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2021.04.26

味噌汁の基本の作り方。赤・白で違う味噌選び、だし&具の選び方を解説!なめこは豆味噌が◎

豆腐となめこの味噌汁の写真

日本人の食卓には欠かせない味噌汁は、おふくろの味の代表格です。でも毎日のように作っているとマンネリ化してしまったり、イマイチ「わが家の味」が決まらなかったりと、悩んでいる人も多いのでは?

「味噌汁は本当に自由で、奥深い料理です。味噌やだし、具材などの組み合わせは無限大で、しかもどんな風に作っても大抵おいしい! 作る機会が多いからこそ、いろいろ試してみると楽しいですよ」

そう話すのは、全国から厳選した味噌を扱う、老舗の味噌問屋<あぶまた味噌>の佐藤清さん。とはいいつつも、買い物に行くとたくさんの味噌や食材が並んでいて、一体何を組み合わせればいいのか…。料理初心者はとくに最低限のルールがないと作りづらいもの。

そこで今回は、味噌汁について知っておくと役に立つ味噌、だし、おすすめ具材などの基礎知識を、味噌汁を作るときのステップごとに解説していきます。料理初心者の方はもちろん、毎日味噌汁を作っている上級者の方にもおさらいしていただきたい情報が満載です!

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【味噌汁作りのステップ①】味噌の3つの種類を知ろう!

まずは味噌の種類とそれぞれの特徴を知っておきましょう。

◆味噌の原料である麹の違いで分類する方法

味噌の原料は、麹、大豆、塩の3つのみ。味噌の種類は「麹」の種類によって、「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」の3つに分類されます。

味噌の種類の写真

米味噌 米麹、大豆、塩が原料。国内生産の八割ほどを占める味噌。全国各地で造られているだけあって、甘口から辛口まで、味わいはさまざま。
【代表的な味噌】西京味噌(=京都にある特定の味噌蔵で造られる、米麹を多く使用した甘めの味噌)、信州味噌(=長野県を中心に造られる淡色で辛口の味噌)など。
麦味噌 麦麹、大豆、塩が原料。九州や四国地方が主な産地。味わいはまろやかで甘みのしっかりしているものが多い。
【代表的な味噌】薩摩味噌(=鹿児島県で生産されている、淡色で甘口な麦味噌)など。
豆味噌 豆麹、大豆、塩が原料。愛知県を中心とする中部地方で造られている。独特のコクと風味のなかに、ほんのり渋みが感じられるのが特徴。
【代表的な味噌】八丁味噌(=愛知県岡崎市八丁町にある特定の味噌蔵で造られている、長期熟成した豆味噌)。

◆味噌の「色の違い」で分類する方法もある

実は、上記のように使っている麹の違いで味噌の種類を分類する方法のほかに、もうひとつ味噌の種類を分類する方法があります。それは「赤味噌」「淡色味噌」「白味噌」と色の違いで味噌の種類を分類する方法です。色の違いは、製造方法や熟成期間の違いなどによって生じます。

ただし、色で分類する場合、例えば「赤味噌」という分類のなかには、米味噌の赤い色をしたものや、豆味噌という、異なる麹で作った味噌が混在することになります。ちょっとややこしいですよね。

◆田舎味噌? 合わせ味噌? 赤だし味噌?

また「田舎味噌」という呼び方を聞いたことがあると思いますが、こちらは明確な定義はありません。「赤味噌」と同じ米味噌の赤い色をしたものや、麦味噌全般のことを指す場合が。そのほか「合わせ味噌」といって、麹の種類や産地の異なる味噌を合わせたもの、もしくは複数の麹で造られた味噌もあります。

「赤だし味噌」と呼ばれるものがありますが、こちらは豆味噌をベースに、食べやすいよう米味噌を調合した味噌のことを指します。その名前からだしが入っているように思われがちですが、実はだしが入っていない商品の方が多いそう。

味噌の種類っていろいろありそうですが、原材料別に分類するとたった3種類だけなんて意外ですね! いずれにせよ原料の麹を確認すれば、ほとんどの味噌は「麹の違いで分類する」か「色の違いで分類するか」のいずれかの方法で分類することができます。

「どれを選んでいいか迷ったら、まずは自分が今、住んでいる地域や出身地の味噌を試してみるのがおすすめです。きっとなじみのある味噌の味に出合えると思います」

【味噌汁作りのステップ②】だしの種類を知ろう!

