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2023.12.20

餅つき機なしで手作り! 簡単「つきたて餅」の作り方(3合)。のし餅、正月の鏡餅レシピも紹介

つきたて餅3種のイメージ

やわらかいのにコシがあって伸びがよく、豊かな香りがある。そんなとっておきのおいしさは、つきたてのお餅でしか味わえないご馳走です。

家庭でお餅を手作りするには、電動の餅つき機やパン生地をこねるためのニーダーを使うのが一般的。でも、電子レンジや炊飯器と違って日常的に使う調理家電ではないし、特別な道具を使わず作れたら嬉しいですよね。

そこで今回は、身近な道具を使ってつきたてのお餅が楽しめる作り方(レシピ)を、料理研究家の橋本加名子さんに教わりました。さらに保存がきいてお雑煮にもおすすめの「切り餅(のし餅)」と、お正月飾りの「鏡餅」の作り方もご紹介します!

橋本加名子さんのレシピ一覧はこちら>>

お餅作りにぴったりな蒸し器はこちら>>

コシがあるのにやわらかい! 身近な道具でお餅を手作りするなら、もち米は「蒸す」のが断然おいしい

餅つき機などの特別な機械を使わず、お餅を手作りするなんて不可能では?

「餅の作り方はとても単純なので大丈夫! 蒸す、または炊いたもち米をつぶすだけです。『もち米に熱を通す作業』と『もち米をつく作業』、それぞれベストな方法を選べば、コシがあってやわらかく、伸びがよい餅が作ることができます」と橋本さん。

家庭で手作り餅を作る方法には、次の3つのパターンがあります。

パターン① もち米と水をミキサーで攪拌してペースト状にし、電子レンジで加熱して混ぜる
パターン② もち米を炊飯器の「おこわモード」で炊き、ボウルに入れてすりこ木でつぶす
パターン③ もち米を蒸し器で蒸し、ボウルに入れてすりこ木でつぶす

①はもち米をペースト状にしてから加熱するので、つく作業が不要です。とても簡単でよさそうですが、もち米が粒状にザラッと残って食感が悪く、水っぽくコシのない仕上がりになるのでおいしくありません。

②の炊飯器の「おこわ(もち米)モード」は、餅にするのに理想的なもち米のやわらかさよりも、かために炊きあがります。それならば長く浸水させて炊けばやわらかくなる気もしますが、炊飯器でもち米を炊くときの浸水時間はメーカーによっては不要なので、この方法はおすすめしません。水を多めに入れて炊いても水っぽくなる場合もあるので、避けたほうがよいでしょう。

最後に③のもち米を蒸し器で蒸す方法ですが、これがベスト! もち米をしっかり浸水させてから蒸すことで、理想的なやわらかさに蒸しあがり、なめらかでコシがある餅を作ることができます。すりこ木でもち米をつぶすのは手間ですが、3合までなら扱いやすく、力に自信がある人なら10分ほど、力に自信がない人は20分ほどで、つきたてのお餅が完成します。

それでは、蒸し器を使ったおいしい餅を作るポイントを押さえていきましょう!

自宅でも簡単! 蒸し器でお餅を作る2つのポイント

【ポイント①】もち米は10時間ほど浸水させ、蒸して最適なやわらかさに仕上げること。やわらかく、コシのある餅に!

蒸し器でもち米を蒸す場合、蒸しあがりのやわらかさは浸水時間でほぼ決まります。短いといくら蒸しても芯が残っておいしい餅にはなりません。反対に長く浸水させ過ぎても、水っぽい蒸し上がりになってしまいます。新米の場合、夏場は8~10時間、冬場は10~12時間ほど浸水させます。古米の場合はさらに2時間長く浸水させましょう。

