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2024.02.07

【プロ直伝】スコーンの基本レシピ。プレーン、全粒粉、チョコの3種を紹介!

スコーンの出来上がりイメージ

「ヌン活」という言葉が生まれるほど、今大人気の英国式アフタヌーンティー。そのお供に欠かせないスイーツといえば、焼きたてのスコーンですよね。そこで今回は、「おうちで手作りスコーンを焼いて、ティータイムを充実させたい!」という方のために、とっておきのスコーンの作り方を丁寧に解説します。

「スコーンは思い立ったらすぐに焼けるのが魅力です。身近な材料で簡単に作れるので、お菓子作り初心者でも大丈夫」

そう話すのは、お菓子教室<Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)>を主宰する西山朗子さん!

「今回は、英国式のジャムやクロテッドクリームと合わせる食べ方で楽しみたい、ふわっ、サクッとした食感のスコーン(プレーン)の基本レシピをご紹介します。併せて、全粒粉スコーンチョコレートスコーンのアレンジも紹介するので、ぜひ作ってみてください。焼きたてをいただけるのは、手作りならではの贅沢ですよ!」

西山朗子さんのレシピ一覧はこちら>>

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スコットランドから広まった英国式スコーン

スコーンの歴史はとても古く、その起源は16世紀のスコットランドといわれています。それが英国に伝わり上流階級や富裕層の社交の場であるアフタヌーンティーやティータイムの場で、紅茶とともに親しまれていました。それから時代が進み、お茶文化が一般大衆に広まるにつれ、スコーンも英国の人々にとって欠かせない食べ物として定着したのだとか。

スコーンセットのイメージ

そんな英国式と呼ばれるスコーンの食べ方とは、甘さ控えめで、ジャムやはちみつ、クロテッドクリームとよばれる乳脂肪分の高いクリームを添えていただくのが一般的です(プレーンなスコーンの場合)。「スコーンは食感がモサモサしていて苦手」という声も聞かれますが、クリームや紅茶と一緒に味わうことで完成する美味しさこそ、英国式スコーンの醍醐味ともいえます。

プレーンなスコーンのレシピはこちら>>
全粒粉スコーンのレシピはこちら>>

チョコチャンクスコーンのイメージ

また、アメリカ系のコーヒーショップでもスコーンを見かけます。こちらはコーヒーに合うよう、生地自体の甘味がしっかりとしていて、チョコやバナナ、クランベリーなど、マフィンに使われる具材が入ったスコーンが人気のようです。

チョコレートスコーンのレシピはこちら>>

「スコーン」を食感よく仕上げる3つのポイント

「スコーンにはいろいろな作り方やタイプがあり、味わいや食感の好みも人それぞれ。だからこそ、自分好みのスコーンのレシピを追求するのが楽しいのですが、私がこれだ! と気に入って作っているのが、海外で暮らしているときに出合った『バターミルク』を使ったスコーンです。

ただしバターミルクは日本では手に入りにくいので、今回は身近なある食材で代用しています。また、スコーンの作り方はシンプルですが、混ぜ方や生地のまとめ方が食感を左右するので、以下のポイントをしっかりチェックしてください」

【ポイント①】バターミルクを酢+牛乳で再現! ふわっ、サクッと食感がよくなる

「私が住んでいたシンガポールでは、牛乳に乳酸菌を加えて発酵させた『バターミルク(培養バターミルク)』が身近に売られていました。酸味が強く、焼き菓子やパンに入れて使うと食感がよくなるので、調味料的に使われていて、私もスコーンを作るときに加えてみたところ、ふわっ、サクッとして、とても美味しかったんです。

このバターミルクは日本ではあまりなじみがなく、手に入りにくいので、今回のレシピでは酢と牛乳を混ぜたもので代用する方法をご紹介します。ヨーグルトで代用するレシピも見かけますが、それよりもずっとバターミルクの性質に近く、手軽に作れるので、ぜひ試してみてください」

【ポイント②】食感を損なうグルテンをおさえる! 冷たいバターを使い、生地は練らない、こねないこと

「小麦粉にバターや牛乳といった水分が加わると、練ることで小麦粉に含まれる2種類のタンパク質が結びつき、『グルテン』という成分が生まれます。このグルテンが粘りと弾力の基となり、グルテンが多いほど固くボソッとした食感のスコーンになってしまいます。

