2021.02.24
【初心者必見】おはぎ作りにも!基本の粒あんの作り方。小豆の風味をいかして、やわらかく炊き上げるコツ
小倉トーストやあんこ餅、おはぎなど、あんこを使ったお菓子って心惹かれるものが多いですよね。「甘いものが食べたいけれど、しつこいものはちょっと……」という欲張りな願望も満たしてくれる、日本ならではの魅力的な食べ物のひとつです。
そんなあんこのおいしさを最大限楽しみたいなら、自家製あんこがおすすめです。難しくて、手間のかかるイメージがありますが、ポイントさえ押さえれば調理方法はただ煮るだけと、とてもシンプル。しかもほかの豆と違って小豆は煮る前にひと晩、水に浸ける必要がないので、時間がかからず、とっても作りやすいんです!
今回は初めてでも失敗しにくい粒あんの作り方を、プロが詳しく伝授します。教えてくれるのは、旬の素材を使った手仕事を得意とする料理研究家の小島喜和さん。素朴ながら豆の風味がしっかり感じられるあんこのレシピは必見です!
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あんこが渋い? 豆がかたい?? 手作りあんこを失敗しないためのポイントは?
あんこをいざ手作りしてみると、なぜかあんこの味が渋かったり、豆がかたくなってしまったりしてがっかりした経験のある人も多いのでは? 自分の思い通りの甘さにするのも難しいですよね。そんなときは以下のポイントを押さえれば、解決できます!
① あんこが渋いのは、下ゆで前のゆでこぼしで解決!
小豆は最初に、水からゆでてゆで汁をこぼす作業を行います。この工程は「渋きり」と言い、小豆の渋味や雑味を取り除くとても大事な作業。水の量が少なかったり、時間が短かったりするとあんこの仕上がりに大きく左右するので、疎かにしないこと!
② こまめに鍋の状態を確認すれば、失敗知らず!
あんこの調理工程はただ煮るだけですが、アクが絶えず出てくるのでこまめに取り除くことが大切。また、水分が蒸発しやすいので、水加減も常にひたひたになるよう注意を払う必要があります。ながら作業でいいので、放ったらかしにせず、定期的に鍋の状態を見るようにすれば、雑味や加熱ムラのないおいしいあんこに仕上がるはず!
③ 豆がかたいのは、砂糖を加えるタイミングで調整を!
手作りあんこのできあがりがもし、かたかったら、砂糖を加えるタイミングが早すぎたことが原因です。小豆がやわらかくなる前に砂糖を入れてしまうと、その後いくら加熱してもやわらかくなることはありません。必ず豆の芯がなくなるまで煮るのがポイント。
④ 甘さは砂糖の量と種類で調整を。目安の量だけ知っておこう!
砂糖は甘さ控えめが好みの場合は小豆よりやや少ない量(※小豆300gに対して砂糖270g)に、甘みをしっかりつけたい場合は小豆と同量かそれ以上加えるといいでしょう。小島先生は洗双糖というミネラルが豊富でやわらかい甘さの砂糖を好んで使っていますが、使用する砂糖の種類によって仕上がりの味が変わってくるので、いろいろ試してみるのがおすすめ。
あんこは材料がシンプルな分、ごまかしがきかないため、すべての工程を省略せず、丁寧に行うのがおいしく仕上げる最大のコツです。ポイントを見ると大変に感じるかもしれませんが、夕飯の準備などほかの作業をしながら、定期的に鍋の中の状態を確認し、少し手を加えればいいだけなので、慣れるとそれほど負担にはなりません。
「小豆をことこと煮る作業は心が落ち着いて、私にとって癒しのひと時です。キッチンに充満する豆を煮る香りもいいですよね。何より自分好みに仕上げたあんこの味わいは格別。このおいしさを堪能したくて、何度も繰り返しあんこを手作りしてしまいます」
それでは、実際にレシピを見ていきましょう。
ゆでこぼすのは1回だけ! 一生もののあんこのレシピ
<材料>(作りやすい分量)
- 小豆…300g
- 砂糖…270〜300g ※写真は洗双糖(せんそうとう)。グラニュー糖、上白糖など好みのものでOK
- 塩…小さじ1/2
<作り方>
1. 小豆を洗う
小豆をザルに入れ、ボウルに重ねて流水でさっと2回ほど洗う。
「小豆はきれいに見えても、表面が汚れていたり、殻がついていたりする場合があるので、必ず洗うようにしてください。表面の汚れを落とすだけでOK。強くこする必要はありません」
2. 小豆を10~15分ゆでて、いったん湯を捨てる(渋きり)
鍋に小豆とその3倍の水を入れて、中火にかける。煮立ったら10〜15分ほど煮る。
「まずは小豆をゆでこぼす、渋きりという作業からスタート。小豆を水からゆでるのですが、渋味を除くのが目的なので、下ゆでとは異なります。水が少ないと渋味がきれないので、量はたっぷり入れるようにしてください。長時間煮るわけではないので、この段階ではぐつぐつ煮てしまって大丈夫です。今回は、1袋(300g)の小豆に対して、直径20cmのアルミ鍋を使用しています。たっぷりの水を注いで煮るので、豆の量に対して体積に余裕のある鍋を選ぶようにしてください」
ゆで汁の色が変わったら、小豆をザルにあげて水気をきる。
