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2024.01.06

【プロ直伝】美しすぎる! フランス式「アップルパイ」簡単レシピ。りんご5個とたっぷり使用♡

アップルパイの出来上がりイメージ

りんごのシーズンが到来したら、一度は手作りしたいお菓子「アップルパイ」。世に出回っているレシピのなかには、市販の冷凍パイシートを使い、甘く煮たりんごをのせて焼くだけといった手軽な作り方を見かけますが、「もっとワンランク上の味を食べてみたい…」と思っている人は大注目です!

以前、WEB FOOIDEの記事で、大好評のキッシュのレシピを教えてくれた、お菓子教室<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>を主宰する西山朗子さん。

今回もアップルパイについてご相談したところ、「市販の冷凍パイシートを使わない、簡単でおいしいフランス式のアップルパイはいかが? りんごは甘く煮たものと生のままと、2種類の味をたっぷり味わえる、とっておきのレシピをご紹介しますよ」とのお返事が。これは期待が高まります!

まずは、ポイントからチェックしていきましょう。

西山朗子さんのレシピ一覧>>

三越伊勢丹オンラインストアで<Le Petit Citron>の商品を見る>>

フランス式「アップルパイ」3つのポイント。りんごのおいしさを味わい尽くす!

「アップルパイというと、市販の冷凍パイシートに使われている、サクサクッとした折りパイ生地で作ったものだと思っていませんか? 私がフランスのカフェやパティスリーで食べていたアップルパイは、もう少し食感がザクザクして、しっかりとしたパイ生地を使った『タルト・オ・ポム(りんごのタルト)』。とりわけ、甘く煮たりんごと生のりんごのスライスをたっぷりのせて焼き上げるスタイルが、私のお気に入りでした」

ちなみに西山さんによると、普段私たちが「パイ」と呼んでいるものは、フランスでは「タルト」になるそうです。一方、「パイ」という呼び名は主に英語圏の呼び方になります。

「フランスでは冷凍パイシートのような、バターを折り込んで作る折りパイ生地は『パート・フィユテ(フィユタージュとも)』と呼びます。また、タルト生地といっても大きく分けて3種類あり、バターを粉に混ぜ込んで作る甘くない練りパイ生地は『パート・ブリゼ(フォンセとも)』、砂糖を加えた甘さのある練りパイ生地には『パート・シュクレ』や『パート・サブレ』があります。今回、ご紹介するアップルパイの生地は、パート・ブリゼで作ります」

【ポイント①】練りパイ生地で作ると、簡単でおいしさ長続き。フィリングは水分が少ないので、空焼き不要!

市販の冷凍パイシートのように、バターを何層にも折り込んだ折りパイ生地は、サクサクとした食感が魅力。ですが、焼き上がりから時間が経つと食材の水分や湿気を吸って、しなっとした食感に変わりやすいのが難点です。その点、もう少ししっかりとした、ザクザク食感の練りパイ生地「パート・ブリゼ」は、時間が経っても食感が変化しにくく、おいしさが長続きします。

アップルパイの土台の生地から手作りするのは「難易度が高そう」と思われがちですが、今回ご紹介する練りパイ生地は、フードプロセッサーを使えば簡単。もちろん、フードプロセッサーがない場合の作り方もご紹介するので安心してください。

さらに、タルト生地はフィリングを入れて焼く前に、先に一度生地だけ焼いて、フィリングの水分が染みるのを防ぐ「空焼き」という作業をするイメージかありますが、それも不要。フィリングとなるりんごのコンポートは、水分をきっちり飛ばしておくので、そのまま詰めて焼けばOKです。

【ポイント②】りんごは酸味の強い「紅玉」を使うのがベスト。コンポート&生を使うから、2つの味わいと食感が楽しめる!

