2019.10.19
調味料は塩だけ! 炊飯器で炊く「栗ご飯」プロの簡単レシピ(3合)。皮のむき方、米の研ぎ方も解説
秋に一度は食べたい栗ご飯(栗ごはん)。ごろっと入った黄色い栗と真っ白なごはんの組み合わせは、まさに幸せの象徴! 9月9月の重陽の節句(ちょうようのせっく)にいただく行事食としても人気です。巷にはたくさんのレシピがあふれていますが、今回は材料が栗、米、塩だけの一番シンプルな作り方を紹介します。
教えてくれるのは、栗仕事がお得意な料理研究家の小島喜和さんです。基本の米の研ぎ方(米のとぎ方、米の洗い方)や栗の皮のむき方も詳しく解説してもらいました。好みでもち米を加えれば、栗おこわのようにもちもちした食感に作ることもできます!
材料は栗、米、塩の3つだけ! シンプルな栗ごはんがおいしい理由
今回、小島さんに教えていただくレシピの材料は、栗、米、塩のたった3つだけ。材料がシンプルな分、ごまかしがきかないため、すべての工程を丁寧に行うのが最大のコツです。
「酒やみりん、だしなどを使うレシピは、調味料を多く使うためどんな栗でも味が安定しやすいです。対して、味つけが塩だけだと素材本来の持つ味がダイレクトに感じられ、栗ごとの個性の違いを楽しむことができます。せっかく旬の味覚を調理するのだから、まずはシンプルなレシピで作ってみませんか」
実際に作り方を見ていきましょう。「ごはんは研ぎ方によって味がずいぶん変わります」と話す小島さんが、米の研ぎ方から順を追って紹介します。
炊飯器で炊く、基本の栗ごはんの作り方。好みで「もち米」を加えれば、栗おこわのような食感に
「栗の粒が大きくても中までしっかり火が通るよう、今回は炊飯器を使って炊きます。レシピではうるち米を使用しましたが、もちもちした食感が好きな方は2割ほどもち米に代えてもおいしく作れます」
<材料>(3合)
- 栗…400g
- 米…3合(約450g) ※好みで2割をもち米に代えれば、もちっとした食感に仕上がる
- 塩…小さじ1
- 水…米の1.2倍量(約650㎖)
<作り方>
【米を研ぐ】
1. 米をすすぐ
ボウルに米を入れ、水をたっぷり注ぎます。さっと混ぜたらすぐにザルにあげ、水を捨てます。
「糠などのにおいを米が吸ってしまわないよう、最初の水は入れたらすぐに捨てましょう」
2. 米を30回ほど研ぎ、米ぬかを落とす
水をきった米をボウルに戻し、手のひらを使って30回ほど研ぎます。
「ほぼ水がない状態で研いで、表面の米ぬかをとります。しっかり研ぐことが大事ですが、強くもんで米を傷つけるのはNG。やさしく掌(たなごころ)でもむように研ぎます。ボウルは大きめのものを使用した方が作業しやすいでしょう」
3. 水を数回入れ替え、米をすすぐ
研ぎ終わったらボウルに水を入れて軽く混ぜ、ザルにあげ、白く濁った研ぎ汁を捨てます。これを4〜5回繰り返します。
「濃い研ぎ汁が残っているので、底の方からかき混ぜます。水を取り替える回数は、“うっすら白い”くらいの透明度になるまでを目安にしましょう」
4. 米の水をしっかりきる
米をザルにあげ、水をしっかりときります。
「ザルを斜めに傾けて、なるべく水分が残らないよう工夫します」
5. 30分〜1時間ほど浸水させる
炊飯器の内釜に米を入れ、分量の水を加えて30分〜1時間、浸水させます。
「水の分量は、普通に炊飯器の目盛り通りで構いません。浸水時間は米の状態によって変わります。古米であるほど、長めに浸水させてください。水分の多い新米の場合は、浸水する必要はありません」
【栗の皮をむき、下ゆでする】
6. 底の部分を切り落とす
まずは栗のざらざらした底の部分を少し、切り落とします。鬼皮はかたくすべりやすいので注意してください。
