2022.03.10
具は1つだけ! たけのこの炊き込みご飯の作り方。下煮にワザあり【アク抜きも解説】
春先になると、見かけるようになる生のたけのこ。市販のたけのこの水煮もおいしいですが、旬の短い期間しか味わえない生たけのこは、味わいも風味も格別です。素材の良さを余すことなく堪能するならシンプルなたけのこご飯がおすすめ!
そこで今回、具材は「シンプルにたけのこだけ!」という、基本のたけのこご飯の作り方を紹介します。教えてくれるのは、季節の料理が得意な料理研究家の小島喜和さんです。
鮮度のいいたけのこの選び方(見分け方)、たけのこに下味をつける下煮のワザなどのポイントを押さえれば、具材がシンプルでもおいしい炊き込みご飯ができ上がります! さらに、記事の最後には、皮つきたけのこのゆで方(アク抜き)も丁寧に解説しているので、合わせてチェックしてみてください。
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【ポイント】たけのこご飯をおいしく作るには、鮮度の良いたけのこの選び方が大切!
小島さんが今回教えてくれたのは、具材はたけのこだけ、というとてもシンプルなレシピ。
「油揚げや挽き肉を入れるレシピもありますが、生のたけのこの持つ風味、旨みをダイレクトに感じたいなら、具材はシンプルなほうがおすすめ。使うたけのこごとに、それぞれ異なる味わいを楽しむことができます」
レシピがシンプルな分、たけのこの鮮度や素材の良さにはこだわって欲しいのだとか。そのため、まずはおいしいたけのこの見極め方をチェック!
ポイント① たけのこの選び方。先端が黄色で切り口が白く、みずみずしいものをチョイス
たけのこは若く、陽に当たっていないものが、えぐみが少ないとされています。見分けるには、先端に注目。先端が黄色く、皮の色が全体的に薄いものがおいしいたけのこです。先端の色が緑色だったり、皮の色が濃かったりすると、日光をたっぷり浴びているので、えぐみが多く、かたい場合も。
また、切り口は白く、みずみずしいものが鮮度のいい証拠です。時間がたつと黄色っぽくなるので、見極める判断材料にしましょう。
ポイント② たけのこは鮮度が命! 購入したらすぐにゆでてアク抜きを
生たけのこを購入して調理する場合は、なるべく仕入れたての早めの時間帯を狙って手に入れるのがおすすめ。購入したらすぐに家に帰り、素早くゆでてアク抜きするのが、おいしいたけのこを食べるポイントです。
小島さんの地元では春になるとたけのこが採れるのですが、たけのこを食べるときは掘りに行く人と、家でゆでる準備をする人にわかれて体制をとり、掘ったたけのこは必ずすぐにゆでるほど、鮮度にこだわっているのだそう。
また、生たけのこはゆでたあと、水にさらして半日~ひと晩おくとえぐみがとれます。つまり、たけのこご飯を作りたい前日に、生たけのこをゆでるのがベストです!
ポイント③ たけのこは下味をつけてから、米と一緒に炊くとおいしい!
たけのこはあらかじめ、調味料と一緒に煮て下味をつけておきましょう。一般的なレシピのなかには、たけのこに味をつけずに炊飯器で米と一緒に炊く方法を紹介しているレシピも見かけますが、小島先生曰く「たけのこに下味をつけておく(=下煮)ほうが、味がしっかりついて素材のおいしさを一層引き立てます」とのこと。
地域によっては、そこまで繊細にたけのこの鮮度にこだわっているんですね! それだけ鮮度のいいたけのこがおいしいという証。生のたけのこを買ったら、しばらく放置したりせず、すぐにゆでるよう今後は心がけるようにします!
