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2022.10.18

【おせちにも】煮方&味付けに注目! 里芋の煮物人気レシピ2品。小さい芋は煮っころがしがおすすめ

ほっとする味わいの和食の定番といえば、里芋の煮物(煮付け)。いざ作ってみると里芋がかたかったり、味が決まらなかったりと意外と難しいもの…。

「里芋の煮物が上手に作れないのは、もしかしたら里芋選びの問題かもしれません。実は里芋の煮物は種類や大きさによって、最適な下処理や味付けがあるんですよ」

そう話すのは、旬の素材を使った季節ごとの料理を得意とする、料理研究家の小島喜和さん。そこで今回は、おせち料理にもおすすめの上品なだしを効かせた関西風「含め煮」と、白いご飯や弁当おかずにおすすめの甘辛い関東風「煮っころがし」の2つの煮物レシピを教えてもらいました! 里芋の種類やサイズによって、どちらのレシピがおすすめなのかも解説します。

小島喜和さんのレシピ一覧はこちら>>

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【基礎知識】里芋の煮物はサイズによって下処理・味付けを変えるのが正解!

里芋の煮物のイメージ

基礎知識① 里芋の選び方。種類はいろいろ。大きいか小さいか、サイズで味付けを変える

里芋のイメージ

先ほど「実は里芋の煮物は種類や大きさによって、最適な下処理や味付けがある」とご紹介しましたが、野菜売り場に並ぶ、里芋の種類や大きさは実にさまざま。

まずは里芋の種類について。多く出回っているのは「土垂(どたれ)」という品種で、煮崩れしにくく、粘りがあるのが特徴です。「石川早生(いしかわわせ)」という品種は、里芋の種類のなかでもサイズが小さく、あっさりした味わいです。そのほか、赤芽芋(芽の周りが赤い芋)の「セレベス」という品種もよく見かけます。

次に里芋のサイズについて。里芋にはサイズが大きい親芋(種芋から最初に育つ部分)と、子芋・孫芋(親芋から育った部分・子芋から育った部分)をどちらも食べる品種もあれば、子芋だけを食べる品種もあります。

里芋の煮物を作るときは、品種を覚えておくよりも「里芋の大きさによって、作るレシピを決める」というように判断するほうが簡単なのです。次にサイズに合わせたおすすめレシピについて解説します。

基礎知識② 大きい里芋は、だし煮の上品な「含め煮」に! 皮をむいてから下ゆでする

サイズが大きな里芋は、下ゆでしてから静かに煮て、「含め煮」にするのがおすすめ。里芋は包丁で皮をむいてから水で洗い、しっかりぬめりを取りましょう。やわらかくなるまで下ゆでし、さらに水で洗ってぬめりを2回に渡ってとることが味をしみ込ませるポイント。だしとうす口醤油で上品な味わいに仕上げます。

里芋の含め煮レシピはこちら>>

基礎知識③ 小さい里芋(小芋)は甘辛い「煮っころがし」に! 蒸してから皮をむく

小さい芋(小芋)は、その形を活かしてころころ煮る「煮っころがし」がおすすめ。里芋は包丁で皮をむくのが大変なので、上下を切り落とし、切り込みを入れてから「蒸す」のが正解! そうすると切り込みからつるんと皮をむくことができます。醤油とみりんで煮て、照りよく仕上げれば、ごはんのすすむ一品に!

里芋の煮っころがしレシピはこちら>>

里芋の種類やサイズなんて気にしたことありませんでした! 確かに言われてみると、季節によって小さいものや大きいものなど、サイズの異なる里芋が出回っている気がします。味付け方法も2種類あるなんて、どっちも食べてみたいです!

