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2022.09.15

トロッと食感がたまらない! 麻婆茄子(マーボーナス)のレシピ。四川料理シェフの技でプロの味に

麻婆なすのイメージ

いまや日本の食卓にかかせない定番人気メニューのひとつ、麻婆茄子(マーボーナス、なす)。トロッとしたなすにピリ辛の風味がきいて、白いごはんのおかずにもお酒のお供にもぴったりな料理ですよね。でも、自分で作ると、なすが油でべちゃっとなったり、水っぽくぼんやりとした味付けになったりと、残念な仕上がりになってしまうことも…。

そこで今回は、人気四川料理店<飄香(ピャオシャン)>銀座三越店の料理長、黒木由次(くろきゆうじ)シェフに、ご家庭で再現できる麻婆茄子のレシピを教えてもらいました。

「四川では、麻婆茄子を『魚香茄子(ユイシャンチェズ)』といいます。ひき肉は加えずなすのみを使い、甘み、酸味、辛味の三位一体のハーモニーに、薬味が効いた料理です。今回、ご紹介する麻婆茄子のレシピは、日本らしいアレンジを加えつつ味付けは四川風にしていますので、ぜひご家庭でもその味わいを楽しんでみてください」

なすの加熱の方法、調味料の使い方など、手早くおいしく仕上がる、プロならではのコツが満載。最後までお見逃しなく!

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知らなかった! 四川料理のプロが教える麻婆茄子を作る3つのコツとは?

コツ① なすは2、3回に分けて高温で素揚げし、トロッと食感に!

なすをトロッと食感よく仕上げるには、あらかじめ高温でサッと素揚げしておくことが大切。このとき、分量のなすを一度に揚げ油に入れて揚げようとするのはNG! せっかく高温に熱した揚げ油の温度が、急激に下がってしまいます。なすは低温でゆっくり揚げると、油を吸いすぎてべちゃっとした食感になってしまい、おいしさが半減します。

面倒に思えても、なすを2、3回に分けて揚げることで高温がキープでき、表面がカラッとなり上手に揚げることができます。

コツ② ひき肉となすは別々に調理し、素揚げなすの食感をキープ

四川料理でよく使われる肉みそを「ザージャン」といいます。ザージャンとなすは別々に調理し、最後に合わせて手早く仕上げましょう。最初からひき肉となすを一緒に炒めてしまうと、せっかく素揚げしたなすのおいしい食感がぐずぐずになって台無しになってしまいます。

ザージャンは冷蔵庫で一週間ほど日持ちするので、多めに作ってストックしておくのもおすすめ。麻婆豆腐や担々麺の具材としても使えます。

コツ③ 豆板醤はしっかり炒め、紹興酒と黒酢でプロの味に!

回鍋肉のレシピと同じく、調味料は一つひとつベストなタイミングで加えていくことで、より味わいや香りを引き出すのがプロの技。豆板醤はしっかり炒めて風味を引き立たせることで、ワンランク上の仕上がりに。いわゆる「合わせ調味料」を一気に加える調味方法のほうが簡単に思えるかもしれませんが、ぜひプロの方法を試してみて。

さらに調味料のポイントは、紹興酒と黒酢を使うこと。香りが豊かになり、コクがアップ! 一気にプロの味に近づきます。

なすは少量ずつ分けて揚げる、調味料を混ぜ合わせて加えないなど、ちょっとしたところに手間をかけることで、仕上がりがグンと変わるんですね。麻婆なすの味付けに黒酢を使うのも意外です!

それでは、実際にレシピを詳しく見ていきましょう。

なすがトロトロ! <飄香>が教える麻婆茄子の作り方

麻婆なすの材料

<材料>(2人分)

  • 長なす…2本(約200g)
  • 【ザージャン(肉みそ)】
    ・合いびき肉…50g ※牛ひき肉でもよい
    ・しょうがのみじん切り…小さじ1
    ・紹興酒(または酒)…小さじ1
    ・しょうゆ…少々
    ・甜麺醤(テンメンジャン)…小さじ1/2
  • 豆板醤…小さじ2
  • しょうがのみじん切り…小さじ1
  • にんにくのみじん切り…小さじ1
  • 鶏がらスープ…45ml
  • しょうゆ…小さじ1/4
  • 紹興酒(または酒)…小さじ1
  • 砂糖…大さじ1強
  • 塩…ひとつまみ
  • 万能ねぎの小口切り…大さじ2
  • 水溶き片栗粉…小さじ1(水、片栗粉各小さじ1/2を混ぜ合わせる)
  • 黒酢(または酢)…小さじ1

「麻婆茄子には、長なすという種類を選ぶのがベストです。20㎝前後の細長さで、身がやわらかくトロッと仕上がります。米なすのようにかたい品種は麻婆なすには向きません。また、ザージャン(肉みそ)には、四川料理では牛ひき肉を使うことが多いですが、今回は手に入れやすく食べやすい合いびき肉を使用します」

<作り方>

1. なすを切る

なすを切っているところ

なすを切り終わったところ

なすはヘタを落として長さを半分に切り、上半分を1/4、下半分を1/6のくし形切りにする。

「この切り方にすると大きさが揃い、火が均一に通りやすくなります。切ってすぐに調理すれば、水にさらしてアク抜きする必要はありません」

2. なすを素揚げにする

なすを揚げているところ

鍋(または深めのフライパン)に揚げ油適量(分量外 ※なすが浸る程度)を入れて中火にかける。約180℃(菜箸の先を油に入れると、すぐに大きな泡が上がってくる状態)になったら、なすを2、3回に分けて素揚げにする(写真では一度にまとめて揚げていますが、ご家庭では2、3回に分けてください)。

