2024.11.25
楽しくて美味しい「ジンジャーマンクッキー」簡単レシピ。型、由来、アイシングの方法まで解説
クリスマスツリーに飾られる人の形をした「ジンジャーマンクッキー」とは、しょうがの風味を効かせたクッキーのことで、ヨーロッパやアメリカのクリスマスに欠かせない伝統的なお菓子です。
ジンジャーマンクッキーマンを食べたり、飾って眺めたりしながら、クリスマスまでの日々を楽しむのも素敵な時間ですよね!
そこで今回は、お菓子教室<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>を主宰する西山朗子さんに、ジンジャーマンクッキーの作り方を教えてもらいました。日本橋三越本店フランス展では、クッキー缶や焼き菓子販売をしているお菓子作りのプロです。
「常温で2週間ほど保存できます。お友達に配ったり、キャンディーボックスにわさっと入れて、少しずつ食べたりして楽しめるよう、たくさん焼けるレシピをご紹介します」と西山さん。
アイシングの方法やオーナメントとしての楽しみ方も丁寧に解説するので、最後までお見逃しなく!
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クリスマスに欠かせない!「ジンジャーマンクッキー」とは?
作り方のポイントを確認する前に、まずはジンジャーマンクッキーがどんなお菓子なのか、知っておきましょう。
●ジンジャーマンクッキーは、なぜ人の形をしているの?
ジンジャーマンクッキー(別名:ジンジャーブレッドマン、ジンジャーブレッドメン)は、なぜ人の形をしているのか? その理由は諸説ありますが、16世紀のイギリスで黒死病(ペスト)が大流行した際、当時の国王だったヘンリー8世が、病気の予防にしょうがが効果的であることを知り、国民にしょうがを食べることを推奨。そこで国民は国王に似せて、人の形のクッキーを焼いたからと言い伝えられています。
星やツリーなどの型で抜いたクッキーもあり、その場合はジンジャークッキー、ジンジャーブレッドと呼ばれています。
※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店
●ジンジャークッキーは、なぜツリーに飾りつけるの?
しょうがは病気を防ぐだけでなく、強い香りに「魔除け」の効果があるとされることから、家族の無病息災を願い、クリスマスシーズンに作ってツリーに飾るようになったと言い伝えられています。
●ジンジャークッキーは欧州とアメリカで異なる?
実はジンジャークッキーのレシピは、大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつはイギリス、ドイツ、スイス、スウェーデンなどのヨーロッパのタイプ。薄型でサクサク、パリッとした食感が特徴で、スウェーデンではジンジャーシンの名で親しまれています。しょうがのほか、シナモンやアニス等の香辛料も効かせたものあり、アイシングで絵を描くのも定番です。今回はヨーロッパのタイプをご紹介します。
もうひとつは厚みのあるアメリカのタイプ。モラセスと呼ばれる黒糖蜜を使い、表面がひび割れているのが特徴で、ジンジャースナップクッキーとも呼ばれています。
「ジンジャーマンクッキー」ならではの味わいと形にする3つのポイント
それでは、ジンジャーマンクッキーの作り方のポイントを押さえていきましょう。
【ポイント①】しょうが(ジンジャー)パウダーで風味をつける。絞り汁を加えたアイシングでさらに風味アップ!
ジンジャーマンクッキーの特徴であるしょうがの風味をつけるには、しょうがの粉末「ジンジャーパウダー」を使います。しょうがの絞り汁に比べて辛味はマイルド。でも香りはしっかりと感じられるので、辛味が苦手な方でも食べやすい味わいに。また、パウダー状なので、小麦粉と一緒にふるうことで均一に混ぜ込むことができます。
また、しょうがの風味をもっと楽しみたい場合は、アイシングにしょうがの絞り汁を加えるといいでしょう。
※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店
【ポイント②】砂糖はブラウンシュガーを使う。ミネラルが豊富でコクのある味わいに!
ジンジャーマンクッキーのもうひとつの特徴は、茶色がかった色味とコクのある甘さ。これは精製度が低く茶色い「ブラウンシュガー」を使用することで生まれます。
ブラウンシュガーとは、精製度の高い「上白糖」や「グラニュー糖」などの白砂糖に比べ、原料(さとうきび、砂糖大根・てんさい)本来の風味が強く、ミネラルが豊か。こっくりとした優しい甘さがあるので、コクや素朴な味わい、独特な香りが楽しめます。
日本で手に入りやすいのは、ブラウンシュガーの一種である「きび砂糖」「三温糖」「黒糖」がありますが、ジンジャーマンクッキーには「きび砂糖」や「てんさい糖(甜菜糖)」がおすすめです。
左はフランス北部やベルギーで焼き菓子に使われるてんさい糖。今回こちらを使用しました。右はさとうきびの風味、うま味が感じられるブラウンシュガー。砂糖の色が濃いと、クッキーの焼き色も濃くなります。
※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店
【ポイント③】生地は冷凍してから型抜きする。スパッと抜けて仕上がりがきれいに!
