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2017.01.20

プロ直伝「カスレ風レシピ」。深きフランスの伝統料理が家庭で楽しめる!

カスレの箸上げ

「カスレ」という料理を知っていますか? フランスの伝統的な郷土料理ですが、料理名自体初めて聞いたという人も多いかもしれません。

いったいどんな料理なのか調べてみると……。「骨付きのガチョウ肉を仕入れるところからスタート」「正式には仕上げまでに焼き目を数回ラグーの中に沈めてオーブンで焼き込む」「本場のフランス人でもプロ以外はなかなか作れない」など、数々の周辺情報が。どんな料理か全貌は見えずとも、作るのに大変手間ひまがかかったメニューということがわかります。

今回は、なんとそんな本格フレンチの魅力を家庭で手軽に味わえるレシピを紹介。かつてカスレの名店「パッション」の厨房も経験している伊勢丹新宿店<I’S MEAT SELECTION>の岩田晴美シェフ流、「カスレ」です!

発祥は600年以上前とも言われるフランスの伝統的な郷土料理

カスレについて語る岩田シェフ

そもそもカスレとはどんな料理なのでしょうか?

「カスレは、フランス南西部の町、カステルノダリー、トゥールーズ、カルカッソンヌでそれぞれ独自の進化を遂げた肉料理です。その発祥は、600年ほど前のフランスの百年戦争時とも言われるほど古いもの。町ごとに使う材料や作り方は異なりますが、白インゲン豆をたっぷり入れて数種類の肉類、香味野菜やトマトペーストなどと合わせたものをオーブンで焼き込むという大まかな流れは同じです」

今回シェフが教えてくれたのは、町ごとに異なる作り方の「いいとこどり」をし、さらに食材を工夫することで手間を省いた岩田シェフ流のカスレ風レシピです。「3つの料理を作り、合わせて焼く」、という行程はわかりやすくシンプルなので、ぜひ気負わず挑戦してみてください!

至高の気分が味わえる「カスレ風」レシピ

カスレの材料

[材料]

  • 白インゲン豆…400g
  • 鴨のコンフィ用骨付きもも肉…2本 ※今回は、鴨の骨付きもも肉がオリーブオイル漬けにされた真空パック(<I’S MEAT SELECTION>「骨付きもも鴨肉 コンフィ用」(100g)1,380円(税込))を2パック使用しています。
  • ラム肩ロース肉…400g
  • 生ソーセージ…4~6本
  • 玉ねぎ…400g
  • ニンニク…30g
  • トマトペースト…80g
  • 塩、コショウ…各適量
  • オリーブオイル…適量

3つの料理を合体させて焼き込む

「今回の作り方は、鴨のコンフィ、アリコムートン(白インゲン豆とラム肉のラグー)、ソーセージという、そのままそれぞれを味わっても美味しい3つの料理を合わせて作る、というシンプルな考え方で行います」

1:「鴨のコンフィ」を作る

鍋でコンフィを煮る

※今回は、「鴨のコンフィ」として手軽な真空パックのものを使用しますが、一般的な作り方でももちろん問題ありません。

① 真空パックの「骨付きもも鴨肉 コンフィ用」をパックのまま鍋に入れ、パック全体から2cmほどの高さまで水を注ぎ入れ、強火にかけて沸騰させる。沸騰したら火を弱め、かすかに対流が起こる程度の弱火で2時間ほど熱を通す。

