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2022.11.23

オーブン不要で簡単! シェフ直伝やわらかチャーシューの作り方。黒こしょうとはちみつ使いに注目

小皿にのせたチャーシューのイメージ

そのままでメインにもおつまみにもなり、丼やラーメン、チャーハンの具にしても美味しいチャーシュー(焼豚、焼き豚)。ローストビーフよりお手頃価格の材料で作れて、忙しいときの作り置きやお正月のおせちなどおもてなしにも人気の料理です。

でも、いざ自家製にチャレンジしてみたものの「肉がパサパサでかたくなってしまう…」「お店で食べるような美味しいタレ(たれ)の作り方がわからない」といった声もよく耳にします。

作り方を調べてみると、豚肉をタレに漬け込んでから焼く方法、豚肉を煮汁で煮てから焼く方法など、いろいろな作り方があって、結局どれがベストなのか分からないのも悩みどころ…。

そこで、東京・赤坂の中国料理店<トゥーランドット臥龍居>の脇屋友詞シェフに、長年作り続けてきたという自慢のチャーシューの作り方を教えてもらいました。オーブン不要で簡単に作れるのに、プロの技でしっとりやわらか、はちみつ入りのタレと黒こしょうで仕上げる本格的な美味しさというから必見です!

脇屋シェフの三越おせち<Wakiya一笑美茶樓>笑笑 弐段重 はこちら>>

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脇屋流チャーシュー(焼豚)の作り方、4つのポイント

大皿にのせたチャーシューのイメージ

「このチャーシューは、私が中国料理の伝統的な手法をベースに家庭でも作りやすいよう改良を加えながら、もう40年ほど作り続けている作り方。スパイシーな黒こしょうとはちみつの甘さが絶妙な大人好みの味わいで、自宅でもよく作るほど気に入っています。以下の4つのポイントを守ればどなたでも失敗なく作れますから、ぜひ試してみてください」

それでは、ポイントを押さえていきましょう!

【ポイント①】チャーシューをやわらか食感に仕上げるには、「表面を焼く→じっくりゆでる→タレに漬け込む」が正解

脇屋シェフが理想とする「しっとりとジューシーでやわらかく、香ばしい」チャーシューを作るには、豚肉がやわらかくなるまでじっくりゆでることが一番のポイント。そして、ゆでる前に表面を香ばしく焼いてコーティングし、うま味を含んだ肉汁が流れ出るのを防ぎます。味つけは、ゆでた豚肉が熱いうちにタレに漬け込んで。冷ましながら、早く味を含ませます。

こうすると、適度に噛みごたえがあり中はしっとりやわらかな食感で、味の染みたチャーシューに仕上がります。

【ポイント②】豚肉は水から弱火でゆでて、しっとりやわらか食感に。ゆで時間は慎重になるべし

豚肉をゆでるときに大切なのは、「水から」。そして、煮立ったら「弱火でじっくり」加熱すること。肉を構成するタンパク質は、温度が高くなる(65℃以上)と縮んでかたくなりますが、ゆるやかな温度変化で低い温度を保つことで、しっとりやわらかく仕上がります。

とはいえ、ゆですぎはNG。身がくずれ、肉汁が蒸発してかえってパサパサになってしまうので、1時間程度で竹串を刺して肉汁を確認し、ゆで上がりのタイミングを見極めます。

【ポイント③】八角、桂皮、花椒など、中国料理でおなじみのスパイス使いで、タレの味に奥行きを出す

ゆでた豚肉を漬け込むタレ(たれ)には、中国料理でよく使われるスパイスや香味野菜、調味料を加えるのが脇屋流。

特に、清涼感のある甘い香りの八角と桂皮(ケイヒ)、柑橘系の香りと痺れる辛さの花椒(ホワジャオ)、ピリッとした辛さの赤唐辛子を加えることで、タレのベースは日本人にお馴染みのしょうゆであっても、ひと味もふた味も違う本格的な中国料理になります。好みで入れなくても構いませんが、ぜひ試してほしい材料です。

【ポイント④】仕上げにフライパンで漬けだれとはちみつを煮詰め、豚肉にからめると、オーブンで焼いたような仕上がりに!

