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2021.11.18

【プロ直伝】意外と簡単だった! あんこう鍋の作り方。あん肝と味噌でコクを出すのがコツ

あんこう鍋のイメージ

寒くなると鮮魚コーナーでよく見かけるあんこうの鍋用セット。食べてみたいと思いつつ、「作り方がわからない…」「家庭で調理するのは難しそう…」「そもそもどんな味がするのかわからない」といった理由で躊躇してしまう人も多いのでは?

「安心してください! 鮮魚コーナーで手に入るあんこう鍋のセットは、鍋用にプロがさばいてぶつ切りにしたセットがほとんど。さっとゆでて下処理すれば、あとは好みの野菜を用意するだけなので、とっても簡単に作れます。ぷるぷるの身とあん肝の旨みが溶け出したスープは、あんこう鍋でしか味わえないおいしさです!」

そう教えてくれたのは、WEB FOODIEでもおなじみ、伊勢丹新宿店で鮮魚を扱う<東信水産>の石戸宏さん。

「実はあんこうは捨てるところがない魚。身やあん肝のほかにも、コラーゲンたっぷりの皮やヒレ、食感が楽しいエラ、卵巣、胃など、食べられる部分(=可食部位)の違いが味わえるのも、あんこう鍋ならではの醍醐味です」

今回、石戸さんは初心者の人にもわかりやすいように、あんこうの可食部位の解説と簡単な下処理方法、そしてあん肝と味噌でコクを出すプロのテクニックも、詳しく教えてくれるとのこと。「あんこう鍋を作ってみたかった」という人は必見です!

あんこう鍋にもぴったりなストウブの鍋はこちら>>

では早速、レシピのポイントを詳しく聞いてみましょう。

鮮魚店が教える、あんこう鍋を上手に作るポイント

【ポイント1】複数の部位を入れて、多彩な食感を演出!

あんこうは、味わい自体は淡白ですが、複数の部位を一緒に鍋に入れて煮ることで、さまざまな食感が楽しめ、最後まで飽きることなく食べられます。

あんこうの食べられる部位は7つ。魚のプロのあいだでは「七つ道具」とも呼ばれていて、なるべく多くの部位を入れることが、あんこう鍋をおいしく作る最大のポイント。いろいろな部位が入ったあんこう鍋セットを選ぶといいでしょう。

◆あんこうの食べられる部位(可食部位)の解説

あんこうの切り身

あんこうの切り身を解説する図解

① 柳身(身):メインの可食部位。白身で味は淡白かつ上品。写真で丸く囲んだ部位以外はすべて身に該当する。

② 皮:コラーゲンが豊富でぷるぷるした食感が楽しめる。

③ 肝:「海のフォアグラ」とも称され、クリーミーで濃厚な味わいが特徴。あんこう鍋ではおもにスープに溶かして使うことが多い。

④ エラ: コリコリした食感が味わえる。一般的な魚では食さない、あんこうならではの可食部位。

⑤ とも(ヒレ):尾ビレや胸ビレなどの総称。コラーゲンが豊富。

⑥ ぬの(卵巣):薄い平板状で、くにゅくにゅした独特の食感。

上記のほか、水袋(胃、歯ごたえがしっかりありコリコリした食感)も可食部位。ただし、アニサキスという寄生虫が多いため<東進水産>で販売している「あんこう鍋セット」には入っておりません。

【ポイント2】あん肝はから炒りして味噌と合わせ、スープに溶かして旨みをアップ!

あんこうの中でも、濃厚な味わいが特徴のあん肝は、具材と一緒に煮込むのではなく、あらかじめスープに溶かしておくのが正解です。ポイントはただ溶かし入れるのではなく、あん肝を叩いてからフライパンでから炒りし、余計な水分を飛ばすこと。さらに味噌と合わせて炒めたあとスープに溶かすことで、コクと旨みがぐんとアップします。

【ポイント3】あんこう(あん肝以外)は霜降りして、臭みのない仕上がりに!

「霜降り」とは魚の臭みや汚れを除くための下処理のこと。「湯引き」と呼ぶ場合も。食材の表面が白くなる程度に鍋に沸かした熱湯にさっと入れたり、切り身に直接、熱湯をまわしかけたりして行います。鍋で煮る前にこのひと手間をかけることで、あんこうの雑味を取り除き、旨みだけを引き出すことが可能に!

あんこうはエラまで食べられるなんて、珍しい魚ですね! コラーゲンがたっぷりなのも女性には嬉しいポイントです。卵巣はどんな味と食感なのか気になります!

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

鮮魚店直伝! あんこう鍋(味噌味)の作り方

あんこう鍋の材料

<材料>(2人分)

  • あんこう(鍋用に切り分けてある身、アラ、あん肝入りのセット)…2人前
  • 木綿豆腐(4等分に切る)…1/2丁
  • 白菜(ざく切り)…2枚
  • 生椎茸(軸を除き半分に切る)…4枚
  • 長ねぎ(斜め切り)…1/2本
  • 水菜(5〜6cm長さに切る)…1/4束
  • 【スープの材料】
    ・味噌…50g ※信州味噌がおすすめ。好みで西京味噌をブレンドしてもよい。
    ・酒…50ml
    ・みりん…大さじ2(30ml)
    ・おろし生姜(しょうが)…小さじ1
    ・水…250ml
  • あれば、酒蒸ししたあん肝…適量

