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2022.11.29

蒸し器・炊飯器で作る赤飯のレシピ。モチモチ食感とやわらか食感の違いを楽しめます!

赤飯のイメージ

赤飯とはもち米と小豆(あずき)やささげで炊くご飯のこと。豆を下ゆでした赤い煮汁を使ってもち米を炊くので、赤い色をしたご飯に仕上がります。

赤い色は邪気を払うとされ、元旦、成人の日、春や秋のお彼岸、ひな祭り、端午の節句、お盆、敬老の日といったお祝い行事などのおめでたい席で振る舞われてきました。日本のハレの日の食卓に華を添える料理だからこそ、きちんと丁寧に作りたいですよね。

そこで今回は、昔ながらの蒸し器で炊く赤飯のレシピを中心に紹介します。あわせて、より手軽な炊飯器で炊くレシピも紹介するので、最後までチェックしてみてください。

教えてくれるのは、WEB FOODIEでもさまざまな季節の炊き込みご飯のレシピを紹介していただいている、料理研究家の小島喜和さんです。

小島喜和さんのレシピ一覧はこちら>>

【日本橋三越本店】和菓子店・料亭ブランドで買える「赤飯」6選の記事はこちら>>

三越伊勢丹 こだわりのお米はこちら>>

赤飯の作り方、蒸し器と炊飯器で何が違う?

そもそも赤飯の作り方(炊き方)は、蒸し器と炊飯器で、炊き上がりにどのような違いが出るのでしょうか?

「炊飯器」で作る場合 「蒸し器」で作る場合
初心者向き。レシピはこちら 中級者、上級者向き。レシピはこちら
しっとりやわらかな食感 モチモチしたおこわのような食感
炊飯器 蒸し器(木製せいろ、ステンレス製など)、蒸し布、湯を沸かす鍋
もち米の浸水は1時間。食べる当日に小豆を煮ればよい もち米の浸水は一晩。食べる前日から小豆を煮る

「蒸し器で炊くともち米がモチモチの食感になり、よりおこわっぽい仕上がりになります。一方、炊飯器で炊くと、蒸し器で炊くよりやわらかい食感に仕上がります。炊飯器を使えば簡単で色ムラなくきれいに仕上がるので、初心者の方にはおすすめです。好みに応じて作り分けるといいでしょう。
ただ個人的には、ハレの日だからこそ、昔ながらの製法である蒸し器で炊いたおいしさを感じてみてほしいという気持ちがあります!」

蒸し器と炊飯器では、食感が異なるんですね! 今回は、まずは小島さんが「一度覚えれば一生もの」と太鼓判を押す、蒸し器で作る方法から丁寧に解説します。
先に赤飯を炊飯器で作るレシピを知りたい人はこちら

小島先生おすすめ! 蒸し器でモチモチ食感に炊く、赤飯の作り方のポイント

赤飯のイメージ

ポイント① もち米は前日から浸水させ、ふっくら仕上げる!

蒸し器で炊く場合は、前日から準備する必要があります。ふっくら炊き上げるために、もち米は水に一晩浸しておきましょう。炊飯器で炊く場合と違って蒸し器で炊く場合は、もち米の浸水時間が短いと、蒸したときに芯が残ってしまうことがあるからです。

また浸水のとき水に小豆のゆで汁を加えることで、もち米にうっすら色がつき、きれいな仕上がりになります。

ポイント② 小豆は「渋きり」で雑味を除いてから、赤飯に加えて!

小豆の皮には渋みが含まれているので、最初に、水からゆでてゆで汁をこぼす作業を行います。この工程は「渋きり」と言い、赤飯をおいしく仕上げるためのとても大事な作業。小豆の代わりにささげを使っても、この工程は必要です。

ポイント③ 蒸すときは小豆のゆで汁をまんべんなくかけると、美しい仕上がりに!

もち米を蒸すときに、酒と塩を加えた小豆のゆで汁をかけながら蒸すことで、赤飯を赤く仕上げます。このとき、かけ方が偏ると色ムラの原因に。全体にまんべんなくかけることで、均一に仕上げます。

それでは実際にレシピを見ていきましょう。

【保存版】蒸し器で炊く、昔ながらの赤飯の作り方

赤飯の材料

<材料>(3合分、5~6人分)

  • もち米…3合
  • 小豆、またはささげ…60g
  • 酒…大さじ1と1/2
  • 塩…小さじ1と1/2
  • 好みでごま塩…適量

「今回は手に入りやすい小豆で作りました。小豆もささげも作り方はまったく一緒なので、好みのものを使用してください。ただし、赤飯を祝いの席で振る舞うときは、煮ても皮が割れにくいささげが好まれることも(※小豆はささげより皮がやわらかく割れやすいため、腹が割れる、切腹を思わせるため縁起が悪いとした説あり)」