クッキー生地を型抜きするときは、生地を薄く伸ばしてからいったん冷凍庫に入れてかためます。生地が型にくっつかないので扱いやすく、スパッときれいに抜くことができます。
しょうが風味の型抜きクッキー「ジンジャーマンクッキー」の作り方
<材料>(縦約5㎝×横約3.5cmの男の子と女の子の抜型、約100枚分)
- バター(食塩不使用)…120g
- ブラウンシュガー(きび砂糖、てんさい糖)…150g
- 溶き卵(M)…1/2個分
- 牛乳…大さじ1
- 薄力粉…240g ※今回は<富澤商店>ドルチェ(下写真)を使用
- ベーキングパウダー…4g
- ジンジャーパウダー…3g
- 【アイシング用】
材料と作り方はこちら>>
※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店
<下準備>
・バターは室温に戻しておく
・薄力粉、ベーキングパウダー、ジンジャーパウダーを合わせ、粉ふるいでふるっておく
「生地にジンジャーパウダーが均一に混ざるよう、あらかじめ薄力粉、ベーキングパウダーと合わせてふるっておきます」
<作り方>
1. 生地を作る。バターを泡立て器でほぐす。ブラウンシュガー、卵、牛乳を順に加え、そのつど混ぜ合わせる
ボウルに室温に戻したバターを入れ、泡立て器でなめらかになるまで混ぜる。ブラウンシュガーを加え、すり混ぜるようにしてグルグルと混ぜる。
全体になじんだら溶き卵、牛乳を順に加え、そのつど全体がなじむまでグルグルと混ぜる。
2. 粉類を加え、さっくりと混ぜ合わせる。ひとまとめにしてラップに包み、冷蔵庫で3時間ほど冷やす
ふるっておいた粉類を一度に加える。ゴムベラで生地を底からすくい上げ、ゴムベラを返して生地を落とす。このとき、ボウルを45度程度回す。この動作をくり返して混ぜる。
「ゴムベラを動かす向きと反対向きにボウルを回転させながら、生地の上下を入れ替えるように混ぜましょう。粉とバターの油分が徐々になじみ、一体化してきます」
ある程度混ざってきたら、生地を切るようにして、粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。
生地をひとまとめにし、平らな四角形になるようラップで包む。冷蔵庫に入れ3時間ほど冷やす。
「生地は薄く伸ばして冷凍してから型で抜きますが、その前にいったん生地を冷蔵庫で冷やし、落ち着かせましょう」
3. 生地を3㎜厚さにのばす。冷凍庫に30分ほど入れて冷やしかためる
冷やした生地を2等分し、10分ほど室温においてから、約30㎝四方のクッキングシートにのせる。手の平を生地に押し当てて、15㎝角程度に伸ばす。
約30㎝四方のクッキングシートをもう1枚かぶせ、麺棒で約3㎜厚さに伸ばす。大きいバットやお盆などにのせて、冷凍庫に入れ30分以上冷やしかためる。生地が大きくて冷蔵庫に入らない場合は、冷蔵庫に入る大きさに合わせて切ってもよい。
「生地を伸ばすとき、私は3㎜厚さのルーラーという道具を使っています。2枚組になっていて、生地の両端において麺棒を転がすと、生地を均一な厚さに伸ばすことができます。500円程度で買えますし、タルト生地を伸ばすときにも使えるので、ひとつ持っておくと重宝します。
また、すべての生地を一度に焼かない場合は、使わない分だけラップに包み直して冷蔵庫に保存して、一週間以内に使いきりましょう。または、3㎜厚さに伸ばして冷凍しておけば1か月ほど保存ができます」
4. 型抜きして天板に並べ、好みで紐を通すための穴を開ける
オーブンを170℃に予熱しておく。冷やしかためた生地を冷凍庫から取り出し、上のクッキングシートをはがす。抜型で生地を抜く。
「今回は抜型を使っていますが、コピー用紙などをお好みの形に切って型紙を作り、生地にのせて型紙に沿ってナイフでカットしてもOKです」
クッキングシートを敷いた天板に並べていく。
「私はクッキングシートの代わりに、『シルパン』というグラスファイバーをメッシュ状に織ったオーブンシートを使っています。これに生地をのせて焼くと生地の余分な油脂や水分が抜けるので、よりサクッとした食感に焼けますし、均一に熱を通すことができます。
シリコンコーティングが施されているので、生地がくっつかず、洗ってくり返し使えるので、クッキー作りが好きなら1枚あると便利ですよ。似たもので『シルパット』というシートもありますが、クッキーには『シルパン』をおすすめします」
型抜きして残った生地(2番生地)は、ひとまとめにして3と同様にして厚さ3㎜に伸ばし、型で抜いて天板に並べる。さらに残った生地(3番生地)は同様に伸ばし、型で抜かず包丁でひと口大にカットし(写真)、天板に並べる。
「生地はまとめるたびに食感が損なわれていくので、型で抜くのは2番生地までにしましょう。3番生地は型で抜かず、適当な形に切って生地を使いきります」
オーナメントとしてクッキーに紐を通したい場合は、竹串の根元を刺して穴を開ける。
5. 170℃に予熱したオーブンで15分ほど焼く
4の天板を170℃のオーブンに入れ、15分ほど焼く。オーブンによって左右や手前と奥で焼きムラが出る場合、途中で天板の向きを入れ替えるとよい。焼き上がったら取り出し、天板ごと冷ます(写真)。完全に冷めたら、アイシングを作って好みのデコレーションをする。
【ジンジャーマンクッキーの保存方法】
完全に冷めてから、湿気ないように乾燥剤を入れた保存容器や袋に入れる。常温で2週間ほど保存可能。
【実食】「ジンジャーマンクッキー」しょうがの爽やかな香りが抜群! オーナメントやプレゼントにも最適
手に持つとしっかりかたさを感じるジンジャーマンクッキー。かじるとパリパリッ、サクサクッとして、しょうがの爽やかな風味が鼻に抜けていきます。素朴で優しい甘さで、何枚でも食べられそう!
