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2015.07.27

【シェフ直伝】肉を美味しく焼く意外なコツとは。下味、焼くときの並べ方、焼き具合に注目!

シェフが教える、ラムチョップのハーブマリネの画像

明日の夜はおいしいお肉でディナー! さっそく今から塩、コショウ、ハーブで下味を……と、はりきる前に、ちょっと待って。その行程、実は間違っているかも!?

いつも無造作にやってしまいがちなお肉料理の下味ですが、知っておくだけで出来上がりが格段に変わる「正解」があるのだとか。その基本の考え方と、おいしい調理方法を伊勢丹新宿店の精肉店「I’S MEAT SELECTION」の岩田シェフに教えていただきました。

【基本を解説】そもそも肉に「下味」をつける意味って?

伊勢丹新宿店「アイズミート セレクション」専属の岩田晴美シェフの画像

そもそも調理前に調味料に漬け込んだり、塩をもみこんだりという行程はなぜ行うのでしょうか? 岩田シェフによると、それにはふたつの理由があるのだといいます。

「ひとつは風味付け・食感へのアプローチなど料理の仕上がりをよりよくするため。もうひとつは、保存目的です。しかし、肉を新鮮なうちに調理する場合は、そもそも保存する必要はないですよね。加えて上質な素材は、それだけで十分おいしい。生姜や八角などで臭みを消す必要はないし、強い味付けは逆にせっかくの素材のよさを殺すことになってしまいます。女性のお化粧と一緒です(笑)」

つまり、お肉自体のよさを活かしたい場合は、前日から漬け込む必要はなく、使う調味料や香辛料もシンプルなものでOKということ。

では具体的にはいつ、どんなものを、どのように使えばいいのでしょうか? 実際の調理方法で解説してもらいました。

「今回は、上質なラム肉をオイルでマリネした後、ステーキに仕上げます。下味に使うのは塩、コショウ、ハーブ、オリーブオイル、ガーリック、唐辛子。肉自体のおいしさを活かすため、特別なものは一切使いません。下味を付けるタイミングは、調理直前がベスト。長時間、肉に塩分を与えた状態で放置してしまうと浸透圧で中の水分がどんどん抜けてしまいます。ハーブも長く漬けると風味が強すぎるので、直前に合わせるだけでOKです。上質なラムには臭みがないため、ほんのり風味がつく程度でいいんですよ」

肉を焼くコツ① 塩の量は「肉の量の1%」を厳守!

シェフが教える、ラムチョップのハーブマリネ、材料一覧の画像

使うのは骨付のラム肉。

下味には、塩(今回は岩塩)、コショウ(今回は粒コショウをつぶしたもの)、ハーブ各種(今回はタイム、ローズマリー、パセリ、セージを使用)、ガーリック、唐辛子、オリーブオイルを用意します。

岩田シェフによると、特にポイントとなるのは塩の量。目分量で振りかけてしまいがちですが、シェフのおすすめする正しい量は「肉の量の1%」。1%というと、普段無意識に使う塩の量よりもかなり少な目の印象ですが……。

「これ以上の量の塩を使ってしまうと、浸透圧で中の水分が抜けはじめます。逆に少なすぎても味がぼやけてしまう。多少面倒でも肉の量をきちんと計り、正しい塩の量を計算しましょう」

肉を焼くコツ② プロの技を手軽に再現する方法とは?

ラムチョップのハーブマリネの作り方。ラムをマリネしているところの画像

次に、肉を焼く際のプロの技「アローゼ」を伝授していただきました。

まずは下準備として、塩・コショウを全体に振りかけます。次に、ハーブ、薄切りにしたガーリック、唐辛子、そしてオリーブオイルを全体にまんべんなくかけ、マリネの状態に。

「フライパンで焼いている間、スプーンでオイルを肉全体に回しかけるのが、フレンチの技法『アローゼ』。肉がふんわり仕上がります。焼く前にオリーブオイルで肉全体をコーティングすることで、それと同じ状態を生み出すことができるんです。オイルがまわり、全体にまんべんなく火が行き渡るため、ふっくらとした仕上がりになります」

肉を焼くコツ③ 肉同士は「離して」焼くべし!

ラムチョップのハーブマリネの作り方。ラムを焼いているところの画像

マリネをしたら、長時間放置せずすぐに調理へ。

煙が上がるほど十分に熱したフライパンに、ラム肉をのせます。あとは、「おいしそうな焼き色がつくまで」焼くのみ。

「この時、肉同士をくっつけてしまうと水蒸気が発生して『蒸し焼き』状態となってしまうため、なるべく離して焼くのがポイントです」

肉を焼くコツ④ 仕上がりは五感で判断!

ラムチョップのハーブマリネの作り方。焼き上がりの目安となる焼き色の画像

両面、それぞれに焼き色が付いたら完成です!

「ラム肉はレアでもおいしいので、中への火の通りは気にしなくて大丈夫。外側にきれいな焼き色がついたら焼き上がりです。調理器具の条件が違うので、このくらいの火加減で何分ということは言えません。だからこそ、焼き色や香りが大事。おいしそうと思えるタイミングで引き揚げましょう」

シェフのコツで焼き上げた肉は、見るからにおいしそう!

シェフが教える、ラムチョップのハーブマリネと付け合わせのフレンチフライの画像

お皿に盛った肉に、フレンチフライとマスタードを添えて。そのままでももちろんおいしいですが、今回はグレービーソースをかけて出来上がり!

岩田シェフ直伝のマリネのレシピは、ラム肉だけじゃなく豚肉などにも応用できるそう。ぜひチャレンジしてみてください!

文: 斉藤彰子

写真:八田政玄

バイヤー・スタイリスト / 岩田晴美
アラブ首長国連邦 日本大使公邸付料理長をはじめ、六本木 イル・ド・フランスなど名だたる名店のシェフを歴任。その後、「お客さまが目で見て、確かな情報でいい食材を選んでいただけるようにアテンドしたい」という想いから、世界中から優れた食材が集まる伊勢丹 新宿店内「I’S MEAT SELECTION」専属シェフに。料理人ならではの目線で、世界の料理に最適な肉をプレゼンテーションし続けている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取り扱いがございます。
伊勢丹オンラインストアでは、<ワールドミート バル ニッシン>の一部商品をお取扱いいたしております。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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