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2015.06.08

読み物・コラム

いせたんさんぽ Vol.3/昭和の風情が残る「新宿ゴールデン街」

伊勢丹新宿店を北側に出て靖国通りに入り、「新宿区役所前」の交差点をわたった先に、別世界への入口のように木々が茂る遊歩道が見えてきます。初夏らしい涼しげな風が抜けるこの道は、その名も「四季の路」。昭和45年に廃止された都電の軌道敷を散策路にした遊歩道公園です。ここを少し進んだ先に、新宿ゴールデン街が姿を現します。

路地の左右から手をのばすようにひしめく大小の看板。道にせり出した生活感あふれる植木鉢や洗濯機。そして頭上を縦横に走る電線。大都市・新宿から切り離されたように、昭和の風情を色濃く残すゴールデン街。そのルーツは「闇市」です。終戦後、新宿駅の近くに闇市ができ、その周辺に現れた屋台村がGHQの指令により現在の歌舞伎町一丁目に移動して、のちのゴールデン街となりました。

観光客を魅了するノスタルジー

いせたんさんぽ Vol.3/昭和の風情が残る「新宿ゴールデン街」_02

3~5坪ほどの小さな店を持つ木造長屋が連なり、それを縫うように細い路地が入り組むゴールデン街。今も2階3階で生活をしている人もいるそうですが、昼間のゴールデン街はとても静か。日中にふらりと立ち寄って路地を歩いていると、色とりどりの扉やユニークな看板がノスタルジックな雰囲気で、タイムスリップしたような気分に。そして夜が更け、看板に灯りがともりはじめると、街は次第に活気づき、酔客たちの賑やかな声があふれ、暗がりのなかに昼間とは違う風景が見えてきます。

1970年代、ゴールデン街は作家や映画監督、俳優などが集まるカルチャーの発信基地としても注目を集めました。しかし80年代のバブル期になると、地上げ騒動で多くの店舗が姿を消してしまいます。そこで有志が集まり「守る会」を結成、さらに平成12年に定期借家制度という「貸しやすく、借りやすい」制度ができたことから、再び活況を取り戻すことに。若いマスターが自分たちで改装した個性あふれる店がたくさんできて、客足も増え、今では海外からの観光客の「一番訪れたい場所」に名が挙がる注目スポットとなっています。

敷居を越えれば、いつもと違う「新宿」に出会えるかも

いせたんさんぽ Vol.3/昭和の風情が残る「新宿ゴールデン街」 _03

現在、ゴールデン街には約280の店があります。昔ながらのスナックに、おしゃれな雰囲気のバー。音楽好きが集まる店、野球ファンのための店、将棋を指しながら飲める店。280人のマスターの数だけ個性と楽しみ方のある街ですから、勘を働かせて気になる店を見つけたら、ぜひその扉を開いてみましょう。初めて訪れる人には敷居が高く感じるかもしれませんが、楽しむコツは「わからないことがあったら、お店の人に聞くこと」。素直な心で接すれば、「2回目からは常連」として楽しめること間違いなしです。

半世紀にわたり新宿という街の光と影を見つめてきたゴールデン街。伊勢丹からほんの少し足を伸ばしてみれば、この街の歴史とこの街を愛する人々の思いが息づく、いつもと違う「新宿」に出会えます。

文: 矢部智子

取材協力:新宿三光商店街振興組合、新宿ゴールデン街商業組合

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