今回は何ものせていませんが、トッピングでココナッツファインをふったり、縦に半割りにしたバナナをのせたりしてもいいでしょう」
12. オーブンで焼く
180〜190℃に予熱しておいたオーブンでまずは10分ほど焼く。
「温度はオーブンによって異なるので、様子を見ながら調整してください。自分の家のオーブンのクセを知ることがとても重要です」
13. 切り込みを入れ、さらに20〜30分焼く
生地がふくらみ始め、表面に膜が張ったタイミングで、一度取り出し、包丁で縦に1本切り込みを入れる。すぐにオーブンに戻し、さらに20〜30分焼く。
「縦に1本きれいな割れ目をつけたい場合は、10分程度たったら取り出し、包丁で切り込みを入れるといいでしょう。生地がふくらんでいる途中なので、作業はなるべく素早く行うことが大切です。特に見た目にこだわらない場合は、この工程はスキップして構いません」
14. 焼き上がったらケーキクーラーなどで冷ます
焼き上がったら、型から取り出してケーキクーラーなどにのせて冷ます。粗熱がとれたら好みの大きさに切り分け、器に盛る。
「好みでホイップクリームを添えるとおいしいです!」
しっとり、風味豊か! バナナパウンドケーキは素朴な味わい
パウンドケーキが焼き上がると、バターのいい香りが部屋中に広がります! はやる気持ちを押さえて粗熱がとれるまで待ち、ケーキをカットし、ホイップクリームを添えていざ実食。
バターの豊かな風味、バナナの甘さ、ブラウンシュガーのコクが口いっぱいに広がり、まさに幸せの味がします。生地はしっとりしていますが、後味は軽やか。ホイップクリームとの相性も抜群で、いくらでも食べられそうです。素朴な味わいのケーキは、おやつだけでなく、朝食にもぴったり!
【ラッピング例】バナナケーキは常温保存OKだから、プレゼントに◎
手作りしたバナナパウンドケーキは、ラッピングすればプレゼントにもぴったり! 温かいうちは形が崩れやすいので、必ず冷めた状態でラッピングしましょう。乾燥しないようにカットしたケーキをラップで包んでから透明フィルムに包んで箱に詰めたり、クリアバッグに入れたりすれば見栄えも華やか。常温でも持ちますが(暑い季節なら冷蔵保存がおすすめ)、2〜3日以内に食べきるようにしてください。
いかがでしたか? 素朴なケーキですが、プロならではのポイントがギュッと詰まった基本のレシピ。ぜひ何度も繰り返し作って、自分好みの味を見つけてみてください。
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小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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