
2025.03.15
韓国料理店の本格「チャプチェ」人気レシピ。プロの味付け、春雨使いでご馳走になる!
もっちりとした太めの春雨と、色とりどりの野菜と牛肉が混ざり合った「チャプチェ」。辛いものが多い韓国料理のなかでも、甘辛しょうゆ味で食べやすいチャプチェは、日本でも幅広い世代に人気です。
最近ではチャプチェに使われる韓国春雨も手に入りやすくなったので、作ってみたいと思っている方も多いのでは?
そこで今回は、伊勢丹新宿店の<韓国料理 韓食 古家(こが)>の松澤直哉さんに、チャプチェの作り方を教えてもらいました。本格的で手の込んだ味わいはチャプチェの概念を覆す美味しさ! 冷めても味わい深く、作りおきにも向き、お弁当やおもてなしにもおすすめです。
目次
まずはチャプチェとは、どんな料理なのかをチェックしておきましょう!
韓国料理「チャプチェ」とは?
●ハレの日や、人が多く集まるときに食べる「おもてなし料理」
チャプチェの表記は「雑菜」と書き、「雑(チャプ)」は混ぜ合わせる、「菜(チェ)」はおかずという意味。細切りにした数種類の野菜や牛肉を炒め、韓国式の春雨と混ぜ合わせて作ります。
野菜と牛肉を一度に炒め、ゆでた春雨と炒め合わせる手軽なレシピも多く出回っていて、家庭的な料理のイメージがありますが、もともとは17世紀に誕生した宮廷料理。実は、色とりどりの具材をひとつひとつ調理するなど、手をかけて作るご馳走です。
一般家庭に広まってからは、日常のお惣菜としてだけでなく、お正月などのハレの日や、人が多く集まるときなどには欠かせない、おもてなし料理としても愛されています。
●チャプチェに使う春雨とは? 知っておきたい春雨の違い
チャプチェといえば春雨が欠かせないイメージですが、意外にもチャプチェの具材に春雨を入れるようになったのは、1919年頃からといわれています。
春雨には実は大きく分けて3種類あり、色味や食感、のびやすさなどが異なります。チャプチェに使う韓国春雨と、それ以外の春雨についてチェックしておきましょう。
① 普通春雨
日本の国産春雨。原材料はじゃがいも(馬鈴薯)でんぷんや、じゃがいもとさつまいも(甘薯)のでんぷんを配合したものがある。色は白や半透明。口当たりがよく、やわらかい食感。煮崩れやすいので、サラダやあえものに適している。コーンスターチを配合し、のびにくくしてある春雨もある。
② 緑豆春雨
緑豆でんぷんを原材料とした春雨。おもに中国、タイ、台湾などで作られている。色は白や半透明。ツルツルとしてのど越しがよく、コシが強い。サラダやあえものだけでなく、煮崩れにくいのでスープや鍋物にも最適。汁麺の麺としても食べられる。
③ 韓国春雨(タンミョン)

<ユウキ食品> 韓国料理用春雨(100g)279円(税込) ※販売期間:通年
本場のチャプチェで使う韓国春雨がこちら。韓国では春雨を総称して唐麺(タンミョン)と呼び、さつまいも(甘薯)でんぷんを原材料とした1.5㎜程度のもの。韓国や中国で作られている。色は灰色がかっていて、ツルツルとしてのど越しがよく、太くてコシがあり、モチモチとした食感。腸詰(スンデ)や煮崩れにくいので鍋料理、汁ものに使われている。
ちなみに最近、韓国ではタンミョンは中国発祥の太く幅広な春雨「大拉皮(ダーラーピー)」のことを指すのが一般的になり、トマトクリーム味や麻辣味で食べることが人気になっている。原材料は緑豆やじゃがいもでんぷんが主で、日本でも「タンミョン」「中国タンミョン」として販売されている。
※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階 シェフズセレクション
食材の持ち味を生かす「チャプチェ」3つの古家流ポイント
<古家>のチャプチェもひとつひとつ下ごしらえした具材を、最後にボウルの中で混ぜ合わせて仕上げます。手間ひまかけるからこそ食材の持ち味が活き、とびきりの美味しさにつながるので、次のポイントを押さえてください。
【古家流ポイント①】ナムルは作っておいたものを、ほかの具材と混ぜる! 噛むたびに野菜ごとの味わい、食感が際立つ
<古家>では5種類の野菜(豆もやし、小松菜、椎茸、ごぼう、ぜんまい)をナムルにしてから、調理した春雨、牛肉などと混ぜ合わせています。
ナムルは1種類ずつ作るので、素材にとってベストなかたさ、味加減に仕上げることができ、すべての具材が混ざり合っても、噛むたびに違った食感や味わいが楽しめるのです。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、4種類のナムルはゆでて作るので、同じ鍋のお湯で順にゆでていけばOK。味つけもシンプルなので、思いのほか簡単に作れます。

5種類のナムル。左から、椎茸、豆もやし、小松菜、ぜんまい、ごぼう
【古家流ポイント②】韓国春雨はゆでてから下味をつけておく。たくさんの具材と合わせても、味がぼやけない!
