2020.12.09
上品な甘さ&えびが香る「ミニ伊達巻き」レシピ。プロの味を卵焼き器で簡単に!
卵をたっぷりと使った、甘くしっとりとした伊達巻き。おせち料理のなかでも人気の1品です。ですが手作りするとなると、特別な道具や材料をそろえたり、技術的にハードルが高そうだったりして、市販品に頼りがちですよね。
そこで今回、身近な道具や材料を使って、初心者でも簡単に作れるレシピをご紹介します。教えていただくのは、東京・四谷三丁目にある<日本料理 鈴なり>店主・村田明彦さん。ミシュラン1ツ星を獲得した経歴をもつ名店です!
※こちらの記事は三越伊勢丹オンラインストアの特集記事より流用、一部編集・加筆をして掲載しています。
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これが村田流! 伊達巻きのポイント
プロは家庭用より大きめの銅製の卵焼き器を使って焼きますが、今回は家庭用の卵焼き器を使ったレシピでご紹介します。市販品よりも小さめサイズに仕上げるので、初心者でも簡単に焼くことができます。
◆市販のはんぺんで簡単に作る
<日本料理 鈴なり>では魚のすり身やつくね芋を使って作りますが、一般的には手に入りにくい食材です。代わりに魚のすり身でできた「はんぺん」を使って簡単に作ります。
◆えびを加えてうまみをアップ
えびを使用することで、うまみが加わります。関西地方では伊達巻きにだし汁を使ったレシピが多く見られますが、今回のレシピではだし汁は使いません。
◆弱火でじっくり蒸し焼きにする
焼き方がいちばん大切なポイント。生地に火が通るまえに焦げてしまわないよう、アルミ箔でフタをして、弱火でじっくり蒸し焼きにします。
◆熱いうちにシロップを塗ってから巻く
生地が熱いうちに形を整えることが大切。生地が焼けたら熱いうちにシロップを塗って素早く巻き、上品な甘みとしっとり感をプラスするのが村田流です!
えびの風味がふわっと香る「伊達巻き」レシピ
材料(内寸18cm×13cmの卵焼き器2本分)
- はんぺん…120g
- えび(殻をむいた状態で)…5~6尾(60g)
※車えび、ブラックタイガー、冷凍など好みのえびでよい - 卵…5個(270g)
- <調味料>
・みりん…大さじ3
・砂糖(上白糖)…大さじ1
・酒…大さじ1
・しょうゆ…小さじ1 - <シロップ>
・砂糖(上白糖)…1/2カップ(65g)
・水…1/2カップ
作り方
1.えびは下処理をする
えびは背に切り目を入れ、背ワタを取り除く。ボウルに水150mlと酒大さじ2(ともに分量外)を合わせ、えびを入れてさっと洗い、キッチンペーパーで水気をおさえる。
「酒を入れた水のことを『玉酒』と呼びます。玉酒でえびを洗うと、うまみを逃がさず臭みを取り除くことができます」
2.材料をフードプロセッサーに入れて攪拌する
フードプロセッサー(またはミキサー)に、ちぎったはんぺん、卵、えび、調味料を入れ、なめらかになるまで攪拌する。
「えびの粒が多少残るくらいでOK。写真のようなドロッとした状態になるまで攪拌しましょう」
3.シロップを作る
小鍋にシロップの材料を合わせ、中火にかけて沸騰させ、砂糖が溶けたら火を止める。
「砂糖が溶ければOK。耐熱容器にシロップの材料を入れて、電子レンジにかけて溶かしてもいいですよ」
4.熱した卵焼き器に卵液を流し入れ、ごく弱火で焼く
卵焼き器にサラダ油(分量外)を中火で熱し、キッチンペーパーで余分なサラダ油をさっとふき取る。
熱した卵焼き器をぬらしたふきんにのせていったん冷まし、コンロに戻してごく弱火にする。
2の卵液を菜箸にとり、卵焼き器に線を引いて温度をチェックする。
「卵液を入れ、ひと呼吸して卵液がかたまるくらいが適温です。ジュッと音がしてすぐにかたまるようなら、熱すぎです。いったん火を止めるか、ぬれたふきんにのせるなどして、卵焼き器の温度を下げましょう」
卵焼き器が適温になったら、卵液の半量を一気に流し入れる。
「卵焼き器の半分の高さまで卵液を入れるくらいが、失敗なく焼ける分量です」