だしの材料の写真

ステップ①で味噌汁に使う味噌を決めたら、次なるステップ②では味噌に合わせて「だし」を選びましょう。とくに組み合わせのNGはないので、好みで選んで問題はありませんが、一般的に味噌と相性のいいだしの組み合わせを、以下の表にまとめました。

かつおだし 【相性のいい味噌】どんな種類の味噌にも合う万能だし。地域を問わず、日本各地で味噌汁に使用されている。豊かな香りとしっかりした旨みが特徴。
【調理のコツ】加熱しすぎるとかつお節の雑味が出てくるので、短時間でとるのがおすすめ。
昆布だし 【相性のいい味噌】関西から中国四国地方で造られている白系の米味噌(特に甘みの強いもの)と相性が良く、上品な風味と旨みが味わえる。
【調理のコツ】単独で使用するほか、かつお節と合わせることも多い。
いりこ(煮干し)だし 【相性のいい味噌】豆味噌や麦味噌、赤系の米味噌と一緒に使用されることの多いだし。魚そのものの風味がしっかり感じられる個性の強い味わい。
【調理のコツ】生臭さの原因となる、頭や腹ワタを除いてから使用するのがポイント。

上記のかつおだし、昆布だし、いりこ(煮干し)だしの3つ以外に、かつお節と昆布の合わせだしや、長崎県などでよく使われるあごだし(トビウオを乾燥させたものでとっただし)などがあります。

「どのだしを使えばいいか迷うときは、かつおだし、もしくはかつお節と昆布の合わせだしを選ぶのが無難です。もちろん市販の顆粒だしやだしパックを使用しても構いません。顆粒だしはどんな具材にも合うようバランスよく調合されていて、意外とよくできていると思います」

なるほど! かつおだしはどの味噌とも相性いいんですね。常備しておくと重宝しそうです。

▼だしのとり方など詳しい知識は以下の記事をチェック!

知っておきたい出汁のきほん 鰹節・煮干し編>>

知っておきたい出汁のきほん 昆布・しいたけ編>>

手軽でおいしいだし出汁の取り方、基本のき。味噌汁・うどんにも!>>

【味噌汁作りのステップ③】味噌を入れるタイミングを知ろう!

味噌を溶き入れている様子

意外と知られていませんが、味噌汁を作るときに味噌を加えるタイミングというのは、味噌の種類によって異なります。ステップ③では、味噌を加えるタイミングについて、味噌の種類ごとにまとめました。

米味噌(西京味噌、信州みそなど) 最後(具材を加熱し終わった後)に、火を止めてから加える。
麦味噌(薩摩味噌など) 最後(具材を加熱し終わった後)に、火を止めてから加える。
豆味噌(八丁味噌など) 最初に加えて、具材と一緒に煮る。

米味噌と麦味噌の風味は、90℃以上で長時間加熱すると飛んでしまうので、具材が煮えた後に火を止めてから加えるのが正解。「味噌を入れた後は、沸騰直前(表面がぐらっとし始めた状態のことで、『煮えばな』と呼ばれている)まで温めると、味噌の香りや風味がいちばん引き出されるタイミングです」。

一方で、味噌煮込みうどんなどに使われる豆味噌は香りではなく、旨みを堪能する味噌だと言われています。「加熱しても香りの変化が少なく、その持ち味は煮込むことで強くなるので、具材を入れる前に加えましょう」。

味噌を入れたら「煮立ててはいけない」と思い込んでいたので、ぐつぐつ煮込んでいい味噌もあるなんて知りませんでした!

【味噌汁作りのステップ④】味噌の種類によって違う、相性のいい具材を知ろう!

最後のステップ④では、味噌の種類によって違うおすすめの具材とともに、レシピを紹介します。味噌と具材選びに迷うときは、同じ地域で生産されているものを組み合わせてみるのがおすすめ!

