
2025.07.09
美しいそうめん(素麺)プロの茹で方。伸びない&のど越しの違いは試す価値あり!
食欲の落ちる暑い季節に食べたくなる料理といえば、ひんやり、さっぱりとした「冷やしそうめん(素麺)」。一般的にそうめんの茹で方とは、「帯を解いてパラパラと湯に放ち、2分程度ゆでてザルに上げ、水を張ったボウルに移して流水で冷ましてから洗い、冷水でしめて水気をきる」というのが当たり前ですよね。ところが、より美味しくなるプロならではの茹で方があるのだとか!
「そうめんの片端を糸で縛ってからゆでると、麺の方向が揃い、口当たり、のど越しがさらによくなるんです。ちょっとした手間ですが、味だけでなく見栄えもよくなりますよ」
そう教えてくださったのは、50年以上続く和食教室「野口日出子料理教室」を引き継ぎ、和食の基礎を教えている野口敬子さん。
なんと、糸で縛るとは意外です! でも、ゆでている途中でくっついてしまうのでは? そんな疑問も浮かんでくるので、まずは茹で方のポイントからチェックしていきましょう!
目次
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美しい「そうめんの茹で方」3つのポイント
【ポイント①】麺の片端を糸で縛ってからゆでる。ばらけず、揃ってゆで上がり、のど越しと見栄えが格段に良くなる
写真のように、そうめんの片端を木綿糸で縛ってからゆでます。縛るとお湯の中で麺がばらけず、一本一本の方向が揃った状態でゆで上げることができるので、食べたときに驚くほどツルツル感が増し、口当たり、のど越しもよく感じられます。
【ポイント②】お湯に入れたら、糸で縛った部分を箸でつついてほぐす。麺がくっつかず、均一なゆで上がりに
「そうめんを糸で縛ってゆでると、麺同士がくっついてしまうのでは?」と心配に思うでしょうが、お湯に入れたらすぐに縛った部分を箸でつつき、麺をほぐせば大丈夫です。
麺はすぐに水分を吸って膨らみ、よりきつく縛られた状態になるので、ほぐすことで麺がばらけることはありません。
【ポイント③】ゆで上がったら流水でもみ洗い。ぬめりが落ちて、ツルツル感が増す
そうめんがゆで上がったら水を張ったボウルに移し、流水でもみ洗いします。この時、糸で縛った部分を持ってしっかり洗えるので、ぬめりがよく落ち、よりツルツルに仕上がります。
また、麺の方向が揃っているので、均一に水気を絞ることができます。
【プロ直伝】美しいそうめんの茹で方。のど越し&見栄え良し!
<材料・用意するもの>
- そうめん(※手延べ製麺の方がのびにくい)
- 木綿糸
- 大きめの鍋(直径約24㎝以上)
- ボウル
- ざる
「そうめんはゆで時間が短いので、ゆでる時は一度に2束までにしておくと焦らず調理ができます。そうめんの製造方法には『手延べ製麺』と『機械製麺』の2つがあり、一般的に手延べの方が、コシが強くのびにくいとされています。たくさんゆでる場合やゆでてから時間をおく場合は、パッケージに『手延べ』と書いてある商品を選ぶとよいでしょう」
<そうめんの茹で方>
1. そうめん1束の片端を糸で縛る
約30㎝長さに切った木綿糸を、そうめん1束の片端から2cmくらいの位置に3周ほど巻きつけてかた結びする。
「ゆでると膨らむので、多少ゆるくても大丈夫です。きつく縛りすぎると麺が折れるので気をつけましょう」
糸で縛った部分を端から1㎝程度の位置にずらし、帯を外す。
2. そうめんをゆでる。湯に入れたら糸で縛った部分を箸でほぐし、麺に透明感が出るまでゆでる
直径24㎝程度の鍋に湯をたっぷり(八分目程度)と沸かし、糸で縛った部分を持って素麺を入れる。
「湯に入れるときは、鍋底に麺の先端を押し当てて麺を広げるようにします」
すぐに糸で縛った部分を菜箸でつつき、ほぐし広げる。
「ゆっくりしていると麺が湯を吸ってくっついてしまうので、すぐに菜箸を刺し、均等にほぐします。もう1束ゆでる場合は、最初の1束がほぐれたら加えると良いでしょう」
ときどき混ぜ、吹きこぼれそうになったら火を弱め、パッケージに表記されたゆで時間を参考にゆでる。麺を箸に重ならないよう引っ掛け、箸が透けて見える状態(写真)になったらゆで上がり。
3. そうめんを水に取り、流水でもみ洗いしてぬめりを落とす
糸で縛った部分に箸を引っ掛け、水を張ったボウルに取る。
