2023.08.23
えびと蒸し鶏の「生春巻き」プロのレシピ(タレ2種)。皮の巻き方のコツを徹底解説!
ベトナム料理でおなじみの生春巻き。モチモチ食感のライスペーパー(生春巻きの皮)で色とりどりの具材を巻いた、食卓がパッと華やぐ人気メニューです。レストランやデパ地下のお惣菜屋さんなどで目にする機会も多いですが、「食べたことはあるけれど、自分で作ったことはない」という人も多いのでは?
そこで今回は、ご家庭で作れる生春巻きのレシピをプロに伝授してもらいました。教えてくれるのは、旬の野菜を使った料理を得意とし、人気ベトナム料理店をプロデュースしている料理研究家の植松良枝さんです。
破れやすいライスペーパーの戻し方、手にくっつかない巻き方(方法)など丁寧に解説。生春巻きにつけるタレ(ソース)のレシピは、ベトナム料理でおなじみのヌクチャムと、ピーナッツ味噌ソースのタレの2種類をご紹介するので、最後まで必見です!
よりおいしく美しく! 生春巻きを上手に作る4つのポイント
① 生春巻きの具材の下処理は丁寧に。細部にこだわることで、巻きやすい!
具材をライスペーパー(生春巻きの皮)で巻くときに失敗しやすいポイントが、途中でライスペーパーが破れてしまうこと。主な原因は具材にあります。戻したライスペーパーはやわらかいため、太いきゅうりやレタスの芯を巻いてしまうと、穴があいてしまうことも。きゅうりはなるべく細く切ったり、レタスはかたい芯の部分を除いたりと、下処理は丁寧に行いましょう。
② ライスペーパー(生春巻きの皮)は戻しすぎないことで、モチモチ食感に!
ライスペーパーはぬるま湯につけて戻しますが、つける時間が長くなると、食感がブヨブヨになってしまいます。具材の野菜からも水分が出るので、戻すときはかためを意識することが大切。ぬるま湯の中で、ライスペーパーを曲げられる程度に戻したら、すぐに取り出して水気を拭いてください。
③ ライスペーパーは1枚ずつ戻すのが基本。濡れ布巾&手水でくっつかない!
ライスペーパーは複数枚をまとめて戻すと皮同士がくっついてしまいます。必ず1枚ずつぬるま湯につけて戻すようにしましょう。戻し終わったライスペーパーは、濡れ布巾の上で作業すると、まな板などにくっつくのを避けられます。巻くときは、餅つきのように手水(小さなボウルなどに水を入れる)を用意し、手先を濡らしながら作業すると、スムーズです!
④ ライスペーパー(生春巻きの皮)はきつめに巻くことで、美しく仕上げる!
生春巻きは巻き方がゆるいと、見た目が悪かったり、食べるときにポロポロと崩れてしまったりします。巻くときは和食の海苔巻きのように具材をおさえながらきつく巻くことが大切。しっかり巻くことで、口に入れたときの「弾ける食感」も楽しめます! ライスペーパーを折りたたむ順番にも気を配りましょう。
確かに具材がかたいとライスペーパーが破れてしまいそうですね。ライスペーパーの戻し具合も、どのくらいがベストか気になります!
それでは実際にレシピを見ていきましょう。
ハーブたっぷり! えびと蒸し鶏の生春巻きのレシピ
<材料>(8本分)
- ライスペーパー(生春巻きの皮)…8枚
- 蒸し鶏(※作り方はこちら>>)…80〜100g
- 殻付きえび…12尾 ※小ぶりなサイズがおすすめ
- ビーフン(乾燥)…20g ※ゆでたそうめんで代用可
- きゅうり…1〜1.5本
- 細ねぎ…2〜3本 ※ニラで代用可
- サニーレタス(芯は除き食べやすくちぎる)…6〜8枚 ※サラダ菜やグリーンリーフで代用可
- 青じそ(縦半分に切る)…8枚
- 【好みのハーブ】
・スペアミント…1パック(約15g)
・パクチーの葉…適量
・三つ葉の葉…適量
※せりの葉、クレソンの葉でもよい - 市販のスイートチリソース、またはヌクチャムのタレ、ピーナッツ味噌ソース…適量
生春巻きに使うライスペーパー(皮)とは? 破れたとき、余ったときはどう使う?