浸水時間はおこわや赤飯を作る場合よりも長めですが、コシがあって伸びがよい餅に仕上げるには、やわらかめに蒸しあげることが大事です。

【ポイント②】お餅をついている途中で冷えてかたくなったら、その都度温めて! 耐熱ボウルなら、電子レンジで加熱してもOK

蒸したもち米を餅にするには、ボウルに移して温かいうちにひたすらすりこ木でついていきます。ただし、慣れないうちは手間取ってしまい、餅が冷えてかたくなり、なかなか米粒がつぶれない困った状態に…。

そんなときは加熱して、扱いやすいやわらかさに戻しましょう。ガラス製など耐熱性のボウルなら、そのまま電子レンジで加熱が可能です。ステンレス製のボウルやすり鉢を使う場合は、餅がかたくなったら取り出して、蒸し器で温め直してください。

餅つき機を使わない「つきたて餅」の作り方

餅の材料のもち米

<材料>(3合分)

  • もち米…3合

餅作りの道具

<道具>

  • 蒸し器(せいろ)
  • 蒸し布 
  • すりこ木
  • ボウル(直径25cm程度、できれば耐熱ガラス製)、またはすり鉢
  • ふきん ※ボウルがすべらないよう濡らして絞り、底に敷いて使用
  • 手水用のボウル 

<作り方>

1. もち米をボウルに入れて洗い、10時間ほど浸水させる

もち米を浸水させるイメージ

ボウルにもち米を入れ、水を注いだらすぐに水を捨てる。もち米を研ぎ、水を3~4回入れ替えて水がほぼ透明になるまですすぐ。水をたっぷり注ぎ、10時間ほど浸水させたらザルにあげ、水気をきっておく。

「室温の高い夏場は、傷まないよう冷蔵庫に入れて浸水させましょう。古米を使う場合は吸水率が悪いので、もう2時間ほど長く浸けておくと安心です。ただし、長く浸けすぎると水っぽくコシのない餅になるので注意してください」

2. 蒸し器に蒸し布を敷き、もち米を入れて平らにならす。蒸し布で覆い、フタをして中火で50分ほど蒸す

もち米を手で平らにならすイメージ

蒸し布を水で濡らして軽く絞り、蒸し器の上段(水を入れない方)に敷く。1のもち米を入れ、均等に熱が通るよう手で平らにならす。

「和せいろを使う場合は蒸し器の穴が少ないので、もち米に蒸気が抜ける穴を、指でいくつかあけておくと蒸しムラが防げます」

もち米を蒸し布で覆うイメージ

蒸し布でもち米の全体を覆い、蒸し器のフタをする。蒸気の上がった蒸し器にセットし、中火で50分ほど蒸す。

「蒸し時間が長いので、途中で蒸し器の水が少なくなっていないか確認し、少ない場合は湯を足してください」

3. もち米を蒸しているあいだに、すりこ木を水に浸けておく

すりこ木を水に浸けるイメージ

「もちをつく杵の代わりとなるのが、すりこ木。木製なので、乾いた状態だともち米がくっついてやりにくいです。バットなどに水を入れてすりこ木を浸し、もち米がつきにくくしておきましょう」

4. もち米を50分ほど蒸したら火を止め、余熱で5分蒸してふっくらと仕上げる

蒸し上がったもち米のイメージ

50分ほど蒸したら火を止め、蒸し器のフタを開け、蒸し布を開いてもち米の味見をする。全体的に透明感が出て、芯がなければふたたび蒸し布で覆って蒸し器のフタをし、そのまま5分蒸らす。

「もち米は芯が残っているようなら、様子を見ながらさらに蒸してください。火を止めてさらに5分蒸すと芯まで熱が通り、もち米に含まれる水分が均一になってふっくらします」