それでは実際にレシピを見ていきましょう。

【煮物レシピ①】里芋の含め煮。だしとうす口醤油の上品な味わいはおせちにも◎

里芋の含め煮のイメージ

まずは、大きめの里芋で作る、「里芋の含め煮」の作り方を紹介します。うす口しょうゆを使い、白く仕上げるのが特徴で、だしの風味と砂糖のやさしい甘さ、やわらかく煮た里芋のねっとりした食感が相性良く、上品な味わい。おもてなし料理として正月のおせちにもおすすめです。

「今回は、白芽芋(芽のまわりが白い芋)の『土垂』で作りましたが、個人的には『セレベス』などの赤芽芋(芽の周りが赤い芋)で作るのがおすすめ。ねっとりした食感がやさしい味付けによく合います。砂糖を多めに入れて、しっかりと甘くすることが、おいしく仕上げるポイントです」

<材料>(3〜4人分)

  • 里芋…大5個(約600g)
  • だし汁(かつお昆布だし)…600ml
  • 砂糖…大さじ6
  • うす口しょうゆ…大さじ2と1/2
  • 酒…大さじ1
  • 柚子の皮(好みで)…適量

<作り方>

1. 里芋を洗う

里芋を洗っているところ

里芋を洗っているところ

里芋はたわしでこすって洗い、ペーパータオルで水気を拭き取る

「あとで皮をむくので、表面の泥を軽く落とす程度で大丈夫です。水気が残っていると包丁が滑りやすいので、しっかり拭き取りましょう」

2. 里芋の皮をむく(六方むき)

里芋の上下を切り落としているところ

里芋の皮をむいているところ

皮をむいた里芋

里芋は上下を切り落とす。皮を上から下に向かって六角になるように縦にむく。

「里芋は『六方むき』といって、六角形にととのえるむき方が一般的。煮崩れしにくく、美しく仕上がります。ただ、形をきれいにととのえようとしすぎると、無駄も多くなってしまうので、ご家庭では里芋の形に沿うことを意識して、皮をむくといいでしょう。

上手に皮をむくコツは、まず上下が平行になるように切り落とし、里芋の丸みに沿って縦に1面むいたらその対面の皮を1面むきます。そのあと残った皮を2面ずつむくとバランスがとりやすいでしょう」

3. 半分に切り、水で洗い、ぬめりをとる

里芋を切っているところ

里芋を水に入れているところ

里芋を洗っているところ

里芋を食べやすい大きさ(写真では斜め半分)に切る。水を張ったボウルに入れ、手で揉むようにして洗う。水を入れ替え、これを2〜3回繰り返したらザルにあげる。

「ミョウバンがあれば、このタイミングで里芋をミョウバン水に30分程度つけてもよいでしょう。アクをのぞき、煮崩れを防ぐことができます。ない場合は、水の中で里芋を揉んで、ぬめりを取りのぞきます」

4. 里芋をゆでる

里芋をゆでているところ

里芋をゆでているところ

鍋に里芋を入れ、たっぷりの水を注ぎ、中火にかける。沸騰したら弱火にして10分ほどゆでる。

「里芋を竹串で刺したときに、スーッと通るくらいやわらかくなるまで下ゆでします。かたいものは調味料を加えてしまうとそれ以上やわらかくならないので、この段階でしっかり下ゆでしておきましょう」

5. 再び水で洗い、ぬめりをとる

里芋を洗っているところ

里芋がやわらかくなったらザルにあげ、再びため水で洗う。

「下ゆでし終わったタイミングで、里芋を水で洗い、ぬめりをとります。里芋はすでにやわらかいので、水で1回軽くゆすぐ程度で大丈夫です」

6. 里芋をだしで煮る

里芋をだしで煮ているところ

鍋に里芋、だし汁を入れ、中火にかける。煮立ったら弱火にして2〜3分煮る。

「里芋にはまず、だしから含ませましょう」

7. 砂糖、うす口しょうゆ、酒を加えて煮る

砂糖を加えているところ

醤油を加えているところ

砂糖を加え、さらに3分ほど煮たらうす口しょうゆ、酒を加え、5分ほど煮る。

「砂糖の方がしょうゆよりも味がしみ込みにくいので、しょうゆの前に砂糖を加えるのも煮物の基本です。含め煮は色を薄く仕上げたいので、しょうゆはうす口を使用しましたが、ない場合は濃口しょうゆでも構いません。濃口を使用する場合は、しょうゆの分量を気持ち多めに入れるといいでしょう」