仕上げにはちみつを加えた漬けだれをフライパンで煮詰め、チャーシューに煮からめます。これは、焼き窯やオーブンで焼いて仕上げたようなツヤと香ばしさに近づけるため。このひと手間で、見た目も香りもより魅力的になります。

「甘みのないしょうゆだれを染み込ませた豚肉は、仕上げに表面だけをちょっと甘くすることでとっても美味しくなります。最後にもう一度黒こしょうをふることで、香りもしっかりつきます。はちみつと黒こしょうの相性の良さを存分に楽しんでください!」

豚肉をタレと煮たり、タレに漬けてから焼いたりと、今まで様々なレシピを試してきましたが、「ゆでる」のも「フライパンで仕上げる」もの初めて。目からうろこです! これでパサパサなチャーシューとはサヨナラできる?

では、具体的に作り方をチェックしていきましょう!

スパイスの風味とはちみつの甘さが絶妙! 「黒こしょう風味のチャーシュー(焼豚)」の作り方

チャーシューの材料

豚肉は味がよく、赤身と脂身のバランスがよい肩ロースを使用。太さが均等で、脂が層になって外側につき、全体にも入っていて、筋が適度に入っているものを選ぶとよい。

漬けだれの材料

<材料>(4人分)

  • 豚肩ロースかたまり肉…500g(直径8cm、長さ16cmほど) ※あればネットがかけてあるもの
  • 【下味】
    ・塩…小さじ1弱(5g、肉の重量の1%)
    ・粗挽き黒こしょう…小さじ1
  • 【漬けダレ(タレ)】
    ・しょうゆ…150ml
    ・紹興酒…大さじ1
    ・酒…大さじ1
    ・長ねぎの青い部分(4㎝長さ)…1本分(30g)
    ・しょうが(薄切り)…1かけ分
    ・にんにく(叩いてつぶす)…2かけ分
    ・好みで八角…1個
    ・好みで桂皮(ケイヒ)…1かけ ※シナモンスティック1/2本で代用可
    ・好みで花椒(ホワジャオ、粒)…小さじ1/2
    ・好みで赤唐辛子(乾燥)…2本 
  • はちみつ… 大さじ1
  • 粗挽き黒こしょう…大さじ1/2~1

<作り方>

1. 豚肉の形がくずれないよう、タコ糸で巻いて固定する

豚肉にタコ糸を巻くイメージ4

ゆでる途中で豚肉の形がくずれたり、脂身と赤身がはがれたりしないよう、形を整えながらタコ糸を巻いて固定する。または、市販の焼き豚用ネットをかぶせてもよい。

「肉は火を通すと縮むので、少しきつめに巻いてください。あまり難しく考えず、縦と横にタコ糸がしっかり巻かれていれば大丈夫です」

豚肉の形を固定する、タコ糸の結び方

豚肉にタコ糸を巻くイメージ1

① 豚肉の片端から2cmの部分にタコ糸をきつく巻き、結び目を作る。

② 横糸を2~3cm間隔で2重に巻きつけていく。

③ 豚肉の端まで横糸を巻きつけたら、縦糸を巻く。縦糸と横糸が交差する部分(上写真の赤い丸)で、縦糸を横糸に巻きつけながら巻いていく(下写真)と、糸がゆるまずに固定される。巻き終えたら、最後はほどけないよう結ぶ。

