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2022.12.09

【シェフ直伝】生焼けの失敗なし! 肉汁ジュワーな煮込みハンバーグのレシピ。デミ缶不要でプロの味

煮込みハンバーグのイメージ

一般的な焼きハンバーグを美味しく作るには、意外と火加減や焼き加減が難しく、食べてみたら半生だったという悩みが多いもの…。その点、煮込みハンバーグは煮込んで中まで火を通すので、焼きハンバーグより簡単で失敗しにくいイメージがあり、トマト味など子供向きのシチューっぽいレシピを多く見かけます。

そんな煮込みハンバーグ、レストランのような美味しさに格上げするには、いくつか秘訣があるんです! それを教えてくれるのは、伊勢丹新宿店<キッチンステージ>の柬理美宏シェフ。プロならではの奥深い味を引き出す煮込みハンバーグのレシピ教えてもらいました。

「押さえたいポイントは3つです。①ハンバーグが割れないよう成形に工夫する、②肉汁を逃さないよう表面を焼きかためる、③ソースはデミ缶を使わず、シンプルな味付けに。難しい工程はありませんが、丁寧に行うことが大切です」

煮込みハンバーグにぴったりの深めのフライパンはこちら>>

プロ直伝の煮込みハンバーグのレシピ! 3つの「目からウロコ」ポイント

【ポイント①】肉だねが割れないように、油でコーティングする!

ハンバーグを成形するときに、両手でパンパンッと受け渡す「空気抜き」。実は、この空気抜きよりも、成形し終わったハンバーグを油でツルツルにコーティングすることの方がより大切です。油で表面を覆うことで、焼いているときの破裂が防げます。

【ポイント②】ハンバーグを焼くときは、多めの油で揚げ焼きする!

煮込むまえに大切なことは、ハンバーグを焼くときに、多めの油で表面をしっかり焼きつけ、肉汁が中から流出するのをブロックすること! 焼くときの油の量は、フライパンの鍋底から深さ1~2㎝の多めにします。正直、「ちょっと多くない…?」と驚きましたが、揚げ焼きにすることで、ふっくらジューシーなハンバーグに仕上がるのです!

【ポイント③】ソースには、デミグラス缶は使わない!

煮込みハンバーグのソースと言えば、デミグラス缶を使って濃厚に仕上げることが多いですが、今回使う調味料は、赤ワイン、ケチャップ、ウスターソースとかなりシンプル。でも、デミグラスソースに負けずとも劣らない、深みのある大人の味のソースに早変わりさせる秘密の調味料が「ガストリック」。

ガストリックとは、ビーフシチューやハヤシライスなどに色や風味をつけるための調味料のことです。プリンのカラメルソースよりもほろ苦く、甘さも控えめです。酢が入りますが、酸味は完全に飛んで旨みだけが残るので、気にしなくて大丈夫です。

今までの「当たり前」は必要なものばかりではなかったのか…! と驚くばかり。手間がかかるわけでないのに、大きな変化が感じられそうです。それではレシピを詳しく見ていきましょう!

デミ缶不要でプロの味! 煮込みハンバーグの作り方

<材料>(4人分)

煮込みハンバーグの材料

【ハンバーグ】

  • 牛豚合い挽き肉…500g
  • 【A】
    ・塩…6g ※挽き肉の1~1.2%程度
    ・粗挽き黒こしょう…2つまみ
    ・オールスパイス…2つまみ ※ナツメグで代用可
  • 【つなぎ用】
    ・乾燥パン粉…25g ※牛乳に浸しておく
    ・牛乳…80g
    ・玉ねぎのみじん切り(炒め玉ねぎ用)…1個分
    ・卵…1個

煮込みハンバーグのソースのイメージ

【ソース】 

  • ベーコン(短冊切り)…30g
  • 玉ねぎ(角切り)…50g
  • にんじん(角切り)…50g
  • セロリ(角切り)…30g
  • マッシュルーム(3㎜厚さの薄切り)…1パック(8個くらい)
  • 赤ワイン…300ml
  • ケチャップ…50ml
  • ウスターソース…50ml
  • 水…300ml
  • ローリエ…2枚

煮込みハンバーグのガストリックと付け合わせのイメージ

【ガストリック(カラメルソース)】

  • 砂糖…25g
  • 酢…5ml
  • 水…15ml

【付け合わせ】

  • 好みの季節野菜(ひと口大)の素揚げ…各適宜 ※今回は秋冬が旬の野菜を使用。ブロッコリー、カリフラワー、れんこん、にんじん、さつまいも

 ▼季節のおすすめ野菜リスト
 春…アスパラ、そら豆、新じゃが、新にんじん、新ごぼう
 夏…なす、ズッキーニ、いんげん、トマト、パプリカ
 秋…かぼちゃ、きのこ、にんじん、さつまいも
 冬…かぶ、れんこん、ごぼう、ブロッコリー、カリフラワー、白菜