【飾る方法①】クッキーに穴を開け、紐を通す
クッキーをクリスマスツリーのオーナメントとして飾りたい場合、作り方4のタイミングで生地に穴を開けてから焼きます。好みのアイシングデコレーションをしてから乾かし、穴に紐や細めの毛糸を通します。
【飾る方法②】クッキーを袋に入れてリボンを結ぶ
クッキーを袋に入れてオーナメントにする方法もあります。好みのアイシングデコレーションをして乾かしたクッキーを、1枚ずつ透明な袋に入れ、袋の折り返し部分にリボンを結びます。
袋のままクリスマスツリーやリースにテープで貼り付けたり、袋に穴を開けて紐を通せばオーナメントとして飾ったりできます。プレゼントにする場合は、乾燥剤を入れておくといいでしょう。
いかがでしたか? 今年は手作りのジンジャーマンクッキーで、クリスマスの準備をしてみましょう!
塗るだけ派? 描く派? アイシングクッキーの作り方
ジンジャーマンクッキーに真っ白な砂糖衣「アイシングシュガー」でデコレーションすれば、味わいも見栄えもアップします。基本の材料は粉砂糖と水(またはしょうがの絞り汁)だけ。やわらかめのアイシングシュガーをハケで「塗る」だけの簡単な作り方と、かためのアイシングシュガーで絵を「描く」作り方の2つをご紹介します。
「塗る」だけで簡単! やわらかめのアイシングの作り方
クッキーの表面全体に塗る場合は、アイシングシュガーはゆるめに仕上げます。しょうがの絞り汁も加えて、より風味を楽しめるレシピをご紹介。
<材料>(作りやすい分量)
- 粉砂糖…40g
- しょうがの絞り汁…3~4g ※しょうがの風味が不要の場合は水で代用する
- 水…5g(小さじ1)
<作り方>
1. すべての材料を混ぜ合わせ、アイシングシュガーを作る。
2. 刷毛でクッキーの表面全体に1のアイシングシュガーを塗る。
絵を「描く」とキュートさアップ! かためのアイシングの作り方
絵を描く場合、アイシングシュガーはかために仕上げます。コルネと呼ばれる円錐形の絞り袋に入れて作業します。コルネ専用のシートも販売されていますが、クッキングシートで手軽に作れる方法をご紹介します。
<材料>(作りやすい分量)
- 粉砂糖…20g
- 水…3g
<作り方>
1. 粉砂糖と水を混ぜ合わせ、アイシングシュガーを作る。
2. コルネ(絞り袋)を作る。クッキングシートを短辺が20cmの二等辺三角形に切る。半分に折って折り目をつける(下図、写真)。
3. 折り目をつけたら開く。長辺の折り目を親指と人差し指でつまみ、そこを起点にして紙の半分を折り目まで2回巻き込む。
4. 反対側の紙を巻きつける。コルネの形を固定するために、外側にある角(写真①)は内側に折り込み、内側にある角(写真②)は外側に折り込む。折り込む方法が難しいと感じる場合は、巻き終わりをテープでとめて固定してもよい。
5. 1のアイシングシュガーをスプーンで詰める。
6. アイシングシュガーがはみ出ないよう、コルネの空気を抜くように口を閉じる。左右斜めに折りたたみ(写真①)、たたんでできた角をさらに折りたたむ(写真②)。
7. ハサミで先端を2~3㎜切り落とす。切りすぎると線が太くなってしまい、やり直しになるので慎重に。
8. コルネを軽く押し、アイシングシュガーを絞り出しながらクッキーに絵を描く。アイシングシュガーがかたまるまで乾かす。
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西山朗子さん
お菓子研究家。東京・二子玉川で「Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)お菓子教室」を主宰。生徒からは「あっこちゃん先生」と呼ばれ親しまれている。
パリ「ベルエ・コンセイユ」でお菓子作りを学び、「ピエール・エルメ」でスタジエを務める。日本橋三越のフランス展や三越伊勢丹オンラインストアにて、フランス地方菓子の販売(不定期)も行っている。
著者『世界一かんたんな手作りお菓子』(主婦の友社)、『生地を冷凍しておける かんたん焼き菓子レシピ』(マイナビ)、『フランスの季節を楽しむお菓子作り』(エイ出版社)など。
@akiko_citron商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店にてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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