流水にあてて粗熱がとれてから糸で縛った部分を手で持ち、反対の手にゴシゴシとこすりつけるようにして、ぬめりが落ちるまでしっかりともみ洗いする。水温が高い場合や、しっかりと冷やしたい場合は、仕上げに氷水で冷やすこと。
「そうめんは製造の工程で油を塗っています。ぬめりが落ちるまでしっかりともみ洗いすることで油を落とし、のど越しの良い食感に仕上げることができます。さっと洗えばいいと思っている人が多いのですが、丁寧に洗うことで驚くほど美味しさに違いが出てくる大切なポイントなので、意識してみてください」
4. 水気を絞ってザルにのせ、糸の部分を切り落とす
糸で縛った部分を手で持ち、反対の手で麺の方向を揃えながらしごくように軽く水気を絞り、平らなザルにのせる。
「手延べそうめんの場合はのびにくいので、この状態で表面にラップをかければ30分程度までおいておけます。驚く人が多いので、ぜひみなさんも試して実感してください」
食べる直前に、そうめんの端を糸で縛った部分から1㎝程度下で切り落とす。
「縛った部分から1㎝程度下までは火が通りにくく、かたい芯が残るので切り落とします。麺と麺がくっついてしまった場合は、端を切り落とす前に、再度水または氷水にくぐらせてから、同様に水気を絞ってください」
1束分の量を2~3等分して半分に折りたたみ、氷とともに器に盛る。
「器に水を張ると水っぽくなり麺がのびてしまうので、氷だけを入れて盛り付けるのがおすすめです。写真のように、あれば青楓もあしらうとより涼やかな印象になります」
【盛り付けアレンジ】麺を輪にしてより食べやすく美しく!
麺を一口分の輪にした盛りつけ方もご紹介します。ひと手間ですが、違った見栄えの良さがあり、麺がくっついた場合でも、ほぐさずにこのままの形で麺つゆに浸して食べられます。
<盛り付け方>
1. 麺を一口分手にとり、麺の端の方を親指と人差し指で挟む。
2. 人差し指に麺を巻きつける。
【実食】美しくゆでたそうめんは、絹のような滑らかさで、のど越しまでもご馳走!
「一糸乱れぬ」という言葉を思い浮かべてしまうほど、きれいに揃った麺をそっと箸に取ります。麺つゆを浸すとよりツヤツヤと輝いて、今まで食べてきたそうめんとはまるで別物のよう。
口に含むと絹のように滑らかな口当たりの麺が、涼感とともにスーッと吸い込まれます。すぐに喉奥に消えていき、ついもう一口、と箸が止まらずいくらでも食べられてしまいそうです!
ほんのひと手間で新たなそうめんの魅力を知り、この夏は何度も作りたい!と思いました。皆さんもぜひお試しください。
【麺つゆの作り方】手作りすると格段に美味しい!
冷やしそうめんに欠かせない「麺つゆ」。便利な市販品も多く出回っていますが、自分でひいた出汁を使った手作りの麺つゆは、豊かな風味が格別です。
「あまり濃い味にはせず、何度か継ぎ足しながらいただける程度の塩梅に仕立てると、そうめんとの相性がとても良く感じられます。うす口と濃い口、2種類のしょうゆを混ぜることでバランスの取れた味わいに。冷蔵庫で3~4日保存が可能ですから、ぜひ手作りしてみてください」
<材料>(作りやすい分量)
- 出汁(昆布とかつおの出汁)…2カップ
- 【調味料】
・みりん…大さじ2~3
・うす口しょうゆ…大さじ2
・しょうゆ…大さじ1
<作り方>
1. 鍋に出汁を煮立て、調味料を加える
鍋に出汁を入れて中火にかけ、温まったら調味料を加える。ひと煮立ちしたら火を止める。
2. 粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす
そのまま冷まし、粗熱がとれたらボウルに移してラップをかけるか、清潔な保存容器に移し、冷蔵庫に入れて冷やす。冷蔵庫で3~4日保存が可能。
レシピ/野口日出子料理教室 野口敬子さん
2002年義母の主宰する「野口日出子料理教室」に入門。以後、お稽古、本の出版、テレビ出演等の助手を務める。2018年「和食クラス」「お魚クラス」を開講。2023年野口日出子の引退に伴い、教室の主宰を引き継ぐ。
教室と、築地・豊洲市場との関わりは50年以上、魚の仕入れには強い自負がある。食材の持つ味を大切にし、下ごしらえに手間を惜しまない料理を心掛けている。
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