アップルパイには、数あるりんごの品種のなかでも「紅玉(こうぎょく」」を使うのがおすすめ。多く出回っている「ふじ」など蜜入りの品種に比べると、あまり知られていないかもしれませんが、お菓子作りの世界ではメジャーな品種です。

「紅玉」は蜜がほとんど入っておらず、生で食べるとシャキッとかたく酸味がキリリッと際立つ味わいですが、砂糖を加えて加熱しても、りんごならではの酸味や食感をほどよく保ったお菓子に仕上げることができます。また、その名前の通り、皮が鮮やかな紅色をしているのも特徴です。なお「紅玉」が手に入らない場合は、酸味の強い「ジョナゴールド」などの品種で代用してください。

今回、ご紹介するアップルパイのレシピでは、砂糖と煮たりんごのコンポートと、皮つきの生りんごをスライスしたものを、たっぷりのせて焼き上げます。2つの異なるりんごの味わいと食感、そして皮の色味の美しさも楽しめます。

【ポイント③】仕上げに煮詰めたアプリコットジャムを塗って、乾燥を予防。りんごのシャキシャキ感が続き、見栄えも味もワンランクアップ!

ジャムを塗っているイメージ

アップルパイが焼き上がったら、乾燥を防ぐために、煮詰めたアプリコットジャムを塗って仕上げます。見た目にはりんごの皮に美しいツヤが出て、色味もより鮮やかに。さらに、トッピングしたりんごは生の状態でそのまま焼いただけなので、酸味が強い状態。ここにアプリコットジャムの甘みが加わることで、ちょうど良い味わいに仕上がるというわけです。

【プロ直伝】フランス式「アップルパイ(タルト・オ・ポム)」の作り方

<材料>(直径18cmタルト型1台分)

アップルパイの生地の材料

  • 【土台の生地(パート・ブリゼ)】
    ・薄力粉…60g
    ・強力粉…60g
    ・バター(食塩不使用、1㎝角)…60g ※冷蔵庫(夏場は冷凍庫)で冷やしておく
    ・塩…1.5g
    ・冷水…45g(45ml)
    ・酢(または白ワインビネガー)…小さじ1

「生地は混ぜてからなじむまで冷蔵庫で一晩(8時間以上)寝かせると扱いやすくなります。食べる前日に仕込んでおきましょう」

アップルパイの中身の材料

  • 【フィリング(りんごのコンポート)】
    ・りんご(紅玉)…3個(約600g、正味510~540g)
    ・グラニュー糖…60g
    ・バター(食塩不使用)…15g
    ・シナモンパウダー…小さじ1
  • 【飾り用】
    ・りんご(紅玉)…2個(約400g) ※皮ごと使うので、よく洗っておく
  • 【仕上げのツヤ出し用】
    ・アプリコット(あんず)ジャム…100g
    ・水…大さじ1

<作り方>

1. 土台の生地(パート・ブリゼ)を作る。フードプロセッサーに粉類、バター、塩を入れて攪拌し、続いて冷水と酢を加えて攪拌する

粉とバターを攪拌するイメージ

フードプロセッサーに強力粉、薄力粉、バター、塩を入れる。バターが米粒大のそぼろ状になるまで攪拌する。

※生地はフードプロセッサーがなくても作れます。詳細はこちら>>

水と酢を加えて攪拌したイメージ

冷水と酢を加え、ふたたび1秒ずつ攪拌することを15回繰り返し、ボウルに移す。

「酢を入れると生地の伸びがよくなります。びっくりするかもしれませんが、焼くと酸味は飛ぶので安心してください。また、時間が経つにつれ生地がグレーっぽく変色するのを防ぐことができます」

2. 生地をボウルに移し、全体をふわっと混ぜる。ラップに包んで冷蔵庫で8時間以上寝かせる

生地がひとつにまとまったイメージ

ボウルの底に両手を差し込み、すくい上げるようにして生地を混ぜる。これを何回かくり返し、粉気がなくなるまで全体に水分をいきわたらせる。

「生地を練ると焼き上がりがかたくなってしまいます。力は入れず、やさしくフワッと混ぜ合わせ、上写真くらいの状態になったらOKです」

生地をラップで包むイメージ

広げたラップに生地を移して円形にまとめ、包む。冷蔵庫に入れてひと晩(8時間以上)寝かせる。

「ここでも生地を触り過ぎたり、強く押したりしないよう気をつけて。あとでタルト型に敷き込むために円形にのばすので、この段階で円形にしておきましょう。手早くきれいにのばせるので、触り過ぎも防げます。生地はひと晩寝かせることで粉と水、バターがなじみ、冷えかたまって扱いやすくなります」

