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2021.11.27

丸鶏で作る本格派! 参鶏湯(サムゲタン)のレシピ。韓国料理店が下処理から丁寧に解説します

参鶏湯のイメージ

「参鶏湯(サムゲタン)」とは丸鶏の中に高麗人参やもち米などを詰めて煮込む、韓国の伝統料理。ポカポカ温まるイメージから日本では寒い季節に食べたくなる人も多いと思いますが、韓国では暑い夏に食べるスタミナ料理として有名です。

高麗人参やなつめ、にんにく、しょうがなど、滋養のつく食材がたっぷり入った参鶏湯は、疲労回復や夏バテ予防、風邪対策にぴったりです。一度作り方を覚えておくと、夏はもちろん、忙しい年末や季節の変わり目など、あらゆるシーンで役立つこと間違いなし!

そこで今回は、丸鶏で作る本格的な参鶏湯の作り方を伊勢丹新宿店の<韓国料理 韓食 古家>の大武久人さんに教えてもらいました。「難しそう…」と思うかもしれませんが、食材さえそろえればあとは煮込むだけなので、意外と簡単に作れますよ。また丸鷄が手に入らない場合の作り方も紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。

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本格的な参鶏湯を作る、外せないポイント

参鶏湯を煮ている様子

ポイント① 鶏肉は1羽丸ごと煮込んで旨みを引き出す!

メイン食材である鶏は丸鷄を使用するのがおすすめ。1羽丸ごと煮込むことで、鶏肉の身と骨からだしがしっかり出て、味わいが奥深くなります。丸鷄は精肉店などで注文すれば入手可能。クリスマスシーズンなどは店頭に並ぶことも。手に入らない場合は代替案もあるので、こちらをチェック!

ポイント② 高麗人参など滋養のつく食材をたっぷり入れて風味アップ!

薬膳料理といわれる参鶏湯は、滋養のある食材と漢方を組み合わせることが重要なポイント。特に「参鶏湯」の名前の由来にもなっている、「参=高麗人参」は欠かせない食材です。そのほか干しなつめや栗、にんにく、しょうが、長ねぎなど、スタミナのつく材料をたっぷり入れてじっくり煮出すと、滋味深いスープに仕上がります。

なるほど。薬膳料理なので、高麗人参は欠かせないんですね! しょうがやにんにく、長ねぎまで入れるなんて、とっても体に良さそう。丸鷄は確かに12月になるとよく店頭で見かけるので、ぜひチャレンジしてみたいです!

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

1羽丸ごと煮込むからおいしい! 専門店が教える参鶏湯の本格レシピ

参鶏湯の材料

<材料>(2人分)

  • 丸鶏(頭と足先を落として内臓を除いたもの)…1羽(600〜700g。1キロ以下のもの)
  • もち米(1時間ほど水に浸けてからザルにあげる)…75g
  • 高麗人参…3本
  • 干しなつめ…3個
  • むき栗…1個 ※市販の栗の甘露煮で代用可
  • 銀杏(殻と薄皮をむいたもの)…2粒
  • にんにく…3片
  • しょうが(皮付きのまま薄くスライスする)…1と1/2片分(20g)
  • 昆布(10cm四方のもの)…1枚
  • 長ねぎの青い部分…1本分
  • 玉ねぎ(横に半分に切って、さらに厚みを半分に切る)…1/2個
  • 黒こしょう(粒)…10粒
  • 【仕上げ用】
    ・白髪ねぎ、あれば薄焼き卵、塩、こしょう、あれば高麗人参酒…各適量

「材料少なめのとてもシンプルなレシピです。韓国では、もっと多くの漢方を入れる場合も。高麗人参や干しなつめは手に入りにくいかもしれませんが、滋養強壮に欠かせない食材なので、ぜひ入れるようにしてください。韓国食材の専門店などで購入可能です。丸鶏は今回1キロのものを使いましたが、大きすぎると味が入らないので、600〜700gの小ぶりのものを選ぶといいでしょう」

【丸鷄が手に入らない場合は?】

丸鷄で作るのが難しい場合は、骨からスープが出る鶏手羽や骨つきもも肉で代用可能。具材は詰めるのではなく、鶏肉と一緒に水で煮込めば問題ありません。ただし、もち米は水分を吸いやすいので、普通にもち米を炊いて、温め直すタイミングで加えるといいでしょう。

<作り方>

1. 丸鶏の余分な部位を切り落とす

丸鶏はぼんじり、手羽の第一関節より先、余分な首の皮を切り落とす。

丸鶏のぼんじりを切っているところ

ぼんじり(尻尾の付け根、尾骨の周辺にある三角形の部分)

