
2025.08.09
新発見の美味しさ! みょうがの食べ方4品。揚げ物、蒸し物、サラダ…。大量消費レシピも◎
さわやかな芳香が暑い夏にぴったりの香味野菜「みょうが」。生のまま刻み、冷たい麺や冷奴などの薬味にしていただくのが定番の食べ方です。けれども、薬味として少し使うだけだとなかなか減らず、和食以外の使いみちも思いつかず、いつの間にか冷蔵庫の中でしおれていた…なんてことはありませんか?
そこで、みょうがをたっぷりと美味しくいただけるレシピ4品を、野菜の持ち味を生かした料理に定評がある、料理研究家の小島喜和さんに教えていただきました。
「みょうがは、私が生まれ育った高知県が生産量全国1位ということもあり、とても馴染みのある野菜です。今回は薬味としてではなく、みょうがが主役になるサラダ、揚げ物、蒸し物、汁物の4品を、エスニック風やイタリア風もまじえてご紹介します。作り置きや、大量消費向きのレシピもあるのでぜひお試しください」
目次
まずは、みょうがとはどんな野菜なのかチェックしていきましょう!
【みょうがとは?】下ごしらえや保存方法を解説
●食用栽培している産地は日本だけ
みょうがは地中の茎から出る花穂で「花みょうが」とも呼ばれ、花が咲く前に収穫されます。東アジアを原産とし、日本全土をはじめ中国や韓国でも自生していますが、食用として栽培しているのは日本だけといわれており、中国では漢方薬の材料として用いられています。
英名が「JAPANE JINGER」なことからも、みょうがは日本ならではの野菜といえ、和食との相性が抜群なのも納得です。
●夏みょうが、秋みょうががあり、見た目や味が異なる
みょうがはハウス栽培により通年生産されていますが、露地ものは6~10月が最盛期。さらに収穫時期によって「夏みょうが」と「秋みょうが」に分けられ、大きさや風味も異なります。
夏みょうがは主に早生(わせ)種で6月~8月にかけて収穫され、小ぶりで緑がかった色合いが特徴。さっぱりとした味わいでシャキシャキとしているので、薬味などの生食に向いています。一方、秋みょうがは8月~10月にかけて収穫され、ふっくらと大きめで赤色が鮮やか、香りも強め。肉厚で風味も強いので、加熱調理に向いています。
●みょうがは夏バテ予防にうってつけ
ショウガ科に属すみょうがは、しょうがに似た独特のさわやかな香り、ピリッとした辛みが特徴。この香りはアルファピネンという精油成分によるもので、食欲増進効果や発汗や食欲促進作用、利尿作用が期待でき、夏バテ予防にはうってつけの食材です。ナトリウムの排出を助けるカリウムも多く含まれるので、塩分の取りすぎを調整する働きも期待できます。
ちなみに「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という説がありますが、科学的な根拠はなく、迷信なのでご安心を。
●美味しいみょうがの見分け方
全体が色鮮やかで茎の切り口が白く、ふっくらとしていてツヤがあり、穂先がきゅっと閉じたみょうがは、鮮度が良く美味しい証拠。切り口が変色して黒ずみ、カサカサと乾燥して穂先が開いたものは鮮度が落ちているので避けましょう。
●生食する場合は冷水にさらす
みょうがにはアクがあり、そのまま生食するとえぐみが強く、口内を刺激することもあるので下処理が必要です。切ってから冷水にさらし、水をきってからキッチンペーパーでしっかとり水気を拭き取れば下処理は完了。加熱調理する場合は加熱によりアクがやわらぐので、下処理は不要です。
「お使いになるみょうがによってアクの強さは違うので、さらす時間は食べてみて判断するのがおすすめです。ただし、さらし過ぎると色味や香りまで抜けてしまうので注意しましょう」
●みょうがの保存方法
みょうがはよく洗ってからキッチンペーパーで包み、保存用袋に入れ、冷気が直接当たらないよう冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
乾燥していると鮮度が落ちるので、霧吹きなどで軽く水分を含ませたキッチンペーパーを2〜3日ごとに取り替えるようにすると、10日ほど保存が可能です。
●茎みょうがとは? どんな料理に合う?
