2022.07.12
【四川料理シェフ直伝】回鍋肉(ホイコーロー)のレシピ。野菜がシャキッと仕上がるコツに注目!
中国料理の人気メニュー、回鍋肉(ホイコーロー)。豚肉とキャベツ、ピーマンを炒めてピリ辛味噌で味つけするので、ごはんにもビールにもよく合いますよね。ただ、自宅で作るとキャベツがしんなりしてしまったり、水分が多すぎて味がぼやけてしまったりと、なかなかお店のようにはならないもの…。
そこで今回は、銀座三越 新館12階に店舗を構える、四川料理店<飄香(ピャオシャン)>の料理長、井桁良樹(いげたよしき)シェフに、家庭で再現できる本格回鍋肉の作り方を教えてもらいました。シェフが初めて中国料理店でアルバイトしたとき、いちばんのお気に入りだったという思い出の味でもある回鍋肉。野菜の炒め方や味付けの方法など、細部にプロならではのテクニックが光ります!
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<飄香>流、おいしい回鍋肉の3つのコツとは?
コツ① 野菜は水をふって炒めれば、シャキッと食感に
プロは野菜をシャキッと仕上げる目的で、炒める前に材料をサッと油にくぐらせる「油通し」というテクニックを用いますが、より手軽に行えるのが、水を使う方法。野菜を炒めるときに少量の水を加えると、発生する蒸気の熱によって野菜にまんべんなく火が通り、熱しすぎてクタッとなるのを防げます。
コツ② 豆板醤はじっくり炒めてコクと旨みを引き出す
豆板醤をメインに味付けし、とろみ付けの片栗粉は使わないことで、本格的な味わいに。豆板醤はしっかり火を通すと風味が引き出されるので、仕上げに加える合わせ調味料とするのではなく、味付けの最初に加え、やや焦げるくらいまでじっくり炒めます。
コツ③ 豚肉と野菜は別調理する
野菜は豚肉よりも火が通りにくいので、豚肉と野菜を一緒に炒めると結果的に豚肉を加熱しすぎることに。また、炒めながら全体に味付けするとどんどん野菜の水分が出てきて、ベチャッとした仕上がりの原因になります。
面倒に思えても、野菜のシャキシャキした食感を活かすために、野菜と豚肉は別々に調理するのがプロのコツ。豚肉にしっかり味付けをしてから、野菜をサッと「合わせる」ことで、野菜の食感が際立ちます。
野菜に水をふって炒めるなんて、初めて知るテクニックに早くもびっくり! 豆板醤は炒めることで風味が増すそうで、これは中国料理全般に使えるコツですね。ちなみに中国の豆板醤は塩味、辛さが日本のものよりマイルドなのだとか。
「中国の回鍋肉は、今回のレシピよりもっと大量に豆板醬を使います。まさに豆板醤主体の料理なんです」
豆板醤が主体の味付け、気になります! それでは、実際にレシピを詳しく見ていきましょう。
キャベツがシャッキリ! <飄香>の回鍋肉の作り方
<材料>(2人分)
- キャベツ…120g
- 豚バラ肉(薄切り)…160g
- ピーマン…2個(60g)
- にんにく…1かけ
- 豆板醤…小さじ1と1/2
- あれば豆豉(トウチ)…大さじ1/2
※ひたひたの湯に5分ほど浸けてから湯を絞っておく - 甜麺醤…小さじ2
- 紹興酒(または酒)…小さじ1
- しょうゆ…小さじ1/3
- 砂糖…小さじ1/3
- 塩…ひとつまみ
- サラダ油…大さじ3
「豆豉(トウチ)は黒豆に塩や麹、酵母を加えて発酵させたもので、パスタでいうアンチョビのような存在。加えると風味が増し、より本格的な味わいになります。乾燥した状態で売られていることが多いので、使うまえにひたひたの湯に5分ほど浸けて戻してください」
<作り方>
1. キャベツは手でちぎる
キャベツは手で一口大よりやや大きめにちぎる。
「手でちぎると断面の層が複雑になり、包丁で切るよりも調味料が染みやすくなります。サイズも大きめにすると、火を通したときにクタッとしにくく、食感よく仕上がりますよ」
外側と内側の葉をバランスよく混ぜると、ちょうどいい歯ごたえになります。
軸の太い部分は包丁の腹でたたいてつぶし(上写真)、筋を取り除く(下写真)。
「このひと手間を行うことで、まんべんなく火が通ります。かたいところがなくなって、食べたときの食感も均一になります」
2. ピーマン、にんにくを切る
ピーマンは縦半分に切ってヘタと種を除き、さらに斜め半分に切る。にんにくは芯を除いて薄切りにする。
「ピーマンはキャベツと同じくらいの大きさにするのがポイントです」
3. 豚肉を切る
豚肉は長さを3等分に切り、野菜と同じくらいの大きさに揃える。
「中国では、回鍋肉には皮付きの豚もも塊肉をゆでてから切ったものを使います。日本では脂が多い豚バラが手軽に作れておすすめです」