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<作り方>

1. あん肝は下処理してから叩く

あん肝を叩いているところ

まずはスープに使うあん肝の下処理から行う。あん肝は、余分な薄皮と血管がある場合は取り除き、水で洗って汚れを落とす。ボウルに酒100ml(分量外)、水100ml(分量外)、塩小さじ2/3(分量外)を入れてよく混ぜ、あん肝を加えて5分ほどおく。取り出して水気をペーパータオルで拭き取り、包丁で叩く。

「あん肝は味噌とからめやすくするため、あらかじめ細かく叩いておきましょう」

▼あん肝の詳しい下処理の方法はこちらをチェック!
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2. エラを掃除する

エラを掃除しているところ

エラを包丁の刃先でしごいて汚れを落とす。

「鮮魚店で販売されているあんこうの鍋用セットは、ほとんど下処理済みだと思いますが、もし汚れが残っているようなら掃除しておくといいでしょう」

3. あんこう(あん肝以外)を霜降りする

あんこうを霜降りしているところ

鍋にたっぷりの湯を沸かし、あん肝以外のあんこうをすべて入れる。すぐに鍋から取り出し、冷水にとる。

洗い終わったあんこう

流水で切り身を洗い、汚れを取り除く。

「表面のぬめりや血のかたまりなどが残っている場合は、指でしごいて落とします」

4. スープを作る。フライパンであん肝を炒める

あん肝を炒めているところ

あん肝入りのスープを作る。フライパンに1のあん肝を入れ、中火で炒める。

「あらかじめあん肝を炒めることで余計な水分を飛ばし、コクを引き出します。フライパンはフッ素樹脂加工のものを使用すると、あん肝がくっつかないのでおすすめ。コーティングされていないフライパンを使用する場合は、サラダ油小さじ1程度を引いてからあん肝を炒めるといいでしょう」

5. 味噌を加え、あん肝とからめる

味噌とあん肝を炒めているところ

2〜3分炒めて少しあん肝から脂が出てきたら味噌を加えて、さらに炒める。

「味噌は炒めることで香りが立ちます。味噌の種類は深みがあって辛口の信州味噌がおすすめです。濃厚なあん肝と相性がいいですよ。好みで甘みのある西京味噌を少しブレンドしてもおいしいです」

6. 酒、みりん、おろし生姜、水を加えて混ぜる

水を加えているところ

あん肝と味噌が全体的に混ざったら酒、みりん、おろし生姜、スープの材料の水を順に加え、その都度混ぜながらスープを作る。

「調味料と水で少しずつ味噌を溶かしながらスープをのばしていきましょう。あんこうや野菜から旨みが出るので、だしを使わず、水でも充分においしいスープが作れます。生姜はあんこうの臭みを消す役割を果たすので、少量でも必ず入れるようにしてください」

スープを混ぜているところ

全体が混ざったらスープを土鍋に移す。

7. スープを中火にかけて温まってきたら、具材を加えて煮る

スープに具材を加えているところ

あんこう鍋のイメージ

スープが温まってきたら豆腐、白菜、椎茸、長ねぎ、3のあんこうを加えて煮る。火が通ったら水菜を加え、さっと煮る。

「野菜は好みのもので大丈夫です。少し大きめに切った方があんこうとバランスがいいでしょう。あんこうはコラーゲンが多く、煮すぎてもかたくなったり、パサついたりしないので、しっかり火を通すことが大切です。好みで仕上げに酒蒸ししたあん肝(分量外)を用意して、鍋の仕上げにのせて崩しながら食べると、より濃厚な味わいが楽しめますよ」

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奥深いけれどあっさり! ぷるるん、こりこり…多彩な食感が楽しいあんこう鍋の完成

あんこう鍋のイメージ

まずはスープをひと口。あん肝の旨みが煮汁に溶け込んで味噌と調和し、奥深い味わいにほっとします。あん肝×味噌でかなり濃厚なスープの味を想像していたら、意外とあっさりしていて飲みやすいことに、びっくり!

具のあんこうはというと、身は肉厚で食べ応えがあり、皮はぷるぷる。そして、最初に気になっていた初体験の卵巣の味は、弾力のある湯葉のような食感で、味がしっかりしみこんでいます。旨みたっぷりの煮汁を含んだ野菜もおいしく、寒い日に家族で囲むにはぴったりのごちそうです!

<東信水産>では下処理済みの、便利な「あんこう鍋セット」を販売しています!

あんこうの切り身

<東信水産>あんこう鍋セット(2人分) 2,980円〜 ※販売期間:例年10〜2月(入荷状況によってはない場合もあります。詳しくは当日、店頭にお問い合わせください)

なお、伊勢丹新宿店本館地下1階の<東信水産>では、新鮮な生のあんこうの鍋用セットが、あんこうの旬である冬期期間中、購入可能です。エラやあん肝などは下処理済みなので初心者でも安心。例年10〜2月に店頭に並ぶので、あんこう鍋を作るときはぜひ、足を運んでみてください。

三越伊勢丹オンラインストアで<東信水産>の商品をみる>>

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撮影:難波雄史
文:ケイ・ライターズクラブ

バイヤー・スタイリスト / 石戸宏
伊勢丹新宿店「東信水産」担当。秋田県の料理屋に生まれ、もともとは料理人を目指していた経緯から、ふぐ調理師の免許も所持。休日もキッチンに立ち、料理した魚をアテにお酒を飲むのが楽しみ。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店 本館地下1階=フレッシュマーケット/東信水産にてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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