2024.04.02
【基本】たけのこの土佐煮プロのレシピ。かつお節のダブル使いでうま味たっぷり!
シャキシャキした食感のたけのこに、かつお節のうま味が染みた「たけのこの土佐煮」。皮付きの生たけのこが出回る季節に、一度は味わいたい和食の定番です。
材料はゆでたけのこ、合わせ調味料、かつお節とシンプルなので、「一緒に煮れば何となく美味しく作れそう」と思いがちですが、たけのこに味が入らなかったり、かつお節の生臭みが出てしまったり、残念な仕上がりになった…という声も。生のたけのこを煮るところから作るなら、なおさら失敗したくないですよね。レシピを調べてみても、煮汁が多いものと少ないものとあって、味の違いも気になります。
そんな不安や疑問を解消すべく、料理研究家の橋本加名子さんに、たけのこの土佐煮のレシピを教わりました!
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味わい深い!「たけのこの土佐煮」3つのポイント
「土佐煮とは、かつお節を煮汁に加えたり、仕上げにまぶしたりしてうま味を効かせた煮物のこと。私がご紹介するレシピでは、かつお節をだし汁用と仕上げにまぶす用とでダブル使いにします。さらに、煮汁を飛ばして少なく仕上げるので、濃厚なうま味をたけのこにまとわせることができます。
たけのこに味を含ませる方法や、仕上げの削り節の扱い方など、いくつかポイントがあるのでチェックしてから作ってみてください」
それではさっそく、3つのポイントを押さえていきましょう!
【ポイント①】たけのこは、切ってから下ゆですること。味が入りやすくなり、口当たりも良くなる!
市販のたけのこの水煮を買うと、節と節の間に白い粒々がついているのを見たことはありませんか? これは「チロシン」と呼ばれるアミノ酸の一種がかたまったもの。食べても体に害はありませんが、口当たりが悪くなるので、切ってからさっと下ゆでして落としましょう。
また、たけのこはかたくて味が入りにくい食材ですが、下ゆですることで余分な水分が蒸発して、煮汁の味が入りやすくなる効果もあります。
【ポイント②】たけのこを煮汁で煮たら、一旦冷ますこと。味がよりなじむ!
たけのこを合わせ調味料で煮汁が少なくなるまで煮含めたら、一旦冷ましましょう。冷めるにつれて煮汁がたけのこに染み、より味がなじみます。また、煮るときは落としぶたをすると、煮汁が全体にまわって味が均等に入ります。
このポイントは和食の煮物の基本です。ぜひ覚えておきましょう。
【ポイント③】仕上げに加えるかつお節は、炒ってから使うこと。生臭みが飛んで風味が増す!
仕上げに加えるかつお節は、袋から出してそのまま加えるとかつおの生臭みが出てしまいます。鍋で乾炒り(からいり:水や油を入れず材料を炒めること)し、香ばしさを引き出してから加えると、風味がアップしてより美味しくなります。ちょっとしたひと手間なのですが、美味しさの違いを感じられるので、ぜひ試してください。
また乾炒りすることでかつお節が細かくなり、たけのこ全体にまぶしやすくなるので、うま味をしっかり味わえます。
かつお風味を効かせた「たけのこの土佐煮」の作り方
<材料>(作りやすい分量)
- ゆでたけのこ…中1本(約200g)※皮付きの生たけのこのゆで方はこちら>>
- 【合わせ調味料】
・だし汁(かつお節と昆布の一番だし)…300ml
・酒…大さじ1
・みりん…大さじ1
・うす口しょうゆ…大さじ3/4 ※なければ濃口しょうゆ大さじ1で代用可 - かつお削り節…5g
- 【好みで飾り用】
・菜の花の塩ゆで…適量 ※木の芽でもよい
<作り方>
1. たけのこを食べやすい大きさに切り分ける
たけのこを切り分ける。まずは縦半分に切る。
「穂先のまわりの皮が幾重にも重なった部分は、姫皮(ひめかわ)と呼ばれる部位です。市販のたけのこの水煮にはついていないので、自分で生のたけのこを下ゆでした場合、『ここは食べられるの?』と迷うかもしれませんが、とてもやわらかく繊細な味わいです。生のたけのこをご自宅でゆでるからこそ楽しめるご馳走なので、捨てずに美味しくいただきましょう」