豚肉にタコ糸を巻くイメージ3

2. 豚肉に塩、黒こしょうをすり込み、1時間おいて下味をつける

豚肉に下味をつけるイメージ

豚肉に【下味】の塩、黒こしょうを全体にすり込む。ラップでぴったりと包むか保存袋に入れて空気を抜いて口を閉じ、冷蔵庫に1時間ほどおいて下味をつける。

「バットに塩と黒こしょうを入れ、豚肉をのせてこすりつけると簡単です。豚肉に調味料を無駄なくつけることができます」

3. 【漬けダレ】を作る。材料をひと煮立ちさせて、冷ましておく

漬けだれを煮立てるイメージ

鍋に【漬けダレ】の材料をすべて入れ、中火にかける。ひと煮立ちしたら火からおろし、そのまま冷ます。

「冷ましていくうちに、じんわり香味野菜とスパイスの風味が引き出されます」

4. 熱したフライパンに豚肉の脂身を押しつけ、出た油で全面を焼く

豚肉を焼いて脂を出すイメージ

2の豚肉の水分をキッチンペーパーで拭き取り、フライパンを中火にかけ、豚肉の脂身を下にしてのせる。豚肉を手で押さえつけてフライパンに密着させ、油が出るよう焼き色をつける。

「最初に脂身を下にして出てきた油を使って全体を焼くと、脂がほどよく落ち、焼き油も不要です。ただし豚肉に脂があまりついてない場合は、サラダ油適量(分量外)を入れてから焼いてください」

豚肉の側面を焼くイメージ

豚肉を焼き終えたイメージ

脂身に焼き色がついたら、トングを使って全体に焼き色がしっかりつくように、肉をフライパンに押しつけながら焼く。途中、火が強いようなら弱める。

「写真のように焼き色がつくまで焼けたら、OKです」

5. 鍋に焼いた豚肉と水を入れ、1時間ほどゆでて豚肉をやわらかくする

豚肉を水につけるイメージ

鍋に4の豚肉とかぶるくらいの水を入れ、火にかける。沸騰したらアクを取り除いて弱火にし、厚手のペーパータオルやキッチンペーパーで落としぶたをして、フツフツとした火加減を保ちながら1時間ほど煮る。

「豚肉をゆでるとやわらかくなるだけでなく、余分な脂とアクが抜けて上品な味わいになります」

豚肉に竹串を刺すイメージ

竹串を刺して、透明な肉汁が出たら火を止める。バットに取り出し、キッチンペーパーで水気を拭き取る。

「竹串を刺したときに出てくる肉汁に血が混じっているようなら、もう少しゆでましょう。豚肉は同じグラム数でも太さはいろいろなので、時間は加減してみてください。残ったゆで汁には、美味しい豚肉のだしが出ています。スープなどに利用すれば美味しくいただけます」

6. 豚肉が熱いうちに漬けダレに漬け、1時間30分~2時間おいて味を染み込ませる

豚肉を袋に入れて冷ますイメージ

3の漬けダレを保存袋に移し、5の豚肉を熱いうちに入れる。袋の空気を抜いて口を閉じて密閉し、途中で3~4回上下を返しながら1時間30分~2時間漬ける。

「保存袋の角に豚肉を寄せ、小さめのボウルなどに立てた状態で置いておくと、少ないタレでもまんべんなく漬かります。ただし長く漬けすぎると味が濃く、肉がかたくなってしまうので注意して! 細めの肉なら1時間30分、太めの肉なら2時間ほど経ったら必ず豚肉を取り出してください」

7. はちみつを加えた漬けダレを煮立て、豚肉にからめる

豚肉にタレをからめ終えたイメージ

6の保存袋から豚肉を取り出し、キッチンペーパーで汁気を拭き取る。フライパンにはちみつと6の漬けダレ大さじ1を入れ、中火にかけて混ぜる。フツフツと煮立ってきたら豚肉を加え、トングで返しながらタレをからめる。タレが煮詰まって全体に照りが出たら(上写真)、火を止め、バットや皿などに汁ごと取り出す。