<作り方>

1. 【前日の準備】小豆を水からゆでる

小豆をゆでているところ

小豆をゆでているところ

小豆はザルに入れ、ボウルを重ねて、流水で2回ほどさっと洗う。鍋に入れ、たっぷりの水を注ぎ中火にかける。沸騰したらごく弱火にして10〜12分ゆでる。

2. 小豆の色が出てきたらいったん湯を捨てる(渋きり)

小豆をゆでているところ

小豆をザルにあげているところ

ゆで汁の色が変わってきたら小豆をザルにあげて水気をきる。

「この工程を『渋きり』と言い、小豆の渋味や雑味を取り除きます。このときの小豆のゆで汁は、使わないので捨ててOKです」

3. 水を入れ換え、再び小豆をゆでる

小豆をゆでているところ

2の鍋をきれいに洗ってから小豆と水1,000ml(分量外)ほどを入れ、中火にかける。沸騰したらごく弱火にし、20〜25分ゆでる。

「小豆は煮崩れしやすいので、表面が軽くふつふつするくらいのごく弱火で煮るのがポイントです」

4. 小豆がやわらかくなったらザルにあげる(ゆで汁は使うので捨てないこと)

小豆をゆでているところ

小豆をザルにあげているところ

小豆を味見して、食べられるくらいのやわらかさになったらザルにあげる。ゆでた小豆とゆで汁は、粗熱がとれるまでそのまま冷ます(※炊飯器で炊く場合、ここまで同じ要領で作る。続きはこちら)。

冷めたら小豆は保存容器に移して冷蔵庫で保存しておく。ゆで汁はもち米を蒸す途中で使うために、250ml分を保存容器に移し、冷蔵庫で保存しておく。残りのゆで汁は、次のプロセスでもち米を浸水させるときに使用する。

「小豆のゆで汁は、もち米を浸水させるときと、もち米を炊くときに使用するので、捨てないようにしてください。小豆はのちほど、もち米を蒸すときに加えて、さらに加熱するので、この段階ではゆですぎに注意。あんこを作る一歩手前のかたさで引き上げましょう」

5. もち米は研いで、小豆のゆで汁に一晩浸ける

ゆで汁にひと晩浸したもち米

もち米はよく研いでからボウルに入れ、もち米がしっかり浸るように、4で残しておいた小豆のゆで汁を注ぎ、足りなければ水(分量外)を加えて、冷蔵庫で一晩浸水させる。

「小豆のゆで汁でもち米を浸水させることで、もち米にうっすら色がつき、きれいに仕上がります。浸水させるときの水は、炊く前に捨てるので、分量は適量で問題ありません。蒸し器でもち米を蒸す場合は芯が残りやすいので、一晩浸水させることがとても重要です。もし、事前に小豆をゆでるのが難しい場合は、ゆで汁ではなく水に一晩浸けるだけでも構いません」

詳しいもち米の研ぎ方はこちらの記事をチェック
【簡単】炊飯器で作るおはぎのレシピ。もち米の割合は100%だからすりこぎ不要!>>

6. 【当日】もち米をザルにあげ、15分ほどおく

もち米をザルにあげているところ

一晩浸水させたもち米をザルにあげて15分ほどおき、水気をしっかりきる。

「もち米の浸水に使った水は、このあとは使わないので捨ててください」

7. 取り分けておいた小豆のゆで汁250mlに塩、酒を加える

ゆで汁に塩を加えているところ

ゆで汁を混ぜているところ

4で冷蔵庫に保存しておいた、小豆のゆで汁250mlに塩、酒を加えて混ぜる。

「このゆで汁は、もち米を蒸している途中でもち米にかけるために使います」

8. 蒸し器に蒸し布を敷き、6のもち米を広げてのせる

もち米を蒸し器に広げているところ

蒸し布を包んでいるところ

蒸し器は全体に水をしっかりかけて濡らしておく。蒸し布は水で濡らしてかたく絞り、蒸し器の内側に敷く。6のもち米を広げてのせる。蒸し布の端を中心に寄せ、もち米を覆うようにして包む。

「今回は和せいろを使用していますが、ステンレス製の一般的な蒸し器でも構いません。和せいろの場合、中央部分に蒸気が強く当たり火が通りやすいので、もち米を広げたら中央部分を少しくぼませるといいでしょう。蒸し布は1枚あると便利です。必ず濡らしてから絞って使います。赤飯やおこわなどを蒸すときや皿ごと蒸すときに敷き、蒸し終わったら蒸し布ごと引き上げれば、簡単に取り出せます」

▼実は便利な蒸し器「中華せいろ」の記事もチェック!
せいろの選び方・使い方をプロが解説。正しく扱えば、ずっと長持ち!>>

9. たっぷりの湯を沸かした鍋に蒸し器をのせ、10分ほど蒸す

蒸し器のふたをしているところ

鍋にたっぷりの湯を沸かす。沸騰したら8の蒸し器をのせて、ふたをしてまずは強火で10分ほど蒸す。

「強火といっても家庭のコンロや鍋の大きさによって異なります。あくまで鍋底から炎がはみ出るか出ないかの程度の火加減に調整してください(鍋の側面に炎が出ないようにすること)。蒸気がしっかり出ていればOKです」