「米味噌」(淡色系)におすすめの具は、淡白な食材を

豆腐とわかめの味噌汁の写真

やさしい風味を持つ淡色系の味噌は、豆腐とわかめのように淡白な味わいの食材と組み合わせて。かつお節と昆布の合わせだしで風味豊かに仕上げます。「日本人でよかった」としみじみ感じる、滋味深い味わいの味噌汁です。

【ほかにもある! 米味噌(淡色系)におすすめの具】
あさりの味噌汁、里芋の味噌汁、大根と油揚げの味噌汁、キャベツの味噌汁

豆腐とわかめの味噌汁のレシピ

<材料>(2人分)

<作り方>

  1. 豆腐は1.5cm角に切る。わかめは水で塩を洗い流し、食べやすく切る。
  2. 鍋にだし汁を入れ、中火にかける。煮立ったら豆腐とわかめを加え、再び煮立ち始めたら火を止める。
  3. 味噌を溶き入れ、弱火にかける。沸騰直前になったら火を止める。器に盛り、ねぎをのせる。

「米味噌」(赤色系)におすすめの具は、パンチのある食材とタッグ!

鯖缶としめじの味噌汁の写真

鯖缶を使った、一見、意外と思える組み合わせ。パンチのある赤色系の米味噌は、その味わいにも負けない個性のしっかりした食材との相性がいいのです。鯖缶は汁ごと使えば、旨みたっぷりなので、だし汁ではなく水でも充分おいしく作れます。

【ほかにもある! 米味噌(赤色系)におすすめの具】
納豆汁、牡蠣と大根の味噌汁、イワシのつみれ汁、ほうれん草の味噌汁

鯖缶としめじの味噌汁のレシピ

<材料>(2人分)

  • 米味噌(赤色系)…大さじ1〜大さじ1と1/3
  • だし汁(いりこだし、または水)…300ml
  • 鯖缶(水煮)…1缶(90g)
  • しめじ…1/2パック(約100g)
  • 小松菜…1/2わ(約100g)

<作り方>

  1. しめじは石づきを除いて小房に分ける。小松菜は 3cm長さに切る。
  2. 鍋にだし汁を入れ、中火にかける。煮立ったら1を加え、2〜3分煮る。鯖缶を缶汁ごと加え、再び煮立ち始めたら火を止める。
  3. 味噌を溶き入れ、弱火にかける。沸騰直前になったら火を止める。

「豆味噌」におすすめの具は、個性の強い食材を選んで

なめこと豆腐の味噌汁の写真

赤色系の米味噌と同様、豆味噌もなめこのように独特の風味、味わいを持つ、個性のはっきりした食材と好相性。豆味噌は渋みを消すために、だしを濃くとる必要があることから「だし食い」とも言われているので、昆布と煮干しの2種類を使った味わいのしっかりしただしがおすすめです。

今回は、豆味噌だけだとやや渋いので、食べやすい赤だし味噌(豆味噌と米味噌の合わせ味噌)を使ったレシピでご紹介します。

【ほかにもある! 豆味噌におすすめの具】
しじみの味噌汁、揚げなすの味噌汁、ぶりの味噌汁、なすの味噌汁

なめこと豆腐の味噌汁のレシピ

<材料>(2人分)

  • 豆味噌(赤だし味噌など)…大さじ1〜大さじ1と1/3
  • だし汁(昆布と煮干しだし)…300ml
  • なめこ…1パック(約100g)
  • 豆腐(絹ごし)…1/2丁(約120g)
  • 長ねぎ(小口切り)…適量

<作り方>

  1. なめこはザルに入れ、流水でさっと洗い、水気をきる。豆腐は1.5cm角に切る。
  2. 鍋にだし汁を入れ、中火にかける。煮立ったら味噌を溶き入れ、1を加えて2〜3分煮る。
  3. 器に盛り、ねぎをのせる。

「麦味噌」のおすすめの具は、甘みを活かしたい野菜がおすすめ!

鶏肉とさつまいもの味噌汁の写真

マイルドな味わいの麦味噌は、野菜の甘み、風味をそのまま活かすのが得意。例えば、麦味噌の味噌汁に鹿児島県の特産品であるさつまいもを加えるのは、現地ではとてもポピュラーな組み合わせです。やさしい甘みが特徴の味噌汁に仕上がります。ほんのり効かせた生姜の風味がアクセントになっています。

【ほかにもある! 麦味噌におすすめの具】
具だくさん豚汁、きのこ汁、白菜の味噌汁

鶏肉とさつまいもの味噌汁のレシピ

<材料>(2人分)