4. キャベツとピーマンを炒める
中華鍋(またはフライパン)にサラダ油大さじ1を入れて中火で熱し、1のキャベツ、2のピーマンを加える。すぐに水大さじ2(分量外)、塩ひとつまみを加えて炒める。
「この段階では7割程度火を入れるイメージで、熱しすぎないのがコツ。軽く、均一に火が通るように炒めることで、でき上がりがベチャッとしません。春キャベツを使用する場合は、葉がやわらかいため、より火が通りやすくなります。熱しすぎないように気をつけましょう」
野菜の食感が残っている程度でいったん取り出し、中華鍋を一度洗う(フライパンの場合はキッチンペーパーで軽くふく)。
5. 豚肉を炒める
中華鍋にサラダ油大さじ2を入れて中火で熱し、3の豚肉をほぐしながら加える。
肉の全体に油を回しながら、肉の色が変わり、水分がなくなるまで完全に炒め、2のにんにくを加える。
「肉はしっかり焼き色がつくまで炒めることで、香ばしさが格段にアップします」
豆板醤を加えて、全体になじませるように炒め合わせる。
「豆板醤はよく炒めることで香りが増し、味に深みが出ます」
豆豉(トウチ)を加える場合は、豆板醤が焦げ始めるまえのタイミングで粒状のまま入れる。
「作り始めるまえに、豆豉(トウチ)はひたひたの湯に5分ほど浸けて戻しておくことを忘れずに!」
豆板醤が焦げ始めて香りが出てきたら、甜面醤を加える。
「豆板醤と違って炒めすぎると風味が飛んでしまうので、サッと火を入れる程度でOKです」
次に紹興酒、しょうゆ、砂糖を順に加えて全体を炒め合わせる。
「う〜ん、なんともいい香り! と感激する工程です。野菜を加えるまえに、こうして豚肉にしっかり味をつけます。しょうゆで香ばしさが増し、砂糖でコクと甘みが増しますよ」
6. 野菜を戻し入れて炒める
中華鍋に4の野菜を戻し入れて、一気に炒め合わせる。
「7割方火が通った状態の野菜を鍋に戻して、しっかり味のついた豚肉と合わせます。回鍋肉はずっと中火の料理なので、ここでも中火のままにしましょう」
サッと火を通して全体を混ぜ合わせたらでき上がりです。
野菜がみずみずしい! プロ直伝の回鍋肉の完成!
野菜の色味が引き立つ回鍋肉が完成! 旨みがつまった脂が全体にまわって、きれいな照りに食欲がそそられます。いただいてみると、キャベツはシャッキリと歯ごたえがよく、ピーマンもみずみずしくてフレッシュ! 香ばしい豚肉とよく合います。そしてシェフの言葉通り、豆豉(トウチ)の絶妙な塩味がなんともいいアクセントに。
「中国の回鍋肉は意外とあっさりした味付けなので、豆豉(トウチ)のコクが際立ちます。一度そのおいしさを知ると、どんな料理にも入れたくなりますよ(笑)」
仕上げに水溶き片栗粉を使っていないので、見た目以上にさらりと軽く食べられます。これならこれからの暑い時期にもぴったり! ちなみに野菜はキャベツやピーマンに限らず、水気が少なければなんでもOK。お店の賄いでは、余った野菜はなんでも使うのだとか。
「中国ではキャベツではなく葉にんにくを使うのが一般的。初夏なら青唐辛子もいいですね。夏ならゴーヤがおすすめ! 豆豉(トウチ)を多めにすると、苦みとのバランスがグンとよくなりますよ」
季節の野菜を使って、四季折々の回鍋肉を楽しみたいですね。
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四川料理店<飄香>では、夏にぴったりの本格四川料理が楽しめます!
銀座三越新館12階にある四川料理店<飄香>では、ピリ辛料理をはじめとした夏にぴったりのメニューが多数! 「飄香串串蝦(ピャオシャンチャンチャンシャー)〜天使海老のスパイシー炒め〜」(2,970円・税込)は、甘みの強い天使のエビを高温で揚げて、山椒・唐辛子・ネギ・香菜をブレンドした「香辣(シャンラー)」で仕上げた、お酒のおつまみにも最適なひと皿。本格的な四川料理を心ゆくまで楽しめますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
取材協力/ 飄香 銀座三越店
国内の中華料理店、中国・上海、成都での修行を経て、2005年に<飄香(ピャオシャン)>をオープン。伝統料理から家庭料理まで、現地で学んだ「本場四川の味の伝承」をモットーとしている。
店舗のご案内について
記事でご紹介している<飄香>は、銀座三越 新館12階にございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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