グルテンは生地の温度が高くなることでも発生するので、バターは冷たい状態で使用。手早く細かくして粉と合わせ、練らないよう、さっくりと混ぜることが肝心です。まだ粉気が残った状態でビニール袋に移し、こねないよう、袋の上から押さえてまとめましょう」

【ポイント③】重曹とベーキングパウダーをダブル使い! 生地がよく膨らんで、ふわっと感がアップする

スコーンは膨張剤を使って膨らませます。膨張剤には「ベーキングパウダー」と「重曹(ベーキングソーダ)」の2つがあり、よく見かけるレシピはベーキングパウダーだけを使ったもの。

「私は両方使います。その理由は、ベーキングパウダーは生地が縦に伸び、重曹は生地が横に伸びるという特性の違いがあるから。併用することでよく膨らみ、よりふわっとした食感になります。ただ、重曹を使うと焼き色がきれいにつくのですが、独特の苦みや臭いが出るんです。でも心配はご無用。酢が入ることで(アルカリ性の重曹が酸で)中和され、苦みや臭いがなくなります」

モサモサ固くない! サクッと口溶けのよい「基本のプレーンスコーン」の作り方

<材料>(直径5.5cmの丸型10個分)

スコーンの材料のイメージ

  • 牛乳(成分無調整)…100g
  • 酢(米酢、穀物酢、白ワインビネガーなど)…10g 

  • ・薄力粉…300g
    ・グラニュー糖…35g
    ・ベーキングパウダー…10g
    ・重曹(ベーキングソーダ)…2g
    ・塩…1.5g
    ・バター(食塩不使用、1.5㎝角)…100g ※冷蔵庫で冷やしておく。夏場は冷凍庫でカチカチにならない程度に冷凍しておく
  • 【ツヤ出し用】
    ・卵黄…少量 ※全卵または牛乳で代用可

<作り方>

1. 牛乳と酢を混ぜ合わせ、トロミが出るまで室温に15分ほどおく

酢と牛乳を混ぜたイメージ

カップ(またはボウル)に牛乳と酢を入れてよく混ぜ合わせ、トロミが出るまで室温に10~15分おく。

「酢の成分によって牛乳が凝固して、トロミが出ます。酢のせいで生地が酸っぱくはならないので安心してください」

2. フードプロセッサーにAの材料を順に入れる。全体がサラサラとした状態になるまで攪拌し、ボウルに移す

バターを加えるイメージ

バターが細かくなったイメージ

フードプロセッサーにAの材料を順に入れる(上写真)。バターが細かくなって、全体が粉チーズのようなサラサラとした状態になるまで攪拌する(下写真)。

「生地はフードプロセッサーを使わなくても作れますが、バターを素早く細かくできるので、バターが溶けにくいんです。グルテンの発生を抑えられるので、このやり方がおすすめです。フードプロセッサーがない場合は、以下の方法で作ってください」

【フードプロセッサーがない場合の作り方】

カードでバターを刻むイメージ

ボウルにを順に入れ、粉をまぶしながらバターをカードで刻む(写真)。できる限りバターを細かくして、全体がサラサラとした状態になったらOK。

3. 1を加え、カードで上下を返すように混ぜ、全体に水分をいきわたらせる

生地に牛乳を加えるイメージ

2をボウルに移し、1を一度に加える。

生地を混ぜているイメージ

底にカードを差し込み、ボウルを45度程度回しながら、その都度、生地の上下を返すよう動かし、さっくりと混ぜる。

生地を混ぜ終えたイメージ

水分が全体にいきわたったら、混ぜるのをやめる。

「まだ粉気が残ったボロボロとした状態でも、水分が全体になじんだら混ぜるのをやめましょう。混ぜ過ぎると生地が練られてグルテンが発生し、食感がギュッと固くなってしまいます」