5. 手水を用意し、さっと濡らしたボウルにもち米を入れ、ボウルの底に濡れふきんを敷く。米粒がつぶれて餅状になるまで、すりこ木で20分ほどつく

手水をつけているイメージ

小さめのボウルに水を入れ、手水の用意をする。

「途中でもち米を手でひっくり返すので、くっつかないよう手に水をつけます。ボウルにもち米がくっつくときにも、手水でもち米とボウルの間を濡らしてはがします」

もち米をつきはじめたイメージ

さっと濡らしたボウルにもち米を入れ、ボウルの底に畳んだ濡れふきんを敷く。ボウルが動かないようしっかりと手で押さえ、3のすりこ木で全体をついていく。

手水をつけて返すイメージ

途中で何度か水をつけた手でもち米の上下を返しながら、ついていく。

潰すようにもち米をつくイメージ

米の粒がつぶれてきたら、両手ですりこ木を持ち、ぐりぐりとつぶすようについていく。

「もち米は冷めるとどんどんかたくなって、扱いにくくなります。耐熱性のガラスボウルなら、そのつど、扱いやすいやわらかさになるまで電子レンジで加熱すると楽です。ステンレスのボウルやすり鉢の場合は、もち米を蒸し布で包み、蒸し器で温め直すとよいでしょう」

もち米をつき終えたイメージ

つく、つぶすの作業を20分ほど続け、餅の状態になれば完成。

「写真くらいの状態になればOKです。米粒が結構残っていると感じるかもしれませんが、食べるとたいして気になりませんし、手作りらしさが楽しめますよ」

【つきたての餅を食べるときは】餅がかたくならないよう50℃の湯にとり、手でひと口大にちぎる

餅を千切るイメージ

「餅が完成したら、つきたてのやわらかいうちにいただきましょう。冷めるとかたく、扱いにくくなるので、50℃程度のお湯に入れてやわらかい状態をキープします(※)。餅を親指と人差し指の間から少し出して絞り、反対の手でひと口大にちぎってください。バットに用意したきな粉やあんこ、納豆など、好みの味つけとからめれば完成です」

※餅を長く湯にとっておくとふやけてしまいます。すぐに全部食べない場合は湯に入れず、温かいうちに「のし餅」にして保存します。「鏡餅」にする場合も温かいうちに作業しましょう。

【実食】つきたてのお餅は、風味がよくもちもちの弾力がたまらないおいしさ!

つきたて餅3種のイメージ

つきたてのお餅にきな粉、あんこ、納豆の3種類の味を用意していただきます。市販の切り餅にはないもち米のやさしい香りと、やわらかいのに弾力がある食感が格別のおいしさです。

少し残ったもち米の粒が気になるかと思いましたが、かえって素朴な味わいがするのと、噛むうちによりお餅らしく変化して「やっぱりお餅はつきたてに限る!」と実感しました。

こんな手軽にお餅が作れるなら、お正月に限らず日常的なおやつとしても楽しめそうです。みなさんもぜひお試しください!

【おまけレシピ①】のし餅(切り餅)の作り方。お雑煮にも使えて冷蔵・冷凍保存もOK!

のし餅の出来上がりイメージ

つきたてのお餅は「のし餅」にしてから「切り餅」にすれば、焼き餅やお雑煮として長く楽しめます。餅が温かいうちにのし、2日ほどおいてかためてから切り分けるのがポイントです。

<材料>(切り餅9切れ分)

  • つきたての餅…約2合分
  • 片栗粉…適量

<作り方>

袋に餅を詰めたイメージ

1. ついた餅がやわらかいうちに、保存用密閉袋(Mサイズ:177mm×189mm)にそのまま入れる。袋の口を閉じたら2cm程度口を開け、袋の上から麺棒で平らにのばす。

「袋の内側に粉をつけなくてもOK。餅は冷めるとかたまって、袋からきれいに剥がせます。袋の口は空気が抜けるよう、少し開けておきましょう」

袋に穴をあけるイメージ

2. 密閉袋の右底の角に竹串を刺して2つ穴を開ける。左底の角も同様に穴を2つ開ける。

「袋の底の角にも空気がたまります。空気を抜くための穴を開けておきましょう」

麺棒で餅を平らにするイメージ

3. 麺棒でふたたび平らにして、さらに空気を抜く。完全に冷めたら密閉袋の口を閉じ、そのまま2日ほど冷暗所に置いてかためる。

「冬場以外の季節に作るときは冷蔵庫に入れてください。かたくなりすぎると切りにくくなるので、2日くらいがちょうどよいです」

餅を切っているイメージ

4. 2日ほどして餅がかたくなったら、ハサミで袋を切ってはがし、片栗粉をふった台に餅を取り出す。表面にも片栗粉をまぶし、包丁にも片栗粉をまぶしながら9等分に切る。