【仕上げ】

  • パセリのみじん切り、生クリーム、オリーブオイル…各適宜

<ハンバーグの下準備>

  • 合挽き肉は冷蔵庫で冷やしておく。
  • 【つなぎ用】のパン粉は牛乳に浸す。
  • 【つなぎ用】の炒め玉ねぎを作る。フライパンでサラダ油適量を熱し、玉ねぎのみじん切りをあめ色になるまで炒め、粗熱をとる。

牛乳に浸したパン粉のイメージ

<作り方>

1. 合挽き肉は肉の粒がなくなるまでしっかりと練る

挽き肉と調味料を練っているイメージ

ボウルに挽き肉を入れ、【A】の塩、粗挽き黒こしょう、オールスパイスを加え、手のひら全体で挽き肉と調味料を握るようにして5分ほどかけてしっかり練り込む。

「練るときに手の温度で肉の脂がどんどん溶け出してしまうので、挽き肉は直前まで冷蔵庫でしっかり冷やしておいてください」

練り終わった挽き肉のイメージ

肉の粒が細かくなり、肉同士がくっついて、ねっとりとした粘りが出るまで練る。

「この状態まで混ぜることで、焼いたときに割れにくくなり、なめらかな食感のハンバーグになります。また、調味料がよくなじんで肉に下味もしっかりつきます。今回は黒こしょうとオールスパイスを効かせた大人好みのハンバーグ。子ども用に作るならスパイスの量を控えめにしてください」

2. 【つなぎ用】のパン粉、炒め玉ねぎ、卵を加え、むらがなくなるまで練る

パン粉、卵、炒め玉ねぎを加えて練っているイメージ

あらかじめ牛乳に浸したパン粉、炒め玉ねぎ、卵を加えて、手のひら全体で握るようにして練り込む。

練り終わった挽き肉のイメージ

全体が混ざったら、グルグルとかき混ぜるように練る。

「挽き肉にほかの材料がしっかりと混ざり込み、全体的に淡いピンク色になったらOK。すべての材料が挽き肉に混ざり込むと、トロッとした感触になります」

3. 肉だねを、ふっくらした俵形に成形する

肉だねを成形しているイメージ

肉だねを4等分にし、1個ずつ成形する。まず楕円形に軽くまとめ、表面をならして形を整えて、片手から片手へ軽く投げるようにして空気を抜く。

「空気を抜くのは、焼いたときに中の空気が膨張してハンバーグが破裂するのを防ぐため。でも、キャッチボールみたいに激しく投げる必要はありません。手と手との距離は15cm程度、お手玉をするくらいにやさしく投げるだけで中の空気を抜くことができます」

肉だねを成形しているイメージ

肉だねをふっくらとした俵形に成形したら、真ん中を指2本で軽く押してへこます。

「ハンバーグを焼くとき、中心部に熱が伝わりにくいため、真ん中を薄くして火が通りやすくします」

肉だねを成形しているイメージ

成形したハンバーグのイメージ

手にオリーブオイル(分量外)をたっぷりつけて、表面をなでつける。冷蔵庫で30分ほど冷やす。これでハンバーグの肉だねは完成。

「表面に亀裂があると焼くときにそこから破裂して、肉汁が飛び出てしまうので、表面がツルツルになるようにオリーブオイルでコーティングしてください。常温に置いておくと肉の脂が溶けてくるので、成形し終わったら冷蔵庫でいったん冷やしましょう」

4. ハンバーグの肉だねの両面を揚げ焼きにする

ハンバーグを揚げ焼きしているイメージ

フライパンを中火で熱し、オリーブオイルをフライパンの鍋底から深さ1~2㎝ほど注ぎ、肉だねを入れて中火で揚げ焼きにする。

「フライパンの大きさにもよりますが、ハンバーグの底面が浸るくらいの量を目安にオリーブオイルを入れ、揚げ焼きにします」

ハンバーグをひっくり返しているイメージ

裏返して焼き色を確認し、焼き色がつくくらいこんがりと焼けていたら上下を返し、両面に焼き色をつける。

「この段階では表面だけ焼きかためることが目的なので、中まで火が通ってなくてもOKです」

焼き終わったハンバーグのイメージ

フライパンから取り出して、常温に置く。

5. ソースを作る

フライパンに残った油を捨てるイメージ

4のフライパンに残った油はざっと捨てる。

「油には肉のうまみが充分に染み出ているので、余分な油だけを捨てて、フライパンに残った表面の油はそのまま使います。フライパンについている焦げた野菜や肉くずはキッチンペーパーで取り除いてください」

