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2019.12.18

【シェフ直伝】ローストポークのレシピ。ジューシーに仕上げるプロの“火入れ”とは

切り分けたローストポーク

パーティやおもてなしにぴったりのごちそう、ローストポーク。ただし、難しいのが火入れの加減です。一見、焼き加減ばっちりに見えても、いざ切ってみたら中心が生だったり、反対にパサパサにかたくなっていたり…。外は香ばしく、中はしっとりジューシーに仕上げるために、プロはどんな工夫をしているのでしょうか。

今回はローストポークの作り方のコツを、伊勢丹新宿店<キッチンステージ>の柬理美宏シェフに教えてもらいました。オーブンを使った本格レシピです。

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フライパン→オーブン→余熱。3段階の火入れで仕上げる

ローストポークを切り分けているところ

「ローストポークのポイントは火入れです。本格的に仕上げるために、フライパンで焼いたあとオーブンに入れ、最後に余熱で休ませるという3段階での火入れを行います。

最初にフライパンで焼くのは、外側をしっかり焼き付けて旨みを閉じ込めるのと同時に、脂身部分の臭みを取るのが目的。その後、オーブンで内側へじっくりと熱を通します。オーブンから出した後に余熱で休ませることで、肉汁を全体にいきわたらせます」

【3段階の火入れの目的】

目的① フライパン:外側を焼き付け、旨みを閉じ込める/脂身の臭みを取る
目的② オーブン:じっくり内側まで熱を通す
目的③ 余熱:肉汁を落ち着かせ、全体に行きわたらせる

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。初心者が疑問に思いがちな点も、随時解説します。

Q&Aで徹底解説! ローストポークの作り方

<材料>

ローストポークの材料

  • 豚ロース肉…約500g
  • ハーブ塩(岩塩に刻んだローズマリーを混ぜたもの)…約15g ※肉に対して3%量が目安
  • 砂糖…小さじ1 ※今回はグラニュー糖を使用
  • にんにく…1片(薄切り)
  • 【ソース】
    ・はちみつ…大さじ2
    ・バター(有塩)…大さじ1(12g) ※食塩不使用のバターの場合は塩を適量追加する
    ・白ワイン…大さじ2
    ・粒マスタード…小さじ2

Q:肩ロースよりもロースの方がいいの?

A:好みで使い分けるのがいいでしょう。ロースの方が赤身が多く、さっぱりとした味わいです。肩ロースはロースよりも脂が差し込んでいるため、よりしっかり肉感があります。いずれの肉を使う場合も、ある程度厚みがあった方が旨みを中に閉じ込めやすいので、500g以上を用意するのがおすすめです。

<作り方>

1.豚肉の脂身に格子状に切れ目を入れる

脂身に格子状に切れ目を入れているところ

火の通りをよくし、脂を出しやすくするため、脂身に格子状に切れ目を入れます。

2.肉をマリネし、ひと晩寝かせる

(左)ハーブ塩をまぶしているところ、(右)隙間に入れているところ

豚肉全体にハーブ塩をまぶし、手でしっかり押さえます。

「特に赤身と脂身の間など、隙間にもしっかり入れ込みます」

豚肉にラップをかけたところ

さらに砂糖をまぶして手で押さえ、にんにくをまんべんなくはりつけます。ラップをかけて、冷蔵庫でひと晩寝かせます。

Q:砂糖を使う理由は?

A:甘みを加えるのと、砂糖には保水効果があるので、肉の水分を出しすぎないために使います。

Q:食塩や粗塩より岩塩の方がいいの?

A:塩味が強い岩塩は、豚肉の味に負けません。ただし岩塩ははがれやすいので、しっかり全面につく量を使ってください。このとき塩が少ないと、肉の内部まで下味が入っていきません。肉の3%量はあくまで目安なので、少し多いかな、と感じるくらいでちょうどいいでしょう。

3.冷蔵庫から出して30分ほどおき、流水で表面を流して水気をふき取る

ひと晩寝かせた2を冷蔵庫から取り出し、30分ほどおいて常温に戻します。その後、ラップを外して10分ほどちょろちょろと流れる程度の弱い流水に当てて余分な水分や塩気を流した後、水をしっかりふき取ります。

「流水時間が長いと感じるかもしれませんが、強めに塩をふって余分な水分を抜き、味を凝縮させたら流水で塩抜きして塩気を均一にしましょう」

4.【火入れ①】フライパンで表面を焼き付ける

フライパンで豚肉を焼いているところ

フライパンにオリーブオイル大さじ1(分量外)を引いて中火にかけ、豚肉を脂身側から焼いていく。

「表面の焼き色を付ける工程です。焼きながら肉から脂と水分がどんどん出てくるので、それをスプーンですくって肉に戻しかける、という作業を丁寧に何度も繰り返します。

特に、脂身と赤身との境目、フライパンに当たらない凸凹した部分(骨がついていた部分や筋の部分)に重点的にかけるようにしましょう。表面全体に香ばしい焼き色をまんべんなくつけます」

Q:どのくらいの時間焼けばいいの?

