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2021.12.08

【定番おせち】数の子のだし醤油漬け、松前漬けの2つのレシピ。プロは米のとぎ汁を塩抜きに使う!?

数の子のイメージ

おせちの定番である数の子は、子孫繁栄を表す縁起ものです。その意味は数の子がにしんの卵であることから、「二親(にしん)からたくさんの子に恵まれる」とされ、昔からおせちに使われてきました。何より、美しい黄金色をした数の子は、おめでたい席で食卓に華を添えてくれる心強い存在です。

そこで今回は、プロの技が満載の本格的な数の子のレシピを紹介します。教えてくれるのは、日本料理の銘店<よし邑>の冨澤浩一総料理長です。基本となる「数の子のだし醤油漬け」レシピに加えて、数の子のだし醤油漬けをベースに、昆布やするめいかをプラスした「松前漬け」レシピの2本立て。

知っておきたい数の子の塩抜きや薄皮のむき方など基本の下処理方法から保存方法までの解説に加え、ハレの日にぴったりな美しい盛りつけも紹介するので、「お正月に数の子料理を仕込む予定」という方は、最後までしっかり熟読するのがおすすめです!

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<よし邑>総料理長が教える、数の子の下処理2つのポイント。なんと米のとぎ汁を使います!

数の子のイメージ

おせちの数の子といえば、シンプルな見た目から、「あまり調理の必要がなさそう…」と思っている人も多いのでは? 数の子は魚卵で傷みやすいため、そのままの状態で出回ることはほとんどありません。

巷で手に入るのは味つけされた数の子を除き、ほとんどが塩漬けされたもの。たまに干し数の子も見かけますが、価格がとても高いのと、戻し時間が長いため、あまり一般的とはいえません。

今回のレシピで使うのは、塩漬けされた数の子です。塩抜きや薄皮のむき方など、下処理の丁寧さが、できあがりの味を大きく左右します。具体的に気をつけるべきポイントは以下の2つ!

ポイント① 塩抜きは米のとぎ汁に浸けて、味をしみこみやすく!

塩水を使って数の子を塩抜きする方法もありますが、冨澤料理長がおすすめするのは、米のとぎ汁に浸してから塩抜きする方法! 塩水だけを使うより、数の子に味が入りやすくなるのだそう。塩抜きは、塩気を抜きすぎると味気がなくなるので、ほどよく残すことも大切です。

ポイント② 薄皮は指でこすった後、水洗いして取り除き、口当たりを良く仕上げる!

数の子の表面には白っぽい膜(=薄皮)が覆っています。その薄皮を丁寧に取り除くことが、口当たり良く仕上げるために重要。薄皮はまず、指の腹でこするようにして、皮を寄せ集め、それを引っ張って取り除きましょう。

その後、水洗いし、取り残しを洗うようにすると、きれいな状態に。指でこするときに力を入れすぎると、数の子がポロポロと崩れてしまうので、やさしく作業するのが鉄則!

数の子の塩抜きを米のとぎ汁でしたほうがいいなんて、意外です! 確かにたけのこの下ゆでに米のとぎ汁を使うように、数の子のえぐみがおさえられて旨みも残りそう…。薄皮は、皮を寄せる→集めてから引っ張るの2ステップで取り除けばいいんですね!

それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

【基本】下処理で差がつく! 「数の子のだし醤油漬け」のレシピ

数の子のだししょうゆ漬けのイメージ

まずは、おせちでおなじみの「だし醤油漬け」のレシピを紹介します。

1日目「米のとぎ汁につける」、2日目「塩水につけて塩抜きする」、3日目「漬け汁に漬ける」、4日目「できあがり」のスケジュールです。

時間はかかりますが、数の子の塩抜きと薄皮の掃除さえきちんとできれば、あとは漬け汁に漬けるだけなので、作業は意外と簡単!