フードプロセッサーがない場合。生地の作り方は2通り

【代替の作り方① 指先でつまんでつぶすように混ぜる】

指先で粉とバターを擦り混ぜるイメージ

ボウルに強力粉、薄力粉、バター、塩を入れ、バターに粉をまぶしながら、カード(スケッパー、スクレーパー)でバターを小さく切っていきます。ある程度小さくなったら、指先でバターと粉をつぶすようにして混ぜ合わせます(写真)。全体がサラサラとした状態になり、バターが米粒大のそぼろ状になったら、冷水と酢を加えます。あとは作り方2と同様に作ります。

【代替の作り方② 保存容器に材料を入れて振る】

または、フードプロセッサーで作る場合より、少しかための食感の仕上がりになってしまいますが、保存容器に生地の材料を入れて振るだけでも作ることができます。以前、ご紹介したキッシュのレシピ記事でご紹介した生地の作り方と同じなので、参考にしてください。

3. フィリング(りんごのコンポート)を作る。カラメルを作りバターを加え、りんごとシナモンを加えて蒸し煮にする

茶色くなった砂糖にバターを加えるイメージ

りんごの皮をむき、8等分のくし形に切って種を取り除く。鍋にグラニュー糖を入れて中火にかける。グラニュー糖が溶けて茶色いカラメル状になってきたら、バターを加え、ゴムベラで混ぜてバターを溶かす。

シナモンを加えるイメージ

りんごを加え、全体を混ぜ合わせたらシナモンパウダーを振り入れる。

フタをするイメージ

2分ほど炒め、カラメルが溶けて全体になじんだらフタをして弱めの中火にする。途中で2回ほど混ぜ、10分蒸し煮にする。

「りんごを入れた直後はカラメルが冷えて固まります。焦るかもしれませんが、すぐにりんごとなじんで溶けていき、りんごから水分がどんどん出てくるので大丈夫です」

りんごを10分煮たイメージ

フタを外し、強火にして汁気を飛ばしながら炒める。

りんごが煮上がったイメージ

汁気がなくなったら火から下ろし、バットに移して冷ましておく。

「汁気が残っていると、土台の生地に染みて香ばしく焼き上がりません。りんごは煮崩れてもOKなので、ここで汁気をきっちり飛ばしておくことが大事なポイントです」

4. 寝かせておいた生地をタルト型に敷き込み、冷蔵庫で10分ほど冷やす

生地を伸ばすイメージ

クッキングシートを30cm四方の長さに切って広げ、冷蔵庫で寝かせておいた生地の全体に打ち粉(強力粉、分量外)を軽くまぶしてからのせる。生地を手の平で押して平らにし、麺棒に打ち粉をつけ、生地を直径約25cmの円形にのばす。

「きれいな円形にするコツは、クッキングシートを回転させながら生地をのばすこと。途中、麺棒やシートに生地がくっつくようなら、その都度、打ち粉を足しましょう。もし生地がやわらかくて扱いにくく感じたら、一度冷蔵庫で休ませ、ある程度冷えかたまってから作業を再開してください」

生地を型に入れ手前に倒すイメージ

生地を型の角に沿わせるイメージ

麺棒に生地を巻き付け、型の上に移動して生地を広げる。生地の縁を持って内側に一度倒し(上写真)、戻して底の角に当てるよう軽く立てながら(下写真)敷き込んでいく。

「生地を底の角に沿わせようと指でぐいぐい押すと、押した部分が薄くなってしまうので気をつけましょう」

生地を型の側面に沿わせるイメージ

底の生地を敷き終えたら、側面の生地を指で軽く押さえてなじませる。乾燥しないよう全体にラップをかけて、冷蔵庫に入れて10分ほど休ませる。

「この段階では、型から生地がはみ出たままでもOKです。生地が冷えている方が切りやすいので、いったん冷蔵庫(または冷凍庫)に入れて休ませてから、生地を包丁で切り落とします」

