2024.09.07
【関東風と関西風】簡単! お月見団子の作り方。みたらし団子のたれレシピも紹介
お月見とは、とりわけ美しいとされる旧暦の8月15日に昇る月「中秋の名月」(2024年は9月17日、2025年は10月6日)を鑑賞すること。十五夜ともよばれ、この日本古来の習わしに欠かせないのが、お供えものの「お月見団子(お月見だんご)」です。
お月見といえばこれまで外に出てちらりと月を眺める程度…。ですが今年こそは中秋の名月にお月見団子を用意して、秋の夜長を過ごしてみたい! と思いました。
そこで、日本の伝統食や季節の手仕事を得意とする、料理研究家の小島喜和さんに作り方を教えてもらうことに。
中秋の名月(十五夜)に欠かせない「お月見団子(お月見だんご)」とは?
まずはレシピをチェックする前に、お月見団子とはどんな食べ物なのかおさらいしていきましょう!
【歴史】お月見団子は秋の収穫を祝うお供えもの
お月見は中国の「中秋節」を起源とし、日本には室町時代ごろに伝わったとされています。はじめは貴族がお酒を酌みながら詩歌や管絃を楽しむ風流な催しでしたが、形を変化させながら江戸時代に入って町人にも広まっていき、秋の米や農産物の収穫を祝い、感謝する日として収穫物の芋類や豆、米で作った団子を豊穣の象徴である満月に供え、食べるようになりました。
【お月見団子の形の違い】関東は満月、関西は里芋
お月見団子は地方によって、形や種類が異なります。代表的なものの1つは江戸を中心として関東に広まった、満月に見立てて丸くしたお団子。
お団子の数は十五夜にちなんで15個です。「三宝(三方)」とよばれる神様へのお供え用の器に懐紙(奉書紙)を敷き、一段目は9個(3×3)、二段目は4個(2×2)、三段目は2個になるよう重ねます。収穫の感謝の気持ちが月まで届くようにという想いから、高く積み重ねています。お盆やお皿で代用しても問題ありません。
もう1つは大阪、京都を中心としたお団子にあんこを巻きつけ、里芋に見立てたもの。稲作以前は里芋などの芋類が主食であり、里芋をお供えしていたことから中秋の名月(十五夜)は「芋名月」とも呼ばれ、この名残から里芋の形のお団子になったとされています。
【飾り方】お供えする場所は床の間、もしくはお月様が見える場所
お団子が完成したら、床の間、もしくは月からよく見えるよう、縁側や窓辺、ベランダなどにお供えしましょう。
お月見団子のほかには、秋の収穫物である里芋やさつまいも、豆、栗、そしてススキや秋の草花を花瓶に生けて供えるとより本格的です。ススキは稲穂に見立て実りへの感謝を表すだけでなく、神様の依り代(よりしろ)とされ、災いや邪気を遠ざける意味もあります。
飾り方は、「左上位」が日本のしきたりであるため、お月様からみて左側に自然界のものである野菜やススキ、右側に人工的なものであるお月見団子を供えたほうが良いとされています。
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【関東風】お月見団子の作り方(レシピ)。満月のように丸いお団子
「お団子は蒸し器で蒸すレシピが一般的ですが、ゆでて簡単に作れるレシピにしました。関東のお月見団子は味つけせず、まずはお供えし、そのあとで好みの味をつけていただきます。おすすめ美味しい食べ方はみたらし団子。みたらしあんのレシピも併せてご紹介します」
<材料>(20個分)
※写真は15個ですが、レシピは作りやすい分量です
- だんご粉…145g(※)
- ぬるま湯…105ml程度
※だんご粉200gで作る場合、ぬるま湯150mlくらいを様子を見ながら加えてください
※上新粉と白玉粉をブレンドして代用する場合はこちら
Q:だんご粉とは?
