2022.07.20
豆腐がべちゃっとしない! ゴーヤチャンプルーの人気レシピ。塩こしょう、醤油だけで簡単
暑い夏の定番おかずといえば、ゴーヤチャンプルー。家庭でも作る機会の多いメニューですが、豆腐と卵がべちゃっとなってしまい、沖縄料理店で食べるのとはおいしさが「ちょっと違う?」と感じたことのある人も多いのでは? やはり沖縄の食材や調味料を使わないと、おいしく作れないのでしょうか…。
「そんなことはありません! ゴーヤチャンプルーは身近な材料だけで本格的な味わいに仕上げることができる料理です。そもそも『チャンプルー』とは沖縄の言葉で『炒める』という意味。ゴーヤが入っている炒めものであれば、それは『ゴーヤチャンプルー』なのです。沖縄を旅していても、さまざまなゴーヤーチャンプルーに出合えます。現地ではランチョンミート(=ひき肉に香辛料などを加えて加熱した保存食)が入っていることもありますが、豚こま切れ肉を使う場合も。味付けも塩、こしょう、醤油だけでOKです」
そう教えてくれたのは、野菜料理に定評があり、ゴーヤのレシピ本の出版経験もある、料理研究家の植松良枝さんです。
ランチョンミートは手に入りにくいこともあるので、豚こま切れ肉で本格的なゴーヤチャンプルーが作れるなんて、うれしいですね! 記事の最後には、そうめんチャンプルーの作り方アドバイスも教えてもらったのでお見逃しなく。では、早速レシピのポイントを見ていきましょう。
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ゴーヤをもっとおいしく! 植松良枝さんが教えるゴーヤチャンプルーの4つのポイント
ポイント① ゴーヤは下処理不要! そのままの食感と味わいを活かすのが正解
ゴーヤの苦味をやわらげるために塩もみする方法もありますが、シャキシャキ食感が損なわれる原因にもなります。ゴーヤの苦味は薄く切ってから油で炒め、肉や卵と一緒に味わえばマイルドに。塩もみするより切ってそのまま炒めたほうが、より素材のおいしさを味わえます!
ポイント② 豚こま切れ肉を使えば、ゴーヤのおいしさが引き立つ!
沖縄ではゴーヤチャンプルーには豚肉のランチョンミート(ひき肉に香辛料などを加えて加熱した保存食)が使われることも多いですが、味がしっかりしている分、主役のゴーヤの存在感は弱まりやすくなります。
ゴーヤのおいしさをしっかり堪能したいなら、合わせる肉は豚こま切れ肉がおすすめ。ほどよい脂と肉の旨みが、バランスよく全体をまとめます。加熱するときは、最初はあまり触らず全体をしっかり焼き付けることで、肉のおいしさを引き出せます!
ポイント③ 卵は別で炒めることで、ふわっとした仕上がりに!
卵はゴーヤと一緒に炒めてしまうと、べちゃっとしたり、細かくなったりしてしまいがち。あらかじめ油を熱したフライパンで、半熟状に炒め、一度取り出しておき、最後にチャンプルーと合わせることで、ふんわりした仕上がりになります。
ポイント④ 味付けは塩、こしょう、醤油だけ! 仕上げに削りがつおをのせて旨みをアップ!
植松さんのゴーヤチャンプルーで使う調味料は、塩、こしょう、醤油の3種類のみ。シンプルな味付けで、素材本来の味をしっかり引き出します。調味料がシンプルな分、味の決め手となるのが削りがつお。沖縄のゴーヤチャンプルーでも欠かせない食材です。シンプルな炒めものの仕上げにたっぷりのせれば、旨み、風味が格段にアップし、たちまち沖縄らしい味わいに!
ゴーヤは下処理不要なんて、簡単でいいですね! ゴーヤチャンプルーには削りがつおをのせるといいなんて、初めて知りました。確かに旨みのもとなので、どんな料理もおいしくなりそう!
それでは、実際にレシピを教えてもらいましょう。
シンプルで簡単! ゴーヤチャンプルーの作り方
<材料>(2人分)
- ゴーヤ…1/2本
- 豚こま切れ肉…160g
- 木綿豆腐…1/2丁(約150g)
- 卵…2個
- 万能ねぎ(4cm長さに切る)…1/2束 ※ニラでも可
- もやし(ひげ根をのぞく)…小1袋(約200g)
- 塩、こしょう…各適量
- 醤油…小さじ2
- サラダ油…小さじ2
- ごま油…大さじ1
- 削りがつお…1パック(約5g)
「よく『ゴーヤの苦味が気になる』という人も多いですが、苦味こそゴーヤならではのおいしさです。苦手な人は、苦味が少なめなゴーヤを選ぶとよいでしょう。一般的に沖縄産の『あばしゴーヤ』は苦味が控えめと言われています。また、緑色の濃いものよりも薄いもののほうが苦味が少ないことが多いので、選ぶときの参考にしてください。また、調理時にゴーヤーに油をまとわせるように炒めると苦味がマイルドになります。苦味が気になる場合は多めの油で炒めるといいでしょう」
<作り方>
1. 豆腐は水きりする
豆腐はペーパータオルで包み、重石をのせて10〜15分おき、水きりする。豆腐の厚みが2/3程度になったら1cm厚さに切る(炒めるときに豆腐は崩すので、この段階ではサイズは大きくてもいい)。
「炒めたときにベチャッとしないよう、豆腐はしっかり水きりしてください。時間がない場合は、ペーパータオルで包んでから耐熱皿にのせ、電子レンジ(500W)で1分30秒加熱するといいでしょう。もし、一般的な豆腐よりも水分の少ない沖縄の島豆腐が手に入れば、水きりする必要はありません」