  • 麦味噌…大さじ1〜大さじ1と1/3
  • だし汁(かつおだし)…350ml
  • 鶏もも肉…100g
  • さつまいも…80g
  • 長ねぎ…6cm
  • 生姜のすりおろし…小さじ1/2

<作り方>

  1. 鶏肉は小さめのひと口大に切る。さつまいもは皮つきのまま5mm幅のいちょう切りにし、水に5分ほどさらして水気をきる。ねぎは1cm幅の輪切りにする。
  2. 鍋にだし汁を入れて中火にかけ、煮立ったら1を加える。アクをすくいながら5分ほど煮る。
  3. さつまいもに火が通ったら、火を止めて味噌を溶き入れ、生姜を加える。弱火にかけ、沸騰直前になったら火を止める。

同じ産地同士の味噌と具材の組み合わせなら、確かに相性良さそう! 味噌汁の地域性に注目してみるのも面白いですね。

いかがでしたか? 知れば知るほど奥深い味噌汁の世界。味噌とだし、具材の組み合わせ次第で、バリエーションはいくらでも広がりそうです。ぜひ、いろいろなレシピを試して、「わが家の味」を見つけてみてください。

味噌選びに迷ったらチェック! <あぶまた味噌>のおすすめアイテム

今回、味噌汁を作るのに使用した、<あぶまた味噌>のおすすめアイテムを紹介します。すべて三越伊勢丹オンラインストア、もしくは伊勢丹新宿店で購入可能なので、ぜひ食べ比べてみてください。

【米味噌(淡色系)】甘酒で仕込んだ品のある甘さが特徴「宝来屋本店 蓬莱」

<あぶまた味噌>宝来屋本店 蓬莱

<あぶまた味噌>宝来屋本店 蓬莱(500g) 864円(税込) ※販売期間:通年

甘酒の製造元としても有名な福島県にある<宝来屋本店>が手がける米味噌です。麹を甘酒の状態にしてから蒸し煮にした大豆と合わせ、仕込んだ味噌は、麹の旨みと風味が生きた上品な味わい。塩分控えめなので、味噌汁に入れるとやさしい味に仕上がります。

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※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階

【米味噌(赤色系)】熟成した奥深い味わいが魅力「丸正醸造 大寒造り二年味噌」

<あぶまた味噌>丸正醸造 大寒造り二年味噌

<あぶまた味噌>丸正醸造 大寒造り二年味噌(500g) 702円(税込) ※販売期間:通年

長野県松本にある蔵元<丸正醸造>の信州味噌。原料に米麹と豆麹の両方を使用し、2年寝かせて製造しているため、旨みが非常に強く、個性的な味わいです。塩気がしっかり効いており、味も濃いため、一般的な味噌の8割ほどの量で調味するのがおすすめ。

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※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階

【豆味噌】豆味噌に米味噌をブレンドして食べやすくした「有機赤だし」

<あぶまた味噌>有機赤だし

<あぶまた味噌>有機赤だし(500g) 924円(税込) ※販売期間:通年

延元2年(1337年)創業という、日本でもっとも古い味噌醸造所のひとつ<まるや八丁味噌>が手がける調合味噌。有機の八丁味噌に米味噌をブレンドしています。八丁味噌ならではのコクに米味噌のマイルドさが加わって、食べやすい味わいです。

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※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階

【麦味噌】麦麹ならではの甘み、風味が堪能できる「天塩麦みそ」

<あぶまた味噌>天塩麦みそ

<あぶまた味噌>天塩麦みそ(1kg) 756円(税込) ※販売期間:通年

鹿児島県の味噌蔵、<はつゆき屋>の麦味噌は、素朴でやさしい甘みが楽しめます。一般的な味噌と比べて使用する麹の量が多く、塩分が控えめなので、その分、麦の風味が強く感じられるのが特徴。具だくさんな味噌汁や豚汁にはもちろん、そのままトーストに塗ってもおいしい!

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※取扱い:伊勢丹新宿店 本館地下1階

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写真:難波雄史
文:ケイ・ライターズクラブ

バイヤー・スタイリスト / 佐藤清
全国各地の味噌を食べ比べて新しいメニューに挑戦し、味噌の新たな可能性を探求中。味噌のおもしろさに気づいてもらえるようなご提案ができるよう心がけている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1三越伊勢丹オンラインストアにてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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