A:「だんご粉(だんごの粉)とは、うるち米を挽いた上新粉ともち米を挽いた粉を団子作りに適した割合でブレンドしたものです(編集部調べ:メーカーによって独自の割合でブレンドしていて、5:5、6:4、4:6など異なります)。
お月見団子を上新粉だけで作るレシピも多くありますが、いったん蒸して加熱したあと、こねて粘りを出してから成形する必要があります。食感は歯切れはよいけど弾力が物足りず、それに上新粉特有の匂いが私は気になります。
その点、だんご粉は上新粉にもち米の粉が加わるため、もちっとした食感がプラスされ、成形してゆでればでき上がり、匂いも気にならない美味しいお団子が作れます」
※取扱い:日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店
Q:上新粉と白玉粉をブレンドして代用する場合は?
A:「だんご粉が手に入らない場合、上新粉:白玉粉=3:7の割合でブレンドするのが私のおすすめです。水分量は粉の全量に対して70~75%を目安とし、様子を見ながら加えてください」
<作り方>
1. ボウルにだんごの粉を入れ、ぬるま湯を2~3回に分けて加え、その都度よく混ぜる。粉気がなくなったら、こねてひとまとめにする
ボウルにだんこの粉を入れる。ぬるま湯の分量のうち、大さじ1程度が残るよう2~3回に分けてボウルに加え(写真は2回目のぬるま湯を加えるところ)、その都度ゴムベラでよく混ぜる。
「使用するだんご粉のメーカーによって吸水の具合が違います。分量のぬるま湯は大さじ1ほど残しておき、様子を見ながら必要に応じて加えるようにしましょう(必要がないなら加えなくてよい)」
写真のように粉気がなくなり、手で握ったときにひとたかまりになるようなら、残りのぬるま湯は加えなくてOK。握ったときに崩れるようなら残りのぬるま湯を加えて、様子を見ながらやわらかさを調整する。
こねながら、生地をひとまとめにする。
「耳たぶくらいのやわらかさになっていれば大丈夫です」
2. まな板の上で転がして棒状にし、20等分に切り分ける。1つずつ掌で丸める
生地の重量を計って2等分し、まな板にのせ、それぞれ掌で転がして20㎝長さの棒状にのばす。
20㎝長さの棒状にのばしたら、2㎝幅で切り分ける。
生地を1つずつ掌で丸め、バットに並べる。残りも同様にして、全部で20個の団子を作る。
3. 鍋に湯をたっぷり沸かし、団子を入れ、浮いてきたらさらに3分ゆでる。冷水に取ってから水気をきり、盛り付ける
鍋に湯をたっぷりと沸かし、2の団子を入れる。そのままにしておくと鍋底に生地がくっつくので、玉じゃくしなどでときどき混ぜ(上写真)、団子が浮き上がってきたらさらに3分ほどゆでて冷水に取る(下写真)。粗熱がとれたら水から引き揚げ、ザルに上げて水気をよくきって完成。
「すぐにいただく場合は、粗熱がとれる前の温かい状態でも構いません。よりやわらかい食感が楽しめます」
【関東風】お月見団子の食べ方は「みたらし団子」がおすすめ!
「関東風のお月見団子には味がついていないので、あんこをつけるか、みたらし団子のあんをかけてお召し上がりください。すぐに食べない場合ラップをかけておきましょう。食べるときに、かたくなっていれば再度ゆでるか、フライパンや焼き網で焼き色がつくまで焼いてからいただくといいでしょう」
みたらし団子のあんの作り方
<材料と作り方>(作りやすい分量)
鍋に水90ml、砂糖大さじ4、醤油大さじ1~1と1/3を入れて中火にかける。沸騰したら片栗粉小さじ2を同量の水で溶いたものを加えてよく混ぜる。ふたたび沸騰し、透明感が出てトロミがついたら火から下ろす。粗熱がとれたら完成。
編集部で試作しました! すぐに食べない団子は、串に刺してラップをかけて常温(涼しい場所)においておき、食べる直前に表面を焼いて、焼きみたらし団子にしました。とても美味しくできました。
【関西風】お月見団子の作り方(レシピ)。里芋に見立ててあんこを巻く!