2. ゴーヤは種とワタを除いて2〜3mm幅に切る
ゴーヤは縦半分に切り、スプーンで種とワタをこそげ取る。2〜3mm厚さの半月切りにする。
「ゴーヤは『ワタをとったほうが苦くない』と思っている人もいますが、ワタにはそれほど苦味はありません。ただ、ワタがあると仕上がりが水っぽくなるので、スプーンで取れる範囲で取り除きましょう」
3. 豚肉に下味をつける
豚肉は大きいものは食べやすい大きさに切り、塩、こしょう各少々をふる。
「基本、調味は醤油だけなので、豚肉にはあらかじめ下味を付けておくと、味がぼやけず仕上がります」
4. 卵を炒めて、いったん取り出す
ボウルに卵を割り入れ、塩少々を加え、溶きほぐす。フライパンにサラダ油を入れて強めの中火で熱し、溶き卵を入れる。ヘラで大きく混ぜながら炒め、半熟状になったら一度取り出す。
5. 豆腐、豚肉を入れて、しっかり焼きつける
4のフライパンにごま油を入れて強めの中火で熱し、1の豆腐、3の豚肉を入れて焼く。豆腐に焼き色がついたら豚肉とともに裏返し、反対側も同様に焼く。
「豆腐と豚肉は炒めるというより、焼くイメージです。重ならないようにフライパンに並べ、焼き色がつくまで触らないように我慢して、しっかり焼き付けましょう。ちょっとしたコツですが、仕上がりのおいしさに大きな違いが出てくるので、ここは丁寧に!」
6. ゴーヤを加え、豆腐を軽く崩しながら、さっと炒める
豆腐が両面焼けたら、ゴーヤを加え、ヘラで豆腐を崩しながら炒める。
「豆腐は全体になじむよう、ヘラで崩してください。ゴーヤは生でも食べられる食材なので、さっと炒めるだけで充分。短時間でゴーヤーに油をまとわせるように炒めると、苦味がマイルドになります。油は少し足しても問題ありません」
7. 万能ねぎ、もやしを加え、さっと炒める
ゴーヤの色が鮮やかになったら万能ねぎ、もやしを加え、塩・こしょう各少々をふり、さっと炒める。
8. 醤油を鍋肌から加える
万能ねぎ、もやしが軽くしんなりしたら、醤油を鍋肌から加え、さっと混ぜ合わせる。
「醤油は鍋肌に当てるようにして加え、香ばしさを引き出します」
9. 4の卵を戻し入れる
火を止めて、4の卵を戻し入れ、全体を軽く混ぜる。
10. 器に盛り、削りがつおをのせる
器に盛り、削りがつおをのせたら、ゴーヤチャンプルーの完成。
削りがつおの風味とゴーヤのシャキシャキ食感がおいしい、ゴーヤチャンプルーに箸が止まらない!
早速できたてのゴーヤチャンプルーを口へ運ぶと、削りがつおの風味とゴーヤのほど良い苦味、豚肉の旨みが口の中に広がります。ゴーヤは特に下処理していないので、「やっぱり苦いのかな?」という不安もありましたが、まったくそんなことはなく、いい塩梅。豆腐はしっかり焼き付けることで、自分でいつも作っているときより、格段に美味しくなったのが驚きです。野菜のシャキシャキ食感もしっかり感じられ、箸が止まりません!
肉と鰹節でしっかり味は感じるのに、全体的に味付けが軽くてシンプルな分、素材の良さが引き立ち、飽きのこない味わい。炒め物って味付けが濃いものが多いイメージでしたが、このゴーヤチャンプルーなら食べ疲れず、たくさん食べられます。この夏、何度もリピートしてしまいそう!
【アレンジ】そうめんチャンプルーの作り方アドバイス。ゆでた麺と炒めた具を混ぜる作り方がおすすめ!
チャンプルーといえば、ゴーヤが有名ですが、沖縄では「そうめんチャンプルー(ソーミンチャンプルー)」もポピュラーです。植松さんに、そうめんチャンプルーを作るときのアドバイスもお聞きしました。
「そうめんチャンプルーも、味付けはゴーヤ同様、塩、こしょう、醤油のみで、シンプルに仕上げるのがおすすめです。具材は好みのもので問題ないですが、沖縄ではにんじんやニラが入っていることが多いですね。
ただし、炒めるときに注意が必要です。沖縄のそうめんはちぎれにくく炒めやすいのですが、本州の一般的なそうめんをゆでてから炒めようとすると、くっついたり、ちぎれたりしてしまうことも。私も何度かトライしてみたのですが難しいので、本州のそうめんで作る場合は、ゆでたあと、流水で洗ってしっかり水気をきってから表面を油(おすすめはごま油)でコーティングし、別で炒めた具材と混ぜる『あえ麺スタイル』で作ると簡単ですよ」
特別な材料がなくても、すぐに作れるゴーヤチャンプルー。一度に野菜もたんぱく質もたっぷりとれてボリュームも満点です! ぜひゴーヤの力で、暑い夏を乗りきりましょう!
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植松良枝さん
旬の野菜を使った料理を得意とする料理研究家。野菜づくりがライフワークで、季節に寄り添った食と暮らしに関するアイデアを発信している。
さらに国内外を旅し、多くの食文化に触れた経験から生み出される、世界各国のエッセンスを取り入れた料理も人気。『バスクバルレシピブック』(誠文堂新光社)、『春夏秋冬 ふだんのもてなし』(KADOKAWA)など著書多数。
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