ベーコン、にんじん、玉ねぎ、セロリ、マッシュルームを炒めているイメージ

フライパンは洗わずに、ベーコン、玉ねぎ、にんじん、セロリ、マッシュルームを入れて、中火でこんがり焼き色がつくまで炒める。

「このあと煮込むので、完全に火を通す必要はありません。焼き色がついていればOKです」

赤ワインを加えているイメージ

赤ワインを加えて強火で熱し、赤ワインのアルコール分が飛んだら、ケチャップ、ウスターソース、水を加えて熱していく。

6. 焼いたハンバーグを加えて煮込む

スープでハンバーグを煮込んでいるイメージ

54のハンバーグ、ローリエを加え、15分程度中火で煮る。金ぐしを刺して火が通っていることを確認したら、ハンバーグのみをいったん取り出す。煮詰めている間に野菜の素揚げをする。

「このプロセスは肉の旨みをソースに移すために行います。それ以上煮込むとハンバーグがかたくなるので取り出します」

ソースを煮詰めているイメージ

ソースが最初の状態から1/3の量になるまで中火で煮詰めて、いったん火を止める。

「ソースがトロッとしてくるまで煮詰めてください」

7. ガストリック(カラメルソース)を作る

砂糖に酢を加えているイメージ

ソースを煮詰めている間に、ガストリックを作る。小さめの鍋に砂糖、酢を入れる。

砂糖を煮詰めているイメージ

強火にかけて煮詰めていく。

水を加えているイメージ

カラメル色になったら火を止める。すぐに水を加えてよく混ぜたら、ガストリックのでき上がり。

8. 6のソースが入ったフライパンにハンバーグを戻し入れ、ガストリックを加えて仕上げる

スープにガストリックを加えているイメージ

6のソースにハンバーグを戻し入れ、7のガストリックを加え混ぜてから中火にかけ、ひと煮立ちさせたら、煮込みハンバーグのでき上がり。

「すぐに食べない場合や、余った時は、冷凍保存も可能。煮汁と一緒に密閉袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。食べる時は、湯煎で解凍してください」

9. 器に付け合わせの野菜とともに盛り付ける

器にハンバーグを盛りつけ、ソースをかけて、付け合わせの素揚げ野菜を添える。お好みでオリーブオイル、生クリーム、パセリのみじん切りをちらす。

「ハンバーグの付け合わせには、旬の野菜をたっぷり使いましょう。今回のように素揚げにしてもいいですし、塩ゆでしたり、バターと砂糖でグラッセにしても美味しいですよ」

溢れ出す肉汁と濃厚ソースに感動!

煮込みハンバーグの出来上がりのイメージ

香ばしく焼き上げられたハンバーグを割ってナイフを入れると、ブシュッと吹き出るジューシーな肉汁! 濃厚なソースをたっぷりからめて頬張れば、口の中に広がる複雑な旨みのハーモニーに思わず笑みがこぼれます。

作るプロセスの手間は少し多くて面倒かもしれませんが、ぜひレシピの通りに一度作ってみて! いつものハンバーグとはまるで違うプロの味を再現できるはずです。

煮込みハンバーグにぴったりの深めのフライパンはこちら>>

伊勢丹新宿店<キッチンステージ>では、有名シェフ監修のメニューが月替りで楽しめます!

キッチンステージ

伊勢丹新宿店 本館地下1階にある<キッチンステージ>は、有名シェフが監修したメニューを味わえるレストラン。メニューは4〜5週間ごとに変わり、フレンチに和食、中華まで、名店の味をカジュアルに楽しめます。ご家庭で提供メニューの味を再現できるようにレシピも差し上げていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。

<キッチンステージ>の詳細はこちら>>

shinjukuisetan_kitchenstage

撮影:矢野宗利
文:白鳥紀久子

バイヤー・スタイリスト / 柬理美宏
4~5週間ごとにさまざまなジャンルの人気料理人や料理研究家たちの創作メニューを提供している、伊勢丹新宿店本館地下1階「キッチンステージ」の料理長。「オープンキッチンスタイルを生かし、お客さまに五感で料理を楽しんでいただけるように心がけています」
柬理シェフのレシピ一覧はこちら>>

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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