「ぼんじりは焼き鳥店のメニューで見たことがあると思いますが、とても脂が多いので取り除きます。ぼんじりは参鶏湯には使用しませんが、焼いて食べるとおいしいですよ」

丸鶏の手羽先を切っているところ

手羽先の第一関節より先

「手羽の第一関節より先の部分は形を整えるため切り落とします。切り落とした先端は捨てずにスープに入れて一緒に煮込み、だしをとりましょう」

丸鶏の首の皮を切っているところ

余分な首の皮

「首の皮は脂が多いため、一緒に煮込むとスープが脂っぽくなってしまうため、あらかじめ取り除きます」

2. 丸鶏の尾の穴から腹の中を掃除する。余分な脂は除き、血合いは洗って除く

丸鶏の脂を取り除いているところ

丸鶏の尾の穴から腹の中を掃除する。脂(黄色みを帯びた白い塊)があれば引っ張って取り除く。

丸鶏を洗っているところ

血合い(背側の骨についている赤い塊)を指先でかき出して、水で洗う。

「この丸鶏の下処理が参鶏湯でもっとも重要なポイントです。余分な脂と血合いを除くことで、雑味のないクリアな味に仕上がります」

3. 丸鶏の首の穴を竹串で閉じる

丸鶏の首の穴をふさいでいるところ

首の皮を引っ張って中央に集め、竹串を使って並縫いの要領で2〜3回上下に交互に刺し、首の穴をふさぐ。

首の穴をふさぎ終わった丸鶏

首の穴をふさぎ終わった状態。竹串は刺したまま、火にかける。

「中に具材を詰めるため、首の穴をふさぎましょう。あればたこ糸で縫っても構いませんが、竹串で刺すだけでも穴はしっかりふさがります」

4. 丸鶏の尾の穴から腹の中に、もち米と具材の一部を詰める

丸鶏の尾のほうの穴から、もち米の半量、高麗人参1本、なつめ1個、銀杏1粒、にんにく1片、もち米の半量の順番で詰める。

「もち米は半量ずつ最初と最後に分けて詰めます。このタイミングで高麗人参、なつめ、むき栗、銀杏、にんにくは、材料にある分量のすべてを腹の中に詰めないので注意してください。残りの具材は、あとで丸鶏を煮込むタイミングで加えるので、とっておいてください。具材を腹の中と煮汁とで分けて入れることで、丸鶏の内側と外側から味を入れていきましょう」

丸鶏にもち米を詰めているところ

丸鶏にもち米の半量を詰めている様子。残りのもち米は最後に詰める

丸鶏に高麗人参を詰めているところ

丸鶏の腹の中に高麗人参を詰めている様子

丸鶏ににんにくなどを詰めているところ

丸鶏の腹の中に、にんにく、栗、銀杏の一部を詰めている様子

丸鶏にもち米を詰めているところ

丸鶏の腹の中に残りのもち米を詰める様子

「もち米は煮込んでいくうちに水分で膨張するので、パンパンに詰めすぎないよう気をつけましょう。8分目くらいが目安です」

丸鶏にもち米を詰め終わったところ

丸鶏にもち米を詰め終わったところ。写真のように、腹の中は少し余裕をもたせておくのがポイント

5. 丸鶏の尾の穴を竹串で閉じる

丸鶏の尾の穴をふさいでいるところ

尾の皮を引っ張って中央に集め、竹串を並縫いの要領で2〜3回上下に交互に刺し、尾の穴をふさぐ。

「首の穴と同じ要領で、尾の穴を閉じていきます」

尾の方の穴をふさいだ丸鶏

尾の穴をふさぎ終わった丸鶏の状態。竹串は刺したままで大丈夫

6. 丸鶏の足を交差させて竹串で固定する

「両足を交差させて固定することで、見た目をきれいに仕上げます。この工程は初めてやる人が多いと思いますが、プロの技なのでぜひ挑戦してみてください。難しいと感じる場合は、たこ糸で縛ってもOKです」

鶏の足の付け根に穴を開けるところ

片方の足(左右どちらでもOK)の付け根に包丁を差し込み、穴を開ける。

「穴を開ける理由は、この穴にもう片方の足を差し込んで交差させるためです」

鶏の足を組んでいるところ

反対側の足をその穴に通し、両足を交差させる。

足を組み終わった丸鶏

丸鶏の交差させた両足を竹串で刺して固定させる。

「交差させた両足が固定できればOKです。ここまでの丸鶏の両足を交差させる工程が難しいと感じる場合は、写真のような形になるよう両足を中央に寄せてから、たこ糸で縛ってもいいでしょう」