4. ビニール袋に移し、袋の上から両手で押さえて生地をまとめ、冷蔵庫に入れて30~60分寝かせる

生地を袋に移すイメージ

生地をビニール袋に移す。

「生地を袋に移すときは、保存容器などにビニール袋を固定するとやりやすいです」

生地を押さえるイメージ

生地を袋の中でまとめたイメージ

ビニール袋の上から生地を両手で押さえ(上写真)、中の空気を抜きながらひとまとめにする(下写真)。ビニール袋の口は折り畳み、冷蔵庫に入れて30分~60分寝かせる。

「生地をまとめるときは、袋をもんだりせず、ただ押さえるだけで十分です」

5. 生地を麺棒で厚さ2㎝にのばし、ふたたび冷蔵庫に入れて30分ほど寝かせる

生地に粉をふるイメージ

30㎝四方に切ったクッキングシートに打ち粉(強力粉、分量外)をふり、冷蔵庫で寝かせておいた生地を長方形に整えてのせ、生地の上にも打ち粉を軽くふる。

麺棒を転がすイメージ

麺棒に打ち粉をつけ、生地を厚さ2㎝×12㎝×18cm程度の長方形にのばす。

「生地を均等な厚さにのばすための、ルーラーという専用の道具を使うと便利。2本並べた間に生地を置き、麺棒を転がすと簡単に一定の厚さになりますし、両端もまっすぐになるのでおすすめです。私はホームセンターで売っている幅2㎝の木製角材を使って代用しています」

割れた生地をくっつけるイメージ

生地の縁の割れた部分を指でつまみ、くっつけて形を整える。ラップで包み、冷蔵庫に入れて30分ほど寝かせる。

「生地の割れをそのままにしておくと、焼いたときに割れが左右に広がり、見栄えがよくありません。面倒でもきちんとつまみ、生地の裏側も割れていないかチェックしましょう。生地をふたたび寝かせると、生地が冷え固まって型抜きしやすくなります。一晩寝かせてもOKなので、夜にここまで済ませておけば、翌日食べたいタイミングですぐにスコーンを焼くことができます」

6. 生地を型で6個抜き(1番生地)、残った生地をまとめて3個抜き(2番生地)、同様に1個(3番生地)と型抜きしていく

「今回は丸型で抜く方法をご紹介します。型がなければ、包丁で三角形や四角形など好きな形に切ってもOKです。どんな形にするにせよ、生地の厚さは2~3cmに揃えることが大切です。

スコーンは最初にのばした1番生地でできるだけ多く抜くのがベスト。残った生地をまとめ直すごとに、食感と生地の見栄えが悪くなるからです。まずは1番生地で6個抜き、次に2番生地で3個、最後に3番生地で1個抜いていきましょう」

6個抜くイメージ

冷蔵庫から5の生地を取り出す(1番生地)。型に打ち粉(強力粉、分量外)をつけて生地にのせ、上写真のようなイメージで6個抜く。

型の左右を押さえて生地を抜くイメージ

型抜きするときのポイントは、型の左右を両手を使って押さえて抜くこと。

「両手を使って型の左右を押さえて抜くと、均一の厚みを保ったまま型抜きできます。また、プラスチック製よりも、金属製の型のほうがきれいに抜けます」

【ここに注意!】片手で型をギュッと押すと形が悪くなる

型を上から押して抜くイメージ

「ちょっとしたことですが、スコーン生地を美しく型抜きするためにはポイントがあります。写真のように片手で型をギュッと押さえて抜くのは避けましょう。せっかく厚みを揃えてのばした生地が薄くなり、型が触れた部分だけが凹み、真ん中が盛り上がった形になってしまいます」

生地を寄せ集めるイメージ

残った生地を適当に切り分け、1つに寄せ集める(2番生地)。

「この2番生地から、3個分を型抜きするため、生地を寄せ集めてから麺棒でのばしていきます。このとき生地を練らない、こねないようにしたいので、次に紹介する工程でやってみてください」

生地を立てて寄せるイメージ

寄せ集めた生地を90度立てて(側面だった赤色の斜線部分を上にする)、上から押さえて生地の間の空気を抜く。

生地をつまんで寄せるイメージ

麺棒でのばしやすくするため、上面(赤色の斜線部分)を手で平らにならして長方形に整える。

「残り生地をこねてまとめると食感が悪くなってしまいますが、このやり方なら、こねなくてもしっかりつながります」

生地を1列分のばすイメージ

上面(赤色の斜線部分)に麺棒をあてて、厚さ2㎝×6㎝×18cm程度の長方形にのばす。

生地を抜くイメージ

打ち粉をまぶした型で、3個抜く。これで2番生地の型抜きは終了。

生地を1個分のばすイメージ

残った生地は、2番生地をまとめた要領で同じように厚さ2㎝の正方形にのばす(3番生地)。打ち粉をまぶした型で1個抜く。余った生地は、寄せ集めて丸くする。

7. 卵黄を塗り、180℃に予熱したオーブンで18~20分焼く

卵黄を塗るイメージ

クッキングシートを敷いた天板に6の生地を並べ、生地の表面に、溶いた卵黄をハケで塗る。180℃に予熱したオーブンに入れ、焼き色がつくまで18~20分焼く。

「きれいな焼き色をつけるために卵黄を塗ります。全卵や牛乳でもよいですが、仕上がりは卵黄、全卵、牛乳の順にきれいな焼き色がつきます」

スコーンの出来上がりイメージ

【実食】クロテッドクリームとジャムをのせた「スコーン」。紅茶を合わせると、より美味しくなる!