韓国春雨は少しかためにゆでてから、油で炒めてしょうゆ、砂糖、水で煮含めておきます。もともと春雨には味がないので、下味をつけることで春雨自体が美味しくなり、チャプチェのベースとなる味わいも生まれ、全体の味がぼやけません。
【古家流ポイント③】えごまの葉と油を使うと、独特の風味が加わり、味に深みが増す!
<古家>では「えごま」の葉と油を使っています。えごまはとても栄養価が高い植物で、葉、種子、種子から絞った油と幅広く活用でき、独特な風味が韓国料理ならではの味わいを与えてくれます。
葉は大葉に似ていて同じくシソ科ですが、大葉のような爽やかな香りよりも香ばしい風味が強め。ごまに似た種子から絞った油はコクのある味わいで、ものによっては香りにクセがあります。どちらも風味を生かすために、仕上げに加えましょう。

えごま油は人間の体内では合成することができない必須脂肪酸(オメガ3)を含んでいる。熱に弱いので、非加熱で摂取すると栄養素を効果的に取り込める。えごまの葉は、抗酸化作用の強いビタミンC、ビタミンEを豊富に含んでいる
これぞ韓国の味! 本格「チャプチェ」レシピ
最初に全体の流れをイメージしておくといいでしょう。
【チャプチェの作り方の流れ】
1.牛肉に下味をつける→2.野菜のナムルを作る→3.ゆでた春雨を炒め煮にする→4.牛肉と野菜を炒める→5.すべてをボウルに入れて混ぜる
<材料>(3~4人分)
- 【牛肉と下味】
・牛もも肉(焼き肉用、5㎜幅の細切り)…80g
・しょうゆ…大さじ1/2
・日本酒…大さじ1/2
・砂糖…大さじ1/2
・ごま油…小さじ1
・にんにく(すりおろし)…少々
・しょうが(すりおろし)…少々
・こしょう…少々
- 【ナムル5種】 ※ナムルの材料と作り方はこちら>>
・ぜんまいナムル…50g
・豆もやしナムル…50g
・椎茸ナムル…40g
・小松菜ナムル…50g
・ごぼうナムル…40g
- 【韓国春雨と下味】
・韓国春雨(10~14㎝長さに切る)…100g
・水…1カップ
・しょうゆ…大さじ1と1/2
・砂糖…大さじ2
・サラダ油…大さじ1
- 【あとで加える野菜と調味料】
・パプリカ(赤と黄、5㎝長さ、5mm幅の細切り)…各10g
・紫玉ねぎ(繊維に沿って薄切り)…30g
・えごまの葉(軸に沿って半分に切ってから7mm幅の細切り)…3枚
・しょうゆ…大さじ1
・白炒りごま…大さじ1と1/2
・えごま油…大さじ2/3~1
<作り方>
1. 牛肉に下味をもみ込んでおく
ボウルに【牛肉と下味】の材料をすべて入れ、牛肉に調味料をもみ込む。
2. 5種類のナムルを作り、各分量に取り分ける
5種類のナムルを作り、各分量に取り分けておく。
3. 韓国春雨を7分ゆでてから炒め煮にし、下味をつける
鍋に湯を沸かし、韓国春雨を7分ほどゆでてザルに上げる。フライパンに入れ、【韓国春雨と下味】の残りの材料を加えて中火にかける。汁気がなくなるまで炒め(写真)、大きめなボウルに移しておく。
「韓国春雨はかためにゆでておくと、調味料と炒め煮にしてものびません」
4. 牛肉を炒め、2のナムル、パプリカ、紫玉ねぎを順に炒め合わせ、しょうゆ、えごまの葉を加えて火を止める
3のフライパンをキッチンペーパーでさっとふく。サラダ油大さじ1(分量外)を入れて中火で熱し、1の牛肉を入れて炒める。
牛肉に火が通ったら2のナムルを加え、さっと炒め合わせる。【あとで加える野菜と調味料】のパプリカを加え、軽く火が通ったら紫玉ねぎを加えてさっと炒め、しょうゆを回し入れて混ぜ合わせる。
「ナムルに火が入り過ぎないよう、気をつけましょう」
えごまの葉を加え、火を止める。
「えごまの葉は風味と色味を損なわないよう、仕上げに加えたらすぐに火を止めましょう」
5. 3のボウルに4を入れ、韓国春雨、白ごま、えごま油を加え、全体を手で混ぜ合わせる
3のボウルに4を入れ、白ごま(写真)、えごま油を加える。
手で春雨をほぐしながら、具材と混ぜ合わせる。
「ポイントでもお話ししたように、チャププチェの雑(チャプ)は『混ぜ合わせる』という意味なので、なるべく手を使いましょう。春雨がしっかりほぐれて、具材と満遍なく混ざり合います」
全体が混ざり合ったら、器に盛りつける。
【実食】チャプチェ。もっちもちの春雨、野菜の食感、牛肉のうま味が次々と押し寄せる!
