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2025.05.09

【プロ】魚の骨ごと食べられる「小アジの南蛮漬け」レシピ。作り置きにも!

南蛮漬け出来上がりイメージ

夏が近づいてくると、鮮魚売り場では「小アジ」をよく見かけるようになります。小アジを使った料理といえば「唐揚げ」と「南蛮漬け」が思い浮かびますよね。とりわけ南蛮漬けは、揚げたアジの香ばしさ、香味野菜の爽やかさ、酢の酸味が相まって、食欲の落ちる夏にはうってつけの一品です。

でもこれまで何度か作ってみたものの、お店のように「骨まで食べられるやわらかさ」にならなかったり、小アジに粉をつけて揚げたら粉がはがれて揚げ油の底に溜まってしまったりと、イマイチな仕上がりに…。

そこで、料理研究家の小島喜和さんにご相談し、レシピを教えてもらいました。

「今回ご紹介するのは南蛮漬けの作り方の基本です。南蛮酢や粉のつけ方などのポイントを押さえれば、ほかの魚(鮭、ししゃもなど)や鶏肉に変更したり、素揚げした野菜(なす、万願寺唐辛子など)を加えるなど、いろいろアレンジして楽しむことができますよ」

まずはレシピのポイントをチェックしていきましょう!

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カリッと揚げるのが美味しさのカギ!「小アジの南蛮漬け」3つのポイント

南蛮漬け出来上がりイメージ

「小アジ(小鯵)とは10~15㎝程度の真アジの稚魚で、一般的にそれよりも小さいものは、豆アジ(豆鯵)と呼ばれています。

揚げる場合の下処理は、ウロコやゼイゴ(尾近くのトゲ状のかたいウロコ)はつけたまま、内臓だけを取り除けばよく、簡単です。揚げることで骨まで丸ごといただけるので、魚のカルシウムも摂取できて栄養満点!

揚げてから調味液(タレ)に漬ける南蛮漬けの美味しさのポイントは、なんといっても小アジをカリッと揚げること。そして酢の風味を生かすこと。それらのポイントを詳しくご説明します」

【ポイント①】南蛮酢(タレ)の酢は加熱しない! 酸味が飛ばないので、味が決まる

味の決め手となる「南蛮酢(タレ)」とは、南蛮漬けに使用する合わせ酢のこと。一般的にだし汁に酢、しょうゆ、砂糖、みりんなどを加え、煮立たせたものです。

酢は煮立てると酸味が飛んでしまうので最初から加えず、酢以外の調味料を合わせて煮立て、冷めてから加えましょう。こうすると味がぼやけず、すっきりと酸味が立った南蛮漬けに仕上がります。

【ポイント②】片栗粉をアジ全体にうすくまぶし、すぐに揚げる! 食感よく揚がり、南蛮酢(タレ)とのなじみもアップ

小アジを素揚げする作り方もありますが、片栗粉をつけて揚げたほうがカラッと揚がり、南蛮酢(タレ)ともよくなじみます。

小アジに粉がつき過ぎると油っこく、重い味わいになってしまうので、水分をしっかり拭き取ってから、ごくうすくまぶすようにしましょう。粉をまぶしたらすぐに揚げることも、カリッと仕上げるポイントです。

【ポイント③】揚げ油の温度は170~180℃。小アジのサイズによって調整し、香ばしい揚げ上がりを目指す!

10㎝~15㎝の小アジは170℃から揚げはじめ、180℃になるまで徐々に温度を上げていきます。じっくり火が通るので、たいていは骨まで食べられるほどサクッと香ばしく揚がります。

なお10㎝未満の小さめの小アジ(豆アジ)で作る場合は、最初から180℃の高温で揚げればOKです。

基本の「小アジの南蛮漬け」のレシピ。たっぷり作って作り置きしよう!

南蛮漬けの材料

<材料>(3~4人分)

  • 小アジ(体長15㎝くらいまでのもの)…10~15尾 
  • 片栗粉…適量
  • 玉ねぎ(縦半分に切り、繊維に沿ってうす切り)…1個分
  • にんじん(せん切り)…4㎝分
  • 【南蛮酢(タレ)】
    ・だし汁(かつお節と昆布の一番だし)…135ml
    ・砂糖…大さじ4と1/2 ※写真は洗双糖(せんそうとう)。グラニュー糖、上白糖など好みのものでOK
    ・みりん…大さじ1
    ・うす口しょうゆ…大さじ2 ※同量の濃口しょうゆで代用可
    ・酢(米酢)…90~140ml ※味をみながら好みで調整する
  • 揚げ油…適量

●南蛮酢(タレ)はアレンジしても美味!

南蛮酢(タレ)の材料の酢を、橙(だいだい)、すだち、かぼす、レモンなどの柑橘類の果汁に変えると、夏にぴったりの爽やかな風味が楽しめます。
また、南蛮酢に唐辛子1本分(種を取って小口切りにする)を加えたり、野菜類に小口切りにした細ねぎ5~6本分を加えたりするのもおすすめです。

<作り方>

1. 南蛮酢(タレ)を作る。酢以外の材料を鍋に入れて煮立て、火から下ろす。冷めたら酢を加える

調味料を煮立てるイメージ

鍋にだし汁、砂糖、みりん、しょうゆを入れ、中火にかける。煮立ったら火から下ろし、そのまま冷ます。

酢を加えるイメージ

粗熱がとれたら酢を加え、混ぜ合わせる。

「酸味の強さは人それぞれ好みがあるので、今回は酢の分量に幅をもたせています。味をみながら調整してください。南蛮酢は野菜が加わると野菜から水分が出て薄まるので、濃い味加減になっています」