「渋がきれているかどうかは、煮汁の色が濃いワイン色になったかを見て判断すること。小豆を食べてみて、雑味がないか確認してもいいでしょう。何度か渋きりを繰り返すレシピもありますが、そうすると小豆本来の風味が弱まってしまうので、1回でしっかり渋きりする方法がおすすめです」
3. 水を入れ替え、再び小豆をやわらかくなるまで、30分ほどゆでる
3の鍋をよく洗ってから小豆とその3倍量の水(目分量でOK)を入れ、中火にかける。
「小豆をゆでた鍋はしっかり洗ってから使うように。そのまま小豆を煮てしまうとあんこが渋くなってしまいます。水加減は小豆の3倍量が目安。水が多すぎると小豆が煮上がったときに煮汁を捨てる必要が出てきます。そうすると小豆の旨みを逃すことに。逆に水が少ないと、すぐに蒸発してしまうので、水加減には注意してください」
煮立ったら弱めの中火にし、30分ほど煮る。アクが出てきたらこまめにすくう。
「アクは煮ているあいだ、ずっと出てくるので、なるべく鍋につきっきりで作業するようにしてください」
表面がふつふつと沸くくらいの火加減で、豆がやわらかくなるまで煮る。
「火加減が強いと水分がすぐに蒸発してしまうので、気をつけましょう。今回の水加減なら基本的に水を足す必要はありませんが、もし、小豆が湯から顔を出しそうになったら、その都度常温の水を加えて、ひたひたになるよう調整してください」
4. 30分たったら火を止めて、小豆がやわらかくなったか確認する
30分ほど煮たら煮汁が減ってとろみが出てくる。ここでいったん火を止めて、小豆のやわらかさを確認する。
「ゆで時間はあくまで目安です。小豆によって変わってくるので、必ず豆の状態を確かめて、時間を調整するようにしてください」
「砂糖を加えてしまうと、小豆がやわらかくならないので、この段階でしっかり、小豆に芯がなくなるまでゆでておくことが大事。小豆がやわらかくなったか確認するには、一番力の入れにくい親指と小指で挟んで、抵抗なくつぶれるくらいが目安です」
5. 弱めの中火にかけて、砂糖を2回に分けて加える
豆がやわらかくなっていたら、再び弱めの中火にかけて、砂糖の半量を加えてサッと混ぜ、1~2分たったら、残りの砂糖を加えてサッと混ぜる。
「小豆に甘みを少しずつ含ませたいので、砂糖は2回に分けて加えてください。1回目に砂糖を加えて10分ほど煮てから2回目を加えるレシピもありますが、砂糖が溶ければいいので、1、2分あければ十分です」
6. ふつふつとした状態を保ったまま、ときどき混ぜながら30分ほど煮る
「豆をつぶさないようにときどきゴムベラでやさしく混ぜながら、表面がふつふつするくらいの火加減で水分を飛ばします」
7. 煮汁がほぼなくなってきたら炊き上がり。塩を加えて完成!
「冷めると少しかたくなるので、好みのかたさより少しやわらかめになったら炊き上がりの目安。火を止めて最後に塩を加え、味を引き締めれば自家製あんこのできあがりです」
手作りのあんこは意外と足が早いので、なるべく早めに冷ますようにしてください。できあがったらすぐにバットに小分けに並べ、ラップをかけてそのまま冷ますと効率的。その際、ラップを忘れてしまうと水分が蒸発し、あんこがパサパサになってしまうので、気をつけましょう。
小豆の風味が際立つあんこは、まさに至福の味!
甘い香りがふわっと漂うあんこを焼いた食パンにのせて、小島先生の大好きな食べ方である小倉トーストにしていただきます。味わいはやさしい甘さと小豆本来の風味が感じられ、感動するほどおいしい! 小倉トーストにすると、あんこの甘さとバターの塩味の絶妙なコラボレーションが楽しめます。
自家製あんこはそのままでも、お菓子にアレンジしても◎
この味なら、意外とあっさりしているので、あんこだけでもパクパク食べられそう。「ちょっと甘いもの食べたいな」という気分のときに、好きなだけ食べられるのも嬉しいですね。自家製のあんこは小倉トーストはもちろん、あんこ餅やおはぎにしても格別です! 小島先生のイチオシの食べ方は乳製品との組み合わせ。
「ホイップした生クリームとは相性抜群です。酸味のあるヨーグルトやクリームチーズと組み合わせると、さっぱり食べられるので、また違った楽しみ方ができます。クリーミーでふわっとした食感のマスカルポーネチーズを添えてもおいしいですよ」
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手作りあんこの保存方法
【冷蔵保存の場合】粗熱をしっかりとってから清潔な保存容器に入れ、乾燥しないよう表面にぴったりとラップをかけて、ふたをして冷蔵庫へ。3〜4日間を目安に食べきりましょう。
【冷凍保存の場合】ラップに小分けに包んでから冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて袋の口を閉じます。冷凍庫で1か月程度保存可能です。
いかがでしたか? ぜひ、自分好みに作ったあんこで、素材の風味を堪能してください。
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小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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