スコーンセットのイメージ

焼きたてのスコーンから、粉とバターの穏やかな香りが漂います。厚みの真ん中の割れ目に沿ってナイフを入れ、2つに割り、クロテッドクリームとジャムをたっぷりのせていただきます。さっくりとした生地は口の中でもたつくことなく、紅茶を含むとホロホロッと溶け、次の一口が欲しくなりました。これぞベストマッチ!

「スコーンは冷めた状態だと食感が固くなり、せっかくの美味しさも半減です。冷めたらアルミホイルで包み、オーブントースターで温めて召し上がってください」

焼きたてのスコーンに季節のジャムと合わせ、おうちでゆったりお茶を楽しむ。そんな素敵な時間を過ごしてみませんか? 最後に、全粒粉スコーンとチョコレートスコーンのアレンジレシピも紹介しているので、そちらも作ってみてくださいね。

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伊勢丹英国展 2024(開催期間:3月6日(水)~12日(火))>>

粉や具材を変えて楽しむ! スコーン2種

「基本のプレーンスコーンをベースにして、粉をアレンジした全粒粉のスコーンと、具材をアレンジしたチョコチャンクスコーンの2種をご紹介します。ほかにも、ナッツやドライフルーツを足したり、ハーブやスパイスを足して食事系のスコーンを作ったりと、お好みでアレンジを楽しんでみてください」

【アレンジ① 】全粒粉のスコーンのレシピ

全粒粉スコーンのイメージ

小麦の粒をまるごと挽いて粉にした、全粒粉を混ぜたスコーン。ざっくりとした食感と、噛むごとに広がる粉の滋味が楽しめます。ジャムやはちみつも合いますが、ハーブ入りのクリームチーズやサーモンなどを合わせると食事系として楽しめ、朝食やランチにもおすすめです。こちらもアルミホイルで包み、オーブントースターで温めていただきましょう。

<材料と作り方>(直径5.5cmの丸型10個分)

材料は、基本のプレーンスコーンの薄力粉300gを「薄力粉200g+全粒粉100g」に変え、グラニュー糖を「きび砂糖(同量)」に変える。

作り方は基本のプレーンスコーンと同じ。

【アレンジ②】チョコチャンクスコーンのレシピ

チョコチャンクスコーンのイメージ

アメリカ系のコーヒーショップで売られているスコーンのように、ゴロゴロッとしたチョコレートチャンクをたっぷり入れたスコーン。型で抜かず、ラフに三角形に切り分けるので、より手軽に作れます。何もつけずにそのまま食べるのが美味しいので、プレゼントにもおすすめです。

<材料と作り方>(三角形8個分)

材料は、基本のプレーンスコーンの材料に「チョコレートチャンク(1.5cm角のチョコレート)100g」を追加。

作り方は基本のプレーンスコーンと同じ。異なる作業は、作り方3で酢を混ぜた牛乳とともにチョコレートチャンクを加え、作り方6で生地を2㎝厚さにのばし、8等分の三角形に切り分ける。あとは同様にして焼く。

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西山朗子さん

西山朗子さんお顔写真

お菓子研究家。東京・二子玉川で「Le Petit Citron(ル・プティ・シトロン)お菓子教室」を主宰。生徒からは「あっこちゃん先生」と呼ばれ親しまれている。

パリ「ベルエ・コンセイユ」でお菓子作りを学び、「ピエール・エルメ」でスタジエを務める。日本橋三越のフランス展や三越伊勢丹オンラインストアにて、フランス地方菓子の販売(不定期)も行っている。

著者『世界一かんたんな手作りお菓子』(主婦の友社)、『生地を冷凍しておける かんたん焼き菓子レシピ』(マイナビ)、『フランスの季節を楽しむお菓子作り』(エイ出版社)など。

西山朗子さんのレシピ一覧はこちら>>

@akiko_citron

撮影:吉澤健太
文:香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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