「浮いてこないよう、網などをのせるといいでしょう」

② パックごと湯から取り出し、パックから鴨肉を取り出したら、中のオリーブオイルと肉汁は別の容器に取り分けておく。※後の工程で使用します。

2:「アリコムートン」を作る

「アリコ」は白インゲン、「ムートン」はラム肉という意味のラグーです。

③ 白インゲン豆をよく洗い、豆がゆったり浸かるたっぷりの水にひと晩漬ける。

④ ③を漬け汁ごと鍋に入れ、10分ほど煮込み、ザルにあげる。

⑤ ニンニク、玉ねぎはなるべく繊維を潰すようにみじん切りにし、600wの電子レンジで10分ほど加熱する。

「香りを出すために、水分が出るくらいなるべく潰すように切ります」

フライパンで焼かれるラム肉

⑥ フライパンにオリーブオイル、3~4cm角に切ったラム肩ロース肉を入れて強めに塩、コショウをし、キツネ色になるまで炒めて取り出す。

「美味しそうなキツネ色に変わる『メーラード反応』を逃さないこと。フライパンについた焦げ目は、その後に入れる玉ねぎ、ニンニクの水分できれいに取れるので、洗い流さないでください」

⑦ ⑥のフライパンを洗わずに、火を止めた状態で少し置いたところに⑤を入れ、玉ねぎ、ニンニクもキツネ色になるまで炒めたら、⑥のラム肉を戻し入れ、トマトペーストを加えて軽く炒める。ここに、「鴨のコンフィ」を温めた際に取り分けておいたオリーブオイルと肉汁を加える。

「少し冷ますことで、ニンニク、玉ねぎを加えたときにその水分で肉のこげ目がきれいにとれます。トマトペーストは炒めることで酸味がとれ、味がまろやかになります」

アリコムートンを煮込む

⑧ 鍋に④の白インゲン豆と⑦のラム肉を入れ、全体が浸かるほどのたっぷりの水を加えて強火にかけ、沸騰したら火を弱めて塩、コショウをし、1時間30分ほど静かに煮込む。

3:「生ソーセージ」を焼く

⑨ オーブンを200℃に温めている間に、生ソーセージの脂を落とすため、耐熱容器の上に並べ、白くなるまで焼いておく。

4:1~3の料理を合わせて、オーブンで焼く

カスレをオーブンに入れる

⑩ 大きめのグラタン皿などに⑧を入れ、その上に骨ごとひと口大に切った鴨のコンフィと⑨のソーセージを並べ、オーブンに入れて20分ほど焼く。

「途中焼き色が付いたら何度かコンフィとソーセージを煮込みの中に沈めると、味に深みが出ます。最終的に『美味しそうな』焼き加減を目指してください」

 

手間暇かけたごちそうは、滋味あふれる味わい

カスレの箸上げ

オーブンから取り出したカスレは、こんがり焼けた表面の照りがまばゆいばかり、スプーンで表面を突き崩すと、食欲をそそる香ばしい肉の香りが湯気とともに広がります。

食べ応えのある数種の肉はもちろん、肉のうまみと脂をたっぷり吸い、やわらかくとろける白インゲン豆の美味しさ! 濃厚で滋味あふれ、フルボディの赤ワインにぴったり合いそうです。

「今回紹介したのは、あくまで家庭で楽しめるようアレンジした『カスレ風』ですが、その魅力の入り口は感じていただけるかと思います。3つの料理を合わせるとなると大変そう、と先入観が先だってしまいますが、一つひとつの行程はシンプルです。思い込みで敬遠せず、ぜひ好奇心を持ってさまざまな料理にチャレンジしてほしいですね」

お腹の中から幸せが広がるような美味しさは、しっかり手間暇をかけた料理だからこそ。フランスの小さな町で数百年前に考案された料理が、今、日本の家庭で楽しめるというその歴史の流れにも想いを馳せながら、ぜひ楽しんでみてください。

文: 斉藤彰子

写真:山田和幸
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 岩田晴美
アラブ首長国連邦 日本大使公邸付料理長をはじめ、六本木 イル・ド・フランスなど名だたる名店のシェフを歴任。その後、「お客さまが目で見て、確かな情報でいい食材を選んでいただけるようにアテンドしたい」という想いから、世界中から優れた食材が集まる伊勢丹 新宿店内「I’S MEAT SELECTION」専属シェフに。料理人ならではの目線で、世界の料理に最適な肉をプレゼンテーションし続けている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケット/I’S MEAT SELECTIONにてお取扱いがございます。 

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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