2018.11.27
【手作りおせち】<吉兆>が教えるお煮しめのレシピ。丁寧な下ごしらえと強火で一気に煮るのがコツ!
おせちを全部手作りするのは、ハードルが高いもの。でも一品ぐらい手作りしてみたら、ちょっと特別な気分が味わえそう。そこでこの年末は、普段の献立にも取り入れられそうな「お煮しめ」にトライしてみませんか?
シンプルな名前と見た目から「野菜を切って煮るだけでしょ?」と侮るなかれ。お煮しめ作りには、食材に合わせた下ごしらえの仕方や炊き方など、和食の技と知識が不可欠。基本を押さえていないと、ちゃんとおいしく、美しく仕上げるのは、けっこう難しいのです。
ちなみに似たような料理に「筑前煮」がありますが、「筑前煮」は九州が発祥といわれる料理で、1つの鍋で鶏肉と野菜を油で炒めて、干し椎茸の戻し汁で煮ます。
一方「お煮しめ」は関西の料理で、必ずしも煮るまえに炒めません。野菜によって別の鍋で煮てから、ほかの野菜と盛り合わせます。鶏肉を使わないので、昆布とかつおのだし汁を使います。
▼関連記事もチェック!
日本橋の料理長が教えるフライパンで作る「筑前煮」のレシピはこちら>>
今回は<京懐石 正月屋吉兆>の岡田康平料理長に、お煮しめの基本の作り方を教えてもらいました。和食のプロ直伝のレシピには、他の料理でも活かせる調理のコツが盛りだくさん。実は驚くくらい短時間で出来るので、今からでも十分お正月に間に合います。まさに必見です!
▼ほかにもある! 人気のおせちレシピは、以下のバナーをクリック
これぞプロの知恵! お煮しめをおいしく仕上げる3つの秘訣
① 丁寧な下ごしらえで、出来栄えがグレードアップ!
面倒に思えるかもしれませんが、大切なのは、素材一つひとつに合わせた下準備。小さな一手間で、出来上がりに大きな差が生まれます。
② すべての具材を、同じ大きさに揃えるのが鉄則!
盛り付けた時にバランスよく見えるよう、具材を切る時はどれも同じくらいの大きさに。一口大を意識すると、サイズ感が揃いやすくなります。
③ 火加減はずっと「強」! 短時間で一気に炊くのがコツ
煮物は弱火でじっくりコトコト……というイメージがあるけれど、お煮しめの場合、意外にも強火調理が正解。一気に炊きあげることで、しっかり火が通りつつも、煮崩れせず、ほどよく食感を残した仕上がりに。
<京懐石 正月屋吉兆>料理長が徹底解説! 「お煮しめ」の作り方
<材料>3人分
◯にんじん…1本
◯椎茸…5個
◯れんこん…2節
◯ごぼう…50cm
◯かぼちゃ(くし型・2cm幅)…1枚
◯絹さや…6枚
◯和風だし…9カップ
◯濃口醤油…大さじ4
◯みりん…大さじ4
◯砂糖…大さじ2
[煮汁A:かぼちゃ用]
◯和風だし…3カップ
◯薄口醤油…大さじ2
◯みりん…大さじ3
◯砂糖…大さじ1
◯塩(粗塩がおすすめ)…小さじ1
<作り方>
1.昆布とかつお節でだしをとる
お煮しめの味を左右するのが、だし。今回は昆布とかつお節のだしを使いますが、市販の和風だしの素を使ってもOK。「ご家庭でだしをとるなら、煮物に使うだしはあえてかつおの風味を強く出すと良いですよ。まず鍋に水と昆布を入れて火にかけ、沸騰直前で昆布を引き上げます。沸いたらかつお節を入れ、普通なら火を止めてしばらくおきますが、今回は火をつけたまま少し煮出す。そうすると、かつおの旨みが前面に出てきます」
2.【にんじん、椎茸の下準備】 にんじんの皮はしっかり剥いて。椎茸には隠し包丁を
にんじんは皮を剥いて、一口大の乱切りに。「基本的なことですが、にんじんの皮はきれいに剥くことが大事。生の状態だとわからないけれど、皮がちょっとでも残っていると、火を入れた時に目立ってしまいます」椎茸は石づきを取り、4等分にカット。味が染みやすいよう、傘の部分には、一定間隔で斜めにスッスッと切れ目を入れます。
3.【れんこんの下準備】 切る前の湯通しが鍵
れんこんも、にんじん同様、皮は残さず剥いて。皮を剥いた後は、酢(分量外)を入れた水に浸しておくと、アクが抜けて変色も防げます。ポイントは、切る前に湯通しすること。沸騰した湯(3.5ℓ程度、分量外)に塩(2つまみ、分量外)と酢(ひとまわし、分量外)を入れたら、れんこんを丸ごと投入。沸騰させたまま強火で2分ほど湯がき、湯からあげたら再び酢水に入れて冷まします。
「こうすることでスッと刃が通って、きれいな断面になります。生のままだとバリバリッと断面が割れてささくれやすいんですよ。酢れんこんなどを作る時も、一度湯がくと切りやすくなっておすすめです」。確かに惚れぼれするほど美しい断面! れんこんも一口サイズの乱切りにします。
