2024.09.18
だし不要、ふっくら食感! 鮭の炊き込みご飯「はらこ飯」の簡単レシピ。おもてなしにも◎
食欲の秋は、新米と秋鮭(白鮭)、鮭の卵のいくら(生筋子)が出回る季節。これらを使った炊き込みご飯といえば、東北地方の宮城県亘理(わたり)町を発祥とする郷土料理「はらこ飯(腹子めし)」です。仙台駅の駅弁としても人気で、旅の思い出の味として記憶している方も多いのでは?
少し甘めのしょうゆ味で煮た鮭、キラキラと輝くいくら、そして鮭の煮汁で炊いたうま味たっぷりのご飯。この3つが絶妙にマッチした何とも贅沢なあの味を忘れられず、家でも作れないかな? と思い、料理研究家の小島喜和さんにレシピを教えてもらいました!
「本格的なレシピでは秋鮭を使いますが、天然ものは高価です。ほかの鮭でもはらこ飯は作れますし、簡単ですごく美味しいので私は季節を問わずよく作ります」と小島さん。
なお、9月~11月中旬には生筋子も出回るので、いくらの醤油漬けを手作りするのもおすすめです。
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さっそくポイントからチェックしていきましょう。
臭みがなく、鮭はしっとりふっくら!「はらこ飯」2つのポイント
はらこ飯はもともと、秋鮭と呼ばれる産卵期の秋から冬にかけて水揚げされる白鮭と、その子であるいくら(東北地方の方言で腹子、はらこ)を使い、鮭の煮汁で炊いたご飯と合わせた季節料理です。今では養殖の鮭(銀鮭など)が多く出回り、いくらも一年中手に入るので、季節に関係なく楽しむことができます。
とはいえ、鮭の選び方、煮た鮭の扱いなどが美味しさを左右するので、以下のポイントを押さえておきましょう!
【ポイント①】鮭は冷凍販売ではない生鮭を使い、皮を取り除く。これで生臭さはナシ!
「鮭には生鮭と、塩漬けにして熟成させた塩鮭の2種類がありますが、はらこ飯に使うのは生鮭の方です。生鮭であれば種類は問いませんが、冷凍販売されていない、できるだけ鮮度のよいものを選びましょう。冷凍品は解凍の際にドリップと呼ばれる臭みを含んだ水分が出てきますし、鮮度が悪いものも生臭さの原因になります。
また、皮も生臭さの元となるので取り除きましょう。口あたりよく、食べやすくもなります」
【ポイント②】米は鮭の煮汁だけで炊く。鮭にうま味が残り、味つけも薄まらない!
「鮭はまず調味料で煮ます。鮭からうま味が出るので、だし汁は不要。しょうゆ、鮭、砂糖だけで充分です。
煮た鮭はお米と一緒に炊き込んだほうが簡単では? と思うかもしれませんが、その方法だとご飯は美味しくなるけれど鮭からうま味が逃げ、熱が入り過ぎてパサついてしまいます。そのうえ、せっかく味をつけた鮭の味が薄まってしまうことに。お米は水を加えた煮汁だけで炊き、炊けたら鮭を入れて炊飯器の余熱で温めなおしましょう」
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鮭といくらのダブルのうま味! 炊き込みご飯「はらこ飯」の作り方
<材料>(米2合分)
※3合で作る場合の分量はこちら
- 米…2合
- 生鮭(切り身、冷凍販売ではないもの)…2切れ(約200g)
- いくらのしょうゆ漬け…適量
- 【調味料】
・しょうゆ…大さじ2
・酒…大さじ1
・砂糖…大さじ1/2 - 好みでわさび、きざみのり、三つ葉、青じそ、小ねぎ…各適量
※米3合で作る場合の分量
生鮭…2と1/2切れ(約300g)、しょうゆ…大さじ3、酒…大さじ1と1/2、砂糖…大さじ2/3強 ※水は鮭の煮汁とともに、炊飯器の内釜の3合の目盛りまで注ぐ
▼生筋子が手に入ったらこちらをチェック!
