2023.02.16
山菜の苦みと香りを堪能! ふき味噌(ふきのとう味噌)のレシピ。保存方法も
独特の苦みと風味が魅力のふきのとう。旬の時期になったら一度は食べたい、早春の代表的な山菜のひとつです。生のふきのとうが手に入ったら、ぜひ作りたいのが、ふき味噌(ふきのとう味噌)。
生のふきのとうはアクが回りやすく日持ちしないのですが、ふき味噌にすると10日間程度保存ができ長持ちします。何より、ふきのとうの風味・苦みが加わった甘辛い味噌は、白いご飯のお供やお酒のアテに大活躍すること間違いなし!
そこで今回はふき味噌の作り方を紹介します。教えてくれるのは、WEB FOODIEで味噌の作り方を紹介していただいた、料理研究家の小島喜和さんです。
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ほろ苦さと香りが絶妙! おいしいふき味噌作りのポイント
① ふきのとうはゆでてアク抜きし、苦みをやわらげて!
ふきのとうはアクの多い食材です。そのまま調理すると苦みが気になることもあるので、「下ゆで」を行います。ふきのとうを塩を加えたお湯でゆでて水にさらせば、余分なアクを抜くことができ、美しい緑色もキープできます。
② ふきのとうは油で炒めることで、コクが出てほどよい苦さに
油との相性がよいふきのとう。多めの油で炒めることで苦みが和らぎ、さらにコクも加わって、味わい深くなります。また、炒める工程でふきのとうの水分を飛ばすと、日持ちが長くなるという効果も。
③ 仕上げに炒りごまを加えれば、食感と風味がアップ!
今回紹介するレシピでは、仕上げに白炒りごまを加えます。プチプチとした食感がアクセントになり、香ばしい風味もプラスされ、奥深いおいしさに。ごまの代わりとして、もしあれば炒った蕎麦の実を加えるのもおすすめ!
ふき味噌にごまを入れるなんて、確かにおいしそう! 油で炒めることには、たくさんの意味があるんですね。勉強になります!
それでは実際にレシピを見ていきましょう。
ふき味噌のレシピ。ふきのとうのアク抜きから丁寧に解説!
<材料>(作りやすい分量)
- ふきのとう…4個
- ごま油(またはサラダ油)…大さじ2
- 味噌(米味噌など好みのものでOK)…大さじ4
- 砂糖…大さじ2
- 酒…大さじ3
- 白炒りごま…小さじ1
「味噌は好みのものでいいですが、今回のレシピでは、赤色系の米味噌を使用しました。熟成したコクのある味わいが、油で炒めたふきのとうとよく合います。白味噌を使う場合は、ふきのとうは油で炒めず、ゆでて刻んだものを混ぜる作り方がおすすめです」
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<作り方>
1. ふきのとうをゆでる
鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩少々(分量外)を加え、ふきのとうを1分ほどゆでる。
「ふきのとうはさっと下ゆでして、アクを抜きます。ふきのとうは浮きやすいので、お湯に入れたらすぐに菜箸などで沈めて、全体を濡らすことがポイント。一部分だけ色が悪くなるのを防ぐことができます」
2. 冷水にとり、水気を絞る
2〜3分ゆでたら冷水にとり、熱がとれたら水気を手で絞り、ペーパータオルでふく。
「長時間水にさらすアク抜きの方法もありますが、風味が飛んでしまうので、ふきのとうの熱がとれたらすぐに水から取り出しましょう」
3. ふきのとうを切る
2のふきのとうの根元を切り落とし(写真1枚目)、半分に切る(写真2枚目)。芯の部分が黒ずんでいるようなら取りのぞいて(写真3枚目)粗みじん切りにする(写真4枚目)。
「ふきのとうは、基本的にはガクから蕾まですべて食べられる食材です。ただ、アクが非常に強いので、採取してからしばらく時間が経つと変色してしまう場合も。黒っぽくなっていたり、かたかったりする部分は取り除きましょう。もし苦みが気になる方は、ふきのとうを細かく刻んだタイミングで、もう一度水にさらしてもよいでしょう」
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4. ふきのとうを油で炒める
鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、3のふきのとうを入れて木べらで1分ほど炒める。
「ふきのとうは刻んだまま放置すると色が悪くなるので、細かく切ったらすぐに油で炒めてください」
5. 味噌を加える
ふきのとうの水分が飛んだら、一度火を止め、味噌を加えて混ぜる。
「焦げやすいので、一度、火を止めてから味噌を加えましょう」
6. 砂糖を加える
全体が均一に混ざったら砂糖を加えてさらに混ぜる。砂糖がなじんで溶けたら強めの中火にかける。
「砂糖を加えると、味噌がゆるくなります。このタイミングで再度火にかけましょう」
7. 酒を加える
火にかけて1〜2分経ったら酒を加えて、混ぜる
8. ごまを加えて練り混ぜ、ツヤを出す
酒を加えてさっと加熱したらごまを加え、少し煮詰まるまで2〜3分練り混ぜる。
「すべての材料を加えたら、均一に混ざるまで炒めます。ただし、味噌は冷めるとかたくなるので、あまり煮詰めすぎないように。少し煮詰まってつやが出てきたらOKです」
見た目につやが出てきたらふきのとう味噌の完成。
ほろ苦さがたまらないふき味噌は、ご飯のお供やお酒のアテに!
見るからにつややかなふき味噌ができあがりました。早速、白いご飯にのせていただきます。口に入れた瞬間、広がるのは味噌の味わいと砂糖の甘さですが、あと味にふきのとうの風味が爽やかに感じられます。「苦いのかな」と少し心配していましたが、苦みはほんのり感じられるだけで、絶妙な塩梅。日本酒にも焼酎にも合いそうです。ただの味噌にはない、あとを引くおいしさに、ご飯が何杯でも進んでしまいます!
【ふき味噌おすすめの食べ方・使い方】 焼きおにぎりに塗ると、香ばしい風味が◎
ふき味噌はそのまま少しずつ食べたり、ご飯にのせたりしてもおいしいですが、小島先生イチオシの食べ方は焼きおにぎりです! おにぎりをフライパンでうっすら焼き色がつくまで焼いてから、ふき味噌を塗るだけ。香ばしさが加わり、いっそうふき味噌の風味を引き立てます。
「焼きおにぎりのポイントは、ご飯を塩で握ること。あとで味噌を塗るので、たくさんふる必要はありませんが、軽く下味をつけておくと、味がぼやけません。焼きおにぎりのほかにも、揚げた里芋とからめたり、ふろふき大根にかけたりしてもおいしいですよ」
【ふき味噌の保存方法】 冷蔵で10日間程度保存可能!
ふき味噌は、作り置き可能です。ふきのとうを炒める工程で、きちんと水分を飛ばせば10日間程度保存可能。ふき味噌は清潔な保存容器に入れ、粗熱がとれたらふたをし、冷蔵庫に入れて保存しましょう。途中で取り出すときは、清潔なスプーンなどを使います。
ふきのとうさえ手に入れば、手軽に作れる季節のレシピ。ぜひ、旬の時期しか楽しめない、贅沢な味を堪能してください。
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小島喜和さん
テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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