A:表面全体がふっくらし、おいしそうな焼き色がつくまで、です。見た目や肉の香ばしく焼ける香りで判断してください。

フライパンでローストポークを焼いているところ

フライパンでこんがりと焼き色がついた豚肉がこちら。すでにおいしそうな見た目ですが、この段階ではまだ中は生の状態です。

5.【火入れ②】160℃のオーブンで約15分焼く

オーブンに入れる前のローストポーク

4の豚肉の脂身を上にして網バットにのせ、160℃に予熱したオーブンに入れ、15分ほど加熱します。

フライパンは脂を捨て、表面に残った旨みをソースに活用するので洗わずに置いておきます。

「脂を上から全体に落としたいので、脂身を上にします。網バットをかませるのは、余分な脂を肉に触れさせないためです」

Q:中まで火が通ったか不安。焼き上がりの目安は?

A:目視と触感で確認しましょう。オーブンを開けたときに表面に白くシュワシュワと水分が出ていること、肉の真ん中あたりを指で押さえたときにしっかり弾力があることの2点が、火が通っているかの目安になります。

豚肉の焼き上がりを確認しているところ

6.【火入れ③】余熱で休ませて仕上げる

豚肉に余熱を通しているところ

5をアルミホイルで包み、15分(オーブンで焼いた時間と同時間)室温で休ませます。

「肉汁を落ち着かせ、全体にまんべんなく行きわたらせる目的で余熱の時間をとります。置きっぱなしにしてしまうと、肉汁がどんどん下にたまってしまうので、数分ごとに上下をひっくり返すようにしてください」

7.【ソースを作る】フライパンではちみつを焦がし、バターを溶かす

フライパンではちみつを焦がしているところ

4のフライパンにはちみつを入れ、弱火にかけて焦がします。フライパンを回しながら沸騰させ、ほんのりキャラメル色になったら、バターを入れて溶かします。

8.白ワイン、マスタードを加える

ソースに白ワインを加えているところ

7に白ワインを加えアルコールを飛ばしたら、マスタードを加えます。味をみながら、好みで塩を追加してもOKです。

おもてなしにぴったり! 絶品ローストポークが完成

皿に盛り付けたローストポーク

表面の焼き色が食欲をそそります。プリッとした豚肉を切り分けると、中はきれいなピンクグレー。肉汁が全体にしっかり行きわたり、冷めてもしっとり、ジューシーです。そのままでも塩気がありますが、焦がしたはちみつが香ばしい、甘酸っぱいハニーマスタードソースをつけると「しょっぱい×甘い」の相乗効果でおいしさがより増します。

プロ並みの火入れは難易度が高いものの、一つひとつの工程を丁寧に行うことで本格的な味わいに近づけることが可能。これならおもてなしの席にも自信をもって提供できそうですね。

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伊勢丹新宿店<キッチンステージ>では、有名シェフ監修のメニューが月替りで楽しめます!

キッチンステージ

伊勢丹新宿店 本館地下1階にある<キッチンステージ>は、有名シェフが監修したメニューを味わえるレストラン。メニューは4〜5週間ごとに変わり、フレンチに和食、中華まで、名店の味をカジュアルに楽しめます。ご家庭で提供メニューの味を再現できるようにレシピも差し上げていますので、ぜひ立ち寄ってみてください。

<キッチンステージ>の詳細はこちら>>

shinjukuisetan_kitchenstage

 

撮影:矢野宗利
文:ケイ・ライターズクラブ

バイヤー・スタイリスト / 柬理美宏
4~5週間ごとにさまざまなジャンルの人気料理人や料理研究家たちの創作メニューを提供している、伊勢丹新宿店本館地下1階「キッチンステージ」の料理長。「オープンキッチンスタイルを生かし、お客さまに五感で料理を楽しんでいただけるように心がけています」
柬理シェフのレシピ一覧はこちら>>

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