「ここがなすの食感をよくする大事なポイント! 面倒でもなすを2、3回に分けて揚げることで、油を高温にキープしたまま短時間でカラッと仕上げることができます」

なすがきつね色になったところ

お玉でかき回しながら揚げ、表面がきつね色になったら取り出す。2、3回に分けて揚げる場合は、残りのなすも同様に揚げる。

「常に揚げ油をかき回すことで、鍋の中で油の温度が均一にキープされます。なす全体に油が回って、水分が蒸発しやすくなり、早くカラッと揚がります」

揚げ終わったところ

揚げ油から引き上げた直後のなすがこちら。まだ身がしっかりしていて「想像より揚げ時間が短い?」と思うくらいでしたが、「このあとだんだんなすから空気が抜けて、いい感じにクタッとしてくるんです」と黒木シェフ。

3. ザージャン(肉みそ)を作る

ひき肉を炒めているところ

2の中華鍋(またはフライパン)の揚げ油をオイルポットなどに移してから、弱火で熱してサラダ油小さじ1/2(分量外)をひき、ひき肉を入れ、ほぐしながら炒める。

「炒めているうちに油が透明になって、肉がカリッとするくらいまでしっかり炒めると、香ばしさが増します。ひき肉は色が白っぽく変わるくらいに炒めればいい、と思っている人が多いのですが間違いです」

しょうが、しょうゆ、紹興酒を加えているところ

ひき肉がカリッとしたら、しょうがのみじん切り小さじ1を加えて炒める。香りが出たら、紹興酒小さじ1、しょうゆ少々を加え、水分を飛ばしながら炒め合わせる。

炒め終えたところ

全体に味がなじんだら甜麺醤小さじ1/2を加えてサッと炒め、器にいったん取り出す。

「甜面醬を加えたら加熱しすぎないこと。全体をなじませるくらいでOKです」

さて、ここまででなすの素揚げとザージャン(肉みそ)作りが終わったので、このあとは両者を合わせて仕上げにかかりましょう!

4. 豆板醤、しょうが、にんにくを炒める

豆板醤、しょうが、にんにくを炒めているところ

中華鍋(またはフライパン)をさっと洗ってきれいにし、中火で熱してサラダ油大さじ1(分量外)をひき、豆板醤小さじ2、しょうが、にんにくのみじん切り各小さじ1を入れて弱火で炒める。

「豆板醤はしっかり炒めることで香りが増し、味に深みが出ます。焦がさないように手早く混ぜながら、しっかりと火を入れましょう」

ザージャンを加えているところ

具材と油が分離してきたら火を止め、鶏がらスープ45ml、ザージャン(肉みそ)を加える。

しょうゆ、紹興酒を炒めているところ

再び弱火で熱し、しょうゆ小さじ1/4、紹興酒小さじ1/2の順に鍋肌から注ぎ入れて全体を炒め合わせる。

「調味料は合わせずに一つひとつ入れていくことで、よりそれぞれの風味が引き立ちます。スープにザージャン(肉みそ)の風味を移すイメージで、全体をよく炒めてくださいね」

5. なすを戻し入れて炒める

なすを戻しているところ

弱火で熱したまま砂糖大さじ1強、塩ひとつまみを加え、3の素揚げにしたなすを戻し入れる。

「ここからは、素揚げにしたなすの食感を活かすために手早く炒めていきましょう」

水溶き片栗粉を加えているところ

全体になじんだら万能ねぎ(小口切り)、しっかり溶いた水溶き片栗粉小さじ1を加え、混ぜ合わせてとろみをつける。

黒酢を加えてところ

仕上げに鍋肌から黒酢小さじ1を注ぎ入れ、焦げないように全体をサッと炒め、火を止める。

「黒酢を使うと一気にコクが増し、香りが引き立ちます。甘みと辛味がグッと引き締まり、油っぽさを感じさせなくなりますよ」

全体を炒め合わせているところ

くったりとしたなすがおいしそうな、麻婆なすの完成です!

香ばしい香りが食欲をそそる! プロ直伝の麻婆茄子(マーボーナス)の完成

麻婆なすのイメージ

こうして完成した麻婆茄子は、少しくたっとしたつややかななすに、香ばしい香りが食欲をそそるひと皿。ひと口いただくと、ふわりと軽い食感とともに、なすが口の中でとろけるよう!

「なすを高温でサッと揚げてこそ、この食感が生まれます。2~3回に分けて少量ずつ揚げることで、ご家庭でもこの完成度が再現できますよ」

豆板醤の風味もしっかり効いたピリ辛の味付けで、ビールとの相性も◎。少し甘めのザージャンがいいアクセントになっています。プロならではのコツが満載の麻婆なす、ぜひ一度試してみて!

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<飄香>の黒木シェフ

<飄香>の黒木由次シェフ

取材協力/ 飄香 銀座三越店

伝統料理から家庭料理まで、「本場四川の味の伝承」がモットーの四川料理店。黒木シェフは2018年より銀座三越店の料理長を務め、丁寧かつ美しい料理が評判。

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撮影:難波雄史
文:西島恵

店舗のご案内について

記事でご紹介している<飄香>は、銀座三越 新館12階にございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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