2. 小アジの内臓を取り除き、血を洗い流す。キッチンペーパーで水気をしっかりと拭く

内臓を取り出すイメージ

小アジの頭を右側におき、エラぶたからお腹に向かって斜めに切り目を入れる。お腹をめくり、包丁の先で内臓を掻き出す(写真)。

洗うイメージ

お腹を開き、血や残った内臓、血合いを洗い流す。

「中骨に沿って血合いがあるので、写真のように中骨を指でこすって血合いを洗い流します。今回は分かりやすいよう、ボウルに張った水の中で行っていますが、流水で行うとよいでしょう」

水気を拭くイメージ

キッチンペーパーで水分をしっかり拭き取る。

水分が残ったまま揚げると油ハネの原因に。衣もつきすぎてしまうので、表面だけでなく、写真のようにお腹の中までしっかりと拭き取りましょう。

3. 小アジに片栗粉をまぶし、余分な粉を落とす

粉をまぶすイメージ

深めのフライパンに揚げ油を深さ2.5㎝程度注ぎ、弱火にかける。バットに片栗粉を広げて小アジを並べ、全体に片栗粉をまぶす。

「お腹の中は、刷毛を使うと隅々まできれいにまぶせます。粉をまぶしたらすぐに揚げたいので、揚げ油はこのタイミングで加熱しはじめましょう」

粉を落とすイメージ

小アジを手にのせて4~5回転がし、余分な粉を落とす。

粉をつけ終えたイメージ

「写真のように、ごくうすく片栗粉がまぶされた状態が理想です。粉が多すぎると、揚げ油が汚れる原因にもなります」

4. 170~180℃に熱した揚げ油で、カリッとするまで揚げる

揚げるイメージ

170~180℃に熱した揚げ油で、4の小アジを揚げる。

「今回は直径22㎝のフライパンを使用し、15㎝程度の大きな小アジなので半量ずつ2回に分け、170℃から揚げはじめました。10㎝未満の小さめの小アジ(豆アジ)で作る場合は、最初から180℃の高温で揚げればOKです」

アジを引き揚げるイメージ

途中で何度か返し、カリッとしてきたら(写真)引き上げて油をきる。

「揚げる音が低音から高音になり、気泡が少なくなってきたら引き上げのタイミング。15㎝程度の小アジだと、トータル5~6分揚げればOKです」

油の入ったフライパンのイメージ

揚げ終わりの揚げ油の状態。片栗粉のはがれ落ちや、油の汚れも少ない。

5. 器またはバットに揚げたての小アジを並べ、玉ねぎ、にんじんを散らし、南蛮酢(タレ)を回しかける

南蛮漬け出来上がりイメージ

熱いうちに器またはバットに小アジを並べ、玉ねぎ、にんじんを全体に散らす。1の南蛮酢を全体に回しかけて完成。

「小アジが熱いうちに南蛮酢(タレ)をかけると味がよくなじみ、玉ねぎの辛みもやわらぎます。

私は揚げたての、ほんのり温かいうちにいただくのが好きなので、写真のように器に盛った状態で仕上げて食卓に出していますが、1時間おいても、2日間冷蔵庫で冷やしても、どんなタイミングで食べても美味しいものです」

【南蛮漬けの保存・日もちについて】

すぐに食べない場合は、保存容器(酢を使っているのでガラス製、ホーロー製がおすすめ)に小アジを入れ、野菜をのせて南蛮酢をかけ、粗熱がとれたら表面にラップを密着させて冷蔵庫で保存。賞味期限は3日程度です。多めに作って作り置きするのもおすすめ。

●南蛮漬けは鮭、鶏肉、なすなどで作っても美味!

「今回ご紹介したのは基本の作り方です。鮭の切り身やししゃもなどの小魚、鶏肉で作っても美味しいです。また、素揚げしたなすや万願寺(甘長)唐辛子、しし唐辛子、パプリカ、生椎茸などの野菜を加えるのもおすすめです」

【実食】小アジの南蛮漬け。できたてはサクッと香ばしく、翌日は南蛮酢が染みて、どちらも美味♡

南蛮漬け出来上がりイメージ

まずは揚げたてをいただきます。まだ南蛮酢(タレ)をかけたばかりなので、ザクザクっとした小アジの食感と、 野菜のシャキシャキ感とのコントラストが鮮明です!

大きめのアジなので骨は口に残るかな? と思っていたのですが、頭から尻尾まですべていただけました。アジの頭が骨せんべいみたいに香ばしく、衣がうすいので軽い味わいで、いくらでも食べられそう。

アジを小皿に盛ったイメージ

翌日の味わいを確認するため、すぐに食べない分は粗熱がとれてから冷蔵庫に保存して、翌日にいただいてみました。

冷蔵庫から出したばかりの冷たい状態でいただくと、小アジから南蛮酢(タレ)がジュワッと染み出てきます! 野菜にも南蛮酢が染み込み、一体感のある味わいに。冷たいのでよりさっぱりと感じられ、熱い季節には最高です。この夏の常備菜として、ぜひお試しください。

レシピ/小島喜和さん

小島さんお顔写真

料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、料理教室、お菓子教室を主催している。

高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。

小島喜和さんのレシピ一覧>>

撮影:菅井淳子
文:香取里枝

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