残った漬けダレの活用法はこちらをチェック>>

8. 仕上げに黒こしょうをふる

豚肉にこしょうをふるイメージ

黒こしょうを全体にふり、そのまま冷まして粗熱をとる。

「仕上げに黒こしょうをふり、フレッシュな香りを立たせます」

すぐに食べない場合は、チャーシューの保存方法と食べ方アレンジをチェック>>

9. 粗熱がとれたらタコ糸を外し、食べる直前にスライスする

タコ糸を切るイメージ

「キッチンバサミを使ってタコ糸を切ると簡単です」

チャーシューを切るイメージ

チャーシューを切るイメージ

食べる直前にチャーシューを薄く切って器に盛りつける。好みでチコリやエンダイブを添える。

「熱いうちはやわらかく崩れやすいので、冷めてから切りましょう。脂が冷えて白くかたまった場合や、温かい状態で食べたい場合は、耐熱皿に並べてからレンジで軽く加熱するといいでしょう」

【実食】これぞ褒められチャーシュー! 技アリなスパイス使いでおもてなしにも最適です

大皿にのせたチャーシューのイメージ

チャーシューを口に運ぶと、やわらかな弾力とともに肉汁が溢れ、はちみつの甘さと黒こしょうの刺激が後を引き、食べる手が止まりません…。筋の部分はじっくりゆでたことでゼラチン質に変わり、脂身もほどよく脂が抜けてムチッとした食感に。なのに、しっかり香ばしさもあるのはお見事です!

黒こしょうをはじめスパイスが多く使われているので、「辛いのでは?」と心配でしたが、そんなことは全くナシ。さり気ない風味で、味に華を添えています。これは「おもてなしや持ち寄りパーティーのときに作って、みんなに食べさせてあげたい!」と思えるチャーシューです。みなさんもぜひお試しあれ!

【チャーシューの保存方法と食べ方アレンジ】

チャーシューをラップで包んだイメージ

でき上がったチャーシューは、食べきれる分だけスライスしましょう。残った分は酸化しないよう、かたまりごとラップに包んで冷蔵庫へ。3~4日保存が可能です。

保存後に温めて食べたい場合は、切ったものを耐熱皿に並べ、ラップをふんわりかけてから子レンジで軽く加熱してください。フライパンでさっと焼くのもおすすめです。黒こしょうの香りが立って、いっそう美味しくなります。

食べ方は、そのまま薄切りにしておつまみにするほか、5mmくらいの厚めにスライスし、「スパムにぎり」のようにおにぎりにしたり、フライパンでさっと焼いてチャーシュー丼にしたりするのもおすすめ。

チャーシューを細かく切ったイメージ

端の部分は味が濃いので、細かく切り(写真)、野菜炒めやスクランブルエッグに入れたり、漬けだれとともに焼きそばやチャーハン(チャーシューはサイコロ状)にしたりすると美味しくいただけます。

【残った漬けだれの活用法アドバイス】

残った漬けだれは、調味料として活用できます。ゆで卵を漬けて「味玉」にしたり、肉じゃがや、豚肉(スペアリブやバラ)と大根の煮物にしたり、チャーハンや焼きそばなどの炒め物にしたりすると美味しいです。甘みが入っていないので、好みで砂糖やみりんを足すなど調整しても。チャーシュー(豚肉)のゆで汁と合わせて、ラーメンのスープのするのもおすすめです。

<トゥーランドット臥龍居>脇屋友詞さん

脇屋シェフのお顔

15歳で料理の道に入り、赤坂<山王飯店>を皮切りに都内老舗ホテル等での修行を経て、27歳で都内ホテルの料理長、後に総料理長となる。上海料理の伝統を軸とした、日本の旬の厳選素材をふんだんに使った体にやさしい「脇屋流中国料理」は多くの支持を集め、1996年<トゥーランドット游仙境>の代表取締役総料理長に就任。

2001年には赤坂に<Wakiya一笑美茶樓>をオープン。現在、<Wakiya迎賓茶樓>を含む3店舗のオーナーシェフを務める。黄綬褒章受章をはじめ、その他受賞多数。メディアを通じた中国料理の普及活動にも精力的に取り組む。

脇屋シェフの三越おせち<Wakiya一笑美茶樓>笑笑 弐段重 はこちら>>

脇屋シェフの伊勢丹おせち<Wakiya一笑美茶樓>笑笑 弐段重 はこちら>>

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撮影:菅井淳子
文:香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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