近年見かけるようになったみょうがの茎は、みょうが(花みょうが)を収穫したあとに残った部分。身がギュッと詰まっているので刻んで薬味にするよりも、甘酢漬け、梅酢漬け、ピクルスなどの漬物にして、シャキシャキとした食感を生かすのがおすすめです。
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みょうがの甘酢漬けの作り方はこちら>>
みょうがの知識が深まったところで、いよいよみょうがのレシピ4品をご紹介します!
【レシピ①】夏野菜たっぷり、作り置きOK!「みょうがの揚げびたし」
みょうがをはじめ、夏野菜を素揚げして漬け汁に浸した「揚げびたし」。みょうがは揚げることでクセが抑えられて甘みが引き立ち、紫色がより鮮やかに。箸休め的なさっぱり感が楽しめます。冷蔵庫で3日程度保存がきくので、作り置きにもおすすめ。
<材料>(作りやすい分量)
- みょうが…好みの量
- なす…2本
- モロッコいんげん…4本
- かぼちゃ…1/8個
- 【漬け汁】
・だし汁(かつお削り節と昆布の一番だし)…400ml
・しょうゆ…大さじ2
・みりん…大さじ1と1/2 - 揚げ油…適量
<作り方>
1. 野菜を切る
みょうがは縦半分に切る。なすはヘタを切り落とし、4つ割にして水にさらし、ザルにあげてキッチンペーパーで水気を拭き取る。モロッコいんげんはヘタを切り落とす。かぼちゃは皮つきのまま厚さ1㎝程度に切る。
2. 170℃の揚げ油で野菜を素揚げする
揚げ鍋に揚げ油を深さ1㎝程度注ぎ、火にかける。170℃になったら1の野菜をそれぞれ素揚げする。
3. 漬け汁を温め、バットに移す
鍋に【漬け汁】の材料を入れて中火にかける。煮立ったら火を止め、バットに移す。
4. 漬け汁に揚げた野菜を浸す
3のバットに2の野菜を入れ、全体を漬け汁に浸す。
「できたての温かい状態も美味しいですが、2~3時間置くと味がよくなじみます。冷めてから冷蔵庫に移してよく冷やし、翌日いただくのも夏らしくておすすめです」
【レシピ②】新発見の美味しさ! たっぷり食べられる「蒸しみょうが バーニャカウダソース添え」
蒸したみょうがを、イタリア風のバーニャカウダソースにつけていただく大人の前菜。蒸したみょうがは、驚くほどみずみずしくてクセがなく、シャクシャクとした独特の食感がクセになる美味しさです。アンチョビとにんにくの濃厚なソースが相まって、いくらでも食べられるので、大量消費にもおすすめ。ワインがすすみます!
<材料>(作りやすい分量)
- みょうが…好みの量
- 【バーニャカウダソース】
・アンチョビペースト…15㎝分 ※刻んだアンチョビフィレ3枚で代用可
・にんにく(縦半分に切って芽を取り除く)…4~5片
・牛乳…適量
・オリーブ油…大さじ3~4
・生クリーム(動物性)…大さじ2
<作り方>
1. みょうがを蒸す
みょうがを縦半分に切る。蒸気の上がった蒸し器で、みょうがを5分ほど強火で蒸し、取り出してそのまま冷ます。
2. バーニャカウダソースを作る
小鍋ににんにくを入れ、にんにくがひたひたに浸かる程度に牛乳と水を半量ずつ注いで火にかける。煮立ったらフツフツするくらいの火加減に弱め、にんにくがやわらかくなるまで15分ほどゆでたら取り出し、すりこ木などでペースト状につぶす。小鍋の煮汁を捨ててきれいに洗い、つぶしたニンニクを戻し入れる。アンチョビ、オリーブ油を加えて弱火にかけ、混ぜながらフツフツと沸いてきたら生クリームを加え、ひと煮立ちしたら火を止める。
「にんにくは牛乳入りの水で茹でこぼすと独特の臭みが和らぎ、美味しいソースになります」
3. 器にみょうがを盛り、ソースを添え、つけながらいただく
器に1のみょうがを盛り、2のソースを添え、みょうがにソースをつけながらいただく。
「バーニャカウダソースは、温めるポット(オイルポットなど、下からろうそくなどで温められるようなもの)があれば、そちらを使いながらいただくのも良いでしょう」
【レシピ③】みょうがの香味がアクセント!「せん切り野菜のエスニック風サラダ」
ナンプラーをきかせたエスニック風のドレッシングに、せん切りにしたみょうが、きゅうり、にんじんを合わせたサラダ。シャキシャキとした食感が心地良く、みょうがの香味がアクセントとなってモリモリと食べられます。肉や魚のソースにする食べ方のアレンジ例もご紹介。