「数の子は、大きければ大きいほど歯ごたえがあっておいしいですが、少し小ぶりなサイズのほうがお重に入れやすいのでおせちには向いています。具体的には1本10〜12cm長さの40gほどの数の子を選ぶといいでしょう」

<材料>(作りやすい分量)

  • 塩数の子(10~12cm長さ)…2~7本
  • 【漬け汁】
    ・だし汁(かつおだし)…310ml
    ・酒…45ml
    ・うす口醤油…45ml
    ・みりん…40ml
    ・かつお削り節…5g
    ※数の子2~3本なら「漬け汁の材料」はすべて半量でもよい

<作り方>

1. 塩数の子は米のとぎ汁につけて塩抜きする

数の子を米のとぎ汁に浸けているところ

数の子の塩抜きをしているところ

保存容器に米のとぎ汁適量(分量外)を入れ、数の子を浸す。表面にぴったりとラップをかけてふたをし、冷蔵庫に入れて1日おく。

数の子をいったん取り出して米のとぎ汁を捨てる。保存容器をきれいに洗い、塩水(水100ml、塩小さじ1/3の割合)(分量外)と数の子を入れて浸し、ラップをかけてふたをして冷蔵庫でさらに1日おく。

「塩抜きできたかどうかは味見して判断してください。完全に塩を抜いてしまうと、数の子の味が引き立たないので、ほんのり塩気を残すのがポイントです」

2. 漬け汁を作る

数の子の漬け汁

数の子の塩抜きをしているあいだに、漬け汁を作る。鍋にだし汁、酒、みりん、うす口醤油を入れ、中火にかける。鍋の縁がふつふつとして沸いてきたらかつお節を加える(=追いがつお)。そのまま中火にかけ、沸騰直前になったら火を止める。5分ほどたったら厚手のペーパータオルなどでこし、そのまま冷ます。

「漬け汁は追いがつおをすることで、だしの風味を際立たせます」

3. 数の子の薄皮をむいて掃除する

数の子の掃除をしているところ

数の子の薄皮を除いているところ

塩抜きし終わった数の子は、親指の腹で白い膜(=薄皮)をこすって片方に寄せ、薄皮をつまめるようになったら引っ張ってむく。こするように取ってから水で洗う。

「数の子の薄皮は包丁を使わず、手でやさしく取り除きましょう。ペーパータオルを使ってもいいでしょう。ちびちびむくよりも、つまめるくらい集めてから引っ張ったほうが、スーッと簡単にむけます。水で洗ったあと、薄皮の取り残しが見つかりやすいので、あれば除きましょう」

4. 数の子を漬け汁に漬ける

数の子を保存容器に入れているところ

新しい保存容器に3の数の子をペーパータオルで水気をふき取ってから入れる。数の子にペーパータオルをのせる。

数の子をだしに漬けているところ

3の漬け汁を注ぐ。ふたをして冷蔵庫に入れる。1日おくと食べごろになる。

「ペーパータオルを数の子にかぶせることで、数の子をしっかり漬け汁に漬けることができます」

【数の子のだししょうゆ漬けの保存方法】

数の子のだししょうゆ漬けは、日持ちするので、多めに仕込んでも安心。工程4の漬け汁に漬けた状態で、冷蔵庫で5日程度保存です。

【お正月の盛りつけ例】彩りよく盛りつければ、ハレの日にぴったり!

数の子の盛りつけイメージ

数の子のだし醤油漬けは盛りつけ次第で、とても華やかな仕上がりに! 器に食べやすい大きさに切った数の子を盛り、れんこん、ゆでえび、モロッコいんげんなどの緑の彩り野菜を添えれば、見た目にも美しいおもてなしにふさわしいひと皿になります。

以上が、基本となる数の子の「だししょうゆ漬け」レシピでした。続いて、そのだしで漬けた数の子を使って作る、松前漬けのレシピを紹介します。

【アレンジ】数の子のだし醤油漬けで作る「松前漬け」のレシピ。お酒のアテにも!

松前漬けのイメージ

松前漬けは、北海道の松前藩が発祥とされる冬の郷土料理。正月料理として出されることも多い保存食です。しょうゆベースのしっかりした味つけと数の子のコリコリとした食感、昆布の糸を引く粘りが特徴の料理は、白いごはんにのせても、お酒のアテとしても楽しめます。

「松前漬けの粘り気は昆布によるもの。昆布は粘りの出やすい、松前漬けの発祥の地である北海道の松前町産の松前昆布で作るのがおすすめです。松前昆布が手に入らない場合は同じく、粘りが強いがごめ昆布や、やわらかくて食べやすい日高昆布を使っても構いません」

<材料>(作りやすい分量)