ちなみに小島先生曰く、もし市販の水煮のたけのこしか手に入らない場合は、油抜きした油揚げや鶏ひき肉を足して、コクをプラスするのがおすすめ、とのこと。
それでは実際にレシピを見ていきましょう。
【永久保存版】シンプルだからこそ、しみじみおいしい! たけのこご飯のレシピ
<材料>(2合分)※3合で作る場合の分量はこちら
- 米…2合
- ゆでたけのこ(生たけのこをゆでたもの。ゆで方はこちら)…小1本(150〜200g)
※市販の水煮たけのこで作る場合、好みで油揚げ(油抜きして刻む)1/2枚、または鶏ひき肉100gを足してコクを出すとよい - 【合わせ調味料】
・だし汁(かつお昆布だし)…150ml
・うす口しょうゆ…大さじ2と1/2(※)
・砂糖…大さじ1と1/2
・酒…大さじ1/2
・塩…小さじ1/2 - 【好みで飾り用】
木の芽…適量
※炊き込みご飯の色を薄く仕上げたいので、しょうゆはうす口を使用しましたが、ない場合は濃口しょうゆでも構いません。濃口を使用する場合は、塩の分量を気持ち多めに入れるといいでしょう。
【米3合で作る場合の分量】
ゆでたけのこ…中1本(250〜300g)、だし汁(かつお昆布だし)…200ml、うす口しょうゆ…大さじ3、砂糖…大さじ2、酒…大さじ1、塩…小さじ1/2
<下準備>
・生たけのこは、炊き込みご飯を作る前日にゆでておく(ゆで方はこちら)。
・米は普通にといで、かぶるくらいの水(分量外)に浸水させておく。
▼詳しい米の研ぎ方はこちらの記事をチェック!
調味料は塩だけ! 栗ご飯のシンプルな作り方。米の研ぎ方、栗の皮のむき方も伝授(3合レシピ)>>
<作り方>
1. ゆでたけのこの姫皮を除く
ゆでたけのこは縦半分に切る。
「たけのこは半割りにすると白い筋が見えます。その先端が成長点で、白い筋の外側は姫皮(ひめかわ)と呼ばれ、とてもやわらかく、煮崩れしやすいのでたけのこご飯には使いません。もし姫皮が残っていたら、取り除きましょう」
成長点より先を切り落とし、白い筋に沿って、手で姫皮をはがす。
「姫皮は捨てずに、細切りにして梅肉あえや酢味噌あえにしたり、味噌汁に入れたりするとおいしくいただくことができます」
2. ゆでたけのこを根元と穂先に分けて、それぞれ切る
ゆでたけのこの根元と中央部は1〜1.5cm幅に切り、さらに3等分に切っていちょう切りにする。
「たけのこの大きさは好みで調整してください。私は大きいほうが好きなので、厚めに切ります。大切なのは、根元と中央部、穂先で切り方を変えること。根元と中央部はかたいので繊維を断つように切ります」
穂先は縦半分に切る。
「穂先はやわらかく、細かく切るとくずれやすいので、繊維に沿って半分に切るのがおすすめです」
3. 鍋に【合わせ調味料】を入れ、煮立ったらたけのこを加えて煮る
鍋に材料の【合わせ調味料】を入れ、中火にかける。煮立ったら2のたけのこを加え、弱めの中火で煮る。好みで、たけのこご飯に油揚げや挽き肉を入れる場合は、このタイミングでたけのこと一緒に加えて煮るとよい(ひき肉からアクが出たら除く)。
10分ほどたったら火を止め、そのまま粗熱がとれるまで冷ます。
「冷めていく過程で、たけのこに味がしみ込みていきます」
4. 炊飯器の内釜に米、煮汁、水を入れる
浸水させておいた米をザルにあげ、水気をきる。炊飯器の内釜に米を入れ、3の煮汁だけを加える。
煮汁の上から炊飯器の2合の目盛りまで水を足し、さっと混ぜる。
「必ず、煮汁を最初に加えてから水を入れましょう。水を先に入れてしまうと、正しい水加減にならなかったり、あとから余分な水分を取り除こうとして味が薄くなったりすることがあるので気をつけてください」
5. たけのこを加えて、炊飯器で普通に炊く
3の下煮したたけのこを加え、炊飯器にセットし、通常の白米と同じように炊く。
「今回は炊飯器で炊きましたが、鍋で炊く場合は、先に米と煮汁、水を入れて火にかけ、煮立ったタイミングでたけのこを加えると、たけのこの下味がしっかり残るのでおすすめです」
▼鍋で炊き込みご飯を作る場合、こちらの記事をチェック!