4.【ごぼうの下準備】 素揚げして香ばしく
ごぼうはたわしで水洗いして乱切り。その後、180℃の油で素揚げします。「ごぼうは揚げると余分な水分が抜けて、味が染みやすくなるんです。香ばしさも増すので、よりおいしくなりますよ」。ごぼうが油の表面に浮かんできたら、取り出して油を切ります。
5.【かぼちゃの下準備】 ピーラーで面取りしたら、別に炊く
「かぼちゃは皮だけでなく、種やワタとの境目も薄く剥きます。この部分を取っておかないと、炊いた時グダグダになってしまうので。さらに、くし形の状態で面取りします。ピーラーを使うと簡単なので、これだけでもしておくと違いますよ」
ピーラーでせめてこれだけ、と思えば、だいぶハードルも下がる気がしませんか? 「ピーラーをうまく使うコツは、ピーラーと同時に素材も少しずつ動かすこと。ピーラーだけ動かしても、断面がガタガタしてきれいになりません。包丁で桂剥きなどをする時も同じです」。面取りをしたら、約2cm角にカットします。
切ったかぼちゃは、他の具材とは別に炊きます。小鍋で煮汁Aを沸かし、アクを取ってからかぼちゃを入れて。煮崩れを防ぐため、弱火で煮汁が沸騰しないようにしながら7〜8分。かぼちゃに竹串がスッと通ったら、鍋を火から下ろして冷まします。「煮物は温度が下がる時に味が入っていくので、できたらご家庭でも鍋ごと氷水に入れて冷やしてください」
6.【絹さやの下準備】 下茹でして色鮮やかに
絹さやも別に茹でておきます。「鍋に湯を沸かして塩をひとつまみ加え、しっかり沸騰しているところへ絹さやを入れます。茹で時間は1分ほど。ご家庭では普通のお鍋でOKですが、絹さやに限らず、和食で青もの野菜を茹でる時は銅鍋(あかなべ)が基本。ひときわ青々と色鮮やかに仕上がります」。茹でた後は、氷水にさらして色止め。冷めたら端を落とし、ひし形にカットします。
7.れんこん、ごぼうを先に炊く。ここからはずっと「強火」で!
具材の下準備を終えたら、れんこんとごぼうから炊き始めます。「このタイミングで一口大に切った鶏肉や牛肉(分量外)を入れても、だしが出ておいしくなりますよ。柔らかくて崩れやすいにんじんや、すぐに火が通るしいたけは後から加えます」。鍋にれんこんとごぼうを平らに入れたら、具材がかぶるくらいのだしを注ぎます。火をつける前に、濃口醤油、みりん、砂糖で味付け。「ここから煮詰めていくので、この時点では味は薄めで大丈夫です」
味付けが済んだら加熱。ぐらぐらと強火で炊いて、具材に味を染み込ませます。「強火で一気に炊くことで、歯ごたえを残しつつも柔らかく仕上がります。具材がだしに十分浸かっているので、落とし蓋はいりません。ここではかき混ぜたりせずに様子を見ます」
8.煮汁が2/3になったら、にんじん、椎茸を加える
煮汁の量が2/3ほどに減ったら、にんじんと椎茸を加えます。火加減は強火のまま。
「ここからは煮汁がどんどん減っていくので、全部の具にしっかり火が通るよう、途中何度かゴムベラなどでかき混ぜてください」
9.煮汁が残り少なくなってきたら、ときどき鍋をあおる
「煮詰まって煮汁が少なくなったら、時々鍋をあおると照りが出ます」。あおるのが難しい場合は、ゴムべらでさっと混ぜて。煮汁がほとんどなくなったら完成! こちらもできたら鍋ごと氷水につけておきます。
10.盛り付け
よく冷ましたら、かぼちゃや絹さやと一緒に盛り付け。「各具材の量を均等にするのがコツ。にんじんの赤、しいたけの黒、かぼちゃの黄色をバランスよく散らすときれいですよ。最後に絹さやを添えれば、一気に彩りよくなります」
完成したお煮しめは、どの具材も煮崩れずエッジが立ってつやつや。加熱時間は30分足らずなのに味がしっかり染みて、れんこんのシャキシャキ感も、ごぼうの香ばしさも絶妙です。後から入れたにんじんも、ちゃんと火が通ってほくほく! 驚きのおいしさに、スタッフ一同、試食の手が止まらないほどでした。<京懐石 正月屋吉兆>ならではのワンランク上の「お煮しめ」、ご家庭でも試す価値ありです!
▼関連記事もチェック!
日本橋の料理長が教えるフライパンで作る「筑前煮」のレシピはこちら>>
◆こちらもチェック!人気のおせちレシピ
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
Ranking
人気記事ランキング