7. 栗の平らな面の皮を切り落とす
次に栗を立てて、平らな面の皮も切り落とします。
8. 残りの皮を包丁でむく
栗を手で持ち、丸みに沿って残りの皮をむきます。
「栗や芋などでんぷん質のものは、もったいないと思っても厚めに皮をむいてください。皮がきれいに取り除かれていると見た目も美しく、味も雑味なく仕上がります」
●「栗の皮はかたいので包丁で切るのは難しい」と感じる場合
お湯に5分つけてから作業する
栗の鬼皮はかたくてすべりやすいので、包丁でむくことが難しいと感じる場合は、鬼皮をやわらかくするため、栗をお湯に数分つけてから作業するといいでしょう。
鍋に湯を沸かして火を止め、熱々のところに栗を4〜5個入れ、5分たったら取り出し、温かいうちに皮をむく(栗が熱いので持つ手に軍手をするとよい)。面倒でも一気に全量入れるのではなく、鬼皮をむくペースに合わせて数個ずつ熱湯につけるのがおすすめ。
鬼皮をはがすようにむいてから、渋皮をむけばOK!
初めて栗を扱う人は「鬼皮と渋皮を一緒に包丁でむくことは難しい」と感じるかもしれません。その場合、まず鬼皮をむいてから、渋皮をむくといいでしょう。
栗はざらざらした底の部分を少し切り落とし、そこをきっかけに鬼皮をはがすようにむきます。お湯につけて皮がやわらかくなっているので、手でむいてもOKです。
鬼皮をむき終わったら、次に渋皮を包丁でむきます。
むき終わった栗がこちら。
「皮をむくと、たまに虫に食われているものや腐っているものがありますが、その場合は一緒に炊くと臭いので、除くようにしてください。虫食いの栗は、たいてい木から落ちて数日たったもの。なるべく新鮮な栗を選ぶと、避けられます」
9. 水につける
むいた栗は変色を防ぎ、アクをおさえるため、すぐに水につけます。
「見た目にこだわる場合は、このタイミングでミョウバン水につけても。栗の発色をよくし、煮崩れを防ぐことができます。30分から1時間ほどつけるとよいでしょう」
10. 栗を下茹でする
鍋にたっぷりの湯を沸かし、栗を1〜2分下茹でします。
「栗は下茹ですることで、栗を丸ごと加えてもしっかりと火が入ります。また、下茹ですると、むききれなかった渋皮や黒ずんだ部分がはっきりわかるように。そうした部分は、渋みが残らないようこの段階で取り除いてください。下茹でする直前まで、栗は水につけておきましょう。サイズの大きい栗は、半分に切ると火通りがスムーズです」
【炊く】
11. 塩、栗を加えて、炊飯器で炊く
5の内釜に塩を入れて軽く混ぜ、10の栗を加えます。炊飯器にセットし、通常の白米と同じように炊きます。
「今回は、栗にやさしくしっかり火が通るよう、炊飯器で炊きました。鍋で作る場合は、栗を小さめにカットする、もしくは下茹で時間を長めに調整するなどひと工夫するとよいでしょう」
やさしい甘さとほっくりした食感の栗ごはんが完成!
味つけは塩だけ、と驚くほどシンプルながら、栗の素朴な味わい、ごはんの甘みが引き立ち、あとを引くおいしさ。「日本人に生まれてよかった」としみじみ感じる、滋味深い味わいです。
生の栗が出回る時季しか食べられない贅沢な旬の味覚。ぜひシンプルな栗ごはんで、素材の味を堪能してみてください。
小島喜和さん
テーブルトップディレクター。季節のめぐりとともに暮らす日々。手仕事を行う楽しさ、美味しさを伝えることをライフワークに、自身の料理教室では「味噌」や「梅干し」など、【季節の手仕事教室】を開催している。『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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