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2023.06.16

【ルウなし】牛肉とトマトの「ハヤシライス」プロのレシピ。家庭の調味料で作れます!

ハヤシライスのイメージ

おうちでハヤシライスを作るとき、市販のルウ(ルー)を使う方が多いのではないでしょうか。でも実は、市販のルウ(ルー)やデミグラスソース缶(デミ缶)なしでも、家にある定番の調味料とトマト缶だけで手軽に美味しいハヤシライスができるんです。レシピを教えてくれたのは、伊勢丹新宿店<キッチンステージ>の柬理美宏シェフ。

「『市販のルウを使わないと物足りない味になるのでは?』と思われるかもしれませんが、玉ねぎと牛肉の炒め方にこだわるだけで、旨みたっぷりに。また、水を使わずにトマト缶と牛乳で煮込むことで、ハヤシライス特有のコクやとろみも加わります。調理時間はたったの30分ほどで、レストランで食べるようなハヤシライスが作れるので、ぜひ試してみてください」

ルウを使わず、あっという間にでき上がるというプロのハヤシライス…。どんな味わいかが気になります!

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まずは、そもそもハヤシライスとはどんな料理かをおさらいしてみましょう。

ハヤシライスとは? ハッシュドビーフ、ビーフストロガノフとは何が違うの?

ハヤシライスと似たメニューに、ハッシュドビーフとビーフストロガノフがあります。それぞれの違いとは何があるのでしょうか? 発祥国、主な具材、一般的な味わいのベースについて表にまとめました。

★スマートフォンなどの場合、表をスクロールさせて右端まで閲覧してください

料理名 発祥国 一般的な味のベース 主な具材
ハヤシライス 日本 トマトがベースの酸味のある味わいが一般的 牛薄切り肉、玉ねぎ、マッシュルームなど
ハッシュドビーフ 英国 デミグラスソースがベースの濃い味わいが一般的
ビーフストロガノフ ロシア 仔牛の骨を煮詰めた出汁、フォンドボーがベース。仕上げにサワークリームを加えるのが一般的

どの料理もメインの具材は、薄切りの牛肉、玉ねぎ、マッシュルームと同じですが、発祥国が異なり、一般的に味のベースはトマト、デミグラスソース、フォンドボーなど違いがあるようです。

そもそも3つの料理の違いを深く考えたことがなかったので、ハヤシライスは日本生まれだったとは、知りませんでした! ちなみに、欧米文化が日本に伝わった明治の文明開化の時代に、東京・日本橋の「丸善」創業者、早矢仕有的(はやし ゆうてき)さんが「早矢仕ライス」を考案して「ハヤシライス」と名がついたという説が知られています(※)。

※参照:丸善ジュンク堂コーポレートサイト

【ルウ不要のハヤシライス】家にある調味料だけでコクたっぷりに仕上げる3つのポイント

日本生まれのハヤシライス。今回は柬理シェフがオリジナルで考案した、あえて市販のルウを使わないレシピでご紹介します! まずは調理するうえで押さえておきたいポイントからチェックしましょう。

【ポイント1】牛肉と玉ねぎにしっかり焼き色をつけ、旨みを存分に引き出す

ハヤシライスのメイン具材は牛肉と玉ねぎ。煮込む前に2つの具材を強火で炒め、しっかり焼き色をつけることで、旨みを引き出します。旨みの秘密は、食材を焼いたときにおこる「メイラード反応(※)」によるもの。たっぷりの旨み成分が、ソースの味わいに深みを加えてくれます。

※メイラード反応
食材が「焼き色」を生じる化学反応のこと。熱によって食品に含まれる糖とアミノ酸やタンパク質が反応し、褐色物質=「焼き色」が生じる。

【ポイント2】水は不使用! トマト缶と牛乳でトロリと濃厚に

今回のレシピは、なんと水を一切使わずに、トマト缶と牛乳で煮込むことでコク深く、トロリとした食感に仕上げます。トマト缶にはホールトマトとカットトマトがありますが、おすすめはホールトマト。カットトマトは断面から果肉の甘味や酸味が抜けやすいのに比べ、ホールトマトは素材まるごとのため、断然味が濃厚です。このレシピではぜひ、ホールトマトを使ってトマトの旨みを効かせてください。

【ポイント3】家にある4つの定番調味料でプロの味に

市販のルウ(ルー)もデミグラスソースもなし。使う調味料は、トマトケチャップ、とんかつソース、みりん、醤油の4種類。どれも一般的なご家庭に常備される調味料ですが、組み合わせて使うことで深みのあるプロの味に早変わり! とんかつソースがない場合は、ウスターソースや中濃ソースで代用すると、サラッと軽い仕上がりになります。

ハヤシライス独特のコクや旨みが、ルウなしで作れるなんて驚きです。しかも調味料は家にあるものだけでできるなんて。どんな味になるのか、期待が高まります!

