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2020.02.28

フライパンひとつでアイデア料理。煮込みもケーキもおまかせ!【若山曜子さん直伝】

食材を焼いたり炒めたりするのみにとどまらず、使い方次第で料理のバリエーションが無限に広がるフライパン。今回は、「煮る」「炊く」「オーブン代わりに焼く」という、ちょっと意外な3つの調理法で、フライパンをとことん使いこなすアイデアをプロに聞きました。

教えてくれるのは、おしゃれなフライパンレシピを数多く手がけている料理研究家の若山曜子さんです。

伊勢丹のフライパンはこちら>>

「焼く」「炒める」だけじゃない! フライパンの意外な活用法

リゾットを煮ている様子

鍋やオーブンではなく、あえてフライパンを使うメリットはさまざま。料理がおいしくなるだけでなく、時短にもなるし、手間も省けます。

「今回ご紹介するのはどれも、レシピを公開する度に『フライパンで作れちゃうんですね!』という声をいただく機会の多かった活用法です」

①【煮る】焼く→煮込むで、料理にコクがでる!

肉や魚を焼いてそのまま煮込むことができるのが、フライパンの強み。素材の旨みが料理に加わり奥深い味わいに。口径の広いフライパンなら、熱の伝わりがはやいので本格的な煮込み料理もあっという間に出来上がります。

②【炊く】お米料理もたった15分で完成!

米を炒めてから水分を加えて煮るリゾットは、フライパンの得意ワザ。米を研ぐ必要もなく、15分ほど煮るだけで完成するので、炊飯器で炊くよりも早い!

③【オーブン代わりに焼く】ケーキも簡単

ケーキのような凝ったお菓子作りも、フライパンで作ることが可能。型が不要なので洗い物も最小限に。

それでは実際に料理を見ていきましょう。

【煮る】カジキのトマト煮

カジキのトマト煮

野菜たっぷりの魚料理。フライパンで野菜を炒めてから煮込むので、素材の旨みを逃がさず調理できます。クミンやコリアンダーの入ったちょっとスパイシーなトマト煮は、フレッシュハーブ入りのクスクスとも好相性!

「使用する魚はパサつかないカジキがおすすめです。表面を焼いてから一度取り出し、煮込んだソースに最後に加えることでしっとりジューシーな仕上がりに。フライパンはどんなものでも問題ないですが、煮込み料理は深さがあるタイプだとこぼれにくいので安心ですね」

<材料>(2〜3人分)

  • カジキ(切り身)…3枚(約240g)
  • 塩…小さじ1/2
  • 粗挽き黒こしょう…少々
  • 玉ねぎ…1個
  • ズッキーニ…1本
  • セロリ…1本
  • にんにく…1かけ
  • 白ワイン…120ml
  • A
    ホールトマト缶…1缶(400g)
    赤唐辛子(種を除く)…1/2本
    クミンシード…小さじ1/2
    コリアンダーパウダー…小さじ1/3
    サフラン…ひとつまみ ※水1/4カップにつけておく
  • オリーブオイル…適量

<作り方>

1. 玉ねぎは薄切りに、ズッキーニは5cm長さの短冊切りにする。セロリは5cm長さのせん切りに、にんにくは薄切りにする。

2. カジキに塩をふり、15分ほどおく。ペーパータオルで水けを拭き取り、黒こしょうをふる。フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、カジキを入れて両面をさっと焼き、取り出す。

3. 2のフライパンに再びオリーブオイルを入れて中火で熱し、1を炒める。

4. 野菜がしんなりしたら白ワインを加え、煮立たったらAを加える。
 ※ホールトマトはへらなどでつぶす

トマト缶を加えている様子

5. ときどき混ぜながら5分ほど煮る。
 ※口径の広いフライパンで作る場合、水分が蒸発しすぎるようならふたをする

6. ほどよく煮詰まったら2を戻し入れ、2〜3分煮る。塩、こしょう各少々(分量外)で味をととのえ、器に盛り、好みでクスクスを添える。

カジキを煮ている様子

付け合わせのクスクスの作り方

小鍋に水1カップを入れて火にかけ、沸騰したら火を止め、クスクス1カップ、塩小さじ1/3を加えて混ぜる。ふたをして5分ほど蒸らしたら、オリーブオイル小さじ1/3、生のイタリアンパセリとパクチーの葉を刻んだもの合わせて大さじ1を加えて混ぜる。

【炊く】サーモンとキャベツのリゾット

サーモンとキャベツのリゾット

グリーン×サーモンピンクの彩りが華やか! キャベツをクリームで煮たやさしい味わいのリゾットは、サーモンの塩気が程よいアクセントに。仕上げにレモンの皮をすりおろして爽やかさをプラスします。

「リゾットは、スープを加えたらなるべくいじらない方がいいでしょう。混ぜる度にスープが蒸発してしまい、適度な水分量がわかりにくくなってしまいます。

糖質を気にされている方は、米の量を減らし、そのぶんキャベツを増やしたり、ブロッコリーやカリフラワー、ズッキーニなどの野菜を加えたりするのもおすすめ。フライパンはどんなタイプでも大丈夫です」

<材料>(2〜3人分)

  • 米…1合(180ml)
  • スモークサーモン…6枚
  • キャベツ…2枚
  • 玉ねぎ…1/4個
  • オリーブオイル…大さじ1
  • 塩…小さじ1/3
  • 白ワイン…1/4カップ
  • スープ(顆粒鶏ガラスープ大さじ1/2+湯)…3カップ
  • 生クリーム…1/4カップ
  • レモンの皮のすりおろし…1/3個分 ※あれば国産のもの
  • ディル、セルフィーユ、レモン(各好みで)…各適量