<材料>(2人分)
- みょうが…3本
- にんじん…4~5㎝
- きゅうり…1/3本
- 【エスニックドレッシング】
・にんにくのすりおろし…1/2片分
・レモンの絞り汁…小さじ2
・ナンプラー…小さじ2
・砂糖…小さじ2
・サラダ油…小さじ2
・お好みで赤唐辛子(乾燥、小口切り)、または青唐辛子(小口切り)…適量
<作り方>
1. 野菜を切る
みょうがは縦半分に切って軸を切り取り、ごく細いせん切りにする。冷水にさらし、ザルにあげて水気をきり、キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取る。にんじん、きゅうりもごく細いせん切りにする。
2. ドレッシングを作る
ボウルに【エスニックドレッシング】の材料をすべて入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせる。
3. 野菜をドレッシングであえる
2に1の野菜を入れ、全体を混ぜ合わせる。
「野菜にドレッシングをあえると野菜から水が出るので、シャキシャキとした食感を楽しみたいなら食べる直前にあえましょう。あえてからしばらく置いて、マリネのような状態になるのもそれはそれで美味しくておすすめです」
【食べ方アレンジ】具だくさんソースとして、ゆで鶏や魚料理にたっぷりのせても美味しい!
ひと口大に切った鶏もも肉を沸騰した湯に入れ、火を止めてそのまま10分おいて取り出し、粗熱がとれたら器に盛って「せん切り野菜のエスニック風サラダ」をのせる。
「鶏肉はグリルにしてもOK。鶏肉以外にも牛肉や豚肉の冷しゃぶ、かつおのたたき、鯛や鰆といった白身魚のムニエルなどにもよく合います。サラダはドレッシングごとたっぷりのせてください」
【レシピ④】野菜のやさしい味わいと食感を堪能「みょうが沢煮椀」
沢煮椀(さわにわん)とはせん切りにした数種類の野菜の汁物。本来は豚肉などの肉類も使いますが、風味や食感が特徴的なみょうがを入れれば、野菜だけでも満足度が高く、ほっとする味わいに仕上がります。吸い口(汁物の薬味)に黒こしょうをふると、キリッと味が締まります。
<材料>(2人分)
- みょうが…1本
- ごぼう…4㎝
- にんじん(4㎝長さ)…15g
- モロッコいんげん…1/2本 ※さやいんげん1本で代用可
- だし汁(かつお削り節と昆布の一番だし)…400ml
- うす口しょうゆ…小さじ1/2
- 塩…小さじ1/3
- 黒こしょう…少々
<作り方>
1. 野菜を切り、ごぼう、にんじんをさっと湯通しする
みょうがは縦半分に切って軸を切り取り、ごく細いせん切りにする。ごぼう、にんじん、モロッコいんげんはごくうすいせん切りにする。鍋に湯を沸かし、ごぼうとにんじんをそれぞれさっと湯通しして、ザルにあげておく。
「根菜は湯通ししてアクを取り除いておくと、すっきり上品な味わいに仕上がります」
2. 鍋にだし汁を入れて煮立て、野菜を加えて煮る
鍋にだし汁を入れて火にかけ、煮立ったら1の野菜を加え、フツフツと沸くくらいの弱火で野菜に火が通るまで煮る。
3. 調味料で味をととのえ、お椀に注ぎ、黒こしょうをふる
しょうゆ、塩で味をととのえ、お椀に注ぎ、黒こしょうをふる。
【まとめ】みょうがは主役になる野菜! 加熱調理や和食以外の料理にも幅広く使える
「みょうが=和の薬味」と思い込み、鮮度が良いうちに使い切ることに苦労していたのですが、今回、薬味や和食以外の食べ方を知れて目からウロコ…の気持ちでした。
特に、イタリア風のバーニャカウダソースや、エスニック風のドレッシングとの相性のよさは、みょうがのポテンシャルの高さを感じさせるには十分! 蒸したり揚げたりすると、生とは違った味わい、食感が楽しめることが分かり、これからは様々なジャンルの料理に積極的に取り入れたいと思いました。みょうがが主役の料理、ぜひお試しください。
レシピ/小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、料理教室、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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