2019.11.19
プロが教える牡蠣ごはん(炊き込みご飯)の作り方。旨みたっぷりのコツは2種類の洗い方!
寒い季節に食べたくなる牡蠣料理。定番のフライや鍋もいいですが、牡蠣の旨みを堪能するなら、炊き込みごはんがおすすめです。やわらかな身の食感はもちろん、牡蠣からしみ出るエキスまで、余すことなく楽しめます。
今回は素材を最大限生かす牡蠣ごはんの作り方を、プロが詳しく伝授。おいしく仕上げるための最大のコツは、牡蠣の洗い方とお米の中に入れるタイミングにあります。教えてくれるのは、料理研究家の小島喜和さんです。
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牡蠣ごはんをおいしく炊き上げる3つのポイント
【ポイント1】牡蠣は2種類の洗い方で丁寧に下ごしらえ!
炊き込みごはんに限らず牡蠣料理のポイントは、牡蠣の下ごしらえにあります。身を傷つけることなく汚れを取り除き、水っぽさを残さないためには、“ふり洗い”と“しょうゆ洗い”の2種類の洗い方を取り入れるのが有効です。
【ポイント2】調味料で牡蠣を下煮し、旨みを閉じ込める!
牡蠣は米と一緒に炊く前に調味料で煮ることで、下味をつけるとともに旨みを閉じ込めることができます。
【ポイント3】牡蠣を加えるタイミングは沸騰直後がベスト!
牡蠣を生米から一緒に炊いてしまうと、旨みと下味がすべて水に溶け出てしまうことに。沸騰したタイミングで加えることで、牡蠣に味がしっかり残りつつ、米にも旨みがしみ込んだおいしい炊き込みごはんに仕上がります。途中でふたを開ける必要があるので、鍋で作るのがおすすめですが、炊飯器で炊いても問題ありません。
まずは牡蠣料理の仕上がりに差が出る、洗い方から紹介します。
旨みを逃さない! 正しい牡蠣の下ごしらえ
【ふり洗い】
1. ボウルにざるを重ね、牡蠣を入れて塩をふる
「牡蠣は塩で洗うことで、汚れに加えて生臭みやぬめりを取り除くことができます。水で洗い流すので、塩は多めにふるようにしましょう。竹ざるを使用すると牡蠣の身を傷つけず洗うことができるのでおすすめ。竹ざるがない場合はステンレスでも問題ありません。ボウルは大きめのものを使用すると作業しやすいでしょう」
2. ボウルに水を注ぎ、ざるをゆする
牡蠣が半分かぶるくらいの水を注ぎ、ざるを前後に10回ほどゆすって牡蠣をふり洗いします。
「牡蠣はひだの部分に汚れが多いので、その部分の汚れが取れるまで、水を数回取り替えて洗います。牡蠣を手でもむと、身を傷つけてしまいがち。水の中でざるを大きく動かし、しっかり汚れを取りましょう」
1回目に洗った後の水。汚れた水は一度捨てましょう。
3. ボウルに新しい水を注ぎ、2を繰り返す
全部で3回ほど牡蠣をふり洗いします。洗い終わったらざるにあげて水をしっかりきります。
【しょうゆ洗い】
4. ボウルに牡蠣を入れ、しょうゆ大さじ1(分量外)をまぶす
水をきった牡蠣をボウルに戻し入れ、しょうゆを全体にまぶします。
「ここで使うしょうゆは調味のためではなく、牡蠣をおいしく食べるための下ごしらえ。余分な水分をしょうゆで流す、“しょうゆ洗い”をします」
軽く全体を混ぜたらざるにあげ、水分をしっかりきりましょう。ざるは角度をつけて傾け、最後の一滴が落ちるまで、そのまま待ちます。
「しょうゆが余分な水分を引っ張ってくれるので、牡蠣が水っぽくなるのを防ぎます。さらにその後の味なじみをよくする効果も。今回は炊き込みごはんを作るのでしょうゆでしたが、料理によっては酒や白ワインを使うとよいでしょう」
下ごしらえが終わったら、実際に米と一緒に炊き込んでいきましょう。
牡蠣を加えるタイミングがポイント。牡蠣ごはんの作り方
<材料>(作りやすい分量)
- 米…3カップ(約480g)
- 牡蠣…300g
- しょうゆ…大さじ2
- 酒…大さじ3
- 塩…小さじ1/2
- 昆布だし(前日に水600㎖に対し、10㎝四方の昆布を入れて冷蔵庫にひと晩つけたもの)+牡蠣の煮汁…620㎖
<作り方>
1. 米は炊く30分〜1時間前に研ぎ、浸水させる
「浸水時間は米の状態によって調整してください。米を炊き上げる際は昆布だしを使用するので、浸水させるときの水は、計量する必要はありません」
2. 牡蠣を下煮する。鍋に煮汁を入れて煮立たせる
鍋にしょうゆ、酒、塩を入れ、中火にかけます。
3. 煮立ったら牡蠣を加え、2〜3分煮る
煮汁に牡蠣を加え、木べらで軽く混ぜながら2〜3分煮ます。
「牡蠣は火を通しすぎないことがポイント。軽く煮て、炊飯鍋に後から加えることで、やわらかく味わいもしっかりした牡蠣に仕上がります」
4. 火を止めてそのまま冷まし、味を煮含める
「味は冷めるときに入っていくので、煮汁につけたまま冷まし、牡蠣に味をしみ込ませましょう」
5. 鍋に米、昆布だし、牡蠣の煮汁を加え、ふたをして火にかける
1の米はざるにあげて水をしっかりきり、鍋に入れます。4の牡蠣もざるにあげて煮汁と身に分け、煮汁は昆布だしと合わせて計量し、鍋に加えます。ふたをして強火にかけます。
「計量する際は、牡蠣の旨みがたっぷりしみ出た煮汁を必ず全量使用し、残りの水分量を昆布だしで調整してください。
今回は牡蠣を途中で加えたいのと、おこげを楽しみたいので厚手の鋳物ホーロー鍋を使用しましたが、土鍋やステンレスの鍋、炊飯器などで炊いても問題なく作ることができます。鍋でごはんを炊くときは、ふたがきちんとしまる密閉性の高いものを選ぶとよいでしょう」
6. 沸騰したら牡蠣を加える
煮汁と分けておいた牡蠣を加え、平らにならします。
7. ふたをして15分ほど炊いたら、10分ほど蒸らす
牡蠣を加えたら弱めの中火で12分炊き、弱火に落としてさらに3分炊きます。トータルで15分ほど炊いたら火を止め、10分ほど蒸らしたら牡蠣ごはんの完成です。
「炊飯器で作る場合は、ふたを途中で開けられないことも多いので、ごはんが炊き上がって蒸らすタイミングで牡蠣を加えるといいでしょう。器に盛ったら好みで針生姜を添えてもおいしいですよ」
旨みがたまらない! 季節の炊き込みごはんが完成
炊き上がった牡蠣ごはんをしゃもじで軽く混ぜると、香ばしいしょうゆの香りがふわり。ひと口食べると牡蠣の凝縮した旨みとおこげの香ばしさが口いっぱいに広がります。味わいは濃いめでしっかりしており、炊き立てはもちろん、冷めてからおにぎりにしても楽しめそう。何より牡蠣の旨みがたっぷりしみ込んだごはんがとってもおいしい!
素材の味を余すことなく堪能できる牡蠣ごはん。寒くなってきたら一度は試してほしい、旬の味覚です。
小島喜和さん
テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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