Foodie(フーディー)は、三越伊勢丹グループが運営する食のメディアです。

2015.03.03

支子色、鴾色……。銘酒の味わいを、和の色で表す「Nippon IRO SAKE Project」

支子色、鴾色……。銘酒の味わいを、和の色で表す「Nippon IRO SAKE Project」_1

今日の気分はどんな色?

ファッションやメイクを気分で変えるように、色のイメージから日本酒を選んでもらう……。日本酒の新しい楽しみ方を提案する「Nippon IRO SAKE Project」が、この春より、三越伊勢丹全店の和酒コーナーで実施されます。プロジェクトの呼びかけ人でもある、担当バイヤーの小幡尚裕さんにお話をうかがってきました。

スペックではなく、感性で選ぶ日本酒をつくる

基本的には、透明な液体である日本酒。でも、そこには造り手の想いやこだわり、地域や蔵の風土、歴史が内在しています。「その旨み、香り、味わい、そして飲む人の気分まで表現できるお酒を造りたい」という強い想いから誕生した「Nippon IRO SAKE Project」。5つの蔵元とともに、オリジナルの日本酒をつくるところからスタートしたのだとか。

支子色、鴾色……。銘酒の味わいを、和の色で表す「Nippon IRO SAKE Project」_2

それぞれの蔵の特徴を活かしつつ、プロジェクトのはじまりにふさわしい味わいを追求するため、何度も各蔵元に足を運んだ担当バイヤー。そうして完成した5つの銘酒に、どの色がふさわしいのか? イメージカラーの選定会は、お酒や食の専門家をはじめ、アーティスト、ジャーナリストなど、約30名を招いて開催したそうです。

参加者にはスペック等の情報を一切伝えず、ブラインド・テイスティングで試飲。DICカラーガイド「日本の伝統色」をもとにセレクトした15色の中から、それぞれの味や香りにふさわしいと思う色が投票によって決まりました。

日本古来の色だから、和酒の繊細さを表現できる

日本の伝統色をベースにした理由を、バイヤーの小幡さんは、このように説明します。

「古くから伝わる伝統色は、私たちのDNAに息づく微妙なニュアンスを伝えてくれます。新しいクリエイションを試みつつ、伝統を継承していく。そうして日本酒の魅力を深く伝えていけたら嬉しく思います」

選定会に使った伝統色のシールも、このためだけに特別発注したのだとか。少しの妥協も許さない、プロジェクトにかける意気込みが伝わってきます。

支子色、鴾色……。銘酒の味わいを、和の色で表す「Nippon IRO SAKE Project」_3

味わいそのままのラベルデザイン

選定会で決まった色をどのように表現していくかは、今回のプロジェクトのもっとも重要なポイント。なにしろ、5つの蔵は、それぞれ歴史もブランド力もある実力派ぞろい。けれども、従来のラベルのように銘柄を前面に出すデザインでは、プロジェクトの趣旨と異なります。ふたたび蔵元とバイヤーの間で、ブランドイメージを壊さず、かつ、味覚をストレートに表現するラベルデザインの模索が繰り返されました。

手土産にもよろこばれそう

そしてできあがったのが、「Nippon IRO SAKE Project」第一弾。「支子色(くちなしいろ/写真左上)」「二藍(ふたあい/写真右上)」「天色(あまいろ/写真左下)」「黄櫨染風(こうろぜんふう/写真下中央)」「鴾色(ときいろ/写真右下)」、5色のお酒です。各ラベルには、その色合いにあわせて、独自のストーリーも表現。見ているだけでワクワクするようなデザインばかりですから、持ち寄りパーティーでも活躍しそう。ラベルをよ~く見てみると、意外な遊び心も発見できるかも?

伊勢丹新宿店、三越日本橋店・銀座店で3月4日より発売。ほか三越伊勢丹グループ各店では、4月1日より販売スタートです。

「支子色(くちなしいろ)」 山廃仕込みによる、とろりと穏やかな旨味、さわやかな酸味、キレの良さが明るく丸く調和。ラベルは、色合いからイメージした米俵を、球体で表現しています。
秋田県/齋彌酒造店 雪の茅舎 山廃純米吟醸  支子色風 720ml 2,484円

「二藍(ふたあい)」 辛口なのに重みがある、紅花と藍で重ね染めをしたようなボリューム感。ラベルは熟したぶどうと、収穫の恵みを感じさせる結びがモチーフに。
新潟県/尾畑酒造 二藍 真野鶴 純米吟醸 720ml 2,160円

「天色(あまいろ)」 原酒ならではの、ひと口目の濃厚な味わいが、グラデーションのようにクリアな爽やかさに変化。飛行機から空を写した写真をもとにラベルがデザインされています。
長野県/宮坂醸造 純米吟醸 天色 真澄 720ml 2,160円

「黄櫨染風(こうろぜんふう)」 10年間熟成させた純米酒は、黄櫨の木の煮汁などを混ぜあわせた黄櫨染のように、時を感じさせる深い味わい。ラベルは地元金沢に伝わる縁起のよい文様を配置。
石川県/福光屋 山田錦 黄櫨染風 2005 500ml 2,700円

「鴾色(ときいろ)」 鴾の風切羽根のような、華やかなピンク色を思わせるお酒。深みのある旨味を、迷彩柄で表現しています。アベリアの花酵母で醸した可憐な風味は、食前酒にもぴったり。
佐賀県/天吹酒造 天吹 大吟醸 鴾色 720ml 2,160円

文: 藤崎美穂

※「FOODIE」2015年3月号掲載の再編集記事です。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
※20歳未満の飲酒は法律により禁じられております。

バイヤー・スタイリスト / 小幡尚裕
ジェイアール京都伊勢丹で老舗・名店の味・酒・ギフトを担当するバイヤー。根っからのお酒好き。最近、京都に住みはじめたため、オフの時間も活用しながら伝統に支えられた魅力ある京文化を日々学ぶ。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/和酒にてお取扱いがございます。また、お電話注文(伊勢丹新宿店 電話03-3352-1111大代表)でもお買い求めいただけます。伊勢丹オンラインストアでもお買い求めいただけます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

FOODIE 占い

人気のカテゴリー

閉じる