それでは実際にレシピを見ていきましょう。

調理時間は30分前後! ルウなしでプロの味に仕上げるハヤシライスの作り方

ハヤシライスの材料のイメージ

<材料>(4人分)

  • 牛バラ薄切り肉(切り落とし)…300g ※1枚が大きい場合は、食べやすい大きさに切る
  • 玉ねぎ…1個(200g)
  • マッシュルーム(ブラウン)…1パック(100g)
  • サラダ油…10g(大さじ1弱)
  • バター…20g ※玉ねぎを炒める用に10g、仕上げに10g使用。有塩でも食塩不使用でもどちらでも可
  • 塩、こしょう…各適量
  • 赤ワイン…200ml ※好みで量を減らしても、使わなくてもOK
  • A
    ・トマトケチャップ…50g(大さじ3弱)
    ・とんかつソース…50g(大さじ3弱) ※ウスターソース、中濃ソースで代用可
    ・みりん…50g(大さじ3強)
    ・醤油…大さじ1
  • ホールトマト缶…1缶(400g)
  • 牛乳…200ml
  • 固形コンソメスープの素…1個
  • ローリエ…1枚
  • あたたかいご飯…4人分
  • パセリのみじん切り(好みで)…適量

「肉は、脂が多い方が火にかけてもかたくなりにくいという特徴があります。今回は脂と旨みのバランスがいい牛バラ薄切り肉を使用しました。

赤ワインは独特の渋味とコクを加え、味に深みを出すために入れます。火にかけるとアルコール分は飛びますが、赤ワインが苦手な方やお子さまも召し上がる場合など気になるときは、適宜減らす、もしくは使わずに作ってもよいでしょう」

<作り方>

1.玉ねぎ、マッシュルームを切る

玉ねぎを1cm幅のくし切りにするイメージ

玉ねぎは皮をむき、1cm幅のくし切りにする。マッシュルームは石づきを取り、半分に切る。

「ハヤシライスの基本の具材は、牛肉と玉ねぎ。今回はマッシュルームも加えますが、具材はとてもシンプル。だから、食感を楽しめるように具材は大きめにカットします。マッシュルームはホワイトよりもブラウンのほうが、味が濃いのでおすすめです」

2.トマトをつぶす

ホールトマトをつぶすイメージ

ホールトマトを汁ごとボウルに移し、手で3~4回握ってつぶす。

3.フライパンで玉ねぎ、牛肉を炒め、しっかり焼き色をつける

サラダ油とバターを熱するイメージ

深めのフライパンを中火にかけ、サラダ油、半量のバター(10g)を入れてバターを溶かす。

「バターだけでなくサラダ油も入れることで、味わいが軽くなります。またバターが焦げにくくなるというメリットもあります」

玉ねぎに焼き色をつけるイメージ

玉ねぎを加えてひと混ぜし、油をまとわせたら、中火のまま焼き色がつくまで焼く。

「あまり触りすぎず、焼き色がついたら向きを変えるイメージで、表面をしっかり焼きつけていきます」

牛肉に塩、こしょうをふるイメージ

玉ねぎをフライパンの端に寄せて、空いたところに牛肉を加え、塩、こしょうをまんべんなくふり、強火(※)で肉の表面に焼き色をつける。赤みが半分程度残る状態になったら、玉ねぎと混ぜ合わせながら炒める。

※強火とは、フライパンの底全体に勢いよく火が当たる状態。ただしフライパンの側面まで火がはみ出ないように適宜調整すること。

「玉ねぎと同様に牛肉にも焼き色をつけたいので、肉はあまり触りすぎずに焼きましょう」

牛肉に焼き色をつけるイメージ

4.赤ワインを3~4回に分けて加え、汁気がなくなるまで煮詰める

赤ワインを加えるイメージ

牛肉と玉ねぎを端に寄せ、空いたところに赤ワインを3~4回に分けて、鍋肌から加える。その都度、強火のまま沸くのを待ってから次を入れる。ワインを全て加えたら、汁気がなくなるまで煮詰める。フライパンを傾けても汁が出ないくらいが目安。