10. 7の小豆のゆで汁の半量をかけて、さらに10分ほど蒸す

ゆで汁をかけているところ

蒸し布を包んでいるところ

10分ほどたったら弱火にするか、初心者はいったん火を止める。ふたを外して蒸し布を広げる。蒸し器と蒸し布は蒸気が強く上がったままだと大変熱いので、やけどに注意すること。7の小豆のゆで汁の半量を全体にまんべんなくかける。蒸し布を戻し、ふたをしてさらに強火で10分ほど蒸す。

「ゆで汁を全体にまんべんなくかけることが大切です。かけ方が雑だと、色ムラができてしまうので丁寧に行いましょう」

11. 残りの小豆のゆで汁をかけ、さらに5分ほど蒸す

ゆで汁をかけているところ

しゃもじで※を混ぜているところ

蒸し器のふたをしているところ

10分ほどたったら、弱火にするか、いったん火を止め、ふたを外して蒸し布を広げ、7の残りのゆで汁を全体にまんべんなくかける。しゃもじで切るようにして全体を混ぜ、蒸し布を戻し、ふたをする。鍋の湯の量を確認し、少ないようなら湯を足す。さらに強火で5分ほど蒸す。

「色や加熱ムラを防ぐため、このタイミングで一度しゃもじで軽く全体を混ぜましょう。ここでも初心者はいったん火を止めて作業を行ってもOK」

12. ゆでておいた小豆をのせ、さらに5分ほど蒸す

小豆をもち米にのせているところ

もち米に小豆をのせ終えたところ

5分ほどたったら弱火にするか、いったん火を止め、ふたを外して蒸し布を広げ、4のゆでておいた小豆をもち米の上に広げ、蒸し布を戻し、ふたをしてさらに強火で5分ほど蒸す。

「小豆はやわらかいので仕上げのタイミングで加えましょう。最初から加えてしまうと、もち米を蒸したり混ぜたりする過程で、豆が割れてしまいます」

13. 飯台に広げ、余分な水分を飛ばす

赤飯を混ぜているところ

赤飯のイメージ

5分たったら味見をする。蒸し足りなければ、様子を見ながらさらに蒸す(好みで塩水をふりかけてもよい)。もち米が蒸しあがっていたら蒸し布ごと蒸し器から取り出し、すぐに飯台(=木製の場合、水で全体を濡らして水気を拭いておく)、またはボウルに移し、しゃもじで切るようにして混ぜ、軽く余分な水分を飛ばす。赤飯のできあがり。

「蒸しあがった赤飯は、蒸し器でそのまま放置すると水っぽくなってしまうので、すぐに飯台などに移しましょう。軽く全体を混ぜながら余分な水分を飛ばします。赤飯は炊きたての温かい状態でも、冷めてからでもおいしくいただけます」

モチモチ食感、自然な色味が美しい赤飯は「ハレの日」にぴったり!

赤飯のイメージ

ほんのりもち米が色づいた美しい赤飯が炊きあがりました。早速ごま塩を軽くふって食べてみると、小豆の素朴な風味がとっても上品。もち米のモチモチッとした食感もしっかり感じられ、噛めば噛むほど甘みが出てきます。このクオリティなら、「ハレの日」やおもてなしでも自信を持って振る舞えそう!

昔ながらの方法で丁寧に作る赤飯は、大事なお祝い事の席に華を添えてくれます。代々伝えられてきたレシピだからこそ、大切に次世代に残していきたいですね。

初心者におすすめ! 炊飯器で炊く赤飯レシピ

赤飯のイメージ

初心者におすすめなのは炊飯器で炊く簡単な方法です。色ムラなくやわらかい食感に仕上がります。蒸し器で炊く場合と違って、もち米の浸水は1時間でOK。食べる当日に作ることができます。

<材料>(3合分、5~6人分)

  • もち米…3合
  • 小豆、またはささげ…60g
  • 酒…大さじ1と1/2
  • 塩…小さじ1と1/2

<作り方>

小豆は蒸し器で作るときと同じく、作り方1~4の要領で渋きり(一度ゆでて湯を捨てる)してから、もう一度やわらかくゆでましょう(ゆで汁は捨てないこと)。

もち米は研いだら1時間ほどたっぷりの水(分量外)につけて浸水させ、ザルにあげます。

炊飯器の内がまに研いだもち米を入れ、小豆のゆで汁に分量の酒、塩を加えて混ぜたものを、おこわの3合の目盛りまで注ぎ、足りなければ水を足します。あればおこわモードで炊き、ない場合は白米と同じように炊きます。

炊きあがったらゆでた小豆をもち米の上に広げ、ふたをしてそのまま10〜15分ほど蒸らせば、赤飯のできあがりです。

【日本橋三越本店】和菓子店・料亭ブランドで買える「赤飯」6選の記事はこちら>>

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小島喜和さん

小島喜和さん

テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。

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撮影:矢野宗利
文:ケイ・ライターズクラブ

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