2019.02.28
包丁カットで簡単! もちもち生パスタの作り方・ゆで方。トマトパスタのソースレシピも紹介
粉から手打ちで作る生パスタは、一度チャレンジしてみたいメニューのひとつです。でも「パスタマシンがないから」とか「時間がかかるから」などと躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、わずか30分程度で生地ができるという、ごくシンプルな基本の生パスタ。教えてくれるのは、イタリアの家庭料理の教室を20年以上営む料理家、田中玉緒さんです。「イタリアにはたくさんの種類のパスタがあります。それぞれにいろいろな配合や成形があるけれど、まずはこの基本の生地で、家で作るフレッシュなパスタを楽しんでください」。
ボウルと麺棒と包丁があればできる、いちばんシンプルな生パスタ。包丁で思いのままにカットする「マルタリアーティ」なら、ちょっとくらい不器用さんでも、おいしく楽しくパスタが作れるはず。「思い立ったらすぐパスタ!」と胸をはれるレシピを参考に、ぜひトライしてみてはいかが。
基本の生パスタ生地「マルタリアーティ」のレシピ
ではさっそく、生パスタの生地を作ってみましょう。
「材料はシンプルです。小麦粉と卵、それに塩だけ。卵は全卵ではなく卵白だけでもOK。水だけで作る生地もありますが、ちょっとリッチに卵を使って作ります」
今回は、パスタマシンなどの道具がなくてもできる「マルタリアーティ」という形のパスタに仕上げます。「マルタリアーティ(maltagliati )とは、『不揃いに切った』という意味。エミリア・ロマーニャ州のパルマでよく食べられる手打ちパスタです」。薄くのばして包丁でカットするだけのパスタなので、手軽にできそうですね。
<材料>(作りやすい分量)
- 薄力粉 200g
- 卵 M玉2個(または卵白だ100gでもOK)
- 塩 ひとつまみ
- 打ち粉(強力粉) 適宜
※卵がL玉の場合は薄力粉を220gにする。
1.ボウルに粉と卵を入れる。
ボウルに粉と塩を入れてざっと混ぜ、中央にくぼみを作って卵を割り入れる。
2.フォークで卵を崩しながら混ぜる。
フォークで卵を溶き、周りの粉を少しずつ崩していく。
※イタリアンパセリ入りの記事を作る場合は、ここで刻んだイタリアンパセリ(1パック分)を溶き卵に加える。
3.全体をぐるぐると混ぜる。
全体が大きなそぼろ状になるまで大きくまぜる。
4.手で生地を押しつけるようにしてこねる。
フォークをはずし、ボウルに生地を押しつけるようにして手で捏ねる。
5.台に出して、なめらかになるまでこねる。
ひとまとまりになったところで台に取り出し、生地の表面が滑らかになってつやがでるまでさらに捏ねる。
6.丸めて休ませる。
捏ね上がったら丸める。乾燥しないようにビニールに入れ、冷蔵庫で最低2時間、できれば一晩休ませる。
7.生地を伸ばす。
生地を取り出し、打ち粉を打った台にのせて麺棒でのばす。
8.厚さの目安は1~2ミリ。
厚さが1~2ミリになるまで大きくのばす。
9.生地をカットする。
カッターまたは包丁で、ひし形に切る。
10.生パスタの出来上がり!
重ならないようにしてしばらく乾かしたら、出来上がり!
※出来上がった生パスタは、バットなどにラップを敷いて重ならないように並べて冷凍する。凍ってから保存袋に入れておけば、冷凍保存可能。
生パスタと簡単ソースで本格イタリアン!