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<作り方>
1. 米を研ぎ、20分ほど浸水させる
米は研ぎ、20分ほど浸水させる。
「新米の場合は水分量が多いので、浸水は不要です。研いだらすぐにザルに上げて煮汁とともに炊けばよいので、作り方4のタイミングで研いでください」
▼詳しい米の研ぎ方はこちらをチェック!
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2. 鮭の皮を取り除き、ひと口大に切り分ける
米を浸水させているあいだに鮭を煮る。鮭は中骨や腹骨があれば取り除き、皮に沿って身をすき取るように、身の厚い方からひと口大のそぎ切りにして、2切れ分を切り分ける(写真)。
「最初に皮を残して2切れほどそぎ切りにします。こうすると皮が露出するので、すべりやすい皮をしっかり持って身から引きはがすことができます」
皮を持ち、皮と身の間に包丁を入れ、身の薄い方に向かって刃を進め(写真)、皮を取り除く。残った身はひと口大に切り分ける。
3. 鮭を調味料で煮て中まで火を通す。ザルに上げて鮭と煮汁に分け、煮汁を冷ます
大きめの鍋に調味料の材料をすべて入れ、中火にかける。沸いたら弱火にし、鮭を重ならないよう並べ入れる。ときどき返しながら(写真)、2~3分加熱して中まで火を通す。
ボウルの上でザルに上げ、鮭と煮汁と分ける。煮汁は冷ます。
「このあと煮汁に水を合わせて米を炊きますが、水温が高いと米に芯が残りやすいです。すぐに炊く場合は、ボウルごと氷水にあてて煮汁をしっかり冷ましてください」
4. 炊飯器の内窯に米を入れ、鮭の煮汁と水を加えて炊く
1の米をザルに上げ、水気をよくきってから炊飯器の内窯に入れる。3の鮭の煮汁を加え、水を2合の目盛りまで注ぎ、炊飯器にセットして通常の白米と同じように炊く。
5. 炊けたら鮭をのせて温めなおす。ご飯をほぐして茶碗によそい、いくらをのせて完成
炊き上がったら炊飯器のフタを開け、3の鮭を並べ入れてフタをする。そのまま2~3分おいて鮭を温めてご飯をほぐす。
大きめの茶碗や丼によそう。彩りよくいくらをのせたら完成。
「鮭は炊飯器の熱で温めなおすとよりふっくらとします。ご飯と一緒にほぐしても良いですし、写真のように大きいままいただくなら、鮭を端に寄せてざっくりとご飯だけをほぐし、ご飯をお茶碗によそってから鮭をのせてください。
一杯目はそのまま、二杯目はわさびを添えていただくのが私のお気に入りの食べ方です」
【実食】はらこ飯。鮭の魅力がこの一杯に凝縮されていて、おかわり必須!
まさにサーモンピンクな鮭にキラキラ輝くいくら! 見た目に美しく、食べるまえから幸せです。少し甘めの煮汁をたっぷり吸いこんだ鮭は、しっとり、ふっくら、コクたっぷりで、今まで食べたことがあるようでない美味しさ! そして鮭のうま味が染みたご飯に、口の中でプチプチと弾けるいくらの塩気がアクセントとなって、食べる手が止まりません。
教えてもらうまえは難しそうだと思っていたのですが、魚の下処理もだし汁も不要、鮭を煮る時間は2分ほどで、驚くほど簡単でした! 冷めても美味しいので、飯台や大皿に盛れば見栄えよく、おもてなしにぴったり。新米と鮭の美味しいこの季節にぜひお試しください。
小島喜和さん
料理・菓子研究家。季節の手仕事を得意とし、梅仕事や味噌作りなど、各種ワークショップを開催。また、ニューヨーク、パリの製菓学校で製菓、製パンを学び、ディプロマを取得した経験を活かし、料理教室、お菓子教室を主催している。
高知県出身で、地元の郷土料理や食材を広める活動はライフワーク。『心ふるえる土佐の味』(高知新聞社)、『みそさえあれば。』(日東書院本社)、『四季を愉しむ手しごと』(河出書房新社)など著書多数。
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