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6. さっくり混ぜてから器に盛り、木の芽を添える
炊き上がったら底からさっくりと混ぜ、器に盛る。好みで木の芽を添える。
香りがふわり! たけのこご飯で春の味覚を堪能
大きめに切ったたけのこのごろっとした存在感がうれしい炊き込みご飯。味わいは、とっても上品で風味豊か! たけのこは下味がついていますが、主張しすぎず、いい塩梅です。たけのこの煮汁がしみたご飯も、噛むたびに旨みと甘みが感じられます。具材はたけのこだけですが、物足りなさは一切なく、たけのこの風味がしっかり堪能できて、大満足!
【盛りつけ例】旬の炊き込みご飯は、おもてなしや行楽弁当にもぴったり!
たけのこご飯は冷めてもおいしいので、おにぎりにするのもおすすめ。俵形に握ったり、扇型で抜いたりすれば、お花見などの行楽弁当やハレの日のおもてなしにぴったりです!
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いかがでしたか? いたってシンプルなたけのこご飯のレシピ。ぜひ、生のたけのこが手に入る時期に試してみてください。
【基本】生の皮つきたけのこのゆで方(アク抜き)
生の皮つきたけのこのゆで方を紹介します。生のたけのこは購入したらなるべく早くゆでるのがポイント。米ぬか、赤唐辛子とともに1時間ほどゆでるだけなので、手順を覚えれば意外と簡単です。
今回、たけのこご飯に使った生たけのこは、皮つきで約400gの小サイズです。ゆでて皮をむいたあとは150〜200gの分量になります。
せっかくたけのこをゆでるのなら、まとめて下処理しておくのがおすすめ。ゆでたたけのこは炊き込みご飯のほかに、煮物やお吸い物、天ぷらなどに活躍します。
1. たけのこは洗い、根元のかたい部分と先端を切り落とす
たけのこは表面が汚れているようならタワシでこすりながら水洗いする。根元のかたい部分が残っていたら、包丁が入るギリギリのところで切り落とす。
先端は斜めに切り落とす。
火が通りやすく、アクを抜きやすいように、皮に縦に1本切り込みを入れる。
2. 鍋にたけのこ、水、米ぬか、赤唐辛子を入れ、火にかける
たけのこがすっぽり入るくらいの大きさの鍋にたけのこを入れ、たけのこがかぶるくらいの水を注ぐ。米ぬかをひとつかみ、赤唐辛子を1本入れ、強火にかける。
3. 沸騰したら落としぶたをして1時間ほどゆでる
沸騰したら弱めの中火(ふつふつするくらいの火加減)にし、落としぶたをして1時間ほどゆでる。途中で湯が足りなくなったら適宜加えて、たけのこが湯から出ないようにする。
4. 竹串を刺してスッと通るようになったら火を止め、そのまま冷ます
たけのこの根元の太い部分に竹串を刺し、スッと通るようになったら火を止め、そのまま冷ます。
5. 外皮をむく
たけのこが冷めたら水で洗ってぬかを落とし、切り込みを入れたところに指先を入れ、外皮をむく。
水で洗いながら表面の余分な皮も取り除く。
6. 皮がきれいにむけていない部分をこすって取り除く
割り箸などの四角い角や包丁の背を使ってたけのこの表面をこすり、余分な皮を取り除く。
7. 先端を切り落とす。水にさらし冷蔵庫に入れて半日~ひと晩おく
先端のかたい部分を切り落とす。ボウルや保存容器にたっぷりの水、たけのこを入れ、冷蔵庫で半日〜ひと晩さらして、えぐみをとる。
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小島喜和さん
テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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