8. 火を止め、そのまま冷ます

煮終わった里芋の含め煮

盛りつけた里芋の含め煮

火を止めてそのまま冷まし、味を含ませる。食べるときは温め直してから器に盛り、すりおろした柚子の皮をちらす。

「煮すぎると煮崩れるので、火を止め、そのまま冷ましましょう。冷ます過程で里芋に味がしみ込みます」

【里芋の煮物レシピ②】里芋の煮っころがし。濃口しょうゆで甘辛いごはんがすすむ味付けに

里芋の煮っころがしのイメージ

続いて、小さい芋で作る、「里芋の煮っころがし」の作り方を解説。こちらは濃口しょうゆとみりんを使用し、照りよく仕上げます。里芋のホクホクした食感と甘辛い味付けが食欲そそる、お惣菜の定番です。

「冷めてもおいしいのでお弁当にもぴったり! 小さい芋は蒸せば皮がつるんとむけるので、意外と下処理が簡単です。煮汁が半分程度になるまで、煮詰めることが色よく仕上げるポイント。里芋と一緒にイカを加えてもおいしいですよ!」

<材料>(3〜4人分)

  • 里芋…500g
  • だし汁(かつお昆布だし)…200ml
  • 砂糖…大さじ3
  • しょうゆ…大さじ2
  • みりん…大さじ2

<作り方>

1. 里芋を洗う

里芋はたわしでこすって洗い、ペーパータオルで水気を拭き取る

「あとで皮をむくので、表面の泥を軽く落とす程度で大丈夫です」

2. 里芋の上下を切り落とし、切り込みを入れる

里芋の上下を切り落としているところ

里芋に切り込みを入れているところ

里芋は上下を切り落とし、側面に縦に切り込みを1本入れる。

「小芋は小さいので包丁で皮をむくと、食べる部分が小さくなってしまいます。加熱すればつるんと皮がむけるので、むきやすいようここでは切り込みだけ入れておきましょう」

3. 里芋を蒸す

里芋を蒸しているところ

蒸し器に水を入れて強火にかける。蒸気が立ったら里芋を入れ、ふたをして10分ほど蒸す。

「小芋はゆでる代わりに、竹串で刺すとスーッと通るくらい、やわらかくなるまで蒸します。かたいものは調味料を加えてしまうとそれ以上やわらかくならないので、この段階でしっかり火を通しましょう」

▼電子レンジでの皮のむき方はこちらの記事をチェック!
里芋の皮がつるん!とむける方法。下ゆでも一緒にできちゃいます>>

4. 里芋の皮をむく

里芋の皮をむいているところ

里芋をふきんで包んで切り口から皮をむく。

「里芋の皮をふきんごしに切り口から掴むと、皮がつるんとむけます。小芋は蒸すとぬめりももとれるので、皮をむいた芋は洗う必要はありません」

5. 里芋をだしで煮る

里芋をだしで煮ているところ

鍋に里芋、だし汁を入れ、中火にかける。煮立ったら2〜3分煮る。

「里芋にはまず、だしから含ませましょう」

6. 砂糖、しょうゆを加えて煮る

砂糖を加えているところ

醤油を加えているところ

砂糖を加え、さらに3分ほど煮たらしょうゆを加え、5分ほど煮る。

「砂糖の方がしょうゆよりも味がしみ込みにくいので、しょうゆの前に砂糖を加えるのも煮物の基本です」

7. みりんを加え、 さっと煮たら完成

里芋を煮ているところ

みりんを加えているところ

煮汁が半分ぐらいになったらみりんを加え、強火でさっと煮る。

「煮っころがしは仕上げにみりんを加え、甘さと照りを出します。強火で鍋をゆすって里芋を転がしながら、照りが出るまで煮詰めたら完成です」

里芋

やさしい味わいの含め煮も、しっかりした味付けの煮っころがしも、里芋のおいしさを余すことなく堪能できます。どちらも清潔な保存容器に入れてふたをして冷蔵庫に入れれば、3〜4日間保存可能とのこと。作り置きしておくと、常備菜としても活躍すること間違いなし!

小島喜和さん

小島喜和さん

テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。

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撮影:矢野宗利
文:ケイ・ライターズクラブ

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