5. 型からはみ出た生地を包丁で切り落とし、フォークで全体に穴を空ける

包丁で生地を切り落とすイメージ

冷蔵庫から4を取り出し、ラップを外す。型の縁に包丁を沿わせ、斜め下に動かしながらはみ出た生地を切り落とす。

「写真のように包丁を斜めに傾けて切ると、縁の生地の内側が外側に比べ、少し高くなるように切ることができます。生地は焼くと縮むので、このようにして切るとフィリングを型いっぱい入れてもちょうど良い感じになります」

生地にフォークで穴を開けるイメージ

フォークで生地の底全体に穴を空ける。

「ピケと呼ばれる大事な作業なので忘れずに! 空気と水蒸気が抜ける穴を空け、焼いている途中に生地の底が膨らむのを防ぎます」

6. 飾り用のりんごをごく薄切りにカットする

りんごのタネをスプーンでくり抜くイメージ

飾り用のりんごを縦半分に切り、ティースプーンで種をくり抜き、芯も切って除く。

切ったりんごを並べるイメージ

2~3mm厚さのごく薄切りにし、元の形を崩さないよう並べ、上から手で押さえて重なり合うよう倒す。

7. 生地にりんごのフィリングを詰め、生のりんごを並べ入れる。200℃に予熱したオーブンに入れ、焼き色がつくまで50~60分焼く

りんごを並べているイメージ

りんごを全て並べたイメージ

5の型に3のフィリングをゴムベラで詰め、表面を平らにならし、6のりんごを1/2個分ずつ並べ入れる。200℃に予熱したオーブンに入れ、焼き色がつくまで50~60分焼く。焼き上がったらケーキクーラーの上などにのせておく。

「全部のる? と思うくらいりんごがたっぷりですが、1/2個分ずつ入れて様子を見ながら倒していくと、ちょうど良い感じになります。放射状に並べてもいいですね」

8. 仕上げにツヤ出し用のジャムを塗る

ジャムを煮詰めているイメージ

小鍋にアプリコットジャムと水を入れ、弱めの中火にかける。ゴムベラで混ぜながら温め、少し煮詰まってきたら火から下ろす。

ジャムを塗っているイメージ

焼きたてのアップルパイの表面に、ハケで温かいジャムを塗れば完成。

アップルパイの出来上がりイメージ

「ジャムを塗ってから冷めると、かたまってツヤが出てきます。ひと手間ですが、見栄えも味も差がつくので、ぜひやってください」

【実食】「アップルパイ(タルト・オ・ポム)」りんごの酸味、甘み、香り、すべて堪能できる!

アップルパイの出来上がりイメージ

なんとまあ、ツヤツヤと美しく輝くアップルパイに、食べる前から感激が止まりません!

いざ口に運ぶと、コンポートの部分は、ジューシでこっくりとした濃厚な味わい。トップの部分は、シャキッとフレッシュな食感と、りんごそのものの酸味が楽しめ、アプリコットジャムとの相性が絶妙! それらをバターが香るサクッとした生地が受け止め、口いっぱいに幸せが広がります。

アップルパイを皿に盛ったイメージ

「焼きたての温かいうちにバニラアイスを添えていただくのが、何より美味しいです。常温でいただくよりも温かいほうがおいしいので、翌日以降は冷蔵庫に入れて保存し、アルミホイルを敷いたオーブントースターでリベイク(温め直し)してください。3日以内で食べ切るようにしましょう」と西山先生。これからわが家の手作りアップルパイは、このレシピに決まりです!

西山朗子さん

西山朗子さんお顔写真

お菓子研究家。東京・二子玉川で「Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)お菓子教室」を主宰。生徒からは「あっこちゃん先生」と呼ばれ親しまれている。

パリ「ベルエ・コンセイユ」でお菓子作りを学び、「ピエール・エルメ」でスタジエを務める。日本橋三越のフランス展や三越伊勢丹オンラインストアにて、フランス地方菓子の販売(不定期)も行っている。

著者『世界一かんたんな手作りお菓子』(主婦の友社)、『生地を冷凍しておける かんたん焼き菓子レシピ』(マイナビ)、『フランスの季節を楽しむお菓子作り』(エイ出版社)など。

西山朗子さんのレシピ一覧>>

@akiko_citron

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撮影:吉澤健太
文:香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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