たけのこのまわりのヒラヒラとした部分は、指でめくって取り除く。
「つけたままでもかまいませんが、取り除いておくと口当たりと見栄えが良くなります。取り除いた部分は、はがれた姫皮と一緒にして、お吸い物や、梅肉和えなどの和えものの具に加えれば美味しくいただけます」
縦半分に切り、さらに写真のように切り分ける。
「穂先の部分はやわらかいので長めの半分に。その下の中心部分は1.5cm厚さ、根本部分はかためなので1㎝厚さのいちょう切りにします」
2. たけのこを下ゆでする
鍋に水を適量入れて火にかけ、沸騰したら1のたけのこを入れる。ふたたび沸騰したら、たけのこを取り出してザルにあげ、火を止める。
3. たけのこを合わせ調味料で煮る。煮汁が少なくなったら火から下ろし、一旦冷ます
鍋の湯を捨ててさっと洗い、合わせ調味料の材料を入れて中火にかける。煮汁が沸いたら2のたけのこを加え、落としぶたをする(鍋のサイズに合わせて円形に切ったクッキングシートで可)。もう一度沸いたら、クツクツと煮立つくらいの火加減に弱め、煮汁が少なくなるまで煮る。
写真のように、鍋底にうっすら煮汁が残るくらいにまでになったら、火を止めてそのまま冷ます。
「一旦冷ますことで、たけのこに味がしっかり入ります」
4. かつお削り節をフライパンで乾炒りする
フライパンを弱めの中火にかけ、かつお削り節を入れる。焦げないよう、木べらで絶えずかき混ぜ(上写真)、水分が飛んでカサカサという音がしてきたら火を止める(下写真)。すぐにボウルなどに取り出す。
「少し煙が立つくらいまで、香ばしく炒ってください。火を止めてからそのままにしておくとフライパンの余熱で焦げてしまうので、すぐにボウルなどに取り出しましょう。フライパンで炒るのが面倒であれば、耐熱皿にかつお節を広げ、ラップをかけないで電子レンジ(600W)に90秒ほどかけてもOKです」
5. 3のたけのこに4のかつお削り節をまぶす
3の鍋をふたたび中火にかけ、煮汁が沸いてきたら4の削り節を加え、全体にまぶすように混ぜ合わせて火を止める。器に盛り、好みで塩ゆでにした菜の花を飾る。
「たけのこが冷めたら、なるべく早めに削り節をまぶしましょう。土佐煮は温かい状態でも、冷めても美味しくいただけます。菜の花の代わりに、香りの良い木の芽(山椒の若葉)を添えるのもおすすめです」
【実食】たけのこの土佐煮。シャキシャキのたけのこに、かつお節の濃厚なうま味が染みている!
一口食べるとかつお節の濃厚なうま味が広がり、旬のたけのこならではの食感と香り、みずみずしさとのバランスが絶妙です! かつお節は炒ってあるので香ばしく、たけのこ全体にしっかりまぶされていて、これは後を引く美味しさ…。
今まで自分が作っていたたけのこの土佐煮は、汁気が多い仕上がりのレシピでしたが、今回のレシピは汁気がほぼない仕上がりで、冷めても味が変わらず、お弁当のおかずにも最適だと思いました。
シンプルながら奥深い「たけのこの土佐煮」、みなさんもどうぞお試しください!
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橋本加名子さん
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」主宰。企業で働きながら子育てをした経験を活かし、「体にやさしくて、作りやすい家庭料理」を提案し続けている。飲食店のプロデュースやフードコーディネートにも携わる他、雑誌、書籍、ウェブサイト等で活躍。『ホットクックお助けレシピ』シリーズ(河出書房新社)、『たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)など著書多数。
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