2017.09.19
【プロが解説】軸は捨てない洗わない! 種類別きのこの美味しい食べ方・下処理(軸と石づきの違い)
きのこの軸を切り落とす、水洗いする、包丁を使って切る……、そんなきのこの下処理をやっていませんか? 間違った方法は、きのこのうまみを半減させてしまうんです。
正しい下処理で、きのこは格段に美味しくなる!
「とくに椎茸やえのき、舞茸の下処理をするときに、軸を捨てている方が多いのですが、もったいない! うまみがいちばん強い部分なんです」と教えてくれたのは、伊勢丹新宿店のシニア野菜ソムリエ・小島孝夫さん。
ほかにも「なるべく包丁で切らずに手で割く」「水で洗わず、汚れていればふきんでやさしく拭く」ことが基本。香りが強く出て、うまみが逃げず、味が入りやすくなります。
今回は手に入りやすいきのこ7種類について、さらに詳しい下処理を教えてもらいました。
【生椎茸】切り落とすのは石づきのみ! 軸は捨てないで
椎茸の栽培方法には丸太に菌を植える「原木」と、おがくずの培養地で菌を育てる「菌床」の2種類があります。原木は菌床に比べて香りや歯ごたえが良く、値段も高め。
◆生椎茸の下処理
- 水で濡らしたキッチンペーパーでカサを優しく拭く。
- カサが大きく開いている椎茸は、カサの内側が汚れているので、上から指でトントンと叩いて汚れを下に落とす。
- 椎茸の軸の先端部分が石づき(=黒くて触るとかたい部分)なので切り落とす。カサと軸に手で割いて分ける。
- 椎茸の軸は手で縦に(=繊維に沿って)割く。かたいけれどうまみが強い。
【選び方】カサが開きすぎておらず、キズのない色合いがよいものがおすすめ。カサが開いているものは、香りが強い。
【舞茸】ほぼ捨てるところなし! 薄く割れやすいカサは丁寧に扱って
味、香り、歯触りがよいきのこです。流通しているほとんどは菌床栽培ですが、まれに原木栽培も。10月に出回る天然ものは味と香りが格別です。白舞茸、黒舞茸の種類もあり、黒舞茸は味が濃く香りも強く天然ものに近い品種。
◆舞茸の下処理
- 大きければざっくり手で割く。
- 菌床栽培なら石づきはありませんが、かたくて木の年輪のように層になった部分があれば切り落とす。
- 手で食べやすい大きさの小房に分ける。
【選び方】軸が肉厚で、カサは薄くパリッとして割れやすいものが鮮度がよい。
【エリンギ】包丁で切らずに繊維に沿って手で割き、食感を活かす
出回っているエリンギは、ほとんどが菌床栽培。肉厚で弾力があるコリコリとした食感で、じっくり焼くと香りがぐっと強く立ちます。
◆エリンギの下処理
- 軸の根元に線のような部分があれば、石づき。触ってかたければ切り落とす。石づきがなければそのまま使ってOK。
- 手で割くときは軸の根元に1㎝深さの切り込みを入れ、カサを潰さないように繊維に沿って丁寧に割く。
【選び方】白っぽくて表面がツルツルしたものがよい。カサの裏のヒダが変色していたり、軸が筋張っていたりするものは鮮度が落ちている。
【えのき茸】捨てがちな根元の軸は捨てないで!
天然ものは黄茶色でカサが広く、流通している白いえのき茸は、ほとんどが人工栽培です。最近では見た目を天然ものに近づけた茶色のえのき茸も出回っています。
◆えのき茸の下処理
- 袋に入ったまま袋の上からかたい部分を切る。袋を持ったままフライパンに入れれば、えのき茸がバラバラにならない。
- 1で切り落としたかたい部分は、美味しく食べられる軸(写真右)が残っているので、茶色くかたい石づきだけ切り落とす。
【選び方】乳白色でカサが閉じているものを選び、ぬめりや変色しているものは避ける。
【しめじ】手で小房に分けて、食感を活かす
ぶなしめじ、白ぶなしめじ、はたけしめじ、本しめじなど、種類が豊富なきのこです。春よりも秋のものが香りがよいとされますが、実際はほとんどが人工栽培です。
◆しめじの下処理
- 大きければざっくり手で割く。
- 石づき(=先端の軸が密集してかたい部分)を切り落とす。
- 手で食べやすい大きさの小房に分ける。
【選び方】カサにハリがあって1本1本の軸がしっかりしているもの、割いたときにパリッ、サクッと割けるものが新鮮。
【マッシュルーム】生食の場合は汚れをしっかり拭く
ホワイトマッシュルーム、ブラウンマッシュルーム、ジャンボマッシュルームなど種類が豊富。弾力のある肉質で淡泊な味ですが風味がよいきのこです。きのこの中で唯一、生食で食べられています。
◆マッシュルームの下処理
- 軸の断面が茶色くなっているので、薄く切り落とす。ほとんどが栽培品種のため石づきはないが、茶色くかたい石づきがあれば切り落とす。
- 水で濡らしたキッチンペーパーでカサの部分をやさしく拭いて汚れを取る。
- 生食の場合、気になる場合は表面を流水でさっと洗い、しっかり水気を拭きとる。
【選び方】カサの色がきれいで表面がヌルヌルしていないものがベスト。成熟していくとカサが開いてカサの内側が黒くなり、香りが強くなる。
【なめこ】袋入りは水洗い! 余分なぬめりを取ってより美味しく
強いぬめりがあるきのこなので、出回っているなめこのほとんどは、軸を短く加工して袋詰めされたものです。加工されていないなめこは10~11月に出回ります。
◆なめこの下処理
「袋詰めされたなめこ」の場合
- 軽く水洗いするか、湯通しする。
「ぬめりはうまみ成分ですが、出過ぎると酸味が強くなるので、余分なぬめりを取ることで美味しく食べられます」
「袋詰めされていないなめこ」の場合
- 石づき(=軸の先端を手で触ってかたく密集した部分)を切り落とし、小房に分ける。
- カサの回りについているぬめりが気になる場合は、さっと水洗いするか湯通しする。
【選び方】時間が経つとぬめりがどんどん出るため、ぬめりの少ないものを選ぶと良い。
それぞれのきのこの下処理を見てみると、「石づき」と「軸」の違いがよくわかっておらず、なめこは洗ったほうがよいなど、意外に知らなかったことが多くて驚きました。
「きのこは金属や水気を嫌うので、包丁で切ると苦みが出ますし、水洗いすると香りやうまみが逃げてしまい、劣化が早くなってしまうのです」と小島さん。
また、正しい下処理をしたきのこは冷凍保存しておけば、自家製の「きのこミックス」に(1ヵ月ほど保存可)。細胞が壊れて、きのこのうまみ成分であるグアニル酸が出やすくなり、より美味しくなります。使うときは凍ったまま調理してOKです!
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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