「赤ワインは旨みだけを残したいので、加えたらすぐに煮詰めていきます。このとき、赤ワインを一度に加えると、フライパンの温度が一気に下がって煮詰めるのに時間がかかってしまいます。数回に分けて加えるとその都度すぐに沸くので、アルコール分をしっかり飛ばしつつ、ワインの旨みだけを残すことができます」

5.調味料を加える

調味料を加えるイメージ

強火のまま、Aの調味料(トマトケチャップ、とんかつソース、みりん、醤油)を加えて、軽くひと混ぜする。

6.つぶしたホールトマトを加える

ホールトマトを汁ごと加えるイメージ

5のフライパンに2でつぶしたホールトマトの果肉と汁をすべて加え、軽く混ぜる。

7.牛乳、コンソメ、ローリエを加えて煮詰める

牛乳を加えるイメージ

強火のまま、牛乳、コンソメ、ローリエを加える。煮立ったら中火に落とし、全体の量が2/3くらいになるまで煮詰める。鍋底が焦げつかないように、ときどきかき混ぜる。

ソースの表面に脂が浮いているイメージ

「煮込み始めは牛乳が分離したようになるのですが、そのまま煮込んでいくと全体が一体となり、さらに煮込むと牛肉の脂分が浮いてきます。そのまま全体の量が2/3程度になるまで煮詰めてください」

8.マッシュルームを加えて、さっと煮込む

マッシュルームを加えるイメージ

マッシュルームを加えて、中火のまま3~4分煮込む。

「マッシュルームは煮込む時間が長くなるとしぼんでジューシーさもなくなるので、仕上げ直前に加えます。3~4分と煮込み時間は短めですが、きのこの出汁がソースに加わり、さらに奥深い味になります」

9.仕上げ用のバターを加え、塩、こしょうで味をととのえる

バターを加えて、塩、こしょうで味をととのえるイメージ

火を止めてから、残りのバター(10g)を加え、塩、こしょうで味をととのえる。

「バターを余熱で溶かし、全体をかき混ぜてなじませたらでき上がりです」

器に白いご飯を盛り、好みでパセリをちらし、7のハヤシソースをたっぷりかける。

牛肉の旨味と玉ねぎの香り、ワインのコク、トマトの爽やかさが融合したハヤシライスの完成! 1日寝かせても◎

ハヤシライスのイメージ

市販のルウやデミ缶を使わず、調味料はケチャップやとんかつソースなどごく普通のものなのに、まるで街の洋食屋さんにも負けずとも劣らない味にびっくり!

牛肉の旨味と玉ねぎの焦がした風味、煮詰めた赤ワインのコク深い味、ホールトマトの爽やかな甘味と酸味、牛乳の旨みが加わることで、じんわりと奥深いプロの味に。ゴロゴロ入ったマッシュルームは噛むとジュッと弾けて、口の中にきのこならではの旨みと香りが広がります。あまりの美味しさにあっという間に食べ終えてしまい、おかわりが欲しくなりました。 

「当日は作り立ての美味しさ、マッシュルームのジューシーさを。1日寝かせたあとは素材同士が馴染んだ2日目ならではのコク深さが堪能できます」と柬理シェフ。なるほど、味わいの変化が楽しめるのも、おうちならではの楽しみですね!

伊勢丹新宿店<キッチンステージ>では、有名シェフ監修のメニューが月替りで楽しめます!

キッチンステージ

伊勢丹新宿店 本館地下1階にある<キッチンステージ>は、有名シェフが監修したメニューを味わえるレストラン。メニューは4〜5週間ごとに変わり、フレンチに和食、中華まで、名店の味をカジュアルに楽しめます。ご家庭で提供メニューの味を再現できるようにレシピも差し上げていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。

<キッチンステージ>の詳細はこちら>>

shinjukuisetan_kitchenstage

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撮影:矢野宗利
文:白鳥紀久子

バイヤー・スタイリスト / 柬理美宏
4~5週間ごとにさまざまなジャンルの人気料理人や料理研究家たちの創作メニューを提供している、伊勢丹新宿店本館地下1階「キッチンステージ」の料理長。「オープンキッチンスタイルを生かし、お客さまに五感で料理を楽しんでいただけるように心がけています」
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※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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