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2017.11.24

衣はパン粉だけ。しかも揚げない! プロが教える非常識なメンチカツレシピ

中からたんぱく質が出たところ

以前、揚げもののコツを教えてほしいとお願いしたところ、絶品「ミラノ風カツレツ」の作り方を伝授してくれたI’S MEAT SELECTIONの岩田晴美シェフ。今回も、驚きのレシピを教えてくれました。

テーマはメンチカツ。トンカツと対をなす揚げもの界のヒロイン的存在ですが、美味しく作るためのそのコツとは、なんと「揚げないこと」だそう。さらに衣には小麦粉も卵も不要だとか……。

もはやメンチカツのアイデンティティが脅かされてしまいそうな、そのレシピを紹介します!

揚げないメンチカツってなんだ!?

岩田晴美シェフ

「高温で揚げると肉汁が蒸発してしまい、中の肉がパサパサになってしまいがちです。低温でじっくり熱を通すことで、肉汁が全体に回って、プリンプリンとした状態になるんです。肉のジュースをしっかり閉じ込めているため、冷めても美味しいメンチカツに仕上がります」

さらに、小麦粉、卵が不要な理由も、「揚げない」からこそなのだそう。

「小麦粉と卵は肉にパン粉を粘着させるのりの役割を果たしていますが、高温で揚げないので、表面のパン粉ははがれません。直接パン粉をつけてしまってOKです」

衣はパン粉だけ! 揚げないメンチカツの作り方

メンチカツの材料

[材料]2人分

  • メンチカツの肉ダネ…2個 ※作り方は末尾に記載。
  • パン粉…適量
  • オリーブオイル…適量

①メンチカツの肉ダネにパン粉をつける。

メンチカツの肉ダネにパン粉をつけているところ

②冷たいフライパンにオリーブオイル、①を入れて火にかけ、低温でじっくり焼く。

フライパンの上で波打っているオリーブオイル

「オリーブオイルはメンチカツの下1/4程度が浸っていればOKです。いきなり高温にしてしまうと中心部と温度差ができてしまい、なかなか中に火が通りません。フライパンが冷たいままの状態から入れましょう。温度の目安としては160℃ほど。オリーブオイルがゆっくり波打つ程度の見た目が温度の目安です」

③オリーブオイルに浮いたパン粉がキツネ色になったら裏返す。

裏返したメンチカツ

「シュワシュワという静かな音を聞きながら、低温でじっくり揚げます。熱源に近いフライパンの中心部からときどき位置をずらしながら、周囲に浮いているパン粉が美味しそうなキツネ色になるのを目安に、裏返しましょう」

④表面にピンク色のたんぱく質が浮いてきたら火を止める。

中からたんぱく質が出たところ

「中まで火が通った証拠に、メンチカツの表面にピンク色の汁(たんぱく質)が浮き始めます。そのタイミングで火を止めて、少し余熱で置いておくと、やがて透明の液が出てきます。このときすぐに包丁を入れると肉汁が全部流れ出てしまうため、少し置いておきましょう」

ふっくらジューシーなメンチカツは、ソースなしで!

メンチカツの断面

何から何まで常識破りなこのメンチカツ。半信半疑で包丁を入れて割ってみると……なかは見事なピンク色。この「ソーセージを切ったときのようなピンク色が目指すべき色」だそう。火を入れすぎればもちろん肉がパサパサになってしまいます。

衣が薄いメンチカツは、シェフの言葉通り肉がプリンプリンの食感。ソースがなくても美味しい!

「なぜ高温で揚げなければいけないのか、小麦粉や卵が必要なのかを考えてみると、それはプロのやり方だからです。業務用と家庭用では追求するべき料理法もまた違っていいのだととらえれば、料理が楽しくなりますよ」

揚げものはどうしても焦ってしまいますが、低温でじっくりと焼くこのメンチカツなら、揚げている間ほかの作業も可能、冷めても美味しいので、お弁当にもぴったりです。

揚げないメンチカツ、一度試してみる価値ありです。

メンチカツ種の分量

  • 豚ひき肉…200g
  • 玉ねぎ…約1/8個(みじん切りにしてオリーブオイルでソテーし、冷ましておく)
  • パン粉…大さじ3
  • 牛乳…適量
  • 卵液…大さじ1
  • 塩、コショウ…適量

メンチカツ種の作り方

  1. 玉ねぎを炒め、冷ましておく。
  2. 挽き肉(豚100%がおすすめ)に塩・コショウ、全卵を入れてよく練る。
  3. 牛乳で浸しておいたパン粉を2.に入れて混ぜ、最後に1.を入れて練る。

「塩は全体の0.8パーセント程度の分量が目安。すると、ほかに何も味を付けずとも、そのままで美味しいメンチカツに仕上がります」

文: 斉藤彰子

写真:菅井淳子

バイヤー・スタイリスト / 岩田晴美
アラブ首長国連邦 日本大使公邸付料理長をはじめ、六本木 イル・ド・フランスなど名だたる名店のシェフを歴任。その後、「お客さまが目で見て、確かな情報でいい食材を選んでいただけるようにアテンドしたい」という想いから、世界中から優れた食材が集まる伊勢丹 新宿店内「I’S MEAT SELECTION」専属シェフに。料理人ならではの目線で、世界の料理に最適な肉をプレゼンテーションし続けている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケット/I’S MEAT SELECTIONにてお取扱いがございます。 

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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