「片栗粉をつけても餅が包丁にくっつくようなら、切るたびに水で濡らしてかたく絞ったふきんで刃をふき、片栗粉をまぶしてください」

【切り餅の保存について】

餅をラップで包み保存するイメージ

1切れずつラップで包んで密閉できる保存袋に入れて冷蔵するか、冷凍して保存する。

冷蔵で7日、冷凍で6か月ほど保存が可能。

【焼き餅にして食べる場合】

保存した餅を焼き餅にする場合は、冷蔵はそのまま、冷凍は自然解凍してからオーブントースター焼けばOK。魚焼きグリル、フッ素加工のフライパンなどでも焼けます。

【雑煮、お汁粉、きなこ餅にして食べる場合】

餅をラップで包み保存するイメージ

お雑煮やお汁粉、きなこ餅などにする場合は、冷蔵・冷凍の餅どちらも、まずはそのままオーブントースターで軽くふくらむまで焼きます。そのあとやわらかくなるまでゆでると、芯が残らずおいしくいただけます。

【おまけレシピ②】お正月飾り、鏡餅の作り方

鏡餅のイメージ

お正月に、お迎えした年神様の依り代(居場所)として供えられる「鏡餅」。形よく作るコツは、餅が温かいうちに丸めること、かたまるまでお椀に入れて形を定着させることです。

【鏡餅はいつまでに飾る?】

鏡餅やしめ飾りなどのお正月飾りは、一般的に12月の中旬をすぎて大掃除が終わったあと、12月29日、31日を避けた日に飾ります。29日は「二重の苦」、31日は「一夜飾り」と言われ縁起が悪いとされています。そのため遅くても12月30日までには飾るようにしましょう。

【鏡開きは切らずに割る】お汁粉やおかきにしていただく

飾った鏡餅は、捨てたり刃物で切ったりすることは、風習上よくないとされています。1月11日(地方により異なる場合もある)に下げ、お汁粉やお雑煮としていただくのが伝統的です。この行事を「鏡開き」と呼びます。

お汁粉やお雑煮にするときは、鍋にお湯を沸かし、割った鏡餅(割れない場合はそのまま)を入れて2分ほどゆで、火を止めてふたをし、やわらかくなるまでおいてから調味しましょう。カチカチにかたまった鏡餅なら、小さく砕いてから油で揚げ、しょうゆや塩をまぶして「おかき」にしてもおいしいです。

<材料>(鏡餅約2合サイズ1個分)

  • つきたての温かい餅…550g
  • 橙、または葉つきみかん…1個
  • 片栗粉…適量

<作り方>

餅を椀に入れるイメージ

  1. 餅が温かいうちに、大(直径12cm)と小(直径5cm)とに分ける。
  2. 餅全体に片栗粉をたっぷりとまぶし、手で丸め、ちょうど収まるサイズのお椀やボウルにそれぞれ入れる。
  3. 冷暗所におき、しっかりとかたまるまで1日ほどおく。
  4. 餅がかたまったらお椀から取り出し、大きな餅の上に小さな餅を重ね、橙、または葉つきみかんを飾る。

橋本加名子さん

橋本加名子さんのお顔

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」主宰。企業で働きながら子育てをした経験を活かし、「体にやさしくて、作りやすい家庭料理」を提案し続けている。飲食店のプロデュースやフードコーディネートにも携わる他、雑誌、書籍、ウェブサイト等で活躍。『ホットクックお助けレシピ』シリーズ(河出書房新社)、『たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)など著書多数。

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撮影:菅井淳子
文:香取里枝

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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