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2021.10.26

煮るのは3分!? えびのうま煮(つや煮)プロの作り方。美しく作る下処理と仕上げにコツあり!

えびのうま煮のイメージ

ちらし寿司やお弁当、縁起のいい料理としておせちにも入っていることが多い「えびのうま煮(つや煮)」。お酒のつまみとしても人気ですよね。

一見、えびを煮るだけの単純な料理に思えますが、いざ家庭で作ってみると、「えびがかたくなってしまう」「味が決まらない」「つやが出ない」といった悩みが続出…。意外とおいしく作るのは難しいと実感します。

そんな悩みを解決すべく、上手に作るコツをプロに聞きました。教えてくれるのは、東京・日本橋にある和食居酒屋の老舗<いけ増>の3代目、喜多高廣さんです。

有頭えびの正しい下処理から、保存方法、お正月の盛りつけ例まで、丁寧に教えてもらったので、ぜひ最後まで読んでみてください!

▼プロが丁寧に解説した、おせちレシピ一覧はこちら

三越伊勢丹のおせちはこちら>>

お店クオリティに仕上げる! プロが教える「えびのうま煮」3つのテクニック

えびを煮ている様子

テクニック① えびは丁寧な下処理で、形を美しく!

えびの下処理というと「背わたを取る」のが一般的ですが、さらに有頭えびの場合は、ひげや角(つの)など誤って手や口を刺しやすい部分を、あらかじめ短く切りそろえる必要があります。さらにきれいな「つ」の字の形に曲がるよう、えびを爪楊枝で固定してから煮るのも忘れずに。

テクニック② 煮る時間は「弱火で3分」だけ。しっとり食感を実現!

えびは煮すぎると身がかたくなる原因に。弱めの火加減でやさしく、さっと煮ることで、しっとりかつ、ふっくらした仕上がりになります。余熱でも火が入るので、煮終わったあとは急速に冷やすこともポイント。

テクニック③ 煮汁はえびとは別で煮詰めて、つやよく仕上げる!

えびをつやよく仕上げる秘訣は、煮汁の煮詰め方にあり! 食べる直前に煮汁にみりんを加え、軽くとろみがつくまで煮詰めることで、美しい照りを出すことができます。ただし、えびと煮汁を分けてから煮汁だけを煮詰め、最後にえびと合わせましょう。煮汁にえびが入ったまま煮詰めてしまうと、火が入りすぎて身がかたくなり、失敗の原因に。

なるほど、有頭えびの下処理って、意外とわかってなかった気がします! たしかに幕の内弁当などに入っているえびは、きれいに形がととのえられていますね。えびを煮る時間も3分でいいなんて、あまりに短くてびっくりしました。

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

下処理から丁寧に解説! <いけ増>が教えるえびのうま煮のレシピ

えびのうま煮の材料

<材料>(3〜4人分)

  • 有頭えび(車えび、バナメイエビなど)…8尾
  • だし汁(かつお昆布だし)…350ml
  • 酒…150ml
  • うす口しょうゆ…40ml
  • みりん…大さじ4(60ml)
  • 【仕上げ用】
    ・みりん…大さじ1(15ml)

「えびは、繊細な味わいの車えびがおすすめです。今回、1尾30〜35gサイズのものを使いました。ない場合は、比較的車えびに近い、バナメイエビを使うといいでしょう。えびは鮮度の落ちやすい食材なので、調理する当日に購入し、なるべく早めに加熱するのがおすすめです」

<作り方>

1. えびの形をととのえる

えびの角を切っているところ

えびの頭の形をととのえているところ

えびは角(写真上)、頭の先(写真下)、ひげ、足をキッチンばさみで短く切りそろえる。

えびの剣先を切っているところ

剣先(尾の中央の尖っている部分)もキッチンばさみで切る。

「えびは手の熱でも傷んでしまうデリケートな食材なので、なるべくスピーディな作業を心がけましょう。下処理をしたあとは氷水につけておくと、色が黒くなるのを防ぐことができます」

形をととのえる前と後のえびを比較した様子

「比較してみると、形をととのえた後のえびはコンパクトにおさまっており、お弁当箱やお重にも入れやすくなります。ちょっとした手間ですが、仕上がりに差が出るので、省略せず、行うといいですよ」

2. えびの背わたを取り除く

えびの背わたを取っているところ

えびの背の節のあいだに竹串を刺して引っ張り出し、背わたを取り除く。

「えびは、指1本分で頭の下あたりを挟んで持ちましょう。えびの背が曲がり、背わたが取りやすくなります。ぎゅっと強く握りすぎると、背わたが途中で切れてしまうことがあるので気をつけてください」

