2023.04.11
【シェフ直伝】シンプルな「じゃがいもガレット」のレシピ。つなぎなしで外カリカリッ!
価格も手頃で、どんな料理にもなじむ家計の救世主、じゃがいも。今回は、そんなじゃがいもが主役の料理、「じゃがいもガレット」のレシピを紹介します。
「ガレット」とは、フランス語で丸くて平らな食べ物などのことを指します。ちなみに、日本で有名なそば粉のガレットやガレット・デ・ロワの「ガレット」も同じ意味。つまり、今回ご紹介する「じゃがいもガレット」も、みんな丸くて平らなガレットの仲間というわけです。
今回、じゃがいもガレットの基本の作り方を教えてくれるのは、伊勢丹新宿店<キッチンステージ>の柬理美宏シェフ。
「じゃがいもと調味料だけで作るシンプルなガレットの作り方です。小麦粉やチーズ、卵などを『つなぎ』に加えるレシピも多いですが、今回はつなぎを使いません。紹介する4つのポイントを守れば、外側はカリカリ、中はねっとりとじゃがいものおいしさを堪能できる仕上がりになりますよ」
じゃがいもでねっとりとした食感を味わえるなんて初めての体験です。記事の最後には、お酒に合わせたいときやご飯のおかずにしたいときにおすすめの、じゃがいもガレットにのせるトッピングやアレンジレシピもご紹介。ぜひ試してみてください!
つなぎなし! 外カリカリ、中はねっとり甘い「じゃがいもガレット」を作るコツ
【ポイント1】じゃがいもは水にさらさず、でんぷん質で焼きかためる
今回のレシピでは、つなぎを使わず、じゃがいものでんぷん質を利用して焼きかためます。でんぷん質を流すためにせん切りにしたじゃがいもを一度水にさらすレシピもありますが、でんぷんが必要な要素となるため、水にさらさず使用します。
【ポイント2】1%の塩をもみ込み、味つけと脱水を同時に! 旨みをぎゅっと凝縮させる
切ったじゃがいもに下味をつけると同時に、余分な水分を引き出すために、じゃがいもの量に対して1%の塩を加えてもみ込みます。このひと手間でじゃがいもの旨みが凝縮し、濃い味わいに仕上がります。さらに、じゃがいもから余分な水分が抜けるので、カリッと焼き上げることができます。
【ポイント3】強火はNG!「弱火でじっくり焼く」が、外側をカリッと仕上げるコツ
こんがりきつね色にするためには、火加減は「強火にすればいい」と思いがちですが、これは間違い。実は、カリッと仕上げたいときの火加減は「弱火でじっくり」が鉄則です! 強火だと短時間での加熱になってしまうため、中が生焼けになる原因にも。じっくり火を入れることで、じゃがいものでんぷんが糖に変わり、中はねっとり甘く、表面はこんがりとした焼き上がりになります。
塩で脱水させることで旨みが凝縮するなんて驚きました! カリカリに仕上げるには強火ではなく、弱火というのも意外で、どんな食感に仕上がるのか楽しみです。
それでは実際にレシピを見ていきましょう。
【シェフ直伝】外はカリッ&中はねっとり! じゃがいもガレットの作り方
<材料>(3~4人分/直径約20cm大1枚分)
- じゃがいも…4~5個(正味500g) ※今回はメークインを使用。男爵いも、きたあたりなど好みの品種でOK
- 塩…小さじ1(5g) ※じゃがいもの量の1%
- こしょう…適量
- サラダ油…大さじ2 ※オリーブオイルで代用可
- バター(有塩、5㎜角に切る)…20g
- 好みで粗塩、粗挽き黒こしょう…各適量
<作り方>
1.じゃがいもをせん切りにする
じゃがいもの皮をむき、スライサーを使ってせん切りにする。
「2~2.5㎜幅にスライスできるスライサーがおすすめです。目の細かいスライサーで細く切ることで、じゃがいも同士がくっつき、まとまりがよくなります。また、じゃがいもの長さや幅はできるだけ均一にするのがベター。長さや幅にばらつきがあると、焼くときに油の吸い込み方にムラができてしまいます。今回使用したメークインは形が長細いので、スライサーに斜めに当てるとちょうどいい長さのせん切りに仕上げることができますよ」
スライサーがない場合は、包丁でじゃがいもを約2㎜幅の薄切りにして重ね、せん切りにする。
2.じゃがいもに塩をもみ込み、余分な水分を絞る
1のじゃがいもをボウルに入れ、塩小さじ1(5g)、こしょう適量を加えて手のひらで握るようにしてもみ込む。
「塩をじゃがいもにもみ込むことでしっかり下味をつけます。もみ込むうちに塩の浸透圧でじゃがいもから水分が出てきてしんなりし、だんだんかさが減ってきます。もみ込んだあとに時間をおく必要はありません」
元の量の2/3くらいまでかさが減ってきたら、じゃがいもの余分な水分を絞る。
「つなぎとなるでんぷんも流れてしまうのでは? と心配になるかもしれませんが、必要なでんぷんはじゃがいもにしっかりまとわりついているので大丈夫です。余分な水分が残っていると味がぼやけるだけでなく、焼くときに必要以上に時間がかかってしまってカリカリになりません」