生パスタの生地ができたら、ソースを作って本格パスタにトライしましょう。「2つのソースをご紹介します。まずは、乾燥ポルチーニとトマトで作る簡単なソース『馬車引き風』を、そしてムール貝をひよこ豆のピュレとあわせた、食べごたえのある一皿を。ムール貝のほうには、生地にパセリを練り込んだものを使うと色も美しく風味がよくなります」
【レシピ①】 生パスタで作る、ポルチーニとツナのトマトパスタ
「『カッレッティエーラ(馬車引き風)』という名前の由来は、馬車引き夫が客待ちをする間にさっと提供できるように、できるだけシンプルな材料で作ったという説などがあります。地方によっていろいろなレシピがあって、たとえばトスカーナでは、唐辛子を効かせたアーリオ・エ・オーリオにトマトを加えたもの、シチリアではパン粉とリコッタチーズ、という具合。今回はローマ風のレシピをご紹介しますね」
<材料>(4人分)
- 生パスタ(マルタリアーティ) 上記で作ったパスタ全量
- 乾燥ポルチーニ 15g
- 水 100ml
- オリーブオイル 大さじ3~(適量)
- にんにく 1/2片
- 塩 適量
- ツナ缶(オイル漬けタイプ) 140g
- トマトの水煮缶 400g
- マッシュルーム 200g
- イタリアンパセリの葉(刻む) 大さじ2
<下準備>
できれば前日に、乾燥ポルチーニを分量の水に浸けて戻しておく。室温で最低4〜5時間が目安。時間がないときにはぬるま湯で戻すとよい。
<作り方>
- 水で戻したポルチーニは、水気を軽く切って粗みじんに刻む(戻し汁はとっておく)。にんにくは皮をむいてつぶし、マッシュルームは薄くスライスする。ツナはざるにあけてオイルを切る。トマトの水煮缶のホールトマトは手でつぶしておく。イタリアンパセリの葉を刻む。
- フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、香りが立ったらマッシュルームを加え、軽く塩をふって中火で炒める。1のポルチーニ、ツナ、イタリアンパセリの葉の半分も加えてさっと炒め、トマトの水煮とポルチーニの戻し汁も加えて軽く煮詰め、塩味を調える。
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら塩(水の1%)を加え、マルタリアーティを入れて茹でる。4分ほどして麺が浮き上がってきてからさらに30秒〜1分茹でる。
- 茹で上げたマルタリアーティを2に加えて混ぜながら、1分ほど火にかけて味をなじませる。温めた器に盛って、残りのイタリアンパセリの葉をふりかける。
【レシピ②】 生パスタのムールとひよこ豆のピュレ添え
「ムール貝に、ひよこ豆とじゃがいもで作った優しい味のピュレを合わせます。パスタは、プレーンな生地でもいいのですが、今回はイタリアンパセリのみじん切りを練り込んだものを使ってみました。グリーンがかって春らしくなりますし、香りのアクセントにもなります。ムール貝が手に入らなければ、あさりやはまぐりでもおいしくできますよ」
<材料>(4人分)
- 生パスタ(イタリアンパセリ入りマルタリアーティ) 上記で作ったパスタ全量
- オリーブオイル 120ml
- にんにく 1/2片~適量
- 赤唐辛子 1本
- ムール貝 600〜800g ※欧米産のものなら600g、国産は貝殻が大きいため800g程度
- 【ひよこ豆のピュレ】
ひよこ豆の水煮(缶詰など) 230g
じゃがいも 1個(約80g)
湯 70ml
塩 適量
<下準備>
ムール貝は足糸(貝からはみだしている糸のような部分)を抜いて殻をよく洗う。じゃがいもは皮をむいて適当な大きさに切って茹でる。
<作り方>
- ひよこ豆のピュレを作る。ひよこ豆、じゃがいも、湯をブレンダーにかけて粗めのピュレ状にする。
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら塩(水の1%)を加え、マルタリアーティを茹でる。
- にんにくを包丁の腹でつぶす。フライパンにオリーブオイル(大さじ2)とにんにく、赤唐辛子を入れて弱火にかける。香りが立ってにんにくが軽く色づき始めたら、ムール貝と水少々(または白ワイン、材料外)を加え、ふたをして強火にする。
- 貝の口が開いたらふたを外し、フライパンを揺すりながらソースを乳化させて濃度をつける。水分が足りないようなら、ソースの味をみて湯またはパスタの茹で汁を加える。
- 茹で上げたパスタを加えて残りのオイルをまわしかけ、30秒〜1分、フライパンをふってパスタにソースをよく絡める。
- 温めた器にひよこ豆のピュレを広げ、パスタを盛り、飾り用のパセリ(分量外)をふりかける。
家庭で簡単にできる手打ちパスタ。基本の生地をマスターしたら、伸ばし方や切り方を変えて、いろいろな形のものを作ってみても楽しそう。「粉と卵と塩があればできるので、ぜひチャレンジしてみてください」。
自分で作ったパスタは、きっと格別の味! おもてなしの一品にしたら、ちょっと自慢できそうですね。
田中玉緒さん
大学卒業後、食品関係の商社を経て、フィレンツェへ。帰国後は洋菓子研究家 加藤千恵氏に師事し、西洋菓子全般を学ぶ。その後ミラノでイタリア料理、イタリア菓子、製パンを学び、1994年に東京でイタリア料理の教室「La Cucina Oliva」をスタート。イタリア料理、西洋菓子のほか、台湾料理や和食と、レパートリーは幅広い。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
Ranking
人気記事ランキング