<作り方>

1. サーモンは食べやすい大きさにちぎる。キャベツは1cm幅に切る。玉ねぎはみじん切りにする。

2. フライパンにオリーブオイルと1の玉ねぎを入れて中火で炒める。玉ねぎが透き通ったら米(※洗わない)を加えてさっと炒め、塩をふる。

3. オイルが全体に回ったら白ワインを加える。

白ワインを加えている様子

4. 煮立ったら、1のキャベツとスープ2カップを加えて10分ほど煮る。汁けがなくなったら残りのスープを加えて5分ほど煮る。
 ※ふたはしない

リゾットを煮ている様子

5. 生クリームを加えて混ぜ、レモンの皮をふり、塩少々(分量外)で味をととのえる。器に盛り、サーモン、ディル、セルフィーユをのせ、カットしたレモンを添える。

【オーブン代わりに焼く】オレンジケーキ

オレンジケーキ

オレンジの爽やかな酸味とバター、アーモンドパウダーのリッチな味わいがたまらないケーキ。焼き立てもおいしいですが、ラップで包んで置き、味が馴染んだ2日目ぐらいからが食べごろです。

「小さめのフライパンがあれば、型なしでケーキが作れます。ふたつきであればどんなフライパンでも大丈夫ですが、厚手のものを使うと加熱ムラができないのでおすすめです。ごくごく弱火で焼くのがポイント」

<材料>(底の直径約16cmのフライパン1台分)

  • 好みのドライフルーツ(レーズン、オレンジピールなど)…50g
  • グランマニエ…大さじ1
  • バター…100g
  • きび砂糖…90g
  • 卵…2個
  • アーモンドパウダー…50g
  • A
    薄力粉…70g
    ベーキングパウダー…小さじ1/2(2g)

[トッピング]

  • オレンジ…1個 ※あれば国産のもの
  • 水…1/4カップ
  • グラニュー糖…30g
  • グランマニエ…大さじ1
  • オレンジマーマレード…大さじ2

<下準備>

*バター、卵は室温に戻す
*ドライフルーツは、オイルコーティングされている場合はさっと熱湯をかけ、ザルにあげて水けをきる。細かく刻んでグランマニエに漬ける
*オーブンシートを用意し、フライパンに敷き込む

ケーキ用オーブンシートの作り方

① オーブンシートをフライパンよりひと回り大きめの正方形に切る。

② 縦横四角くなるよう4つ折りにする。対角線に沿って2つに折り、さらにもう半分に2つ折りにする。

③ 鋭角ではない方の三角に飛び出た部分をハサミで切る。

④ ③を折りたたんだまま、両側の筒になっている部分に5cmほど切り込みを入れる。広げれば完成。

オーブンシートをフライパンに敷いている様子

<作り方>

1. ボウルにバターときび砂糖を入れ、泡立て器ですり混ぜる。溶いた卵を少しずつ加え、その都度すり混ぜる。なめらかになったらアーモンドパウダーを加えて混ぜる。

2. Aを合わせてふるい入れる。ゴムべらでさっくりと混ぜたら、粉けが少し残っている状態でドライフルーツを酒ごと加えて混ぜる。

3. フライパンに2を流し入れ、表面を平らにならし、ふたをしてごく弱火にかける。
 ※あればコンロに網を重ね、その上にフライパンをのせるとよい。

生地をフライパンに入れている様子

4. 20分ほどたって気泡ができてきたら(下の写真参照)、生地の表面が乾かないうちに別の大きめのフライパンを用意し、かぶせてひっくり返す。
 ※大きいフライパンがない場合は、オーブンシートごと皿にのせ、フライパンを逆さまにかぶせてひっくり返す。

ケーキをフライパンで焼いている様子

5. ふたをしないで5分ほど焼く。あたたかいうちにオーブンシートをはがし、網にのせて粗熱を取る。

【トッピング】 ※ケーキを焼いている間に作る

6. オレンジはよく洗い、真ん中の部分を7〜8枚薄くスライスする。残りの端の部分は果汁を絞る。

7. 鍋に分量の水、グラニュー糖、6の果汁を入れて火にかける。煮立ったら6のスライスしたオレンジを加え、落としぶたをして弱火で3〜4分煮る。火を止めてグランマニエを加え、そのまま冷ます。

8. 5のケーキに7のオレンジを汁けをきってからのせる。7の残りのシロップにマーマレードを加えて混ぜ、刷毛でオレンジの表面に塗る。

どれもフライパンひとつで作れるのに、食卓がパッと華やかになるおしゃれな料理ばかり! 料理のバリエーションが広がるフライパンの新しい使い方。ぜひ、試してみてください。

若山曜子さん若山曜子さん

料理研究家。東京外国語大学フランス語学科卒業後、パリへ留学。ル・コルドン・ブルー パリ校、エコール・フェランディを経て、パティシエ、グラシエ、ショコラティエ、コンフィズールのフランス国家資格(C.A.P)を取得。パリのパティスリーなどで経験を積み帰国。現在は書籍や雑誌、テレビなどで活躍中。『パウンド型で作るテリーヌ』(文化出版局)、『フライパン煮込み』(主婦と生活社)など著書多数。

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写真:難波雄史
文:ケイ・ライターズクラブ

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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