3.フライパンにじゃがいもを広げる
火にかけるまえのフライパンにサラダ油を引き、2の水気を絞ったじゃがいもを入れて厚みが1cmになるように均等に広げる。
「今回は直径26cm、底の直径20cmのフッ素樹脂加工のフライパンを使用しました」
4.中火にかけて温まったら弱火にして、形を整えながら10分焼く
中火にかけてフライパンが温まったら弱火にし、ゴムベラなどを使って全体を丸くまとまるように、ふちと上面を押さえながら10分ほど焼く。
「ゴムベラで押さえながら焼くことで、じゃがいも同士がくっつき、きれいな形になります」
5.上下を返して、10分焼く
フライパンに皿をかぶせて上下を返し、ガレットを皿に移す。そのまま皿を斜めにしてすべり落とすように、ガレットをフライパンに戻す。同様に弱火で10分ほど焼く。
「この段階はまだじゃがいもが崩れやすいので、皿を使ってひっくり返してください。フライパンより小さめの皿を使うと返しやすいですよ」
6.バターを2回に分けて加え、その都度2~3分焼く
ガレットのまわりに2/3量のバターを入れ、弱火で2〜3分ほど焼く。
「焼くときは時折フライパンをゆすってじゃがいもを回しながら焼くと、焼き色がきれいにつきます」
もう一度ガレットの上下を返し、残りのバターも同じようにガレットのまわりに入れ、弱火で2〜3分ほど焼く。
「この状態もまだじゃがいもが崩れやすいので、皿を使ってひっくり返しましょう」
7.さらに何度か上下を返し、こんがりと焼き色がつくまで焼く
何度か上下を返し、こんがりと焼き色がつくまで焼く。写真のように焼き目がまんべんなくついたらでき上がり。器に盛り、好みで粗塩や粗挽き黒こしょうをふる。
「バターを加えて焼きかためたあとは、ほとんど崩れにくくなっているので、フライ返しを使って返しても大丈夫です」
バターの香りとじゃがいもの甘みが口いっぱいに広がる、じゃがいもガレットの完成!
こんがり焼き色のついたじゃがいもガレットをいただきます。外はカリッと中はねっとりとした食感で、しっかり引き出されたじゃがいもの甘さと旨みに感動! 作り方を教えてもらいながら、「シンプルな料理なのに、意外と手間と時間がかかるんだな」というのが正直な感想でしたが、出来上がりを食べてみてその美味しさに驚きました。
これぞ、手間と時間をかけた分だけ美味しくなる料理。時間に余裕のある週末のブランチなどにぜひ挑戦して、この味わいを堪能してみてください。最後に柬理シェフのおすすめトッピングを教えてもらったので、以下にまとめました。ぜひお試しあれ!
【アレンジレシピ】ごちそう度がアップする! じゃがいもガレットのトッピング3選
じゃがいもガレットはそのまま食べてももちろん美味しいのですが、トッピングをすることでさらにごちそう感がアップします。
▼ワインに合わせるなら
サワークリーム×スモークサーモン×ハーブ
じゃがいもガレットの上にサワークリームとスモークサーモンをトッピングして、ディルなどのハーブをちらす。
▼ビールに合わせるなら
ベーコンとアスパラのソテー×粉チーズ
フライパンでベーコンとアスパラをソテーし、じゃがいもガレットにのせ、粉チーズをふる。
▼ご飯のおかずにするなら
五目あんかけ
鍋に鶏ガラスープ:醤油:みりんを8:1:1の割合で入れて温め、せん切りにした根菜やきのこを加えて煮る。具材に火が通ったら水溶き片栗粉でとろみをつけ、五目あんかけを作る。これをじゃがいもガレットにかける。
【プロの愛用品】<貝印>均一なせん切りがスピーディーにできるスライサー
柬理シェフがプロ目線でおすすめする調理道具を紹介します。今回のようにたくさんのせん切りをするときに便利なスライサーを紹介します。
トンネル状のクランク刃を通すことで、包丁を使って刻んだような角のある美しいせん切りができます。押し引き両動作対応でスピーディーに作業可能ですが、今回のじゃがいもガレットを作るときは押し出すように一方向のみにすることで細胞をつぶさずにカットできます。なでる程度の軽い力で切れるので、手軽です。
伊勢丹新宿店<キッチンステージ>では、有名シェフ監修のメニューが月替りで楽しめます!
伊勢丹新宿店 本館地下1階にある<キッチンステージ>は、有名シェフが監修したメニューを味わえるレストラン。メニューは4〜5週間ごとに変わり、フレンチに和食、中華まで、名店の味をカジュアルに楽しめます。ご家庭で提供メニューの味を再現できるようにレシピも差し上げていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
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