ライスペーパーは主に米などを原料にした薄いシート状の皮のこと。中国料理で使用する春巻きの皮は小麦粉で作られており、原料が異なります。ライスペーパーは水で戻すだけで生食できるほか、蒸したり、揚げたりしてもおいしく食べられます。
「生春巻きを作る場合は、ベトナム産のライスペーパーを使うのがおすすめです。タイ産のものもよく見かけますが、ベトナム産のものより分厚く、巻きにくいかもしれません。生春巻きを作るとき、もし途中で穴があいてしまったら、ライスペーパーの破片で埋めてあげれば修復可能です。余ったり、割れてしまったりしたライスペーパーは、スープなどに入れるとおいしいですよ」
<作り方>
1. 蒸し鶏を作り、細く裂く
蒸し鶏を作り、粗熱が取れたら皮はせん切りにし、身は手で細く裂く。
「細く裂いた蒸し鶏は、使う直前まで蒸し汁に浸しておくと、しっとり仕上がります」
※蒸し鶏の作り方(作りやすい分量)
鶏むね肉1枚(200〜250g)の表面に塩少々をまぶし、耐熱皿にのせる。酒適量をふり、あれば生姜の皮・長ねぎの青い部分適量をのせ、ふんわりとラップをかけて蒸し器で18〜20分蒸す。加熱したら取り出して一度ラップを外し、再度そのラップで鶏肉を覆い、そのまま粗熱をとる。生春巻き用に80〜100gを取り分けて使う。
※蒸す代わりに電子レンジ(500W)で2分30秒加熱し、一度取り出して上下を返し、さらに2分加熱しても。
2. えびはゆでて厚みを半分にする
えびは殻付きのまま、竹串などで背ワタをのぞく。鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩適量(分量外。水3カップに対し、小さじ1が目安)湯でさっとゆでる。氷水にとって冷ましたら殻をむいて厚みを半分に切る。
「えびは巻きやすいように厚みを半分にします。市販のボイルえびやむきえびなど好みのもので問題ないですが、小ぶりなものの方が巻きやすいのでおすすめです。
3. ビーフンは熱湯で戻して切る
ビーフンは熱湯に3分ほどつけて戻し、流水で粗熱を取ってからザルにあげ、食べやすい長さにキッチンバサミで切る。
「生春巻きにビーフンを入れると、弾力や食べ応えがアップします。ビーフンの代わりに、ゆでたそうめんを入れてもおいしいですよ」
4. きゅうりはせん切りにする
きゅうりは斜め薄切りにしてから、さらに縦にせん切りにする。
「きゅうりが太いと巻いたときにライスペーパーが破れてしまうこともあるので、とにかく細く切ることがとても大切です」
5. 細ねぎは10cm長さに切り、表面に切り込みを入れる
細ねぎは10cm長さに切り、表面に浅い切り込みを入れる。
「そのままでもいいですが、隠し包丁を入れておくと、食べやすく、歯切れが良くなります。細ねぎの代わりにニラを使うのもおすすめです」
6. 生春巻きを1本ずつ作る。ライスペーパーは1本作るごとに、1枚ずつぬるま湯で戻す
たっぷりのぬるま湯を入れた大きめのボウルを用意し、まな板にかたく絞った濡れ布巾を広げる。ライスペーパーをぬるま湯に10〜15秒ほど浸して戻し、濡れ布巾にのせて軽く水気を拭き取る。
「ライスペーパーは、一度に全部をぬるま湯で戻してはいけません。必ず1本巻くごとに、1枚ずつぬるま湯につけて戻すようにすること。面倒に感じるかもしれませんが、きれいに仕上げるポイントです」
7. サニーレタスをのせる
ライスペーパーの手前部分を折り、その上にレタスをのせる。
「ライスペーパーの手前を折ることで、その部分が芯になり、巻きやすくなります。サニーレタスはかたい芯があると、ライスペーパーが破れやすくなるので、やわらかい葉だけを使うようにしてください。レタスは生春巻きのベースで、巻くとカサが減るので、たっぷりのせるといいでしょう」
8. 蒸し鶏、きゅうり、細ねぎ、ビーフンをのせる
レタスの上に1の蒸し鶏1/8量、5の細ねぎ1〜2切れ、4のきゅうり1/8量、3のビーフン1/8量をのせる。
「レタスをのせたら、あとの具材は順不同で大丈夫です。生春巻きの形をイメージし、長方形になるよう具材をのせてください」
9. えび、青じそをのせる
ライスペーパーの奥側に、2のえびを切った断面が上になるように3切れのせ、その上に青じその緑色が濃い部分を下にして2切れのせる。
「巻き終わったときにえびの色がライスペーパーから透けて見えるよう、最後に巻く部分に配置します。えびの赤色と青じその濃い緑色の側を下にして置くことも大切。仕上がったときに色のきれいな面が外側に来るようにのせましょう」
