2023.06.11
真っ赤な野菜「生ビーツ」のレシピ3品。揚げもの、スープ、ピクルス。おもてなしにも◎
真っ赤な見た目がインパクト大な野菜、ビーツ。缶詰などで売られている水煮がポピュラーでしたが、近年、野菜売り場で生のビーツを見かける機会も増えてきました。でも「いまいち調理の仕方がわからない…」となんとなく敬遠している人も多いのでは? そこで今回は、ビーツの魅力をとことん堪能できるおすすめ料理をプロに聞きました。
教えてくれるのは、旬の野菜を使った料理を得意とする料理研究家の植松良枝さん。「生のまま」「揚げる」「煮る」の異なる3つの調理法でビーツの味わいを楽しめるレシピは必見です!
ビーツってどんな野菜? おすすめの食べ方と保存方法
●ビーツの特徴。旬は初夏と冬の2回、土っぽい風味と甘みがある
ビーツの見た目はかぶに似ていますが、実はほうれん草や、甜菜糖の原料となるテンサイの仲間。種まきから収穫までが約2~3か月と短く、初夏と冬、年に2度旬を迎えます。味わいの特徴は、土っぽい風味と甘み。国内では長らく輸入物が多く流通していましたが、近年、国産のものも手に入るようになってきました。
●ビーツの食べ方。加熱すると甘くてほくほく食感になる!
「『生』『焼く』『煮る』『揚げる』と、どんな調理法でもおいしく食べられる野菜です。生の状態では控えめな甘みとシャキシャキとした食感が、加熱するととうもろこしのような甘い香りとしっかりした甘み、ほくほくとした食感が楽しめます。洋食だけでなく、和食にも使え、肉じゃがなどに入れてもおいしくいただけます。小さく切ってミートソースに加えるのもおすすめ!」
●ビーツの保存方法。長期保存や冷凍保存ができる!
「ビーツは長期保存が可能な野菜です。丸ごとのままなら新聞紙やペーパータオルで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で1か月間程度保存することができます。使いかけのビーツは冷凍保存がおすすめ。使いやすい大きさに切ってから生のまま冷凍用保存袋に入れて冷凍しておくと、凍ったままスープなどに入れて調理することができ、とっても便利ですよ」
それでは、実際にレシピを見ていきましょう。今回は「生のまま」「揚げる」「煮る」の3種類の調理法で作る、植松さんおすすめの3レシピです。
【ビーツレシピ①:生のまま】「ビーツのピクルス」おもてなしにもお弁当にも! 自然な甘みが◎
ごく薄切りにしたビーツに熱々のピクルス液をかけてそのまま置くだけで完成する、シンプルで簡単なレシピ。半生のビーツのシャキシャキとした食感と、自然な甘みが楽しめます。そのままいただくのはもちろん、グリーンサラダに混ぜるなど、さまざまなアレンジが可能。彩りが鮮やかなので、お弁当の副菜としても活躍します!
「ベリー類を添えるとより華やかな印象になり、ジューシーさも加わって、おもてなし料理のひと品としても。夏のビーツのピクルスと組み合わせるなら国産のブルーベリーがおすすめ。仕上げにちらすか、ビーツと一緒に食べる分だけピクルス液に漬けるといいでしょう。冷凍のミックスベリーを組み合わせても、フルーティーさが増しておいしいです。ピクルス液は、好みでクローブ2粒、シナモンスティック1/2本を一緒に漬け込むと、香り高く仕上がります。ビーツを漬け終わったあとの真っ赤なピクルス液も、ぜひ捨てずに活用を。ピクルス液のみで冷凍保存しておき、解凍して酢飯に使えば、ほんのりピンク色のかわいいお寿司ができます」
<材料>(作りやすい分量)
- ビーツ…1/2個(約200g)
- 【ピクルス液】
・水…250ml
・酢…50ml
・砂糖…20g
・塩…大さじ1/2 - ブルーベリー(好みで)…適量
<作り方>
1. ビーツは皮をむいて2mm厚さのいちょう切りにし、ボウル(または耐熱性の保存容器)に入れる。
2. 小鍋にピクルス液の材料をすべて入れて中火にかけ、煮立ったらすぐに1に注ぐ。
3. 粗熱がとれるまで漬けたら器に盛り、好みでブルーベリーをちらす。
※冷蔵庫で保存する場合は、清潔な保存容器に入れ、表面にぴったりとラップをかけてからふたをし、冷蔵庫に入れる。2週間程度保存可能。
【ビーツレシピ②:揚げる】「ビーツのはさみ揚げ」ほくほく甘い! ピリッと辛い柚子こしょうと相性◎
「れんこんのはさみ揚げ」をビーツでアレンジ。揚げたビーツのほくほくとした食感、とうもろこしのような甘みがたまりません! 柚子こしょうの効いた肉ダネはピリ辛で、ビーツの甘みとよく合います。ビールや日本酒、白ワインなどのお酒のおつまみに活躍すること間違いなし!