「関西風のお月見団子は、里芋に見立ててお団子にあんこを巻きつけます。あんこは粒あんよりもこしあんを使うことが多いですが、お好みでどうぞ」
<材料>(14個分)
- だんごの粉…100g
- ぬるま湯…75ml程度
- こしあん(または粒あん)…210g ※今回は半量ずつ使用
▼小島喜和さんの粒あんのレシピはこちら
【初心者必見】基本の粒あんの作り方>>
<作り方>
1. 関東風お月見団子の作り方1と同様に生地を作り、14等分に切り分け、里芋のような形に整える
「関東風お月見団子の作り方」の1を参照し、同様に生地をまとめて14等分する。生地を掌に1つずつ挟んで丸め、まな板に置き、片側だけをすぼませるよう、手で転がして里芋のような形に整える。
「生地を14等分するときは、28㎝長さの棒状にのばし、2㎝間隔で切り分けると簡単です」
2. 鍋に湯をたっぷり沸かし、団子を入れ、浮いてきたらさらに3分ゆでる。冷水に取ってから水気をきる
鍋に湯をたっぷりと沸かし、1の生地を入れる。そのままにしておくと鍋底に生地がくっつくので、玉じゃくしなどでときどき混ぜ、団子が浮き上がってきたらさらに3分ほどゆでて冷水に取る。粗熱がとれたら水から引き揚げ、ザルに上げて水気をよくきる。
3. ラップであんこを楕円形にととのえ、団子に巻きつける
あんこを15gずつ14等分する。掌より少し大きめサイズに切ったラップにあんこを1つのせ、ラップで挟んでから手で楕円形に整える(写真)。
ラップを外し、あんこを団子に巻きつけてバットに置く。残りも同様にする。
Q:あんこが手にベタベタとくっついてしまう場合は?
A:「あんこが手にベタベタとくっついてしまう場合は、水分が多い状態です。火にかけて水分を飛ばしてから使いましょう。冷めるとかなりかたくなるので、水分を飛ばしすぎないよう気をつけてください」
<あんこの水分の飛ばし方>
1. 鍋にあんこを入れてごく弱火にかけ、焦げつかないようにゴムベラ(または木ベラ)で混ぜ続ける。
「火にかけると砂糖の成分が温まって、最初の状態よりもあんこがゆるくなってきます」
2. 少しずつ水分が飛び、湯気が立ちのぼってきたら火を止める。
「ごく弱火で加熱し続け、白い湯気がうっすら立ちのぼってきたらすぐに火を止めましょう。加熱し過ぎると、冷めてからカチカチになってしまいます」
3. ヘラでひとすくいずつバットにのせ、粗熱がとれるまでそのまま冷ます。粗熱がとれたらひとまとめにし、すぐに使わない場合は乾燥しないようラップに包む。
「写真のようにひとすくいずつバットにのせると、早く冷ますことができます」
【実食】関東と関西のお月見団子。素朴な味わいに心なごむ♡
お月見団子はお月様へのお供えもの。とてもロマンチックですが、身が引き締まる思いも感じつつ、まずは関東風のお団子をみたらしあんでいただきます。コシのあるお団子に甘辛いあんがからんでツルツルと食べやすく、絶妙な味わいです。
そしてあんこを巻きつけた関西風。中のお団子は関東風と同じですが、あんこに変わってもこれまた絶妙…。あずきの香り、食感がお団子の美味しさを引き立てています。どちらも素朴な味わいでそれぞれに良さがあり、せっかくなら両方用意したい! と思いました。
今年の十五夜は、手作りのお月見団子でお月様をお迎えしてみませんか?
小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、料理教室、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、日本橋三越本店 新館地下2階 富澤商店にてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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