  • 数の子のだし醤油漬け…80g
  • 松前昆布…40g ※ない場合はがごめ昆布や日高昆布で代用可
  • するめいか(乾物)…30g
  • にんじん…30g(約1/5本)
  • きゅうり…40g(約1/2本)
  • 漬け汁の材料
    水…45ml
    酒…45ml
    醤油…60ml
    みりん…45ml
    砂糖…25g
    赤唐辛子…1本

<作り方>

1. 昆布、するめいか(乾物)は水で軽く戻してせん切りにする

昆布、するめいか(乾物)は表面に汚れがあれば、乾いたふきんでふく。水に軽く浸してからせん切りにする。

「昆布とするめいかに包丁が入る程度やわらかくなるまで、水に浸けてもどしましょう。大体30分程度浸ければ切りやすくなりますよ。最近では、市販品の松前漬けセットも売っています。1袋に昆布とするめがカットされて入っているので、それを使ってもいいでしょう」

2. 切った昆布、するめいかを天日干しにする

1の昆布とするめいかをザルに広げ、乾燥するまで天日干しする。

「昆布とするめいかは一度乾燥させて旨みを凝縮させましょう。乾物を水でもどしてから、わざわざもう一度干すなんて面倒に思えるかもしれませんが、水で濡れた状態より、乾いた状態で漬け汁に漬けたほうが、ぐっと味がしみこみやすくなります。天日干しは晴れた日に2日間程度干すのが理想。時間がない場合は半日程度で大丈夫です」

3. にんじんはせん切りにし、熱湯をかける

にんじんはせん切りし、ザルに広げる。熱湯をまわしかけ、そのまま冷ます。

「にんじんはゆでるのではなく、さっと熱湯をかけて、食感を残しましょう」

4. 漬け汁を作る

漬け汁を作る。鍋に分量の水、酒、醤油、みりん、砂糖、赤唐辛子を入れて中火にかける。ひと煮立ちしたら火を止め、そのまま冷ます。冷めたら赤唐辛子は取り出す。

5. 具材を漬け汁に漬ける

松前漬けの具材

保存容器に2の昆布とするめいか、3のにんじんを入れて軽く和える。4の漬け汁を注ぎ、表面にぴったりとラップをかけてふたをし、冷蔵庫で一晩置く。

「一晩おくと、昆布から粘り気が出てきます」

6. 5をボウルに入れ、ちぎった数の子とあえる

数の子をちぎっているところ

5のベースをボウルに取り出し、だししょうゆ漬けにした数の子を手で食べやすい大きさにちぎりながら加える。

松前漬けと数の子を和えているところ

菜箸で全体をさっと混ぜる。

7. せん切りにしたきゅうりを加えてあえる

松前漬けにきゅうりを加えているところ

きゅうりはせん切りにし、さっと冷水にさらしてからザルにあげ、水気をしっかりきる。6に加え、軽くあえたら器に盛る。

「きゅうりは味がしみこみやすく、色も悪くなりやすいので、食べる直前に松前漬けのベースとあえましょう。松前漬けのベースは食べる分だけ、ボウルに取り出すようにしてください」

【松前漬けの保存方法】

松前漬けは、塩気がしっかりしているので保存に向く料理。工程6のきゅうりが入っていない状態で、冷蔵庫で5日程度保存可能です。

【お正月の盛りつけ例】上品に盛りつければ、おもてなしにも活躍

松前漬けのイメージ

松前漬けは、お正月やお祝いの席など晴れやかなシーンでも活躍します。松前漬けに黒豆やクコの実、からすみなど縁起ものを添えて、上品に盛りつけを。突き出しやお酒のアテにふさわしい一品に仕上がります。

数の子の2つのレシピ、いかがでしたか? 日本料理店に教わった作り方なら、おもてなしなどに自信を持ってふるまえそう! ぜひ、プロのテクニックを参考に作ってみてください。

<よし邑>冨澤浩一総料理長<よし邑>冨澤浩一さん

千坪の広大な敷地で、庭園を眺めながら四季折々の日本料理を楽しめる<よし邑>の総料理長。豊富な経験を元に、日本各地から厳選して取り寄せた旬の食材を使用し、素材の味をいかしたシンプルでありながらも味わい深い料理と得意とする。2017年「現代の名工」、2020年「黄綬褒章」受章。

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撮影:八田政玄
文:ケイ・ライターズクラブ

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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