「生や煮るのとは異なるビーツの新たな魅力を堪能できるメニューです。色鮮やかで、意外性もあるので、おもてなしにもぴったりです。断面の色鮮やかさを見せるよう、半分に切ってから器に盛りつけるのがおすすめ。冷めてもおいしいですよ」
<材料>(2人分)
- ビーツ…1個(約350g)
- 鶏ひき肉…150g
- 柚子こしょう…大さじ1
- 酒…小さじ1/2
- 片栗粉、揚げ油…各適量
<作り方>
1. ビーツは皮をむいて7mm厚さの半月切りにする。
2. ボウルに鶏ひき肉を入れ、柚子こしょう、酒を加えて混ぜ合わせる。
3. 1のビーツに2の肉ダネを厚みが5〜7mmになるよう均等に広げる。もう1枚のビーツをかぶせて、指でしっかりおさえてサンドする。
4. 3の全体に片栗粉を薄くまぶし、170℃に熱した油でほんのり揚げ色がつくまで揚げる。半分に切り、器に盛る。
【ビーツレシピ③:煮る】「牛肉とビーツのスープ」。シャキシャキ食感が楽しい、さっぱり味のボルシチ風
ビーツを代表する料理といえばこちら! 肉と野菜がたっぷり食べられる真っ赤なスープです。ビーツは水煮を使うレシピも多いですが、今回は生のビーツをせん切りにして使用。料理の仕上げに加えることで、シャキシャキ食感を楽しめます。
「日本でいう、“豚汁”みたいな感覚で現地の人に親しまれている料理。ボルシチというと、ビーフシチューのような濃厚なものをイメージする人も多いですが、実際はとてもあっさりしたスープです。味のポイントとなる酸味は、白ワインをたっぷり入れることで加わります。野菜は蒸し煮にして、じっくり甘みと旨みを引き出しましょう。ビーツは長時間煮込むと色がくすむので、キャベツと一緒に最後に加えてください」
<材料>(4〜6人分)
- 牛切り落とし肉…250g
- ビーツ…150g
- にんにく…1かけ
- 玉ねぎ…中1/2個
- にんじん…1/2本
- セロリ…1本
- キャベツ…120g
- オリーブオイル…大さじ2
- A
・野菜スープ(※)…1000ml
・トマトピューレ…100ml
・白ワイン…200ml
・ローリエ…1〜2枚 - 塩…小さじ1と1/2〜2
- サワークリーム、ディル…各適量 ※サワークリームは、水切りヨーグルトやギリシャヨーグルトで代用可
※野菜スープの作り方
鍋ににんじんや玉ねぎの皮、セロリの葉、あればパセリの茎各適量を入れ、水1200mlと市販の野菜スープの素1〜2包を入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にして10分ほど煮出す。ザルでこしてから使う。
「家庭で野菜スープを作る場合、野菜くず(玉ねぎやにんじんの皮、セロリの葉など)を水から煮出し、市販の野菜スープの素で味を補うのがおすすめです。捨ててしまいがちな食材も無駄なく活用でき、程よく旨みのある野菜スープに仕上がります」
<作り方>
1. 牛肉は食べやすい大きさに切る。ビーツは皮をむいて食べやすい長さのせん切りにする。にんにくは薄切りにする。玉ねぎは5mm幅の薄切りにする。にんじんは縦4等分に切ってから斜め薄切りにする。セロリは斜め薄切りにする。キャベツは1.5cm角に切る。
2. 厚手の鍋にオリーブオイルを入れて中火で熱し、玉ねぎ、にんにくを炒める。玉ねぎが透き通ってきたらにんじん、セロリを加えて炒め合わせ、ふたをしてごく弱火で5〜6分蒸し煮にする。
3. 一度火を止めてふたを外し、牛肉を広げ入れ、塩少々(分量外)をふる。中火にかけ、色が変わるまで炒める。
4. Aを加え、煮立ったら丁寧にアクをとりのぞき、弱火で5分ほど煮る。ビーツ、キャベツを加え、さらに2〜3分煮たら塩で味をととのえる。
5. 4を器に盛り、サワークリームをのせ、粗く刻んだディルを飾る。
定番から意外性のあるものまで、さまざまな料理に使えるビーツ。調理するたびに、食材の新たな魅力を発見できます。どれも簡単に作れるレシピばかりなので、生のビーツを見かけたら、ぜひ試してみてください。
植松良枝さん
旬の野菜を使った料理を得意とする料理研究家。野菜づくりがライフワークで、季節に寄り添った食と暮らしに関するアイデアを発信している。
さらに国内外を旅し、多くの食文化に触れた経験から生み出される、世界各国のエッセンスを取り入れた料理も人気。『バスクバルレシピブック』(誠文堂新光社)、『春夏秋冬 ふだんのもてなし』(KADOKAWA)など著書多数。
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