2019.07.27
【プロが教えるタイ料理レシピ②】野菜だけで作る! ヤムウンセン、ココナッツスープ、かぼちゃプリン
前回の1回目記事ではトムヤムクン、鶏肉の包み揚げ、なすの炒めものレシピを紹介しました。2回めとなる今回は、野菜たっぷりのタイ料理を料理研究家の橋本加名子さんに教えていただきます。肉は入っていなくても満足度の高い料理2品とかぼちゃを使ったスイーツです。
ヘルシーなのに食べ応えのあるメニューには、タイ通の橋本さんならではのアイデアがいっぱい! ベジタリアンはもちろん、ヘルシー志向の方にもおすすめです。今回も伊勢丹新宿店のエスニック食材をふんだんに使ってご紹介します。
▼【プロが教えるタイ料理レシピ①】もチェック!
トムヤムクン、鶏肉の包み揚げ、なすのタイ風炒め。タイ料理レシピの記事はこちら>>
橋本加名子さん直伝! タイのハーブ使い方あれこれ
① ホムデーン(別名:アカワケギ)
直径2~3㎝の赤い小玉ねぎ。タイ料理の味わいには欠かせない薬味的な存在です。生食では、サラダなどに使用。薄く切って揚げれば、料理のアクセントに。ほんの少しトッピングするだけでエキゾチックな味わいになります。
② バイマックルー(別名:こぶみかんの葉)
タイ料理にはバイマックルーが必需品。葉脈を外して香りを引き出してあげるのが使う時のポイントです。「料理に使うだけではなく、軽く素揚げしたものにただ塩をふれば、バイマックルーチップスになります」
③ バイトゥーイ(別名:パンダナスリーフ)
「タイでは一般的にバイトゥーイと呼ばれています。加熱するとココナッツのような甘い香りがするのが特徴です。鮮やかな色を生かしてお菓子の色づけに使ったりします」
④ カー(別名:ガランガル)
ショウガ科ですが、日本のしょうがに比べてより強い芳香を持つのが特徴です。トムヤムクンやトム・カー・ガイなど、スープ系のレシピに重宝します。
⑤ レモングラス(別名:タクライ)
レモンに似た香りで、さわやかな香りがタイ料理にぴったり。トムヤムクンやカレーペーストなど、本格的なタイ料理にはほぼレモングラスが使われています。「根元の部分は、料理向き。上の部分は、レモングラスのハーブティーなどにもおすすめです」
⑥ バナナの葉(別名:バイトン)
「生のバナナの葉は、なかなか入手が難しいのですが伊勢丹新宿店の地下には取り扱いがあるため便利です。炊いたジャスミンライスの下にバナナの葉を敷いただけでもタイ気分が増します」
※取扱い:伊勢丹新宿店
【レシピ① ヤム・ウンセン・ジェー(ベジタリアン春雨サラダ)】肉不使用とは思えないおいしさ!
「タイは仏教国のため、殺生をしないという考えからベジタリアンの方がとても多いんです。年に一度、『キンジェー』と呼ばれる菜食週間があるほど。その時は、街じゅうでベジタリアンのお祭りのような雰囲気が楽しめます。ここでは、ベジタリアンにも人気の高いヤム・ウンセン・ジェーをご紹介。『ジェー』とは、肉不使用、という意味です」
<材料>(2人分)
- 春雨(乾燥)…40g
- 万能ねぎ…3本
- にんじん…25g
- レモングラス…1本
- 生きくらげ…20g(なければ乾燥きくらげを戻して使う)
- ホムデーン…3個
- カシューナッツ…大さじ2
- パクチーの根…1本
- プリッキーヌー(タイの唐辛子)…3本
- A
チリソース…大さじ1
砂糖…大さじ1
レモンの絞り汁…大さじ1・1/2
塩…小さじ1 - パクチーの葉(刻む)…適量
<作り方>
1. 食材を切る
春雨は水で戻し、食べやすい長さにはさみで切ります。万能ねぎは長さ2㎝に。にんじんはせん切り、レモングラスは薄切りにします。きくらげは、茹でて細切りにします。
2. 香ばしく揚げるのがポイント!
ホムデーンは薄切りにして高温でさっと揚げます。同様にカシューナッツも揚げますが、こちらは、低い温度の油でじっくりと揚げるのがコツ。肉を使わないため、ホムデーンとカシューナッツを揚げてコクと旨みを引き出してあげるのが最大のポイントです!
3. 風味を引き出す
パクチーの根、プリッキーヌーを、クロックとサーク(石でできたタイのすり鉢とすりこ木、なければ普通のすり鉢とすりこぎで代用)でつぶし、Aを加えてよく混ぜます。
4. 食材を和える
春雨は沸騰した湯で茹でて水気を切り、万能ねぎ、にんじん、レモングラス、きくらげと一緒にボウルに入れて3を加えてよく和えます。
5. 盛り付ける
4を器に盛り、2とパクチーの葉を飾ったら完成です。
【レシピ② トム・カー・ジェー(カーと野菜のココナッツスープ)】野菜ときのこたっぷり!