10. ハーブをのせる
ミント、三つ葉、パクチーの葉を、食べやすい大きさにちぎってのせる。
「ベトナムの現地ではドクダミなどかなりクセの強いハーブを使いますが、今回は日本人になじみ深く、食べやすいものを選びました。ハーブは全種類そろえる必要はなく、好みのもので大丈夫です。せりやクレソンなどを使ってもおいしいですよ」
11. ライスペーパーを巻く
ライスペーパーの折った手前部分を持ち、具材をおさえながらきつくひと巻きする。
「もし手にライスペーパーがくっついて巻きにくい場合は、手先を水で濡らすと作業しやすくなります」
両端を中心に向かって折りたたむ。
具材を手前に引き込みながら最後まできっちり巻く。
12. 1本ずつラップで包む。すぐに食べない場合、冷蔵庫で3~4時間保存可能
巻き終わった生春巻きは1本ずつラップで包む。残りも同様に作る。
「巻き終わった生春巻きは乾燥しやすく、そのまま並べるとくっついてしまうので、1本ずつラップで包み、食べる直前に外しましょう。すぐに食べない場合は、ラップで包んだまま冷蔵庫で3〜4時間保存可能です」
13. 生春巻きにタレを添える
市販のスイートチリソース、またはヌクチャムとピーナッツ味噌ソースのタレを作って、生春巻きに添える。
ハーブの爽やかな風味が広がる! 美しい生春巻きの完成
赤とグリーンのコントラストが美しい生春巻き。早速タレにつけて丸ごとかぶりつくと、ミントやパクチーの爽やかな風味が口いっぱいに広がり、たちまち南国気分に! シャキシャキ食感のサニーレタスと弾力のあるビーフン、旨みたっぷりのえびや蒸し鶏のバランスも絶妙で、モチモチのライスペーパーが全体をやさしくまとめ上げます。これならサラダ感覚で、何本でも食べられそう!
「生春巻きはくっつきやすいので、お皿に盛るときは、余ったレタスやハーブ類を敷くといいでしょう。個人的には食べやすく切って盛るより、丸ごとかぶりつく方が具材を一気に口の中に運ぶことができるので、おすすめです!」
生春巻きのタレ「ヌクチャム」のレシピ。アレンジして2種類の味わいで楽しんで!
生春巻きのタレは、市販のスイートチリソースなどでもいいですが、手作りすることも可能。そこで、ベトナム料理ではおなじみの甘酸っぱいタレ「ヌクチャム」と、ヌクチャムをベースにアレンジした「ピーナッツ味噌ソースのタレ」の2種類のレシピを植松さんに教えてもらいました。ちなみにヌクチャムはバインセオ(ベトナム風お好み焼き)やフォーなど麺料理にもおすすめです。
【生春巻きのタレレシピ①】ヌクチャム
<材料>(作りやすい分量)
- ヌクマム(ナンプラー)…大さじ1
- レモンの絞り汁…大さじ1
- 水…大さじ1
- きび砂糖…大さじ1
- にんにく(みじん切り)…小1かけ分
- 一味唐辛子…適量
<作り方>
すべての材料を混ぜ合わせる。
※仕上げに好みで、チリソース(市販)を加え混ぜてもいい
【生春巻きのタレレシピ②】ピーナッツ味噌ソースのタレ
<材料>(作りやすい分量)
- ヌクチャム(上記参照)…大さじ1と1/2
- ピーナッツバター(無糖)…大さじ1
- 好みの味噌…小さじ1 ※あれば赤味噌がおすすめ。麦味噌、米味噌などでも可
- きび砂糖…小さじ1
<作り方>
すべての材料を混ぜ合わせる。
いかがでしたか? 具材を巻くだけとシンプルな料理ながら、上手に作るにはいろいろと奥が深く、とても勉強になりました。
「生春巻きは自由です。野菜だけで作ってもおいしいですし、うなぎときゅうり、卵焼きを巻いたり、フルーツでスイーツ風にしたりと、ぜひ、自分好みにアレンジをいろいろ楽しんでみてください!」
植松良枝さん
旬の野菜を使った料理を得意とする料理研究家。野菜づくりがライフワークで、季節に寄り添った食と暮らしに関するアイデアを発信している。
さらに国内外を旅し、多くの食文化に触れた経験から生み出される、世界各国のエッセンスを取り入れた料理も人気。『バスクバルレシピブック』(誠文堂新光社)、『春夏秋冬 ふだんのもてなし』(KADOKAWA)、『ヨヨナムのベトナム料理』(文化出版局)など著書多数。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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