3. 爪楊枝で形を固定する

えびに爪楊枝を刺しているところ

えびを「つ」の字の形に曲げ、頭のつけ根から、尾から2番目の関節にかけて、爪楊枝を刺す。

「えびはそのまま煮てもいいのですが、爪楊枝で固定したほうが美しい形に仕上がります。爪楊枝を指すときのポイントは、えびの殻に貫通させず、殻の手前で止めるようにしましょう。貫通させるとえびの殻に穴が開いてしまい、見た目が悪くなってしまいます」

4. 鍋にだし汁と調味料を入れ、煮立たせる

鍋に調味料を入れているところ

鍋にだし汁、酒、うす口しょうゆ、みりんを入れて強火にかける。

「えびを色よく仕上げるため、しょうゆは濃口ではなく、うす口を使いましょう」

5. 煮立たせた煮汁にえびを加え、鍋肌がふつふつとしたら弱火で3分ほど煮る

煮汁にえびを加えているところ

煮汁が煮立ったらえびを加え、再び煮立ったら弱火にし、3分ほど煮る。

「えびはぐつぐつ煮るのではなく、弱めの火加減でやさしく煮ることでふっくら仕上がります。3分というのはえびに火を通す最低限の時間です。煮すぎるとかたくなるので、3分たったらすぐに火から外しましょう。今回、1尾30〜35gサイズのものを使いましたが、えびがそれよりも大きい場合は、プラス1分を目安に煮る時間を調整してください」

えびを煮ているところ

鍋の縁がふつふつ沸くくらいの火加減が目安。

6. 煮汁ごと氷水につけて冷ます

えびを冷ましているところ

3分たったら鍋ごと氷水につける。または煮汁ごとボウルに取り出し、氷水につけて冷ましてもよい。

「煮たえびはそのままにしておくと、余熱でも火が入っていき、身がかたくなってしまいます。3分煮たあとは、急速に冷ますことが重要です」

7. 食べる直前に煮汁の一部を取り出して、火にかける

煮汁にみりんを加えているところ

煮汁を冷ましているところ

食べる直前に煮汁100mlを鍋に入れ、強火にかける。煮立ったら仕上げ用のみりんを加え、ほどよく煮詰まってとろみがついたら、鍋ごと氷水につけて冷ます。

「えびをつやよく仕上げるため、煮汁だけ鍋に取り出し、みりんを加えて軽く煮詰めていきましょう」

8. 7の煮汁に6のえびをからませる

えびに煮汁を絡めているところ

6のえびだけを取り出して7の煮汁にからませて完成。

「えびのうま煮は冷たい状態で食べることが多いですが、もし温めて食べたいときは、煮汁が温かいうちにえびをからめるといいでしょう」

【えびのうま煮の保存方法】

保存容器に入ったえびのうま煮

えびのうま煮は、さっと煮るだけのほうがおいしい料理なので、基本的に保存にはあまり向きません。作ったらなるべく早めに食べるのがおすすめです。

ただし、すぐに食べられない場合や食べきれなかった場合、6の工程を終えたタイミングで、清潔な保存容器にえびが煮汁にきちんとつかるように入れ、ふたをします。冷蔵庫に入れて2~3日保存可能です。食べる直前に7の工程を行い、煮詰めた煮汁とえびをからめて仕上げましょう。

つやつや美しく、味わい上品! プロの技でえびのうま煮がごちそうになる

えびのうま煮のイメージ

紅白の美しい縞模様とつやの美しさが際立つ、えびのうま煮が完成しました! 味わいはとても上品。ほどよい塩気を感じつつも、味つけが素材のよさを一切邪魔することなく、えびのうまみを堪能できます。食感は驚くほどしっとり、やわらか。「これがプロの仕事なんだ!」と思わず唸ってしまいます。

素材を活かした滋味深く、あっさりした料理は日本酒にもよく合いそう!

【お正月の盛りつけ例】長寿の象徴であるえびは、おせち料理の定番!

えびのうま煮のイメージ

えびはひげが長く、腰が曲がっている様子が老人に見立てられ、長寿を願っておせちに使われる食材です。紅白の鮮やかな色味は華やかなお祝いの席をいっそう盛り上げます。新鮮なえびさえあれば手軽に作れるので、お正月だけでなく、おもてなしのシーンなどでも活躍しそうですね。

シンプルな料理ですが、意外とテクニックがぎゅっと詰まっているえびのうま煮。細部を丁寧にこだわるかどうかで仕上がりに大きな差がつくので、ぜひプロのポイントを意識してみてください。

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<いけ増>3代目 喜多高廣さん

<いけ増>喜多高廣さん

昭和25(1950)年、「大衆割烹いけ増」として創業した日本橋にある和食居酒屋の3代目。店名の由来である「ちょいと、行けます」の精神のもと、新鮮かつ良質な食材を必要最低限の調味料で、素材の良さを引き出すよう調理し、リーズナブルに提供している。

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撮影:難波雄史
文:ケイ・ライターズクラブ

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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