ツルッ、もちっとした韓国春雨の弾力と、野菜のシャキッとした食感、みずみずしさ、牛肉のうま味。それらが一度に押し寄せ、ひと噛みごとに変化していきます。なんて楽しい!
今までは生の野菜を一度に炒め、ゆでた韓国春雨を加えて調味料で煮る「なんちゃってチャプチェ」を作ってきましたが、味わいが一辺倒で野菜の食感もイマイチでした。
ところがこのチャプチェは野菜それぞれの個性がしっかり感じられて、えごまの葉は少ししか入っていないようでも、独特な香りが余韻となり、一気に本場の味わいを感じさせてくれる引き立て役になっています。
翌日冷めものをいただくと、食感は変わらず美味しいままでした。これからはチャプチェをご馳走と思い、多めに作ることにします! みなさんもプロの味をぜひ一度お試しください。
チャプチェの味が決まる「ナムル」5品の作り方
チャプチェに加えるナムルは後ほど炒め合わせるので、豆もやし以外は通常よりも少しかために仕上げるのが食感よく仕上げるコツ。豆もやし、小松菜、椎茸、ごぼうのナムルはゆでて作るので、同じ鍋の湯で順にゆでればOKです。椎茸ナムルには、相性のよいえごま油をぜひ使ってみてください。
5種類作るのが大変であれば、このうちのいくつかでも構いませんが、ぜんまいナムルは食感や色味がアクセントになるので入れることをおすすめします。
また、今回ご紹介した5種類の野菜以外に、にんじん、ほうれん草でも美味しく作れます(にんじんは細切り、ほうれん草は3㎝長さに切ってゆでる。味つけは塩とごま油)。
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<古家>が教えるナムルのレシピはこちら>>
【レシピ①】ぜんまいナムル
<材料>(でき上がり量約50g)
- ぜんまい(水煮)…55g
- しょうゆ…大さじ1
- 砂糖…大さじ1
<作り方>
- ぜんまいは水気をきり、食べやすい長さに切る。
- フライパンにぜんまい、しょうゆ、砂糖を入れて中火にかけ、汁気がなくなるまで炒め煮する。
【レシピ②】豆もやしナムル
<材料>(でき上がり量約50g)
- 豆もやし…60g
- 塩…少々
- にんにく(すりおろし)…少々
<作り方>
- 鍋に700mlほどの水を入れて沸かし、塩小さじ1/2(ともに分量外)を入れ、豆もやしを2分ゆでる。
- ザルに上げ、流水で洗って冷まし、10分ほどそのままおいて水をきる。
- ボウルに入れ、塩、にんにくで調味する。
【レシピ③】小松菜ナムル
<材料>(でき上がり量約50g)
- 小松菜(3㎝長さに切る)…2株(約60g)
- 塩…少々
- にんにく(すりおろし)…少々
<作り方>
- 鍋に700mlほどの水を入れて沸かし、塩小さじ1/2(ともに分量外)を入れ、小松菜の茎を20秒、葉を10秒ゆでる。
- ザルに上げ、流水で洗って冷まし、水気を手でしっかり絞る。
- ボウルに入れ、塩、おろしにんにくで調味する。
【レシピ④】椎茸ナムル
<材料>(でき上がり量約50g)
- 椎茸(石づきを取り、3㎜厚さの薄切り)…3枚(正味約50g)
- 塩…少々
- えごま油…少々
<作り方>
- 鍋に700mlほどの水を入れて沸かし、塩小さじ1/2(ともに分量外)を入れ、椎茸を5分ゆでる。
- ザルに上げ、流水で洗って冷まし、水気を手でしっかり絞る。
- ボウルに入れ、塩、えごま油で調味する。
【レシピ⑤】ごぼうナムル
<材料>(でき上がり量約40g)
- ごぼう(皮をむいて3㎜厚さのささがき、水にさらす)…1/3本(約50g)
- 塩…少々
- ごま油…少々
<作り方>
- 鍋に700mlほどの水を入れて沸かし、塩小さじ1/2(ともに分量外)を入れ、ごぼうを5分ゆでる。
- ザルに上げ、流水で洗って冷まし、水気をしっかりきる。
- ボウルに入れ、塩、ごま油で調味する。
取材協力/韓国料理 韓食 古家 伊勢丹新宿店

料理を教えてくれた料理長の松澤直哉さん(写真右)と、松澤さんとともに本場韓国の味を支えるスタッフの洪 銀順さん(写真左)
韓国金浦市郊外にある韓国料理屋<古家>の日本1号店。宮廷料理を主とした現代風の韓定食などが楽しめる。化学調味料に頼らないナチュラルな味わいは、心和むおいしさと評判。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店 本館地下1階 シェフズセレクションにてお取扱いがございます。
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