「代表的なトム・カー・ガイは鶏肉を入れますがベジタリアン用には野菜やきのこを入れて作ります。大きめにゴロっと切ったかぶは、あまりやわらかくなり過ぎないように注意。火の入れ具合で食べ応えが変わります。
ココナッツ風味のスープは、カーを入れることで酸味が加わって本格的に。辛いのが苦手な人にもタイ料理を楽しんでいただけるやさしい味わいのスープです」
<材料>(2人分)
- かぶ…2個
- カー…20g
- しめじ…1パック
- エリンギ…1本
- レモングラス…2本
- プリッキーヌー(青唐辛子)…5本
- 赤唐辛子…2本
- 水…200ml
- バイマックルー…2枚 ※葉脈を取る
- ココナッツミルク…200ml
- 砂糖…小さじ1/2
- レモンの絞り汁…大さじ1・1/2
- 塩…小さじ1
<作り方>
1. 食材を切る
かぶの皮はむき、縦4等分に切ります。カーは薄切り、しめじは石づきを切り落としてほぐします。エリンギは長さ1cm、太い部分は4等分に切ります。
2. ハーブはつぶして香りを引き出す
レモングラスはサークまたは包丁の柄で潰し、斜めに4等分に切ります。同様に、プリッキーヌーもサークまたは包丁の柄で軽く潰しましょう。
3. 唐辛子を揚げる
赤唐辛子の種を取り、低い温度の油で揚げます。一度揚げることでコクが増し、スープの旨みがぐっと深まります。
4. スープのベースを作る
鍋に水、カー、レモングラス、バイマックルー、プリッキーヌーを入れたら火にかけます。香りが立ったら、かぶを加えて火を通します。
5. 仕上げ
ココナッツミルク、エリンギ、しめじを加えて火が通ったら、砂糖、塩、レモンの絞り汁を入れて味を調えます。
【レシピ③ サンカヤー・ファクトーン】丸ごとかぼちゃを使った贅沢なプリン
「丸ごと1個のかぼちゃを大胆に使ったサンカヤー・ファクトーンは、タイでは昔から親しまれてきた伝統的なデザートです。かぼちゃの中には、ココナッツミルク風味のプリンを詰めます。バイトゥーイ(パンダナスリーフ)の香りが爽やかで、見た目のインパクトもあるのでパーティメニューにも最適。覚えておくと何かと便利なレシピです」
<材料>(作りやすい分量)
- かぼちゃ…1個
- A
卵…7個
ココナッツシュガー…250g
ココナッツミルク…250ml
塩…小さじ1 - バイトゥーイ…3枚
<作り方>
1. かぼちゃの下ごしらえ
かぼちゃは電子レンジ(600W)で3分加熱し、上部を切り落として、種を取ります。
2. バイトゥーイを手で揉む
ボウルにAを入れてバイトゥーイを沈め、手で握りつぶすようにして強めにもみます。こうすることで、バイトゥーイの豊かな香りがより引き出されます。もんだ後はザルでこし、1のかぼちゃに流し入れます。
3. 蒸す
蒸し器で1時間~1時間20分ほど蒸します。かぼちゃに竹串を通し、すっと通ったら火が通っている証拠。
4. 冷蔵庫で冷やす
3の粗熱を取り、冷蔵庫で冷やしてから食べやすい大きさに切ります。パーティなどで出すときは、そのまま丸ごとテーブルにサーブして、目の前で切り分けても盛り上がります。
プロの料理家たちがうなる! 伊勢丹新宿店にはエスニック系の食材が勢ぞろい
伊勢丹新宿店には、エスニック料理好きにはたまらない本格的なハーブはもちろん、調味料も充実しています。やはり本場の味を試すには、現地の調味料を使うに限ります。ここでは、スタンダードなタイの調味料を厳選してご紹介します。
本格的なタイ料理を作るための「万能調味料4選」
タイ料理を作るときに揃えておきたい調味料をご紹介。手に入らない場合は、おなじみの調味料でも代用可能です。
写真左から、
【シーズニングソース】
大豆が主原料の旨味調味料。野菜炒めや焼きそば、肉の下味にも最適。代用品は、オイスターソースか、またはたまり醤油+砂糖。
【シラチャー チリソース】
唐辛子とにんにくがベースのホットソース。辛さの中にも濃厚な旨みがあるのが特徴。ヤム・ウンセンの隠し味や、唐揚げなどにつけても美味。代用品は、豆板醤+塩+おろしにんにく。
【ナムプラー】
タイの魚醤。塩味の調味料。炒め物、和え物、煮込み料理などの味の付け足しに便利。代用品は、日本の魚醤で可。
【ナムプリックパオ】
にんにく、赤唐辛子、ホムデーン、干し海老などを炒めた後にペースト状にしたもの。代用品は、具入りのラー油+砂糖+粉唐辛子を各適量加えて混ぜたもので可。
1回目のベーシックなタイ料理に続いて、今回はベジタリアンのためのタイ料理をご紹介しました。みなさんは、どちらがお好みですか? 伊勢丹新宿店の地下には、プロが驚くほどエスニック食材が充実しています。ぜひ、いろいろと探して楽しんでみてください。暑い夏をタイ料理で乗り越えましょう!
▼【プロが教えるタイ料理レシピ①】もチェック!
トムヤムクン、鶏肉の包み揚げ、なすのタイ風炒め。タイ料理レシピの記事はこちら>>
<プロフィール>
橋本加名子
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、飲食プロデューサー。懐石料理教授の母の影響で幼いころから「食」に興味を持つ。米国留学中にタイ、ベトナム料理と出会う。帰国後、東京、バンコクにて商社勤務をしながら、タイ料理、ベトナム料理を学び、実母より近茶流懐石料理を習う。子育てをしながら飲食店運営会社、冷凍食品開発会社に勤務後、独立。「タイ・アジア料理」「にほんの食ごよみ」教室主宰。著書多数。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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