アルミ箔を卵焼き器よりもひと回り大きなサイズに折りたたみ、卵焼き器にかぶせてフタをし、10分ほど蒸し焼きにする。
「焼きムラができないよう、3分おきに卵焼き器の位置を変えて火の当たりを均一にします。写真のようにコンロに網をのせておくと、位置をずらしてもぐらつきません」
表面が乾いた感じになったら、指で触ってみて何もついてこないようならOK。
「家庭によってコンロの火加減が異なるので、7分くらい経ったら焼き具合をチェックするといいでしょう」
ヘラを生地の四隅に入れ、卵焼き器からはがす。次にヘラを奥から手前に差し込んで、生地を奥側に引き出し(上写真)、卵焼き器を持ち上げながらパタンと裏返す。
アルミ箔をかぶせて2~3分焼く。
竹串を刺してみて、何もついてこなければ焼き上がり。
5.生地に切れ目を入れてシロップを塗り、ラップで巻く
生地の内側になる面を上に、短辺が手前にくるようにまな板に置く。深さ2~3mmの切り目を1.5cm間隔で入れる。
「切り目を入れることで、しっかり巻くことができ、きれいに仕上がります。熱いうちに巻きたいので、ここからは素早く行いましょう」
切り目を入れた面に3のシロップをたっぷりとハケで塗る。
生地の約2倍の長さのラップを広げてのせる。
「ここでは巻きすは使いません。シロップを生地に染み込ませるためと、乾燥防止のためにラップを使って巻いていきます。ラップの手前と奥の端を少し丸めておくと、あとでラップをはがしやすいですよ」
ラップの手前の端を持って、最初のひと巻きをきつめに巻いてから、そのままラップがゆるまないように一気に巻く。ラップの左右の端は、キャンディ包みにして内側に畳む。
伊達巻きの形を作る。ラップで巻いたままの伊達巻きを、巻きすで巻いて両端を輪ゴムでとめ、そのまま冷ます(写真左)。残りの生地も同様に焼いて巻く。巻きすがなければ、竹串で代用するとよい(写真右)。ラップに竹串を並べて、ラップで巻いたままの伊達巻きを置いて巻きつけ、両端を輪ゴムでとめる。
「伊達巻きを巻いた巻きすは立てて置き、途中で上下を返すとシロップが全体になじみます。伊達巻きの形にこだわらなければ、巻きすで巻かなくてもOKです」
【アレンジ】伊達巻き 柚子風味のチーズ入りバージョン
焼きたての伊達巻きの生地をラップにのせる。スライスチーズ2枚を少しずらして全面にのせ、全面にシロップをハケで塗る。すりおろした柚子の皮適量をちらし、先ほどの伊達巻きと同様にラップで巻く。さらに巻きすできつく巻き、輪ゴムで両端を固定してそのまま冷ます。
「柚子の風味がアクセントです。焼きたての生地の熱でチーズがとけるので、必ず熱いうちに巻きましょう」
1日おくのが正解! 上品な甘さとえびの香りがたまらない
卵のうまみとえびの風味がふわっと香る、とっても上品なおいしさです。今まで食べていた市販の伊達巻きは、甘さが強く「お菓子感覚」の味でしたが、村田さんのレシピで作った伊達巻きは「料理」だと感じました!
焼いたあとにシロップを塗って仕上げるので、1日以上おいてから食べるのがおすすめです。作った当日に粗熱がとれた状態で食べてみると、少し甘さが足りない感じがします。それが作った翌日に食べてみると、シロップが全体に行きわたり絶妙な甘さに着地。食感もよりしっとりしておいしくなっています!
今まで家庭用の卵焼き器では作れないと思っていた伊達巻き。このレシピなら、本格的なプロの味が楽しめます。
【保存方法】冷蔵庫で3日間
粗熱がとれたら、乾燥しないようにラップに巻いたまま密閉袋に入れて、冷蔵庫で3日間保存可能。食べるときに切る。
<日本料理 鈴なり>村田明彦さん
<なだ万>の本店で13年間修業を積み、2005年に<日本料理 鈴なり>を創業。確かな技術に裏打ちされた温故知新な料理が評判を呼び、2012年から続けてミシュラン1つ星を獲得。気さくな人柄と作りやすいレシピが人気で、メディアでも活躍中。
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