7. 丸鶏が入る大きさの鍋に長ねぎ、玉ねぎ、丸鶏、残りの食材、水を入れる

鍋に長ねぎと玉ねぎを入れているところ

鍋に長ねぎの青い部分と玉ねぎを入れる。

「鍋は丸鶏がすっぽり入る、深さのある寸胴鍋がおすすめです。参考までに今回使った鍋の大きさは、直径22cm、深さ12cmです。鍋が丸鶏よりも大きすぎると、丸鶏を煮るときに必要な水の量が多くなり、味が薄くなってしまうので気をつけてください」

鶏を鍋に入れているところ

参鶏湯を火にかけているところ

長ねぎ、玉ねぎの上に6の丸鶏の足を下にしてのせる(写真上)。水を丸鶏がひたひたになるくらい(3リットルが目安)まで注ぎ、残りの高麗人参2本、なつめ2個、銀杏1粒、にんにく2片、さらに、しょうが1と1/2片の薄切り、昆布10cm四方1枚、黒こしょう10粒、1で切り落とした鶏手羽の先を入れる(写真下)。

8. 強火にかけ、煮立ったら弱めの中火で1時間ほど煮る

アクをすくっているところ

強火にかけて煮立ったら弱めの中火に落とし、アクと脂を除きながら1時間ほど煮る。

「アクは煮立った瞬間にもっとも出てきますが、煮ている途中も出てくるので、ときどき様子を見ながらこまめに取り除くようにしましょう。黄色みを帯びた脂も浮いてくるので、アクと一緒に取り除くと、おいしいスープに仕上がります。煮ている途中で丸鶏が煮汁から出てくると肉がパサついてしまうので、その場合は差し水をしてください。長時間煮すぎると身が崩れるので、時間は1時間ほどで充分です」

9. 一度冷ましてから丸鶏を取り出して半分に切り、煮汁に戻し入れる。食べるときに温め直す

トッピングをのせた参鶏湯

1時間ほどたって丸鶏がやわらかくなったら火を止めてそのまま冷ます。粗熱がとれたら丸鶏を取り出し、竹串を取り除いて縦半分に切る。切った丸鶏を鍋に戻し、食べるときに温め直してから器に盛る。好みで白髪ねぎ、薄焼き卵をのせ、塩、こしょう、高麗人参酒を添える。

「丸鶏は温かいうちは半分に切りづらいので、一度冷ましましょう。煮汁につけたまま冷ますと味もよくしみこみます」

ほろほろの鶏肉とやさしい味わいのスープがたまらない! 参鶏湯で体の中から温まる

参鶏湯のイメージ

丸鷄で作った本格的な参鶏湯が完成しました! まずは、スープをひと口。鶏のやさしい旨みが体中にしみ渡ります。想像以上に味がしっかりしており、調味料を一切使っていないのに物足りなさは感じません。

鶏肉はとてもやわらかく、スプーンで崩すと簡単にほぐれます。もち米やスープと一緒に食べると、滋味深い味わいにほっこり。食べ進めるうちに体がポカポカするのを感じられます。これなら体調がよくないときや食欲があまりないときでも、食べられそう!

ぜひ、体にやさしい参鶏湯で、厳しい夏の暑さや冬の寒さを乗りきりましょう!

レストラン<韓国料理 韓食 古家>では、本格的な参鶏湯が食べられます!

参鶏湯のイメージ

写真はイメージ。実際に店頭で提供されるメニューとは異なります

伊勢丹新宿店7階にあるレストラン<韓国料理 韓食 古家>では、ハーフサイズの参鶏湯とバンチャン(キムチやナムルなど、ごはんと一緒に食べる韓国のおかずのこと)などがセットになった韓定食「半鶏湯(パンゲタン)定食」2,780円(税込)が食べられます。数量限定なので、早めの時間帯にご注文を。

そのほか「ビビンパと海鮮チヂミのセット」2,980円(税込)、「ビビンバとポッサムのセット」3,280円(税込)など、人気のビビンパのセットメニューが充実。ぜひ、店舗の方にも足を運んでみてください。

取材協力/韓国料理 韓食 古家 伊勢丹新宿店

<韓国料理 韓食 古家>の大武久人さん

作り方を教えてくれた大武久人さん

韓国金浦市郊外にある韓国料理屋<古家>の日本1号店。宮廷料理を主とした現代風の韓定食などが楽しめる。化学調味料に頼らないナチュラルな味わいは、心和むおいしさと評判。

韓国料理店<古家>のレシピ一覧はこちら>>

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写真:矢野宗利
文:ケイ・ライターズクラブ

店舗のご案内について

記事でご紹介している<韓国料理 韓食 古家>は、伊勢丹新宿店 本館7階にございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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